晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

パトリシア・コーンウェル 『検屍官』

2009-10-21 | 海外作家 カ
アメリカのサスペンスやミステリー小説などを好んで読んで
いると、よくパトリシア・コーンウェルという作家の名前が、後
ろの解説だったり他の本の紹介で出てくるのですが、そん
なわけで興味があり、彼女(女性のミステリー作家です)の
デビュー作である『検屍官』を読んでみました。

この作品はアメリカの主だったミステリー賞を受賞し、特に
MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞処女作賞を受賞、さらに
CWA(英国推理作家協会)賞の新人賞をダブル受賞とい
う華々しいデビューを飾りました。

アメリカ、ヴァージニア州の女性検屍局長ケイ・スカーペッタ
のもとに、夜中に電話がかかってきます。電話の相手は、
リッチモンド市警察の部長刑事ピート。市内ではここ最近た
てつづけに、独り暮らしの女性が部屋で殺される事件があり、
その特徴は、ベッドの上で縛られた状態で殺されているという
もの。
今夜の電話も新たな犠牲者が見つかり、現場に駆けつけたス
カーペッタは、縛られて殺された女性医師、ローリーの遺体
を現場にいる警察と調べ、通報者でローリーの夫、マットの
話を聞くことに。

遺体は検屍局に運ばれ、今までの一連の事件と比較して、共
通点は、なにかキラキラと光る物質が体に付着していたこと、そ
して今回の事件では凶器となった、寝室にあった夫のナイフに
キラキラが付着しており、ピートは夫を怪しみます。

警察や検屍局といった男性社会の中に生きるスカーペッタにとっ
て、周りは自分に対して蔑視している観念を常に抱き、ピートの
意見を認めず、真犯人はほかにいるとみます。

犯人のめぼしが全くつかないままのある日、検屍局のスカーペ
ッタのコンピュータに何者かの外部アクセスがあり、どうやら
一連の女性殺害事件の情報を見ていたことがわかり、さらに、
警察と検察、そして検屍局以外は部外秘のこの被害者に関す
る情報が新聞記事に載っていたのです。

そして、とうとう五件目の事件が起こってしまうのです。
被害者は、ふだんから検察や警察にとって目の上のたんこぶ
の新聞記者アビー・ターンブルの妹で…

はたしてこの事件は同一犯の犯行なのか、そして、真犯人は
どこのだれなのか。
五件目のアビーの妹が殺害されて、アビーから意外な真実を
教えてもらい、スカーペッタとピートは別な、意外な人物を犯人
と思うのですが、その男はリッチモンド市から消えてしまい…

最後は「あれ?」という結末。まさかあの人が犯人だったのか!
みたいなことはありませんでしたが、事件を究明していく話の運
びはこれこそサスペンス、という感じで、読み進むにつれて脈拍
が早くなってゆくのがわかります。

スカーペッタと同居している姪の女の子が、陰鬱な話のなかに
サイドストーリーとして、決して本筋の邪魔にならない加減で
添えられており、ほかにも脇役ながら印象深い個性的なキャラ
クターが多く、「久しぶりに見た名勝負」のようなミステリーに
仕上がっています。

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