晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『男振』

2019-11-05 | 日本人作家 あ
今年に入って当ブログに投稿したのがまだ十数回、
一か月にせいぜい一回か二回しか投稿してないと
いう惨憺たる有様、これでよく書評ブログだなぞ
と名乗れるなと、まあ言われる前に手前でも十分
わかっておりますです。

そこで今年も残すところ二か月、せめて週に一回
は投稿したいな・・・努力目標です。

さて、この作品は未読です。いきなり読み終わって
の感想ですが、きっとまたすぐに読み返すでしょう。
一回読んだだけじゃ理解できなかったわけじゃあり
ません。感動したからです。

越後・筒井藩の江戸藩邸に(堀源太郎)という少年
がいます。彼は国許である越後で生まれ、幼いころ
から文武の秀才で、江戸に住む嗣子(殿さまの後継)
のご学友に選ばれます。

ところが源太郎、十七歳のある日、なんと髪の毛が
(ぼとぼとと・・・)抜け落ちてしまうのです。

そしてとうとう事件が起きます。藩主の長男、千代
之助がちょっとしたことから源太郎の「頭」のこと
をからかい、これに激怒した源太郎、千代之助の顔
を何発もぶん殴ります。

これは「子ども同士の悪戯で・・・」なんてレベル
の話ではありません。源太郎は屋敷内の(牢屋)に
監禁されてしまいます。

自分はこのまま切腹して短い人生を終えるのか・・・
こんな頭で今後生きていくのも辛かろうしそれもい
いか、などと諦めの境地にいたのですが、いつまで
たっても(切腹の沙汰)が下されません。

そしてまたもや事件が。牢屋から出された源太郎、
いよいよ切腹かと思いきや、目の前には江戸家老が
います。処刑の立会人に家老クラスはおかしいと訝
しんでいると、家老が「堀源太郎は死んだ。お前は
今日から(杉本小太郎)じゃ」といって、裏門から
外に出されたのです・・・

源太郎あらため小太郎は、原田小平太という若い藩
士といっしょに国許である越後に向かうことに。
ところがその道中、数人に後をつけられていたこと
がわかります。
なんだかんだで越後に着いた小太郎に、ここでもま
た奇妙なことを言いつけられます。

それは「杉本小太郎は、筒井藩士・堀源右衛門の養
子となるのじゃ」というのです。堀源右衛門とは、
源太郎の国許の父親のこと。これは一体・・・?

江戸に戻ることになる源太郎と小平太。というのも、
源太郎を殺害しようとする(刺客)が江戸から送り
こまれたというのです。これは、殿さまの嗣子であ
る千代之助を殴ったことで激怒していた千代之助の
実母はまだ源太郎のことを許していなかったのか。

千代之助の実母というのは、将軍の妹にあたり、ま
あ越後の小大名クラスなど(なんぼのもんじゃい)
といった態度で、藩内でも(ご権勢)を振るわれて
います。

ここで最悪のニュースが。なんと筒井藩主のご長男
千代之助が亡くなったのです・・・
ここから話は御家騒動に発展。はたして堀源太郎の
出自とは、彼の運命は・・・

この源太郎には(いちおう)モデルの人物がいるそ
うなのですが、作者の池波さんは「それを明かすと
興ざめ」とのこと。

読み終えて、なぜこんな素晴らしい作品が映像化さ
れていないのだろうと考えました。そして、すぐに
「あ、こりゃ映像化は難しいな」と思いました。
ぶっちゃけ映像化しても、監督がよほど独自の演出
を加えでもしない限りはさほど面白くはならないか
な、と。ただそうなっちゃうと別の作品になってし
まいます。
ですが、この読み終わった後のなんともいえない心
が気持ち良くなった感覚というのは、もっと知られ
て欲しい!
つまり「読んで欲しい」ということですね。

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