晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジェフリー・ディーヴァー 『エンプティー・チェア』

2010-09-07 | 海外作家 タ
『エンプティー・チェア』は、元ニューヨーク市警の科学捜査部長で、
ある事故が原因で四肢麻痺となり、首から上と片手の一本の指のみが
かろうじて動く、といった状態のリンカーン・ライムと、ニューヨーク
市警の警部でリンカーンの助手の女性、アメリア・サックスのコンビ
が活躍するシリーズの第3作目の作品。

第1作「ボーン・コレクター」の、ニューヨークの連続殺人犯、そして
2作目「コフィン・ダンサー」の、ライムも怖れるほどのプロの殺し屋、
暗殺請負人との対決が手に汗握るスリリングな話で面白かったのですが、
今回は、小さな田舎町で起きた謎の事件を解き明かすという、ちょっと
それまでとは違って、かなり複雑に入り組んでいます。

さらに、前作で恋愛関係に発展したライムとサックス。
ニューヨークから舞台をノースカロライナ州の小さな町に移したのは、
ライムはかすかな希望をたよりに、ノースカロライナにある、脊椎損傷の
手術に定評のある病院で、手術を受けようとやってくるのです。

そこに、ライムの知り合いのニューヨーク市警の「いとこ」というジム・ベル
保安官が訪ねてきます。かねてよりライムの鑑識能力の高さを聞いていたジムは、
自分の管轄する郡の小さな町で起きた事件の解決に、ライムに手を貸してもらい
にお願いにきたのです。

サックスは乗り気ですが、自分の慣れない場所や違う環境での捜査はやりにくく、
それが大きな失敗につながるおそれもあると危惧するライム。

しかし、なんだかんだで捜査に協力することになります。
ある日、大学院生の女性、メアリー・べスが誘拐されます。その現場の傍らには
シャベルで殴られた男の死体が。そして、すでに死亡したとみられるメアリーに
花束を誘拐現場に供えようとした地元の病院に勤務する看護婦、リディアも警察
の見ていない隙に何者かに連れ去られます。
リディアは男に、どこに連れてゆくのか聞きます。すると男は「メアリー・べスの
ところだ」と答えます。

じつは、この事件の犯人は、問題ばかり起こしている16歳の少年、ギャレット
の犯行だと警察は判断していたのです。
数少ない手がかりから、町の北を流れるパケノーク川のさらに北に広がる森の中
へと捜査の手は進み、ようやく、リディアとギャレットが見つかります。
しかし、ギャレットはメアリー・べスを監禁している場所をしゃべろうとしない
ばかりか、自分は悪いやつから彼女を守っていると主張するのです。

そこでライムの神がかり的な鑑識力と洞察力と推理力で、メアリー・べスの監禁
場所を探し出します。
メアリーはようやく見つかりましたが、監禁されていたときにギャレットとは違う
二人組の男に乱暴されかかったとメアリー・べスは言うのです。

メアリー・べスを誘拐するときに男を殺した容疑に関してはギャレットは否認。
殴ったのは事実だけれども、殺してはいない、と。
話を聞いていたサックスは、幼い頃に両親を事故で失い、その後里親
家族を転々とし、問題を起こしてはいたものの、何よりも昆虫に対して愛情を
そそぐギャレットは、この事件の犯人ではないと思い、拘置所からギャレットを
脱走させてしまうのです・・・

ここから、事態はとんでもない方向へと進みます。一難去ってまた一難かと
思いきや、二難、三難というぐあいにライムとサックスは窮地に立たされ、
ふう、ようやく解決、かと思ったら、ものすごい展開に驚かされます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする