晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『平成お徒歩日記』

2011-01-26 | 日本人作家 ま
この作品は、小説新潮誌上で連載していた企画で、よく時代小説
などで、「同心の誰それの使いで、向島から八丁堀まで出かけ云々」
という登場人物の「移動」は、じっさい当時の人の足でどのくらい
かかったのか、昼前に出立して夕方までに目的地に着けたのか、
など、当然、江戸時代は都バスもタクシーも電車もありませんし、
自転車だってありません。
そこで、古地図を片手に歩いてみよう、という酔狂な企画。

まずは、ご存知「忠臣蔵」で、浪士が吉良邸で討ち入りを果たし、
そこから泉岳寺まで歩いていった道程を歩いてみようというもの。
夜中に討ち入りし、すべてが終わったのがおそらく明け方前。
そこから、武士のフル装備を着こんで、泉岳寺まで、しかも
討ち入りとはいえ、殺し合いの実戦を終えて疲労困憊のなか、
ほうほうの体。
このような状況で、今でいうところのJR両国駅から品川駅まで
の距離を歩いたというのですから、たまったもんじゃありません。

そしてお次は、これもよく目や耳にする「市中引廻しの上、獄門」
のコースを辿ってみようというもの。
当時の「拘置所」にあたるのが、小伝馬町にあった「牢屋敷」で、
ここから、死罪の場合は、鈴ヶ森か小塚原まで歩かされるわけです。
しかし、もう一種類、これは江戸城のまわりをぐるりと一周して、
ふたたび牢屋敷にもどるというもの。
当時の警察組織、いわゆる「奉行」は、拘置所内でも処刑は行ってた
んですね。

そのほかにも、箱根旧街道を歩いてみたり、流罪でおなじみの八丈島
へ行ってみたり、宮部みゆきさんのホームタウンである本所深川近辺
を歩いたり、「お伊勢参り」をしてみたり、といったところ。

新興住宅地では無理ですが、江戸時代から名前が残っている街や街道を
じっさいに歩いてみて(飛脚や町娘のコスプレをすれば最高?)、当時
の人々に思いをはせるというのもまた一興ですね。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (こに)
2011-01-27 09:49:00
昨年春、東京へ行った時、これをガイドブックがわりに持って行きました
(今より)若かった宮部さん
お元気ですよね!
返信する
Unknown (ロビタ)
2011-02-21 17:13:25
こにさん>

これは面白かったです!
江戸時代の町人コスプレでもして、
真似したい!
返信する

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