晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『とり残されて』

2010-09-26 | 日本人作家 ま
「読書の秋」とはよくいったもので、夏場は読むのが億劫だった
のですが、涼しくなってから、読むスピードが速くなり、普段あまり
読まない(どちらかというと読まずぎらいで敬遠してきた)作家の
作品でも読んでみようかな、なんて気になったりします。

宮部みゆきの作品に関しては、当ブログで多分一番多く投稿している
のでは、というくらいたくさん読んでいて、それでもまだ未読の作品
が多く、『とり残されて』もけっこう初期のほうの作品なのですが、
ようやく購入。

短編集です。すべての作品が、どこかホラーチックというか、といっても
恐怖というわけではなく、表題「とり残されて」では、小学校の保健の先生
がある日校舎内で、見たことのない校章をつけた子どもを見かけ、その
子どもの後をついてゆくと、そこに女性の死体が・・・といった具合ですが、
そもそも作者が読者に「怖がらせてやろう」といった仕掛けというか構成に
はなっていません。

その他、原因不明の病気で腕が上がらなくなったプロ野球選手が、ある幽霊
と出会う話、電車内で隣り合わせた女性旅行者の幽霊話を聞くはめになった
会社社長の話、お金が自分に囁いてくる話、女の幽霊が乗り移ってしまった
男の話、などなど。

幽霊が出てこない話としては、友人4人でドライブ中、谷底に転落、唯一
現場から発見されず行方不明の兄を探すため、山奥の村を訪れた女性の話
があって、これはちょっと怖かったですね。なんというか、生の人間の恐怖
というか。

そして、解説で絶賛の「たった一人」という作品。ちょっと不思議な話。
個人運営の調査会社にひとりの女性が訪れます。その女性の依頼内容は、
毎日見る夢に出てくる場所を探し出してほしい、というもの。
そして、この夢を見ると決まって具合が悪くなるのです。
とりあえず調査員は、その夢の情景を絵にしてくれと言い、女は寝起きに
夢で見た覚えている箇所を書き出していくうちに、体の容態は良くなるの
ですが、さらに詳細な夢の段階に入ると、また具合が悪くなります。
この夢で見た、空色の車の話をすると、調査員の顔色が変わり・・・

そして物語の終盤、なにが現実でなにが夢なのかが分からなくなり、読んでる
方も軽いパニックというか、不思議な世界に引き込まれます。

そういえば、スティーヴン・キングを「小説の師匠」と公言されている
宮部みゆきの書く、身の毛もよだつようなホラー小説、というものを
読んでみたいものです。あるのかな。
コメント
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