晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『パーフェクト・ブルー』

2010-09-11 | 日本人作家 ま
宮部みゆきの作品は、けっこう読んだつもりでいたのですが、
初期の作品や、そんなに馴染みのない出版社から出している場合
、見逃してるのがけっこうあるのです。

『パーフェクト・ブルー』は、初期も初期、作者の長編デビュー作
で、東京創元社というところから出版されています。
不勉強で申し訳ないのですが、存じ上げなかったです。

この作品の主人公は、引退した警察犬で、現在は探偵事務所に「籍」
を置く、マサという名前の犬。

犬が一人称で「俺」と語り手になっているのは、まあ小説の世界では
さほど珍しくはない(「吾輩は猫である」等)のですが、宮部みゆきの
クリエイティビティはほとばしってるなあと感心、なんと財布が主人公、
という作品もあったりします(「長い長い殺人」)。

東京湾を臨む工場で、警備員は火の手が上がっているのを発見、近くに
駆けつけてみると、それは、人間が燃えていたのです。

被害者は諸岡克彦、東京都内の高校野球の強豪校でエースピッチャー。
高校3年生、最後の夏の甲子園に向けて練習に励んでいた克彦が残忍
な殺され方をしたのはなぜか。

一方、蓮見探偵事務所は、ある人探しを依頼されていました。その少年
の名前は諸岡進也。克彦の弟で、兄とは違い野球はやらず、高校へも
行っておらず、知り合いのバーでアルバイトをさせてもらっています。
探偵事務所の加代子は進也を見つけ、家に連れ帰そうとします。

そしてその帰り、加代子と進也は工場で火災が起きているのを見たのです。
それは、克彦がガソリンをかけられて燃えていた姿だったのです。

ショッキングでセンセーショナルな事件に、報道も加熱。両親と進也は
家にとじこもることに。しかし進也は兄を殺した犯人をなにがなんでも
突き止めようと、探偵事務所の所長はじめ調査員とともに探しだそうと
した矢先、克彦のリトルリーグ時代の良きライバルだった少年が、じつは
この事件に絡んでいるとわかって、山瀬という男の家に行ってみると、
山瀬は書き置きを残し自殺していたのです・・・

このあと話は、じつは某企業が絡んでの隠蔽だの陰謀だのが出てきて、
進也や探偵事務所の人間が捕われたりするのですが、犬のマサがけっこうな
活躍をします。

活躍とはいっても、大人の人間顔負けの行動力かというとそうではなく、
そこはあくまで「犬」として描いていて、無理をさせていないところが
読んでいて安心しました。
というのも、たまに、子どもが主役の場合、明らかに周りの大人が子ども目線
に合わせて行動するような物語展開になってしまい、結果、主要登場人物が
みんな幼く思えてしまう、という作品も少なからずあるからです。


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