生理痛で始まった一日。
痛い…。
これは初潮以来、一番の痛みかもしれない。
朝、駅から会社まで歩けないのでタクシーを使った。
仕事中、いくらナロンエースを飲んでも生理痛は増すばかり。
仕方がないので、夕方、吉熊上司に相談。
「俺から部長には伝えておくよ。早く病院行け」
彼はそう言ってくれた。
殿方から殿方に伝えるのはツラいと思う…生理による部下の私用外出について連絡するなんて…。
さて産婦人科。町医者である。
やはり生理痛が酷く、産婦人科というところには数回訪れたことがある。
しかし、その都度、内診を拒否してきた私。
6年前、他の産婦人科で痛い目にあって以来、内診恐怖症になってしまった。
しかし、気付けば私は29歳。
体にガタがきてもおかしくない年齢である。思いきって、この際、中まで診てもらうことにした。
医師はどうってことのない翁だし。
しかし、彼はなかなかの名医らしい。
そう言えば、社長の孫もここで産まれたんだっけ。
診察台に登る。
足をぐぁんと開く。
「見たまえ!ファハハハ~ッ!最高のショーだと思わんかね?(ムスカ風)」と言わんばかりにオープン!
「…そ、そんなに広げなくても大丈夫ですよ」
カーテン越しに、ナースにそう言われる。…少しばかり恥ずかしい。
「絶対に痛くしないでくださいね」
内診前に、できるだけ可愛く翁医師に微笑んでおいた。
可憐に小首を傾げて、少し上目使い…万事はこれでうまくいくのさ。
フフン。
…しかし、何度も言うが、来年、私は三十路に突入するのである。
…ブリッコの使用期限末日Xデーは近し。(いや、もう使用不可かもしれない)
今のうちに使えるものは使っておこう!自分。
ブリッコ作戦が功を奏したらしく、内診中、痛みは殆んど感じなかった。
エコーで初めて自分の子宮と卵巣を見た。
テレビの2チャンネルの砂嵐の様な白黒モニターに映し出される我が子宮、卵巣。
「いやー!綺麗ですよ、子宮も卵巣も。美人ですねぇ…美人。筋種も腫瘍もないですし。子宮美人!それに綺麗な卵巣だねぇ!若干水が溜っていますが、気にしなくても大丈夫ですよ。うん、美人!」
翁医師にそう言われた。
美人!
綺麗!
美人とか綺麗とかいう単語にめっぽう弱い私!
もっとその単語を聞きたい!
もっと言って!
もっと言って!
もっと言って!
つい調子に乗り、
「それ!その盛り上がってんの、何ですかっ?…いえ、その右の方の…それそれ」
「あ!その黒いの、なんかヤバくないですか?」
と、仕切りカーテンを自ら開け、翁医師と一緒にモニターを観ていた。
股間にエコー棒を挟まれながら…。
最後は触診。
お腹の力を抜くように力説されるが無理。
痛いって。マジで。
「他のこと考えていてください」
と途方もなく無理なことを言われる。
「そういえば、おたくの会社、こないだテレビに出ていましたよね?社長さんはお元気ですか?景気はどうですか?」
翁医師は、どうやら私の保険証に記載されている社名を見たらしい。
おそるべし、この濃度の高い地域密着感。
そのテレビ番組の話をしていたら、あっという間に触診終了。
結局、病気ではなかった。それが分かっただけでも安心した。
生理痛の原因は極度なまでの膣の細さらしい。
将来、難産は絶対に免れないとのこと。
自然分娩も無理かもしれないらしい。
…産む予定も欲望も全くないが。
関係ナイネ~♪
彼の話を総合的に考察してみた。
子宮は美人でも膣は不細工ということか。
コペルニクス的転回を用いて考えると
「…心は美人なのに、外見は不細工」
と同じことなんだろうか。
問題は鎮痛剤だった。
今、私が飲んでいる薬たち、ソラナックス、パキシル、マイスリー、パリエット、ストロカインとの相性を調べるのに時間がかかった。
さすが町医者。
ナース総出で薬辞典を引っ張り出して調べていた。
その結果、私はめでたく鎮痛剤ロキソニンをゲットできたんである。
生理痛にはロキソニンが一番よく効く♪
「ロキソ、かなりラヴです。愛しています」
と翁医師に告げたら笑われた。
大切に飲もうっと!
会社に帰る。
吉熊上司から事情を聞いたっぽい●●●ィ~(部長)と目が合う。
気まずい…。
「部長、ただいま戻りました。私用外出してしまいまして、すいませんでした」
「お、おかえりなさい」
お互い目を合わせられない。
私が生理を厄介に思うように、●●●ィ~も女性部下のこういう状況を厄介に思っているに違いない。
そして、吉熊上司も同様に。
子宮美人なんていう安易な褒め言葉になんかに惑わされてはいけない。
生理のバーカ!
早く、…明日にでも閉経したいよう!
残業しながら、そう強く願った。
痛い…。
これは初潮以来、一番の痛みかもしれない。
朝、駅から会社まで歩けないのでタクシーを使った。
仕事中、いくらナロンエースを飲んでも生理痛は増すばかり。
仕方がないので、夕方、吉熊上司に相談。
「俺から部長には伝えておくよ。早く病院行け」
彼はそう言ってくれた。
殿方から殿方に伝えるのはツラいと思う…生理による部下の私用外出について連絡するなんて…。
さて産婦人科。町医者である。
やはり生理痛が酷く、産婦人科というところには数回訪れたことがある。
しかし、その都度、内診を拒否してきた私。
6年前、他の産婦人科で痛い目にあって以来、内診恐怖症になってしまった。
しかし、気付けば私は29歳。
体にガタがきてもおかしくない年齢である。思いきって、この際、中まで診てもらうことにした。
医師はどうってことのない翁だし。
しかし、彼はなかなかの名医らしい。
そう言えば、社長の孫もここで産まれたんだっけ。
診察台に登る。
足をぐぁんと開く。
「見たまえ!ファハハハ~ッ!最高のショーだと思わんかね?(ムスカ風)」と言わんばかりにオープン!
「…そ、そんなに広げなくても大丈夫ですよ」
カーテン越しに、ナースにそう言われる。…少しばかり恥ずかしい。
「絶対に痛くしないでくださいね」
内診前に、できるだけ可愛く翁医師に微笑んでおいた。
可憐に小首を傾げて、少し上目使い…万事はこれでうまくいくのさ。
フフン。
…しかし、何度も言うが、来年、私は三十路に突入するのである。
…ブリッコの使用期限末日Xデーは近し。(いや、もう使用不可かもしれない)
今のうちに使えるものは使っておこう!自分。
ブリッコ作戦が功を奏したらしく、内診中、痛みは殆んど感じなかった。
エコーで初めて自分の子宮と卵巣を見た。
テレビの2チャンネルの砂嵐の様な白黒モニターに映し出される我が子宮、卵巣。
「いやー!綺麗ですよ、子宮も卵巣も。美人ですねぇ…美人。筋種も腫瘍もないですし。子宮美人!それに綺麗な卵巣だねぇ!若干水が溜っていますが、気にしなくても大丈夫ですよ。うん、美人!」
翁医師にそう言われた。
美人!
綺麗!
美人とか綺麗とかいう単語にめっぽう弱い私!
もっとその単語を聞きたい!
もっと言って!
もっと言って!
もっと言って!
つい調子に乗り、
「それ!その盛り上がってんの、何ですかっ?…いえ、その右の方の…それそれ」
「あ!その黒いの、なんかヤバくないですか?」
と、仕切りカーテンを自ら開け、翁医師と一緒にモニターを観ていた。
股間にエコー棒を挟まれながら…。
最後は触診。
お腹の力を抜くように力説されるが無理。
痛いって。マジで。
「他のこと考えていてください」
と途方もなく無理なことを言われる。
「そういえば、おたくの会社、こないだテレビに出ていましたよね?社長さんはお元気ですか?景気はどうですか?」
翁医師は、どうやら私の保険証に記載されている社名を見たらしい。
おそるべし、この濃度の高い地域密着感。
そのテレビ番組の話をしていたら、あっという間に触診終了。
結局、病気ではなかった。それが分かっただけでも安心した。
生理痛の原因は極度なまでの膣の細さらしい。
将来、難産は絶対に免れないとのこと。
自然分娩も無理かもしれないらしい。
…産む予定も欲望も全くないが。
関係ナイネ~♪
彼の話を総合的に考察してみた。
子宮は美人でも膣は不細工ということか。
コペルニクス的転回を用いて考えると
「…心は美人なのに、外見は不細工」
と同じことなんだろうか。
問題は鎮痛剤だった。
今、私が飲んでいる薬たち、ソラナックス、パキシル、マイスリー、パリエット、ストロカインとの相性を調べるのに時間がかかった。
さすが町医者。
ナース総出で薬辞典を引っ張り出して調べていた。
その結果、私はめでたく鎮痛剤ロキソニンをゲットできたんである。
生理痛にはロキソニンが一番よく効く♪
「ロキソ、かなりラヴです。愛しています」
と翁医師に告げたら笑われた。
大切に飲もうっと!
会社に帰る。
吉熊上司から事情を聞いたっぽい●●●ィ~(部長)と目が合う。
気まずい…。
「部長、ただいま戻りました。私用外出してしまいまして、すいませんでした」
「お、おかえりなさい」
お互い目を合わせられない。
私が生理を厄介に思うように、●●●ィ~も女性部下のこういう状況を厄介に思っているに違いない。
そして、吉熊上司も同様に。
子宮美人なんていう安易な褒め言葉になんかに惑わされてはいけない。
生理のバーカ!
早く、…明日にでも閉経したいよう!
残業しながら、そう強く願った。