晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

浅田次郎 『夕映え天使』

2020-11-25 | 日本人作家 あ
浅田次郎さんの作品はずいぶん読んでなかったなと思い当ブログで調べたら去年の12月に投稿していまして、膨大な量の本を読んでいてよく覚えていないというわけでなく、私生活のほうでバタバタしていてよく覚えていないんですね。
まあ今年の全世界のバタバタぶりを見ていると極東の島国の片隅に住む小市民のバタバタ程度なんてどうってことないですね。

と、マクロ的視点で語ってみたところで。

この作品は短編集です。

表題作「夕映え天使」
さびれた商店街で今も細々と営業を続ける中華料理屋に突然「住み込みで働かせてください」ときた女。それまで父親と息子でやっていた店内がぱあっと明るくなったようになりますが、一年前のある日、突然、女は消えます。正月休みでゴロゴロしているところに長野県警から電話が。警察署に行くと、謎の関西弁の男が「おたくとおんなし被害者や」と。これはどういうわけか・・・
「切符」
昭和の高度成長のころの東京、恵比寿に住む小学生の広志は祖父とふたり暮らし。上の階には八千代さんという女性が下宿しています。いよいよ東京でオリンピックが開催するという10月のとある日、八千代さんは引っ越すことになり・・・
「特別な一日」
60歳になり定年を迎えた中島。今日が最後の出勤日。かつて関係を持った部下や、社長になった同期と話をして、帰り道にガード下の飲み屋に寄ります。おかみさんと話をしているうちにいつもより酒の量が増え、そして家に帰ると妻が庭の手入れをしています。なぜなら・・・
「琥珀」
三陸の港町にある喫茶店。ここで15年前に喫茶店を開いた荒井敏男。無人駅を降りた米田勝巳。警察を定年する前に休暇の消化ということで小旅行。喫茶店に「あのう、すんまへん」と関西弁の男が入店します。荒井は左右を見渡します。捜査員が一人で行動するはずはない。米田は店主の顔をひと目見て確信します。この男は今年時効を迎える指名手配犯だと・・・
「丘の上の白い家」
横浜の郊外に住む高校生の小沢。高校には奨学金で通っています。奨学生はほかに清田という同級生がもうひとりいます。ある日、丘の上の白い家に住む少女と出会った小沢は、自分とは身分違いと思い、清田を紹介しますが・・・
「樹海の人」
自衛隊の訓練で、富士の樹海の奥に入っていって、あとは司令部からの無線連絡を待ちます。疲労と空腹で朦朧としていると、人影が。そういえば、ここは自殺の名所だった・・・

浅田次郎さんといえば、硬派な時代小説、ドタバタコメディ(悪漢小説もここに入りますかね)とありますが、この短編集は、ファンタジー要素のあるハートウォーミング系。

一文で説明するとすれば「やはり、面白い」に尽きます。

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