晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

垣根 涼介 『午前三時のルースター』

2011-01-23 | 日本人作家 か
前に、垣根涼介の「ワイルド・ソウル」という作品を読んだとき
の感想が
<<スケール感に圧倒されっぱなし。読み終わってからしばらく、
興奮冷めやらぬといった状態でした。こんなに心震えた日本の
アクション&ミステリー作品は、服部真澄の初期作品か、真保裕一
「ホワイトアウト」を読んで以来>>
というもので、この作家の作品は片っ端から読みたい!という衝動
に久しぶりにかられてしまい、サントリーミステリー大賞を受賞した
デビュー作を読むことに。

旅行代理店勤務の長瀬は、ある日、お得意先の宝石会社社長から、
ある「奇妙」なツアーの同行を依頼されます。
それは、この社長の孫の父親、社長にとってはひとり娘の夫、
つまり義理の息子が、宝石会社勤務の仕事でベトナムに出張中に
行方不明になってしまい、現地で襲われた形跡があったものの、
捜査は打ち切られてしまったのです。
しかし、社長の孫は、父親とおぼしき男が映像に映り込んでいた
テレビ番組をたまたま見て、父はまだ生きていると確信。
ところが、社長のほうは、とっくに義理の息子の生存は諦めて、
娘に再婚をさせようと動いていたのです。

社長は、孫に父親の生存を自分の目で確かめて、諦めさせようと
じっさいに現地まで行くことを許可し、しかしまだ高校生の一人旅は
危険ということで、長瀬に同行してもらおうということだったのです。

さっそく長瀬は、社長の孫の慎一郎に会い、長瀬は旧友で映像関係に
詳しい源内の紹介で、このテレビの制作担当と会うことに。

しかし、テレビの制作は、おかしなことを告げます。この市場で
慎一郎の父とおぼしき男が屋台で魚を売っている市場を撮影して
いると、危険な目に遭いそうになったのです。

源内はこれを聞いて、興味を持ったのか、ベトナムまでいっしょに
行くと言い出し、3人はホーチミン市に到着。

信頼のおけそうなタクシー運転手、通訳として、現地の売春婦を雇い、
さっそく父のいたとされる市場へと向かったのですが・・・

彼らの行く手には、さまざまな妨害が待ち受けていたのです。
はたして、その妨害の相手とは?なぜ彼らは狙われなければならない
のか?彼らが知られたくないものとは、そして父の行方は・・・

ぶっちゃけると、アクションミステリーが好きな方は、ああ、この後は
こういう展開になるんだろうな、と思った通りだったのですが、しかし
それにしても、面白い。背景や人物の描写は素晴らしく、展開も、ここは
スピーディーに、ここはじっくりと読ませる、といたペース配分も
しっかりとしています。
そして、なんといっても特筆すべきは、プロローグ。本編の足がかり
というか、期待の持たせ方が、カンペキ。

ぜひとも、翻訳されて海外に紹介してほしいですね。


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