rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

手段が目的になる時

2008-05-25 18:02:47 | 政治
ブログを書くときにはいろいろな情報にあたって、inspireされながら書く事が多いのですが、その中に他の方のブログが参考になることも沢山あります。「無党派日本人の本音」様のブログもその一つです。80台のご高齢の方と思えないコンピュータの使いようで、立派なブログを書いておられますが、その内容も実に正論、正鵠を射るという内容で素晴らしいと思います。

その無党派様のブログで、昨今のファンドの先物取引への関与による原材料、燃料、食料品の値上がり。実態経済に基づかない株取引による株価操作による利潤追求は、本来の先物取引の存在意義や健全な資本主義の発達に資する株取引のあり方から外れているので何らかの規制が必要である旨述べておられます。
(http://blog.goo.ne.jp/mutouha80s/e/eaacf18a5b2c0022e971f7c6cb6fb819)

上記の件は先物取引や株という手段を本来の目的以外の「単なる金儲け」のために誤用している例と言えますが、そもそも「金を儲けること」の目的は「幸福になる」ための「手段」なのですから、金儲け事態が目的になり、金儲けした結果社会が不幸になったのでは何の意味もないことになります。

同様に政府や国家の存在もそこで生活する国民が「幸福」になるための手段にすぎないのですから、「政府や国家の存続」のために「国民が不幸」になるようなことがあればそれは本末転倒、手段が目的になっていると言えます。

様々な歴史の教訓から現在は「民主主義」が最も優れた政治形態ということになっていますが、真に国民が幸福であるならば独裁国家でも哲人政治でも手段としては構わないと思います。もっとも、アジアの近隣諸国の実態を見るとやはり民主主義が良いと思わざるを得ませんが。昨日の話題の大きな政府(重税)か小さな政府(税金を軽く)かの議論も、国民が幸福になるのであれば手段としての重税は必ずしも悪でないと結論づけました。

経済体制も「資本主義経済」「共産主義経済」を考えた時、どちらが絶対的に正しいというものではなく、経済体制は「手段」なのですから、人々が幸福になるという目的を達するものであれば「良い体制」であると言えましょう。

ここで100人の人が1円ずつ持ち、合計100円の経済圏を作っているとします。共産主義では個人の財産を認めませんから、売り買いをしても、最終的には皆が1円ずつになるように調整されてしまいます。人間には「欲」があり、「人より良くなりたい」と考えること自体を否定する事はできません。どんなに頑張っても常に1円ずつの所有が変わらないのであれば頑張ろうというインセンチブが失われて経済が活性化せず、社会も発展しません。結果として共産主義体制は20世紀の終わりに否定されました。

ではいくらでも儲けて他人に差をつけても良いとして、最終的に一人が100円持って、残り99人が一円も持たない結果になったらどうでしょう。これも回るべき金が無くなって経済社会が成り立たなくなってしまいます。現実の経済は経済規模が拡大して合計が100円から150円になり、富が集中しても残りの人が0円になることはないのでしょうが、結局一部の金持ちと多数の貧者を作るというのは経済の停滞を招く「誤った資本主義」であると結論づけて良いでしょう。要はほどほどにデコボコのある中間層が豊かな経済というのが社会全体を幸せにする「目的」に適う最も進んだ優れた経済「手段」であるという結論です。

日本や北欧などの欧州諸国はこの中間層重視の経済を目指して「いた」といえるでしょうし、アメリカ、中国、ロシアなどは富の一極集中を是としています。私は富の一極集中というのは、結局「社会」も使い切れない程金を持っている「本人達」も幸福にはしないだろうと考えます。それは経済が本来の「目的」を達成できない未熟な経済である証拠であり、自分たちが考えるほど良い社会ではないと早く気付くべきでしょう。一獲千金の夢がある活力ある社会と言えるかも知れませんが、犯罪率の高さや社会不安から来るドラッグや神経症の蔓延などを見る時、「社会・文化の成熟」、「国民全体の自覚的幸福度」の視点を考えると「富の集中を是とする社会は誤りである」と言うべきではないかと思います。

共産主義経済も極端な資本主義経済も共に国家を持たない「ユダヤ人」の思想であることが興味深いと思います。日本人には寄るべき「日本という国」があるのですから、国家を持たない人達の思想に傾倒する必要などないのです。
コメント
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