晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

パトリシア・コーンウェル 『死体農場』

2010-09-20 | 海外作家 カ
タイトルが『死体農場』とは、のっけから恐ろしいですが、
これは、アメリカに実在する研究施設のことで、遺体の腐敗
の進行具合などを調べ、それまであいまいだった死亡時刻を
より詳しくわかるために作られたもの。

森林のなかに、あらゆる状況下で死体が置かれていて、想像
するに「ウッ」となりそうですが、より科学的に「推定」の
域でしかなかった死亡時刻に迫れる、ということで、これは
死者(被害者)に対する、つまりは生きている人にとっての
人権を守るものだ、と文中とあとがきでは説明されています。

バージニア州検屍局長のケイ・スカーぺッタと、リッチモンド市警
の警部ピート・マリーノのコンビが難事件を解決していくシリーズ
の5作目。
前作「真犯人」で、少年殺害の犯人の正体がようやくわかったものの、
すんでのところで犯人を取り逃がし、そして今度は、リッチモンドでは
なく、ノースカロライナの田舎町で、11歳の女の子が殺害されます。
その手口から、少年殺害の容疑者であるゴールトの犯行だとピートは
思うのですが、周りはまだ断定はできないと慎重。

ケイは、FBI科学アカデミーの相談役として、この事件の捜査に加わる
ことに。11歳の女の子エミリーは、教会からの帰り道、何者かに尾けられ、
その何者かが夜、家に侵入、エミリーの母親(父親は病死)を縛り、そして
エミリーを連れ去り、その後、家近くの湖で発見されます。

エミリーの遺体の肩、内腿の肉が切り取られていたことから、リッチモンド
で起きた少年殺害事件の犯行と酷似、ゴールトが小さな田舎町に潜伏している
と大騒ぎになります。

そんな中、この事件の捜査にあたっていた州捜査局の男が、自宅で死んでいる
ところを発見されます。
そして、この局員の家の冷凍庫から、エミリーの切り取った肉片が見つかり・・・

さらに、ケイを悩ます出来事が。大学に通う姪のルーシーはコンピュータの天才
で、FBIの新しいシステム開発の協力を頼まれて、アカデミーの特別なエリア
で働いていたのですが、そのルーシーが、深夜にエリアに侵入、プログラムを
盗んだという疑いが・・・

この作品から読み始めたという人には、あまりに登場人物の相関がごちゃごちゃ
になって、把握できないのでは、というくらい入り組んでます。
ケイに新しい恋の予感があると、ピートは不機嫌になり、ルーシーは前から少し
難しい子ではあったけど、さらに分からなくなって、ルーシーの母(ケイの妹)は
相変わらず無責任、この「内輪揉め」のようなトラブルが、のちにエミリー殺害
事件の解決のきっかけになったというか、複雑化してしまったというか。

5作目と6作目が、前後編のような構成になっているようで、それだったら多少
長くても上下巻とすればよかったのに、と思ったのですが、また次の作品では
また違ったゴタゴタが起こってしまうのでしょうね。
あまり複雑にならないことを願います。

コメント
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