rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

欺瞞の強制と分断(ジャニーズ問題と同根の社会)

2023-09-23 16:19:14 | 社会

虚偽や良心に反する事態を知りながら、あえて知らない事にする「欺瞞」は実社会においてある程度は「大人の対応」として認められると思います。すべてを綺麗事で通す事はかえって社会を混乱させます。しかし、明らかな「犯罪の隠蔽」や「多くの人が苦しむ」事が分かっていながら虚偽を通す、あるいは欺瞞を人に強制する事は「悪」であり「大人の対応」などではありません。

芸能界における枕営業(これはハリウッドを含む世界中であった)や、今回のジャニーズのペドフィリア問題は、昔からある程度認識されていたものの「大人の対応」として「問題化しない」事になっていました。本音では「良くないだろう」とずっと思っていたけど、「大人の対応」で黙殺していた事が一度「大いに批判すべし」という具合に「戒め」が解かれると、社会は一斉に非難の嵐が起こります。それどころか避難の嵐に同調しない者を「悪を許すのか?」と逆に批難し、「今まで大人の対応を取ってきた集団」の分断化さえ起こります。今回のジャニーズ問題はそれが顕著に表れている様に見えます。今まで本ブログではメディア批判を多く取り上げてきましたが、この「欺瞞の強制と分断」は現在の全ての社会問題について、メディアが抱える宿痾であると思います。

言論と表現の自由について発信するOmanのヤヒヤアル・ラービ氏の言語的、非言語的欺瞞に関するまとめによると、「欺瞞」とは故意に情報を操作して完全な事実でないもの(半事実を含む)を他人に信じ込ませる行為とされます。そして「欺瞞」には5つの形式があるとされます。

 

  • 嘘 明らかに事実でない情報を与えて騙す。
  • 隠蔽 都合の悪い情報を隠匿する。
  • 改ざん 都合の悪い情報の中身を、問題の矮小化、あるいは良好な内容に変える。フィクション化。
  • 誇張 主張したい内容を必要以上に強調する。「話を盛る」
  • 曖昧化 都合の悪い内容を明確にせずごまかす。真実が苦痛でしかも虚偽作成ができない場合。

 

氏は対人欺瞞理論(Interpersonal deception theory : IDT)として、言葉(verbal)による伝達での欺瞞の見分け方と、態度(non-verbal)による伝達における欺瞞の見分け方について論じていますが、ここではメディアについて言葉による伝達の場合の欺瞞を象徴する表現例を示します。

 

  • 非直接的あるいは非合理性: 欺瞞を試みる者は部分的に関連する情報を提供するが、合理性に欠ける内容である場合。注意深く検討すると突っ込みどころ満載の記事が相当します。(Burgoon、Buller、Guerrero、Afifi、&Feldman.、1996)。

 

  • 明確さの欠如: この方法では、欺瞞を試みる者はわざと不明瞭で曖昧な言葉を使用して、複数の解釈が可能になるようにします。情報は受信者にとって明確さを欠いています(Burgoon et al., 1996)。

 

  • 非個人的(非個人化): この方法では、欺瞞を試みる者は、表現内容に個人の主張ではなく、まるで一般論であるかの様な回避的なマナーを使用します。そうすることで、個人の主張としての責任を回避します。(Burgoon et al.、1996)。

 

このような議論を踏まえて、以下に最近のメディアの欺瞞性を検証してみます。

 

1) NHKの反省文

9月7日にジャニーズ事務所の記者会見を受けて、今まで問題をあえて見過ごしてきたNHKは社としてのコメントを発表しました。その中で「多くの未成年者が被害にあう中で、メディアとしての役割を十分に果たしていなかったと自省しています。より深く真実に迫ろうとする姿勢を改めて徹底し、取材や番組制作に取り組んでまいります。」と明確に記していますが、メディアとしての役割、つまり「市民の目として権力や悪の真実に迫る姿勢を徹底する」というのはかなりハードルが高い事を述べたものだと感心します。こう宣言したからには、米国でも有力者が多く関わっていたために深く追求されなかったジェフリー・エプスタイン事件について、特番を組んでより深く真実に迫ってほしいものです。

BBCの2020年の記事から たまたま現在のジャニーズの記事紹介も隣に

 

2)「支援疲れ」という曖昧表現

9月23日の東京新聞国際面には、国連総会に出席し、米国首脳や議会に直接支援を求めたものの、良い結果を得られなかったウクライナ・ゼレンスキー大統領の記事が載っていました。2022年2月以降米国は6兆3500億円にものぼる米国民の血税をロシアとの代理戦争であるこの戦争につぎ込んだにも関わらず、ウクライナ兵40万人を失い、勝利の兆しも見えないこの出鱈目な戦争に、正気な米国民から「もう止めよ」という声が上がるのは当然であるのに、まるで自然災害へのボランティア活動を続けているような「支援疲れ」といいう表現は何を意図した「欺瞞」なのでしょうか。ウクライナに不利な表現をすると「ロシアの味方」と非難されることをガタガタ震えながら恐れ、「若者と市民が犠牲になる戦争を一刻も早く止めよ」という正論さえ封じる東京新聞の記者たちに忸怩たる思いはないのでしょうか。

 

3)温暖化欺瞞にも利用される「ナッジ」「ナラティブ」

 

前回のブログでも紹介した様に、心理学を応用した行動経済学的手法が、メディアの欺瞞に多用されています。「最近の異常気象は地球温暖化が原因」「温暖化の原因は二酸化炭素の増加」「二酸化炭素増加は人類の経済活動」「SDGsが地球を救う」は全て真実として報じられていますが、これもナラティブを活用した欺瞞、サイエンスを「SDGsという新たな経済活動を行うため」民衆を従わせる手段に用いているに過ぎません。宝島社新書 地球温暖化「CO2犯人説」の大嘘 2023年刊、 は日本の著名な科学者8名の共著による金儲けや補助金獲得にとらわれない立場からのSDGsの虚妄を暴いた好著です。温暖化に疑問を抱く様な検索をかけると、SDGs推進派の論客たちのサイトに誘導されて、あたかも温暖化に疑問を抱く事が科学的に否定されているような一見科学的な記事に行き当たりますが、彼らの特徴は地球の温度変化をせいぜい1000年以内でしか説明していない事、2010年以降の温度変化停滞は無視していること、平均気温の測定法の曖昧さは無視していることなど多くの都合がよいナラティブに偏っている事が指摘されます。彼らは世の中の論文の97%は温暖化二酸化炭素原因説を前提にしていると豪語しますが、コロナワクチンの副作用論文が採択されるにはワクチンの必要性に触れないとレビュアーと編集者にrejectされるという現実と同じで、そうしないと論文が載らないからそうしているだけ、注意深く読むと原因は別にあることが指摘されていたりする事は敢えて避けています。東京工業大学名誉教授の丸山茂徳氏によると、昨今の異常気象は北極の偏西風の蛇行によるもので、降水量の増減も周期的なものと説明されます。二酸化炭素よりも化学的環境汚染の方がはるかに問題が大きいと警鐘を発しています。

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ナッジかナラティブか

2023-09-14 13:46:55 | 社会

本人が気付かないうちにある一定の方向に思考や行動を仕向けることが出来れば、大衆をコントロールしやすくなります。知らず知らずのうちに、現代は行動心理学などを駆使したそのような術に溢れていると言えそうです。社会の混乱や争いを少なくするという面では必ずしもそういった技術は「悪」とは言えませんが、権力者が大衆を容易にコントロールする手段として用いているならばそれは忌むべき物であり、我々はその巧妙な詐術を見抜く必要があります。そのような技術の例を備忘録的に記しておきます。

 

I.  ナッジ

ナッジの基本的考え方とナッジ(内発的動機付け)を実際の行動や経済活動に結び付ける構造設計

 

ナッジ(nudge)とはシカゴ大学リチャード・セイラー教授が提唱した行動理論で、「ある行動をそっと促す」ことによって、強制を伴うことなくある行動を自ら行うようにする技術を言います。例えばスーパーのレジに並ぶ間隔を図示するだけで、social distanceと整列の両方の目的を達成できることが実証されています。

身近なナッジの例(悪いことではないですが)

 

1) ナッジには以下の6つの要素があると説明されています。

(1)インセンティブ  行動をするメリットを与える(ポイントを付与するとか)

(2)マッピングの明確化  行動(選択)の結果を理解しやすくする

(3)デフォルトの設定  初めから決まった形を提示すると抵抗がなく受け入れやすい

(4)フィードバックの付与  「良いね」や「閲覧数」の様に結果を「見える化」して受け入れやすくする

(5)エラーの回避   フェイルセーフやフールプルーフで考えなくても間違いを防ぐことでの安易化

(6)選択の簡略化  値段毎のコース料理メニューの様な「お勧め」を提示する(サブスクの手法)

 

2) ナッジを応用した「行動経済学」では「ヒトは理論でなく感情で動く」を前提に以下の様なテクニックが紹介されています。

(1)コミットさせる プロモーションの段階で「参加」を促す(アンケート記入とか)

(2)現状維持バイアス活用   お試し期間の設定でそのまま購入に持ち込む

(3)選択的意思決定  自分で選択したものは正しいと思いたい心理による(ナラティブの手法)

(4)後悔回避  これが最後のチャンス(閉店セールとか)などと売り込む

(5)松竹梅 選択肢を2つから3つにすることで、本当に売りたい商品を選ぶ人が増える(梅が一番だが、松はみすぼらしいから竹を選ぶ人が増えて、結果梅も増える心理)

(6)アンカーリング 高い商品をはじめに多く見せてから値引き品を見せると売れる

(7)気質効果 失敗の言い訳をこちらから用意して提示すると容易に受け入れる

(8)フレーミング効果 同じ内容も提示の仕方で受け入れが異なる

(9)権威への服従効果  いわずもがなの大衆の安心感取得の方法

(10)繰り返し(ザイオンス)効果 視聴する回数が増えるほど違和感がなくなる(嘘も百回聞くと本物に)

(11)返報性原理 おまけを付ける事で恩義を感じさせる

 

これらは日常的に使われている手法で、つい「いらないものを買ってしまう」「余分に買ってしまう」行動につながっている様に見えますし、ある意味「ナッジの悪用」とも言えます。

 

3) コロナワクチン施行に用いられた「ナッジ」の例

 

人類どころか、生物全体において使ったことも成功した例もない「正常細胞への遺伝子導入」によるワクチンを全人類に実施するにあたって、政府権力者側はこの「ナッジ」をフル活用して臨んだと言えそうです。例えば、ワクチンパスポートや旅行支援の条件に入れる(インセンティブ、マッピング、フィードバック)。職場接種やワクチンセンターの設置(デフォルト化、エラー回避)。家族や皆のための接種と強調(コミットや現状維持)。感染予防に失敗しても重症化予防と言い換え(選択的意思決定、気質効果)。無料期間の明示(後悔回避)。新しいワクチンの抗体増加程度が対数目盛である(フレーミング効果)などなど多数。

 

4) 疑惑の多い事象にわざと虚報を流して全体を虚報にみせる

 

危険な山道に登山者が入り込まない様に、導入口にわざと土砂崩れを起こしておくと、その先全体も危険だろうと判断して入らなくなります。これもナッジの応用と言えるでしょう。同じ手法で、疑惑だらけの事象の分析にわざと虚報を混ぜて「虚報である」とファクトチェックで証明することで、疑惑全体を虚報だと思わせる手法もよく見かけます。最近ではマウイ島の火災で市街地の消失具合が異常である疑惑に対して、空からのレーザービーム照射の偽写真をSNSで拡散させて、大手メディアがそれを虚報であると証明、大きく報ずることで公式発表以外を陰謀論であると印象付けようとした例があります。

BBC、NHKゴールデンのニュースでも異様に強調された「フェイクに注意」の映像(目的があってわざとフェイクを流したか)

 

II.  ナラティブ

 

医療において、エビデンスに基づいて治療方針を一方的に説明し、説得するよりも、患者さん側の気持ちや立場に立って一緒に治療方針を決める方が治療意欲や方針の受け入れが良くなる事は当然です。自分で選択して決めた事項であれば、結果が悪くても納得がゆきます。正解を押し付けるパターナリズムよりも、患者も治療方針決定に参画する医療が望ましいことに異論はありません。特に高齢者が増加する先進諸国においては、60歳までの1回目の人生に生きる人を対象とした「行きの医療」と、還暦を過ぎて2度目の人生を終焉に向かって生きる人を対象とした「還りの医療」で「違いを設ける」をつける事は当然と考えます。これはnarrative based medicine(NBM)の望ましい例と思いますが、ナッジと同様いかにも患者さんが自ら選んだ様に仕向けて、医療者が望む治療を行い、結果がどうであっても「患者が納得してしまう高等技術」としてNBMが使われる例もあります。

ナラティブの基本的考え方と医療における応用

 

医療のみでなく、最近のブログで取り上げている様に、温暖化問題やウクライナ戦争、差別撤廃における「ポリコレ」の強制にも断片的事実を並べてもっともらしいストーリーを作って規定の真実とするナラティブの手法が使われていると感じます。多くの批判、検証を経て確立した客観的なエビデンスに基づかない権力者に都合が良いストーリーが余りに多いのが現代です。これらの似非真実の特徴はSNSなどへの「反論を封じる」、反対意見に「陰謀論」などのレッテルを貼るといった「特徴的対応」で明確に区別できます。

また根拠の弱いナラティブは立場が変わる事で容易に異なるストーリー、整合性に欠ける内容になる傾向があると思います。以下に例をあげてみます。

 

1) 911をアルカイダ(ビン・ラディン)の立場から見る

ブレジンスキーとビンラディン

2001年9月11日から22年が経過しましたが、ケネディ暗殺事件と同様、イスラム教テロリストによる複数の同時民間航空機ハイジャックとペンタゴン、ニューヨーク世界貿易センタービルへの航空機突入事件についての真実は全てが明らかになった訳ではありません。911はアルカイダの首魁であったウサマ・ビン・ラディンの計画指示で行われたとされていますが、このテロを起こした理由は「湾岸戦争でイスラム教の聖地(サウジアラビア)に米軍が駐留したから」という物でした。米軍は十字軍ではなく、米軍内にもイスラム教徒、ユダヤ教徒もいます。そもそもソ連のアフガン侵攻を駆逐するジハードの目的で米国の援助で作られたのがアルカイダであり、米国自体を異教徒と定義するなら援助を得る事自体が神への冒涜になったはずです。1979年にCIAトップのブレジンスキーとビンラディンが並んで写っている写真もあるし、ブッシュ一族とビンラディン家(元はユダヤ系サウジアラビア人)は長年のビジネスパートナーであった事もマイケルムーア監督の華氏911で暴露されています。

旅客機が突入した映像自体はおかしくないが

旅客機が突入したツインタワーが不自然に倒壊した状況もさることながら、多くのメディアが事件後触れようとしない「47階建ての世界貿易センター第7ビルの倒壊」について、20年経過した現在も不明のままである事が不思議です。このビルには東部CIAの本部の他、エンロンファイルを保管する証券取引委員会、内国歳入庁が置かれ、ニューヨーク緊急事態管理局の本拠地でもありました。このビルが倒壊したことで、多くの都合が悪い証拠品が消失、何よりここから911事件という緊急事態の指揮を執るべきであったのに、当時のNY市長ジュリアーニ氏は「ビルが崩壊すると言われたから事前に(本部を)移した」とテレビインタビューで答えており、BBCやCNNはビルが崩壊する前に「崩壊しました」と報道してしまっています。

頭の左に健在な第7ビルが映っているのに「倒壊した」と言ってしまったライブ映像

 

2) ウクライナ戦争をドネツク・ルガンスク共和国から見る

 

以前のブログで「侵略されたウクライナが常に攻撃していて、侵略したロシアが防御しているのでウクライナが負け続けている」と解説しました。しかし視点を変えてロシアが併合したドネツク・ルガンスク共和国側から見ると、2,014年の独立宣言以降ずっとウクライナ側に攻撃され続けていると言えます。ロシア軍が昨年2月に一時キエフ近郊に迫った時を除くと、3月の自主的撤退以降はロシア軍を含めて両共和国の支配地域に重厚な防御線を構築してずっと守備をしている。しかも攻撃するウクライナ軍の10倍の火力で防御しているのがこの1年のウクライナ戦争の実態です。これではウクライナに100%勝ち目はありません。ナラティブの視点を変えると見えるストーリーがかなり変わると思います。

ちなみに、8月末からウクライナはロボティナ地区で春季攻勢開始から数万の兵力を失い、2か月以上破れなかったロシアの第一防衛線を突破したと大はしゃぎですが、戦術を「機甲部隊の後ろを歩兵が続く」のを戦車・歩兵戦闘車がことごとく破壊されるので「まず歩兵が進んで道を確保してから戦車を進める」に変えただけです。対戦車濠やコンクリートの堡塁は闇にまぎれた歩兵ならば超えることができるから第一防衛線を突破したと言えるのですが、後続の重車両が超える事ができないのでいつまでも第二防衛線にたどり着きません。ロシア軍は車両には効果が薄いけど歩兵には強力なクラスター弾で攻撃してくるので後塵の防御がない歩兵部隊は非常に悲惨な結末になります。しかもウクライナ軍の展開は平地に沿ってロボティナの南東に進んでいるだけなので高地の塹壕から狙うロシア軍の圧倒的な有利が続いています。昨年2月以来のウクライナ軍の戦死は40万名、対してロシア軍は5万名と言われていて、既に若い男性がいないウクライナは女性や学生の徴兵、海外にいる徴兵適齢男性の帰還命令を出しました。

ロボティネでは攻撃するウクライナ軍がロシアの第一防衛線を超えたと言うが   ロ軍のクラスター弾と思われる切れ目のない激しい弾幕が車両の防御がない歩兵たちを襲う

 

私は気の毒なウクライナ国民のためにも一刻も早く停戦、休戦を行うべきと考えますが、米国には米国兵が犠牲にならずロシアを攻撃できるこれ以上の効率的軍事費の使い方はない、と豪語する議員もいて、平和を希求する動きはありません。皆さんは戦争を続けるべきと考えているでしょうか。

戦争を止めるために早くトランプを大統領に復帰させよとタッカーカールソンとの対談で話すハンガリーのオルバン首相

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今更ながらDSとは何か

2023-09-08 22:21:00 | 政治

世界が表に出ている政治家らに依って動かされているのではなく、「富と経済を支配する一部の富裕層のネットワークにより動かされている」とする考えは「陰謀論」として話されてはいけない事、「トンデモ系」のレッテルを貼られたくなければ触れない方が良い話題、とされてきました。しかしロスチャイルドなどの巨大財閥が水面下で国際政治に影響を与えている事は「常識」の範囲であり、この2-3年、ビル・ゲイツがWHOやワクチン開発の至る所にポリシーメーカーとして登場するに至り、どうも我々が民主主義で選んだ「選良たち」が世の中を決めているのではなさそうだ、という事がかなり頭の鈍い人達にも分ってきた(分かってしまった)と言えるでしょう。そこでトランプ大統領がDeep State(影の政府DS)と呼んだ存在は具体的にどのような存在かをまとめておきたいと思います。

 

I.  地球の富の50%以上を富裕者上位1%が所有する

 

貧富の格差を研究するOxfamという組織があります。2015年に出された「富の独占を進める富裕層エリート達」という冊子があります。破綻してしまいましたが、Credit Suisseの集計を用いて、2014年の段階で地球上の富の48%が富裕層トップ1%の所有であると示しています。それは2020年には54%にまで増加するだろうと予想されました。

2015年の段階で世界のトップ1%の富裕層が世界の富48%を所有し、2020年までには50%を超えるとした集計

 

2023年1月に出されたOxfamの「富者生存(survival of the fittestにかけたrichest)」という冊子ではコロナ禍の2020年から2021年にかけて、新たに生まれた富の63%が上位1%の富者に渡った(Credit Suisse Global Wealth Reportによる)と報告されています。Forbesの集計によると、億万長者の富の集中が20世紀に比して、近々10年に凄まじい勢いで増している事が解ります。世界的に格差の拡大、中間層の喪失、2極化が進んでいる事を表しています。

コロナ禍で儲けたのは結局富裕層1%だけという集計 富の集中はこの10年で著しく進んでいる。富を持つ者が「富と権力の持続」を望むのも自然と言える。

 

II.  富裕権力者の総意を実働部隊に会議で披露する

 

富裕層1%のそのまたごく一部の超富裕層の人達は、自分たちの経済支配の現状を継続させるために予め内々にごく一部の人達で(これら表に出ている人の他に、実際は土地などの計り知れない資産を持つ少数の貴族や王家の家系があってそちらが本命)方針を決めた上で、非公開のビルダーバーグ会議などを開いて方針を固め、ある程度公開性であるダボス会議などで、世界中の政治家、メディア、有力者などに方針を徹底させます。金の流れを支配できれば、社会の流れを支配することは可能です。一見「被支配者が自分たちで進んで選んだ様に見える政治体制」も実際には金の流れに従って決まった体制であり、これらの体制を決めている総称が「DSと表現される物」と言えましょう。

 

III.  被支配者が多すぎるとやりにくい

 

1%の支配者にとって、99%の被支配者の数が多すぎるのはやりにくいものです。その他大勢が反乱を起こして支配者を追い出されては困ります。そのためには被支配者は弱者で大人しく、全体主義的に抑圧されて、適度な娯楽や幸福で満足して働いて支配者に奉仕し続ける事が望ましい姿と言えます。

 

藤井 聡氏 「全体主義としてのグローバリズム」講演から引用   全体主義的グローバル資本主義の行き着く先と本質を示すスライド

 

被支配者が団結しない様、戦争をさせ、憎しみ合わせ、分裂させて支配する(divide & rule)。定期的に病気を流行らせてワクチンなどで体力を弱らせる。ナラティブという手法で、自分たちが納得して服従するように仕向ける、といった手法を取らせる事が現在行われています。ただ思惑通りには進んでいない様にも見えます。やり方が露骨すぎるからでしょうか。

増田悦佐 氏 (2022年刊)

 

IV.  サイエンスをナラティブ(自ら納得して選択する)の手段に用いる

権力者が決めた政策を、暴力に依らず進んで民衆に従わせるには、従いたくなる動機としての権威、畏怖の念、或いは「権威に従わない時に被る被害への恐怖の感情」などが必要になります。古来より為政者は様々な方法で民衆を従わせる手法を考えてきました。その主な変遷を図に示します。

 

古代には「自然の力」を利用し、その意思を伝える「巫女」の預言が用いられました。原始的宗教を用いた王制の時代です。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など一神教の教義が完成すると、「神の名の下」による宗教的権威による支配が行われます。神の権威による支配で、これは今も一部有効と言えます。

民族国家の概念が確立すると、「民族の優位性」「血の純潔」といった漠然とした概念に「価値と権威」を持たせ、それらが個人の生活よりも優先されるという思想で民衆を従わせる手法、「民族主義による支配」は現在でも使われています。

資本主義が発達して経済的格差が決定的になると、「所有を否定」する原始共産制が「人類の平等を実現する究極の思想」であり、資本主義を否定して人類進化の終わりには共産主義に到達する、という経済理論が大きな権威を持っていた時代がありました。「革命」の名(権威)の下にあらゆる個人の自由を制限する政策が正当化され、それに従わないことは「反革命的」であり糾弾・弾圧されても仕方ないとされる思想で、「経済理論による支配」と言えます。

20世紀は科学の時代であり、科学の進歩によって人類の文化的生活は大きく発展しました。国家の枠を超えて、人類全てを従わせる手法として「科学の権威」が用いられる様になったのが21世紀の現在と言えます。そしてその権威を偽装して、まるで正統な科学である様に詐欺的手法で用いたのが「科学の衣を着た政治的プロパガンダ」なのです。つまりコロナ感染症、温暖化、ワクチンなどを反論を封じた上で科学的に一部真実であることを交えて政策全体が科学的真実である様見せかけると言う、サイエンスをDSが被支配者を進んで従わせる「ナラティブの手段」と化しているのです。

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F-16 C Fighting Falcon 1/72 Hasegawa (ゲームチェンジャーになれなかった超傑作機)

2023-09-03 20:54:00 | プラモデル

最近ウクライナへの供与で俄に脚光を浴びているジェネラル・ダイナミックF-16 Fighting Falconを作りました。F−16は1970年代に最後の有人戦闘機と言われたF104の後継機として、大型のF14やF15が計画されていた際に、小型軽量で機動力とコストパフォーマンスに優れた機体を模索した米国空軍により研究開発が発注されてジェネラル・ダイナミックス社、現ロッキード・マーチンが提案した機体です。胴体も翼の一部として一体的に設計するBlended Wing Bodyによる美しい形状、操縦もフライバイワイヤとコンピューターを駆使した当時最新のメカニズムを搭載して試作機の登場時点から注目を集めました。私も1970年代に試作機YF-16を見てから、P−51ムスタング、F-86スーパーセイバーに継ぐ傑作戦闘機であると注目して当時ハセガワから出た1/72のプラモデルを早速作りました。

F16C 実機   70年代に出たYF−16のプラモ 米国旗をモチーフにしたトライカラーで塗装されていた。現在の塗装、濃淡グレーの競演とは対照的。

F−16は数々の改良を加えながら4,604機も製造され、NATO各国など10数カ国で使用され、現在も次世代機との交換まで使用されています。

1980年代以降中東などほぼ全ての戦乱に参加はしてきましたが、湾岸戦争やコソボ内戦など戦況を転換させるほどの活躍に至る事はなかったようです。ウクライナ戦争においてもウクライナ軍への供与が戦況を変える切り札になる如く言われていますが、100%無理です。機体をみれば解る様にステルス性はほぼなく、現代の高性能対空ミサイルにチャフで回避する他ありません。空戦性能も最新でなく、対地攻撃も十分な管制バックアップが必要とされます。何よりウクライナ軍に戦闘機パイロットがおらず、ロシア軍機とはヘッドアップディスプレイで表示される機体の傾きが逆でもあります。吸気口が胴体下部で大きく開口しており、車輪も小さいので整備された滑走路が必要です。

在欧米空軍86戦術航空群512戦術飛行隊所属の機 中央から300ガロン、370ガロン増槽、BL755クラスター爆弾 AIM9L(第3世代)サイドワインダー4機装着。

モデルは安定のハセガワ製なので安心して作れましたが、最近の米軍機はNATO仕様も含めて濃淡グレーの競演と呼べる様な塗装で、グレーだけで6種類くらい使いました。幸いクレオスから各種カラーが発売されているのでそれらを使用して作りました。梯子に乗っている地上員はハセガワ製の米軍航空員セットから流用しました。キットにはBL755クラスター爆弾が搭載されていましたが、攻撃する側がクラスター爆弾を使うと、味方が不発弾で負傷して湾岸戦争では多数の米軍兵が犠牲になったと言われます。それが解っていながら、攻撃しているウクライナ軍にクラスター弾を供給している「米国の非情さ」を批難しない専門家も酷いものだと思います。一方で守る側はクラスター弾は威力が弱く、壁を破壊しないので余り怖くないと言われています。

デカールは細かい所までよく出来ていました。

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戦争に勝つということ

2023-08-24 15:28:02 | 政治

日本では「戦争」というとボロボロに負けて原爆まで落とされた「太平洋戦争」の事しか論じられません。

終戦の日や原爆忌に戦争について語るのは大事ですが、非常に「皮相な内容」で本気で今後起こるかもしれない戦争を避ける方策を真剣に議論している様には見えません。戦争体験者の方々は本気で「戦争はやってはいけない」と考えていると思いますが、教えを受け取る我々戦後世代、特に40代以下の若い人たちが本気で戦争を避ける方策を思案している様には見えません。

戦争を論ずる時、負けた戦争だけ考えれば良いのでしょうか、勝ったとされる戦争「日清」「日露」「第一次大戦」について深く論じられているのを見かけません。戦争の「存在自体を全否定して後は考えようとしない」で済ませてないでしょうか。本当に非戦を誓うのであれば、「戦争」という相手のある「外交の一形態」で戦争まで発展しないための方策を考える。また戦争になってしまった場合の終わり方、「戦争の勝ち方(負け方)」について検討しておくべきだと私は思います。その意味で我々にとって傍観者(第三者)的立場で見ていられる「ウクライナ戦争」について上記に関する議論を尽くす事は有用と思うのですが、メディアで出てくる話は「ロシア悪い」だの「ウクライナがんばれ」という幼稚園児レベルの話ばかりです。そこで今回は「戦争に勝つ」という内容を論考したいと思います。

 

Ⅰ.  戦争に勝つとは

 

戦争に勝つという意味には以下の3通りがあると思われます。

 

(1)相手が全員死亡・絶滅して戦う相手が消滅することによる終戦。

今時これはないと思われますが、「テロとの戦い」は実はこれを目指しています。

(2)相手が無条件降伏(unconditioned surrender)を受け入れて終戦。

第二次大戦がこれですが、その後の戦争も相手国の政治体制を変革させるという点ではこれに近い。

(3)自国にとって有利な条件で双方が終戦(休戦でなく)を受け入れる。

第一次大戦までの外交の一形態としての戦争の一般的なありかたでした。この場合、「休戦による相手のリベンジ」を誘発しない工夫が必要です。「次は勝とう」と思わせる終戦では平和はやってきません。そのためには「有利な条件」なるものが「誰の利益になるのか」が問われます。利益には次の3通りがあります。

 

a)  国民全員(将来含む)に明確な利益になる。

b)  支配者や資本家だけの利益になる。

c)  軍産複合体、武器商人だけの利益になる。

 

この利益は、紛争内容が自治権(領土)なのか資源なのかによっても、国民に分配されて受ける利益の内容が変わってきます。戦争で苦労するのは国民です。国民が利益を感じない戦争(士気が上がらない)に勝ち目はありません。増して「テロとの戦い」の様に一体何と戦争しているのか不明な場合は、国民の利益と言えるものがあるのかさえ不明であり、b、cの利益だけだね、という結論になります。今テロとの戦いは知らないうちに終わっているようです。

 

II.  戦略と戦術

 

戦争の目的を達成するために建てるのが「戦略」であり、個々の戦闘に勝つための方策が「戦術」です。個々の戦闘は戦略に沿って要否や戦い方が決まるのであり、戦略と戦術は関連しています。個々の兵士にとっては自分の生死にかかわる「戦術」は非常に大事ですが、大きな視野での戦略に沿って戦争は進むので兵士は「コマ」でしかありません。結局「政治」が最も優先され、大事なのです。

 

III.  ウクライナの悲劇(攻撃=戦争の主導権という勘違い)

 

1) ウクライナ戦争における戦術の大変革

 

ウクライナ戦争は「正規軍同士の戦争」における「戦術」の常識を大きく変えました。第二次大戦におけるバルバロッサ作戦(独ソ戦)との比較が戦車や機械化歩兵を用いた戦争の例として持ち出されますが、戦術を検討する上でのISR(情報、監視、偵察)の在り方が全く変わり、衛星、ドローン、通信傍受を用いた現在「すべての軍の移動、集合は相手に筒抜けである」という前提で戦術を検討する必要があります。

 

西側にはロシア軍はISR、近代装備、士気、機構ともに「西側よりも劣っている」とする神話があります。特に専門家と称する人たちや軍の上層部にもロシア軍が圧倒的に勝っている現在においても「この神話」を信奉している人たちがいます。メディアがこれらの人たちの法螺をそのまま放送するので軍事音痴の一般の人たちも「弱いはずのロシアがなかなか降参しないのはおかしい」と思っています。現実にはロシア軍はISR、近代装備、士気、機構ともに西側より優れています。劣っているのは水上海軍力位でしょう。ウクライナ戦争についての解説が現実を反映していない「ちんぷんかんぷん」な内容なのはこのためです。ウクライナの春季(夏季)攻勢が圧倒的敗退をきたしたのはロシアISRがすべてを把握して防御したからに過ぎません。ゲームボードの様に俯瞰で眺めながら相手の戦力や出方を全て把握しながら防御(攻撃でなく)を用意周到十分な戦力で行えば自軍の犠牲を最小限にして相手を全滅させる事が可能です。

 

2)「攻撃=戦争の主導権」という勘違い

 

西側は当初ウクライナ戦争支援の目的を「プーチン体制の崩壊」に置いていました。ロシアはウクライナへの「特殊軍事行動(SMO)」の目的をドンバスの独立、ウクライナの中立化、非ナチ化、に置いていました。ゼレンスキーはロシアのクリミアを含む全領土からの完全撤退に目標を定めているようです。当初述べた「戦争に勝つ」定義において西側は体制変革2)を目指し、ロシアは有利な条件での終戦3)を目指している事が分かります。

当然戦争目標に向かう「戦略」にも違いがあり、西側はロシアプーチン体制が崩壊するよう「経済制裁」を行い「ロシアの休戦提案を拒否」して、ウクライナに近代兵器を援助し続け、「ロシア軍は弱いという神話」を信じ続けてロ軍が負ける事を期待しました。

ロシアの戦略は自軍の犠牲を最小にしつつウクライナ軍を叩き、戦争継続不可能にして有利な条件で終戦締結できる様にすることです。終戦後ウクライナ国民にリベンジ心を持たれないよう民間への攻撃損害は極力避けてきました。また降伏したウクライナ兵も保護してきました。この目的を達するために、防御を完全にしつつ相手の攻撃を誘う戦略を取ってきました。この1年戦線が膠着して動かない理由を「ロシア軍の弱さ」と解説する大馬鹿者がいますが、「戦略や戦術ISRの変革」をまるで理解していない事を露呈しています。

ロシアの侵略を受けたウクライナは、自軍の犠牲を少なくしてよい条件で終戦に持ち込むためには本来「防御に徹する」必要があります。ロシアは、現在ウクライナが春季攻勢をしているヘルソン地区を2022年秋から1年かけて3重の防御陣地を構築してきました。西側が本気でロシアに勝ちたいのならば、完全な防御陣地ができる前に徹底的に攻撃する必要がありました。現在「侵略」したロシアが防御を固めて、侵略されたウクライナが「攻撃」を続けています。この戦略の違いは「攻撃を続ける側に戦争の主導権があり、勝っていると印象付けられる」という思い込みがあります。実態は圧倒的強力な米軍を相手に勝つ見込みの無くなった日本軍が万歳突撃を繰り返していた太平洋戦争末期と同じ状態と言えます。「敵が見える状態で厳重な守りに付いている側が圧倒的に強い」のです。

 

追記:

ほぼ毎日更新してウクライナの戦況を解説しているWeeb Union氏が2023年8月25日の解説で「何故ウクライナが勝てないのか」について今までの戦い方の誤りを指摘しながら論説していました。結論的には私と同じ「攻撃を続けている」からというものでした。ロシア軍が半年かけて攻撃をしていたバクムート攻防戦においても、ウクライナは「撤退戦術」を取らず、ワグネルの小規模な攻撃に反応して「Head to head」で戦ったので、「ウ軍の状況をISRで全て掌握したロシア軍が強力な砲撃で殲滅する」戦法を取り続けて毎日数百人の損害を出し続けたと批判しています。小国は攻撃してくる大国を撤退しつつゲリラ戦で戦う(北ベトナムやアフガンムスリムの戦法)のが唯一勝利を得る方法であると喝破しています。

Weeb union氏の解説。戦争初期にキエフに侵攻したロシア軍にウ軍は集中。その間南にロシアが進撃した後ずっとロシア側が守りを固めてウ軍の攻撃を撃退する戦法を取っている。

 

3) 攻撃型兵器はゲームチェンジャーにならない

 

オランダなど一部の国は旧式化したF-16戦闘機の供与を決めたと報道され、ウクライナはモスクワ中心部へのドローン攻撃を繰り返しています。攻撃型兵器や細々とした攻撃を続ける事が戦争の大成を変えるゲームチェンジャーになると信じている人たちがいる証拠ですが、上記の様に実現不可能な戦略に基づく政策に効果はありません。万歳攻撃を続けるウクライナは2)の国家体制の消滅に向かっていると言えます。ウクライナは全部隊を一度退却させてドニエプル河の西側で防御態勢を組めば、ロシアは当初の目的を達することになるので双方に有利な条件で終戦に持ち込むことができるでしょう。誰の利益のための戦争か、我々日本人は第三者としてよく見ておきましょう。

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ワクチン地獄を永久に続けますか?

2023-08-20 10:36:43 | 医療

新型コロナ感染症も5類扱いになり、「治療が必要な患者を治療する」という当たり前の対応になって社会も落ち着いて来たように感じます。店や電車でもマスクをする人が減少してまともな風景に戻りつつある様に見えます。

そんな中、厚労省は9−10月に「現在」流行しているXBB.1.5株対応の1価ワクチンの接種を「無料」で「生後6ヶ月以上の全ての国民」に接種を開始すると発表しました。特に今まで追加接種の対象外として「全ての接種を避けて来た人」へも「初回接種の方も受けて下さい」などと「1億総接種」を打ち出しています。

厚労省のワクチン接種をよびかける広報(厚労省サイトから)

 

I.  ワクチンで耐性株発生の常識

 

感染症は原虫、細菌、ウイルス、など宿主に感染する原因で分けられますが、医学的治療薬としての抗生物質や菌やウイルス特有の抗代謝薬などを使い続けると、当初は有効であっても細菌やウイルスの側で「進化」「耐性化」することで薬が効かなくなる事は常識の範囲です。それは癌においても当初効果がある抗がん剤が、耐性株が増加することで最後は効かなくなってしまう事と同じです。

国立医療センターのサイトから耐性菌が発生するメカニズムの一般の方向け説明

 

コロナウイルス(風邪ウイルス)は感染を起こす接着部位のスパイク蛋白が容易に変化するので、ワクチンができないというのが医学の常識でした。インフルエンザも接着部位となるヘマグルチニン(H)やノイラミニダーゼ(N)が変異するので、ユニバーサルなワクチンができず、流行型を予想したワクチンを毎年施行しています。

インフルエンザの構造と変異する場所

 

新しい抗生物質は使いすぎると耐性菌発生に通じて、最終的にはスーパー耐性菌となり、あらゆる薬剤に耐性の菌が人類を滅亡させるリスクが生ずるため、適切な抗生剤を短期間使用することが義務づけられています。

耐性菌発生に警鐘をならすBBCやOECDの記事

 

II.  ワクチン接種開始以降スパイク蛋白の変化しか起こらない

 

厚労省の秋接種についてのお知らせには、年末にかけて毎年コロナが流行するので、予防的に秋に接種をと理由が書かれていますが、同じ図でワクチン接種を重ねる程、いままで拡大しないと見えない程であった感染者数が莫大な数に増加したという説明もできてしまいます。

厚労省の資料にワクチン投与時期(1ー5回)を加えたもの

オミクロン株発生以降の亜系統の移り変わり(厚労省の同じ資料から-全てオミクロンの派生である)

 

ワクチンを製造しているモデルナ社の公開資料からの図を示しますが、当初αやデルタなどの変異種と異なり、オミクロン株以降の莫大な流行をもたらした変異種は全てワクチンに用いられたスパイク蛋白の変異によって起こっている事が証明されています。つまり「スパイク蛋白のワクチンを使う程、同部位の新たな変異種が今まで以上に流行する」という事が証明されたと言えます。

モデルナ社の資料からオミクロン株以降の変異株の系統樹とスパイク蛋白上の変異個所の図

 

III.  論理(ロジック)でなくナラティブ(自分で決めた様に思わせる)で

 

ここまで明らかな結果が出ているのですが、この簡単な事実を元にワクチンをどうするべきかを論理的に考えてはいけないのでしょう。最近「ナラティブ」という言葉が汎用され、物語(ストーリー)を展開することで、ある結論に到達する事がスマートであるとされます。医療においても一方的に医師が医療の論理で治療を説明するインフォームド・コンセントよりも患者と一緒に治療を決めて行く過程を大事にするPatient decision makingの手法(Narrative Based Medicine)が大事とされます。しかし現実にはナラティブとは論理的に思考して結論に達するサイエンスの常道である「ロジカル」とある意味対極にある概念であり、一見自分で納得して得た結論に見えますが、後から支配者にクレームが来ない様にする高等技術とも言えるのです。このナラティブ技術は「ウクライナ戦争」についても、温暖化が原因とされる「ハワイの火事」についても言える様です。特にテレビ情報だけで全てを判断してくれる人達が「自ら物事の基本から考える」ような事を許してはいけないのです。断片的な事実を関連があるように並べて、特定の結論に結びつけさせる技術(ナラティブ)こそが、自分達が納得して結果的に自ら自滅させる高等技術なのです。

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Bristol Blenheim Mk I Airfix 1/72

2023-08-13 14:50:27 | プラモデル

第二次大戦初期の英国爆撃機ブリストル・ブレニムMk1を作りました。1935年に高速旅客機として開発されたブリストル142を母体として高速性能を買われて量産が決まり、1936年に実戦配備されました。第二次大戦では既に防御武装が7.7mm背部旋回銃塔1丁と左翼の1丁のみという貧弱さで犠牲が多く、重武装化したMk IVに変わりました。しかし運動性能の軽快さなどから戦闘機型、偵察機型など各種改造され、また大戦前にはフィンランド、ルーマニア、トルコなどにも輸出され、枢軸軍機としても使われました。乗員は3名、機体重量は5,670Kg、ブリストル・マーキュリーMk8 9気筒840馬力2機を装着して最大速度418km、航続距離は1,810km、爆弾454kg装着可能でした。レストアされた飛行可能な実機は2016年の映画ダンケルクでも救出に出向く小型船の上空を横切る味方機として登場しました。

レストアされたBristol Blenheim Mk 1 実機       Airfix 1/72 model

モデルは安定のAirfixでしかも新金型であり、設計図も丁寧に記載されていて安心して組み立てられます。前作に難物(ブレゲーアトランティック)だったりすると気安く作れるモデルを次に入れて一休みします。上面ダークアースとダークグリーンの迷彩、下面は黒で1941年マレーシアButterworthのビクトリアクロス受賞者Arthur Stewart 指令搭乗機の物です。箱絵は日本軍の一式戦闘機「隼」に追いつめられている図ですが、加藤隼戦闘隊の加藤健夫中佐を撃墜したことで有名です。モデルには操縦手1体が付いていましたが、ハセガワ製の搭乗員2体を機首に追加してみました。昔作った旧金型のブレニムMk IVがあったので比べてみました。外見上機首の爆撃手席が延長されて独特の形状である点と武装が強化されている点が異なります。

機首部に搭乗員3名を入れてみました。  翼端灯は自作なのでやや形が悪い

車輪や爆弾槽の造りは新金型なのでさすがに精巧です。

箱絵は日本軍の隼戦闘機との空戦           武装強化型のMk IV(昔作った旧金型)と比較 機首に1、下面後方に向けて2、銃塔が2連装になる。

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ウクライナで露呈するNATOとEUの齟齬

2023-08-11 15:45:02 | 社会

拙ブログでも度々触れた様に、ウクライナ紛争というのは英米中心のNATOとロシアの代理戦争(proxy war)踏み込んで言うと世界巨大資本を中心としたグローバリズム対中露を中心としたBRICSを背景にした多極主義の代理戦争でもあります。ロシア対ウクライナの一国同士の戦争であれば、兵力・資源・資金力が途絶えた時点で終わりです。第二次大戦の日本がよい例です。自国民の若者以外何も持たないウクライナが1年以上ロシアと戦争を続けていられるのは、武器や金の流れを見れば、真の戦争当事者が誰であるかは一目瞭然で「民主主義のためにウクライナに支援を」などというたわごとで金を出しているお目出たい人は日本では知りませんが、世界では少数派です。

 

ウクライナ紛争では頻繁に欧州委員会委員長のフォン・デア・ライエン氏など、EUの代表者達が公の場に登場して種々の方針を述べます。それは外部にいる日本人にはNATOとEUが混然一体として機能している様に見えてしまいますが、本来NATOとEUは設立の目的や目指す所が異なる組織であり、その意思が一体であることはないのです。以下平凡社新書(1017)村上直久著2022年刊「NATO 冷戦からウクライナ戦争まで」を参考に論を進めます。

 

1)NATOとEU

 

(1)同床異夢の組織 北大西洋条約機構(NATO)は1949年にソ連の軍事的脅威から西側諸国を守る集団防衛組織として発足しました。1955年NATOに対抗してワルシャワ条約機構が設立され、いわゆる冷戦構造が確立されましたが、1989年ベルリンの壁崩壊で東欧諸国の民主化革命が進み、1991年ソ連消滅前に同機構も消滅してNATOは一発の銃弾も撃たずに冷戦終結に至りました。NATOはNo Action Talk Onlyなどと揶揄されましたが、その存在意義が終了したにも関わらず存在し続け、しかも民主化した東欧諸国を追加しつつ拡大してゆきます。2000年代にはソ連を継いだロシアがNATOのパートナー国として演習に参加したりする蜜月時代もあったのですが、ウクライナやグルジアのカラー革命を機に対立関係になり、現在に至ります。一方でNATOは戦勝国の英米が欧州を軍事的に支配するという目的を持ち、NATOに共同する反共秘密組織(主に国内向け CIAやMI5MI6フランスのジャンダルム、ドイツ憲法擁護庁)が各国にはあると言われ、欧州政府の政策を英米が支配する構図が影の目的としてあったと言えます。独自の核を持つ仏をはじめ、もともと米英よりも格が高いと考える欧州国民にとっては決して快いものではなく、まずは経済でドル一極体制に対抗する目的でECのちにEUが設立されました。

(2)加盟国の違い EUとNATO両方に加盟しているのは20カ国で、EUのみがフィンランド、スウェーデン(2国は2022年8月にNATO加盟承認すみ)、オーストリア、アイルランド、マルタ、キプロス。逆にNATOのみが米英、カナダ、トルコ、ノルウェー、アイスランドとなっています。トルコは経済的な理由から自国のEU加盟を条件にフィンランドなどのNATO加盟を認めたと言われます。

(3)世界経済フォーラムの関与 EUが欧米のグローバリズム経済の対極となることを嫌う世界経済フォーラム(WEF)陣営は、毎年世界から200名余りの若者をYoung Global Leaders(YGL)に選定して種々の支援を行って国家要職に就かせ、グローバリズムの指示に各国政府が進んで従う体制を作ってきました。当然EU首脳の多くもYGL出身であり、日本も小池百合子、高市早苗、林芳正、小泉進次郎、橋下徹などおなじみの面々がグローバリストの傘下に日本国民を差し出す役割を果たしています。しかし骨のある若者は訴訟を起こしてでもそのような誘いは拒絶するものです。グローバリズムを拒絶する米民主党のトルシー・ギャバード女子も勝手にYGLに選ぶなと怒りを表明しています。

社会を支配するため、各界で力を持つようにWEFは資源と時間をかけて人材を育成している。左上がトュルシー・ギャバード女子   勝手に選ぶなと怒る骨のある若者もいる(日本にはいないと思う)

 

(4)EU独自の軍事機構の模索 余り知られていませんが、EUが英米からの独立を目的とする以上、安全保障においてもNATOとは異なる機構の設立を目指した時期があります。92年のマーストリヒト条約に基づいて、共通外交安全保障政策(CFSP)が設立され、フランスのシラク大統領と英国のブレア首相が中心となってEU独自の3万人からなる緊急対応部隊設立を目指しました。特に独立志向が強かったのがフランスでしたが、2004年を機にEU独自の治安機構は主に警察治安任務を担い、軍事に関してはNATOを中心に据える方向に定められました。NATOは95年99年にセルビア空爆、2003年融資連合としてアフガニスタン出兵、2011年にリビア空爆など冷戦終了後から熱い戦争に参加して行きます。

 

2)ウクライナ戦争はEUを無力化する目的も

 

(1)軍事経済資源を差し出せ 1年以上続くウクライナ戦争にNATO各国は軍事物資、経済支援を限りなく続けて、空軍力を除く陸上の火砲、ミサイル、弾薬などは底を尽きつつある(ウクライナ反転攻勢は弾切れで頓挫、ロシア軍大攻勢で戦争終結へ (msn.com))と言われます。ドイツ経済を支えていたロシアからのノルドストリームパイプラインが米英の手で破壊されたのはシーモア・ハーシュ氏の暴露記事通りです。グローバル経済が行き詰まりつつある中、WEFが画策するグレートリセットを達成するには健全な欧州経済は邪魔です。健全な欧州社会も邪魔なので大量の移民で破壊する必要があります。フランスは移民による暴動で一時内戦状態であった事は記憶に新しい所です。

フランスは一時内戦状態に

 

(2)戦時経済体制のロシアと資本主義のままの英米 西側諸国は砲弾などを増産体制に変えたと言われますが、戦時体制に移行して24時間全力で無尽蔵に火砲を製造しているロシアにはかないません。米軍もあと2-3か月でミサイルや砲弾が尽きることを認めています。ビリニュスのNATO首脳会議でNATO諸国はウクライナのNATO加盟を「戦争終結後」と規定し、実質加盟を拒否、NATOの参戦も否定しました。イラク戦争で米軍の戦車部隊を率いた退役軍人のダグラス・マクレガー大佐は「NATOには図上演習だけが得意な将軍は山ほどいるが、部隊を率いて実戦で戦える人はいない。しかも多国の軍を統率して作戦を遂行することなど不可能だ。」と断言しています。

NATOは備蓄戦力を使い果たした。               世界銀行の調査では2022年のロシアの経済力は世界5位に上昇して日本に迫っている。

 

(3)日本のNATO事務局設置延期へ 2023年5月NATOストルテンベルク事務総長はNATOの連絡事務所を東京に開設することを日本政府と協議していると明らかにしました。しかし中国との対立を嫌うフランスの反対によって延期となりました。これ以上他国からの支配体制が増えて日本の自主独立が否定されるのは勘弁願いたいところですが、フランスに助けられた格好です。欧露が手を組んで英米グローバル体制から独立しないよう、NATOによる隣国同士の戦争(divide and rule)が仕掛けられてきました。日中韓が一体となることを防ぐ事も「分割して支配する」戦略には重要な要素です。2012年、日中の経済関係は戦後最大となり、ドルを介在させずに両国の通貨で直接取引をする準備を始めた事への米国の対応が売国奴石原都知事を使った「尖閣国有化宣言」(米国で宣言表明)だったのです。当然反発した中国と日本の関係は以降最悪となりました。石原は「息子伸晃を総理にしてやる」とそそのかされたのでしょうが、石原の死後、伸晃は総理どころか国会議員も落選し、政界から消えています。国家の利益より自分の利益を優先する人間の末路です。

分割して統治せよの良い見本 日中の蜜月をいかに米国が嫌ったかがよくわかる例

NATO東京事務所は仏の反対で開設延期に

 

3)ウクライナ敗北と必然的な多極化

 

世界最強の軍と化したロシア軍 ウクライナへの特殊軍事作戦SMOが始まった昨年2月時点では、最新装備とドローンなどのAIを供与されたウクライナ軍は、それらを駆使することで、ロシア機甲部隊に対して大きな被害を与える事ができました。しかし勝てないが負けないと評した様に、ウクライナ軍は統制のとれた戦術でロシア軍と戦闘した訳ではなかったため、ロシアがSMOから本格的な戦争にギアを変えた途端に被害ばかり多くて一切勝てなくなります。今年6月からの反転攻勢と称する攻撃もロシアの第一防御線まで引き入れてから殲滅する戦術を、引き入れられた事を前進と大きく報じてまるで勝った様に西側メディアが報ずるため、ずっと同じ攻め方で数十万人のウクライナ兵が無駄死、戦傷する結果になっています。現在ロシア軍は小型ドローンと衛星情報を駆使し、無人神風爆弾機、巡行ミサイル、誘導爆弾、西側の10倍の砲弾を用いて世界最強の戦闘集団になっています。戦略核を用いて双方を全滅させる戦法以外、NATOも米軍も勝ち目はありません。

第一防衛線まで引き込んでから殲滅する戦法がずっと有効なのはなぜか?

 

広島のG7サミットでゼレンスキーが停戦を懇願すれば、ミンスク合意の再来も可能であったかもしれませんが、JBPressの記事でも触れられている様に、今となっては図のような縮小ウクライナが残り、そこも西側資本の草刈り場となる運命になる事が予想されます。ウクライナの人たちが本当に気の毒です。

ミンスク合意的な解決もやり方によっては可能であったかも。      ウクライナにとって最悪の終結(メドベージェフ氏はロシア・ポーランドによるウクライナ分割をデュダ大統領に提案している)

 

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月山登頂と出羽三山参拝記

2023-08-09 22:27:23 | その他

夏期休暇に今年は富士登山を計画していたのですが、生憎の台風6号で中止を余儀なくされました。息子夫婦と合わせて休暇を取っていたので、折角の登山計画を家で過ごすのも残念に思い、「ヤマップ」などで天候が持ちそうな山形県の月山に行く事にしました。富士山は一泊二日の予定だったので、やや強行軍ながら出羽三山を巡る計画を立てて様々な偶然(神のお導き?)に助けられて達成することができました。

 

富士山も言わずと知れた霊峰ですが、出羽三山とは「月山」「羽黒山」「湯殿山」の三神の事で、死後の安楽を祈る月山が過去、現世の幸せを祈る羽黒山が現在、そして生まれ変わりを祈る湯殿山が未来を表し、三山を詣でる事がセットとなっています。江戸時代には西の伊勢参りと東の奥参り(湯殿山神社の奥の院の事)が「人生儀礼」の一つとされて全国から参拝者が集まったそうです。

 

I.   羽黒山参拝

羽黒山入山口にある随神門          樹齢千年という爺杉

庄内平野の鶴岡にある羽黒山に山形自動車道経由で行きました。関東からは東北道から山形道に入るのが普通ですが、混雑を避けて常磐道から入った所、東北道で大きな事故があって一時下り線が通行止めになったりしたので、それに合わずスムーズに仙台方面の連絡道から少し戻って山形道に入り、昼過ぎには羽黒山に到着しました。一つ目の神の導きでした。

羽黒山入り口の随神門を通って東北最古の国宝五重塔(改築中)、樹齢千年の爺杉など見ながら二千段の階段を登ると羽黒山山頂の三神合祭殿に到着します。冬場は月山、湯殿山は積雪で登れないので羽黒山に三神を合わせて祀ったとされます。三山を巡るにはまず入り口であるこちらをお参りすることになっている様です。

二千段の階段 小一時間はかかる                     羽黒山頂上の三神合祭殿(車やバスで直接行く事も可能)

伊勢宮の様に多くの社殿があって多種の神が祀られている

 

II.   湯殿山参拝

 

宿泊は、富士山をキャンセルした後たまたま空いていた月山の麓にある「志津温泉つたや」さんでした。羽黒山を後にしてから台風の影響で一過性の激しい雷雨に見舞われましたが夕方5時には到着。温泉と山菜を中心にした(山形牛ステーキも)美味しい食事を満喫しました。

この旅館はご主人含めて3名の方が本格的な修験者もしておられて、希望する宿泊客に毎日朝5時25分集合で湯殿山朝参りにマイクロバスで連れて行ってくれます。神主さんのお祓いなどもあるので宿泊とは別料金になりますが、期せずして湯殿山神社(奥の院)に本格的参拝ができた事は二つ目の神の導きでした。

湯殿山は標高1504mで、奥の院とされる湯殿山神社本宮は山の中腹にあります。ご神体は「見た内容を語るべからず」とされ(撮影禁)、お祓いを受けてから素足で参拝します。ご神体についてはそのような理由で敢えて触れないことにします。拝辞を神主さんとお参りする人全員が唱和してからお参りします。朝6時の清々しい時間帯に神主さん数名、宿泊者の希望者8名と引率の旦那さんのみ貸し切り状態での参拝でした。奥の院に参拝すると「生まれ変わる」とされるので、それぞれのご先祖様への感謝と供養をする儀式もあります。先祖を祀らない神道では異例の儀式ということです。

山菜など中心にした夕食        湯殿山奥の院参拝の時に唱和する拝辞(お経と違い音階がある)

 

III.   月山登頂記

下山してから月山全貌が拝めた                 隣接する姥が岳方面を月山から眺める

月山は標高1,984m日本百名山の一つであり、花の百名山としても有名でニッコウキスゲなど様々な高山植物も見られます。リフトで姥沢登山口に向かう途中に珍しい渡り蝶のアサギマダラにも出会いました。今年は卯年で547年の卯年に「霊験新たか」な神仏が月山に出現されたという言い伝えから、卯歳御縁年(うどしごえんねん)として参拝すると12年分の御利益があるとされています。その年にお参りできたのも第三の神の導きだったでしょうか。

渡り蝶のアサギマダラ(リフトから撮ったのでぶれあり)       ニッコウキスゲ

初心者向けとされる姥沢コースですが、台風の影響もあって風が強く、ガスも多く時々しか遠望が望めませんでした。それでも日本海や庄内平野、鳥海山なども見る事ができ、山頂の月山神社でお祓いを受けて三社参拝を果たす事ができました。前日の悪天候や平日だったこともあり、登山自体は割と空いていてリフトもお祓いも待ち時間なし。登山は、お参りや昼食含めて4.5時間くらいでした。

夏だが所々雪渓が残っている            頂上小屋の奥に月山神社の小さい社があって神官の方も数人いる

 

富士登山が果たせなかったのは残念でしたが、来年は大学も定年になるので生きながら新たな魂として生まれ変わる「うまれかわりの旅」ができたのは「神のお導き」だったかと感謝しています。宿泊した「つたや」さんは、+2,000円で月山登山パックとして往復のリフト券、昼のお弁当(炊きたて山形米の美味なおむすび2個と副菜)、登山後の入浴、天然水など付けてくれて大変「お得」でした。月山登山後、帰りは東北道で幸い渋滞もなく夜9時には家に到着しました。

姥が岳から鳥海山を遠望できた        霧が晴れると時々日本海や庄内平野が見えます。

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新たな局面に入ったウクライナ

2023-07-29 10:13:26 | 社会

しばらくウクライナ情勢の分析から遠ざかっていた間にウクライナ情勢は新たな局面に入ったと思われます。日本のメディアはウクライナについては虚報しか報じないので期待しようもありませんが、海外のサイトなどの情報を考察すると、ロシアはNATOが戦争に直接介入しない事を確認し、本格的にウクライナ戦争をまとめる方向に転じた事が推察されます。

 

I.  NATO首脳会談の結果

 

 2023年7月11日、リトアニアのヴィリニュスでNATO首脳会議が開かれましたが、春季攻勢で大損害を来し、劣勢のウクライナ軍にとって、NATO首脳会議でNATOがロシアとの戦争に加わる決定をすることがグローバリスト陣営にとって喫緊の課題でした。グローバリスト側はNATOを戦争に参加させるために(1)6月6日カホフカダムを破壊(ウクライナが管理するドニプロ川上流のダムを放水し続けていた)し、ロシアが破壊したと主張。(2)ロシアが管理するザポリジャ原発をロシアが屋根に爆発物を仕掛けて破壊して放射能汚染をしようとしていると執拗に主張してきました。下図に示す様に、ザポリジャ原発の原子炉を確実に破壊するには、屋根ではなく、内部の原子炉を直接破壊する必要があります。ウクライナ軍はTOCHKA-U短距離ミサイルに核汚染物を詰めてザポリジャ原発に向けて発射する計画まであった由ですが、ロシアは最精鋭部隊をザポリジャ原発周囲に配置し、徹底的にウクライナ軍の動きを制したために何事もなく過ぎました。

ロシアが(ウクライナがやるよの意)原発の屋根を爆破すると予告するゼレンスキー大統領 IAEAのグロッシ氏は記者会見で「ロシアにその兆候はないが、原発は攻撃すべきでない」と表明

この様な構造の原子炉の屋根に爆発物を仕掛けても意味ない      外から短距離ミサイルで放射能汚染物をぶちまける計画だったという

 

 米国務省序列3位のヴィクトリア・ヌーランドは「7月11日が第三次大戦開始の日である」と5月に開催されたフォーラムで述べ(現在ビデオは削除されている由)、首脳会談までにNATOが参戦せざるを得ない状況を作り出す方策を練っていました。彼女はオバマ時代にウクライナのマイダン革命を実施した黒幕であり、この「人相の悪い極悪女性」が米国民のためでなく、グローバリストの先兵として米国務省で並々ならぬ権力を行使している事実、ウクライナの多くの若者達のみならず、第三次大戦に至った際に犠牲になるであろう多くの人達の生殺与奪の実権を持ち続ける事を神が許している事に私は吐き気を覚えます。しかし神は「この女の第三次大戦を起こさせるたくらみ」は失敗に終わらせてくれた様です。

5月のウクライナ安全保障会議で7月NATO首脳会議(ヴィリニュス)における新展開を予告するヌーランド女子

 ヴィリニュスでは表に出ない様々な議論や約束がなされた事は間違いありませんが、明確に言える事は(1)NATOは参戦しない。(2)ウクライナは戦争が終わらない限りNATO加盟は認めない。という結論です。ウクライナがロシアに勝つ事は100%ない、が西側の共通認識ですから「ウクライナのNATO加盟は敗戦処理後」だという認識を示したことになります。

 

II.  既に終わっていると言い出した首脳達

 

痴呆が進むバイデン大統領には、側近達も「ウクライナは負ける」という真実を伝えられない様で、記者会見で「ウクライナは既に負けています。」とうっかり言ってしまわない様に「ロシアは既に負けています。」と伝えています。国家安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏は「米国の軍人がウクライナ戦線に直接参加することはない(no boots on the ground)」と明言し、ウクライナ戦争とは今後距離を置く方針を暗に認めました。ウクライナのゼレンスキー大統領はヴィリニュス首脳会談の結論を「馬鹿げている(absurd)」表現しましたが、会談後に話題になった写真からも明確に伝えられた結論が推察されます。

教えられたまま「プーチンは既に負けてます。」と記者会見で言ってしまうボケ大統領      米国は「援助するけど参戦はしません」と言い切るジェイク・サリバン補佐官

たまたまの図かも知れませんが、誰からも相手にされないゼレ氏 「馬鹿げた結論だ」と言い残して去る。

 

III.  ロシアの攻勢とポーランドの東進

 

 プリゴジン=ワグネルの反乱らしきものは、西側を欺いてロシア軍を再配置する撹乱作戦であったことはほぼ明確になりました。ワグネルの高級将校達はロシア政府と会談調整した後、ロシア軍に編入され、一部はベラルーシに留まり弱体であったベラルーシ軍の補強に使われる様です。というのもポーランドが正規軍をベラルーシ国境に終結させており、NATO参戦が決定されればそのままベラルーシに進撃する構えを見せていたからです。ポーランドは以前報じた様に外国軍傭兵の形でウクライナに万単位の兵を送っており、数千の戦死を数えています。ポーランドの反ロシア思想はソ連時代に多くの領土を奪われて以来続いており、今回のウクライナ戦争を機会に再び20世紀初頭まで領土であったベラルーシを含むウクライナ領のリヴィウ周辺までの奪還を画策していると考えられます。「他国の戦争にヒトを送る」とはそう言う事を意味します。

ポーランド軍がベラルーシ国境に軍を集結させているというロイターの記事(2023年7月21日)

 

一方、ロシアは10万の空挺部隊を含む精鋭正規軍、900両の戦車をウクライナ東北部のハリコフ方面に終結させており、同部からキエフに向かって新たな攻勢を始めました。ウクライナが大々的に宣伝して南部で大損害を出した春期攻勢の戦力を超える内容で、1979年にアフガニスタンをソ連が侵略した際と同等の戦力です。

100m進むのに4-5名が犠牲になると苦戦を伝えるキエフポスト(2023年7月22日)  欧米供与の戦車群の残骸(既に供与レオパルトなど半数は破壊か?と言われる)

「精鋭ロシア軍が集結して攻勢に出た」とウクライナ情報部が伝えるロイター記事(2023年7月17日)

 

IV.  今後の展開予想

 

 米軍情報部では既に「戦後処理をどうするか」が検討され始めている様です。ウクライナが形だけでも国家として残るか、残るとしても莫大な戦争費用と戦後処理費用を欧米の巨大資本に搾取され続ける運命にあるでしょうが。ロシアはオデッサを含むドンバス領域を中立地帯を含む親ロシア領域として確保することを望むでしょう。これらの地域には中国資本も大量に投入されることが予想されます。多分日本は復興資金としてまた大金を巻き上げられます。

 8月にはBRICS諸国が金を担保にした貿易決済用の新通貨を制定すると言われており、サウジアラビアなど中東諸国も賛成していると言われます。結果的には石油を担保とした米ドル通貨体制(ペトロダラーシステム)が終焉を迎える可能性が高くなってくるでしょう。

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Dassault Aviation Breguet Atlantic 1 “Italian Eagle” Revell 1/72

2023-07-23 20:50:59 | プラモデル

ドイツレベルから2021年に再販となったブレゲー・アトランティック1を作りました。ブレゲー・アトランティックは、フランス・ブレゲー社によって1959年から開発が始まり、欧州諸国の共同開発で1965年からNATO各国で就役しました。対戦哨戒機P−2ネプチューンの後継機とされ、アトランティック1は2019年頃まで、フランスが採用した外形が同じのアトランティック2は現役でNATO海軍の守護神として活躍中であり、2023年春のNATO演習中にバルト海でロシア領に近づきすぎて緊急発進したロシア空軍のスホイ戦闘機に追撃されたというニュースがありました。

イタリアン・イーグル実機                ブレゲー・アトランティック1 ドイツレベル1/72

乗員12名、全長31m、全幅36mと大型の機体で、1/72の模型も翼幅50cm近い大型の模型です。エンジンは小型で構造が単純な上高出力が可能なターボプロップエンジン(ロールスロイス・タインRTy20 5,500馬力)2機を装備し、最高速度658kmで航続距離9,000kmと18時間の連続哨戒任務が可能です。電子機器は米国製で、2重バレル型の胴体の乗員が搭乗する上方が与圧式になっています。1は87機が生産されました。Mk46魚雷8、機雷、爆雷など搭載可能で2型はフランス空軍のエクゾセミサイルも搭載可能です。米軍、海自でも使用しているP-3Cも1962年就役の息の長い機で、やはりターボプロップ4発エンジンで航続距離は6,700kmです。海自は国産でターボファンエンジン搭載のP-1に換装されつつあります。

イタレリのNATO航空要員を流用(見えなくなりますが)             デカールは大きく長い物が多く、皺が出ない様貼るにはコツが要ります。

モデルは再販は2021年と新しく、デカールの出来は良好でしたが、金型自体は20年近く経過していて接合も最近のコンピューターで設計するairfixのモデルの様にはぴたりとは合いません。製作難度も5と銘打つだけあり、細かい部分や、制作図を型取りしてスプレーするなどかなり手間がかかりました。派手な鷹の模様は色塗りの部分と頭や爪の部分のデカール貼付部が混在しており、デカールの色に合わせて胴体を塗らねばならず、クレオスのブラックグレーに黒を加えて調整するなどの手間が必要でした。また前輪降着の例に漏れず、機首側に120gも錘を入れねばならず、空間は大きな胴体だから十分あるものの、機体自体が大変重い物になってしまい、車輪が破損しないか心配なほどでした。説明書などのサンプルカラーに合わせて、機体はライトグレー、下面はクレオスのスカイブルー、機体内部はタミヤカラーのライトサンドを使いました。操縦手などは付いていなかったのでイタレリのNATO空軍兵セットから流用してイタリア海軍航空隊のグリーンの服に塗装してみました。イタリアン・イーグルは2006年のイタリア41航空隊88群所属の機体で、平和な時代を象徴してか国籍識別記号がこれで良いのかというほど小さい替わりに、ドームにFIFA world cupのイタリア優勝トロフィーが国籍マークより大きく描かれています。1957年から84年に自衛隊で活躍したグラマンS2F-1トラッカー対戦哨戒機と並べてみました。S2Fは艦載機とはいえアトランティックの大きさが解ります。

とにかく出来上がりも大きい。

S2Fトラッカーと並べると親子の様。

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彦星ズ始末記

2023-07-19 17:29:16 | その他

今回は肩の凝らない「強運の猫」の話題。

 

2023年7月7日、近所のしばらく留守にしている家の軒下に生後1か月ほどの幼猫2匹が1日以上ニャーニャー泣き続けていると話題になり、放っておけない家内と動物病院に勤める長女が我が家に保護してきました。暑い中放置されて、大分弱っていたものの、勤めている動物病院で診察してもらった所「軽い猫風邪程度」と診断されてそのまま我が家でとりあえず飼育することになりました。しかし我が家には先住猫が4匹いて(いずれも保護猫ですが)、犬も一匹(保護犬15歳の老犬)いてウイルス検査を受けていない2匹と一緒にする事はできず、玄関のケージで別飼いになりました。生後1か月だと幼猫用のフードとミルクを一日4-5回食べさせる必要がありますが、幸い自分からワシワシ食べてくれる二人だったので世話は楽で、1週間で体重も痩せていた350グラムから450グラム位に増えました。

額の白が広い「星」君と狭い「彦」君

どちらも似たような雑種の黒白のオスであり、良い里親が見つかれば譲渡したいと考えて、額の白が狭い方を七夕にちなんで「ヒコ」、額の白がやや広い方を「ボシ」と名付けました。我が家に拾われた時点でかなり「強運」の彦星ズでしたが、その後も彼らの強運は続きました。

先住の猫たちとは別にしてケージで遊ぶ2匹、保護翌日からかなり元気

保護した翌日、私の古い友達で、長年拾った猫を名古屋に転居後も飼い続けて、2-3年前に亡くなり、夫婦ともさみしい思いをしているという医師に「子猫を保護した」とメールを送った所、5分も経たないうちに電話がかかってきて「家内の食いつきが非常に良い、是非写真を送ってくれ」という反応。結局1週間後に名古屋から新幹線で上京して猫を引き取る事になりました。私と同じ齢ながら、複数透析施設を経営する法人の理事長で、名古屋市内のマンションのペントハウスに住んでいる「旦那さん」なので、新たな子猫のために「ケージ」やら「移動用バッグ」、毛布などまで準備する手厚さで、7月15日に彦星ズの「ボシ」君を連れて、新幹線グリーン車で名古屋にご帰還、となりました。

里親の下でも元気な様子でこちらも安心です。

さて、もう一匹の「ヒコ」君も家内の友人つながりで、欲しいと言ってくれる人がやはり保護翌日に見つかり、7月17日に無事埼玉県の里親さんに譲渡されました。どちらも先住猫がいないので別飼いの必要がなく、リビングなどを自由に動き回っている由で、早速ヘソを天井に向けてあおむけで寝ている写真などが送られてきて安心しています。

 

昔から「強運の動物を大事にすると良い事がある」と言われますが、血統の良い犬猫であっても売れ残るなどして悲惨な結末を迎える例が多数あると聞きます。増してその辺に捨てられた雑種たちが良い環境で長生きできる事は稀です。拾った我々から見ても「何とも強運」の彦星ズは類まれな例と思いました。これからも強運を持ち続けて長生きし、飼い主さんにも強運を分けて欲しいと思いました。

オマケ 我が家の強運と思われる先住達

左上 レオン(雑種犬) 15歳 夜は玄関で失禁するのでオムツ生活。

中上 ういろうー黒スケ 2歳 1年前に名古屋の保護施設からもらわれてきた(新幹線移動)

左下 ジョリー (茶白) 9歳 幼猫の時、我が家の駐車場に何故かいた。今糖尿病で毎日インシュリン6単位

中下 ちゅら 5歳 沖縄出身でハブに噛まれて九死に一生を得た。保護施設から飛行機で内地にきて我が家にたどり着いた。

右 メリー 14歳 近くの里山に捨てられていたのを保護された。ラキタロウ、ハピタロウ亡き後の長老。

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その後の日本の超過死亡

2023-06-27 15:01:18 | 医療

2022年は2021年に比べて13万人多く日本人が亡くなり、大きな災害や戦争もないのに一体何があったのかが問題となりました。2023年4月3日におけるコロナ陽性の死亡者数累計(コロナによる死者数ではない)は7万4千人であり、2022年の超過死亡数よりもはるかに少ない数です。5類に移行してからはコロナ陽性の死亡者数の発表もなくなりました。厚労省は6月23日に2022年の人口動態統計のまとめを上梓しました。2022年の総死亡者数は1,568,961名で、2021年の1,439,856名よりも129,105名増加しました。最も死者数が増加したのは75歳以上の高齢者で、1,229,484名が死亡、これは前年の1,108,900名よりも120,584名と大幅な増加でした。

また2023年4月までの人口動態統計速報も明らかにされましたので、2022年の日本人の死亡内容はどうであったのかまとめておこうと思います。死因統計は毎年医師国家試験にも出題されるので、大学教員としての仕事の一つでもあります。転載した図については大きさなどから少し解り辛いかも知れませんが、厚労省のサイトから誰でもダウンロードできますので、興味のある方はそちらで御願いします。

 

I.  全体の概要

 

これはグラフなどを見た私個人の「まとめの評価」です。全体では死亡数が大幅に増加し、死亡増加の兆候は今年の1月まで継続して次第に収まりつつあります(それでも2021年よりも多いが)。死因はがん、老衰、心疾患が増加し、亡くなる年齢は高齢者ほど増加の傾向がありました。若い特定の年齢の人が多くなくなる傾向はないと思います。

 

II.  超過死亡

今年の4月までの死亡者数を追加したグラフを載せます。グラフで明らかな様に、2022年1月7月11-23年1月にかけて顕著な死亡者数の増加があり、自然に起きた変化では100%ない何かが影響したと断言できます。死亡者の増加は幸い今年の4月には落ち着いてきている事が解ります。毎月自分の病院で確認している、心肺停止で搬送される救急患者を含めた死亡者数が1月頃に比べて減少していることも実感としてあります。

昭和22年からの死亡者数統計では、人口千対においてはまだ少ないものの、死亡者数の絶対値においては戦後最大数の死亡者で、前年に対する増加も最大であったことが解ります。幸いなことに15-64歳の生産年齢の死亡者数は伸びておらず、主に75歳以上の高齢者の死亡が増加したことが解ります。

 

III.  死因統計

図を見て明らかな様に、がんによる死亡は増加し続けていますが、2010年頃からの心疾患(ほぼ心不全)と老衰(これも大きくは心不全)の増加が目立ちます。

増加し続けるがんですが、男性は肺、大腸、膵癌が増加、女性は大腸、肺、膵、乳がんが増加しています。罹患率としては、男性については私の専門である前立腺癌が一位ですが、死なない癌なので死因統計の上位には出ません。

 

IV.  年齢別統計

年齢別死亡者を5齢毎にまとめて、2019年から22年までを比較したグラフを載せますが、超過死亡が月によって大きく変わっても、亡くなる人の年齢層は高齢者ほど亡くなると言う傾向自体は変化がない事が解ります。

年齢階級別に見た死因の構成割合を示します。大きくは例年と変わらないものと思います。 若い人の自殺が目立つのは残念ですが、(III)の死因統計と同じ結論と言えます。

 

日本、世界の超過死亡と、新型コロナ感染症、ワクチンとの関係について以前考察しましたが、月によって死亡者数が大きく変動すること、変動とコロナ感染症の流行、ワクチン投与率が関連していそうなことが超過死亡増加解明の手掛かりになると考えます。未だ明確な因果関係は解りませんが、すぐに結果が現れない統計もあり、今後も注視してゆきたいと考えています。

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ワグネル・プリゴジンの攪乱作戦

2023-06-26 16:23:13 | 社会

2023年6月24日にロシア政府に対して反乱を起こした様に見えた傭兵部隊ワグネルの隊長エフゲニー・プリゴジンはベラルーシのルカシェンコ大統領と交渉して1日でモスクワへの行進の停止と占領したロストフ市の明け渡しを公表、ロシア政府もワグネルの幹部への訴追は取り下げるという結末になりました。

 

I.  何が目的だったか

 

この騒動は何を目的にしたものかは、時間が経てば明らかになると思いますが、「兵士脳・娑婆脳」のコメント欄で述べた様に、「西側の諜報を攪乱するのが目的」だろうという推測通りだったと私は思っています。プリゴジン氏は反乱を起こす4日前にプーチン大統領と会っていた、という情報もあり、「会っていたのにプーチンは反乱を見抜けなかった?」よりは「綿密に打ち合わせしていた」が正解だろうと考えます。

反乱軍?のワグネルを歓迎するロストフ市民

元々ワグネル・グループはロシアの情報機関GRUによってロシア政府の予算で設立された民間軍事会社(PMC)であり、2014年のマイダン・クーデター後にロシア軍が表立ってドンバス軍に加われないための支援目的であったと言われます。ロシア軍のアレクセーエフ中将が後ろ盾で、ミハイル・ミジンチェフ上級大将が現副司令官として軍事を担当していたから軍務経験のないプリゴジンがconducting actor(司令官役)として表に出ていたに過ぎません。

6月25日ハリコフ方面から新たな攻撃に入ったとするロシア軍、ウ軍は北方へ移動か

新しい情報では、ロシア軍はハリコフからザポリジアにかけて新たな攻勢に出ているという事であり、プーチン体制の崩壊を期待して油断したウクライナ軍が慌てて対処しているという状況もあるようです。イギリス情報部は、ワグネルがベラルーシに移動したことで、再度キエフが攻略の目標となったと危惧する論説もあり、先週和平調停に従ってキエフから兵を引いたというプーチンの暴露があり、「次は容赦しない」という新たな作戦の一環と見る事も可能です。

ワグネルが再度キエフを攻略しやすいベラルーシに移動したことを危惧するsky newsの記事

西側のメディアは、ウクライナ軍が反転攻勢で優勢であり、プーチン体制はずっと軍事、経済で行き詰まっているという報道をしてきたので、今回のワグネルの反乱を「これでプーチン体制も終わりか?」とはしゃいで報道してしまいました。反乱があっさり終結して次の軍事作戦につながったとなると、派手に報道してしまった手前、どのように帳尻を合わせて次の報道をするかという困難に見舞われるでしょう。情報戦においては、西側メディアが「一方的にロシアを悪役、しかもウクライナ軍有利」「ウクライナ戦争は自由主義と独裁主義の戦い」と決めつけねばならない報道の制約がある分、ロシア諜報部の手のひらで踊らされる図が昨年の開戦時から続いている様に見えました。東西冷戦時には、東側のメディアが「社会主義経済が順調」「西側は庶民が困窮」という報道しかできずに苦労したことの裏返し(意趣返し)の様にも見えます。「自由な報道がなければ、戦争にも勝てない」という事でしょう。

 

II.  やはりザポリジャ原子力発電所の破壊抑止が目的か

 

何故この時期に西側メディアが色めき立つ様な事件を起こしたかについては、参考にしているSimpliciusブログが「ザポリジャ原発の偽旗攻撃の危険性迫る」という記事をあげていて、ダム破壊に続いて原発の破壊によるNATOを巻き込む紛争拡大の目論みが危惧されています。

ロシアが原発を破壊するテロを行うとSNSで予告するゼレンスキー大統領

最近ゼレンスキー大統領は2つのビデオを作成して、ロシアがカホフカダム破壊と同様にZNPプラントでの大規模テロ攻撃を準備していると世界に予告しています。戦争に勝っている側が、後々の処理が困難になるのに、自国が管理しているインフラを破壊することはあり得ないのは中学生でも分かる理屈ですが、どんなデタラメも通ると勘違いしている西側メディアはゼレンスキーの予告通り(原子力プラントが爆破されて核汚染が広がる)になれば、揃ってロシアを批難し、「世界の敵ロシアに対して西側は宣戦布告をせよ」と言い出す準備をしています。現在ZNPプラントは「冷温停止状態」であり、福島やチェルノブイリのような臨界に伴う大惨事はミサイル攻撃でも起きません。勿論プラントが破壊されれば核汚染は起きるので、周辺に長期に渡る核被害が広がる事は避けられません。英国は既に穀倉地帯のウクライナに劣化ウラン弾を供給し、ロシア軍による攻撃で弾薬基地が破壊されたことで基地周辺の放射線量が増加した経緯があり、「英米にとってウクライナが核汚染されても構わない」という認識であることは確認されています。

戦術核の使用に備えてNATOは参戦準備をと宣うグラハム上院議員

ウクライナが原子力プラントを破壊するのを「素早いキエフ占領」によって阻止するか、ハリコフへの攻撃開始で南部に終結しているウクライナ軍を北部に分散させ、ザポリジャからヘルソン、オデーサに至る地域を制圧することで紛争を終結させる事をロシア側は狙っているのかも知れません。

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兵士脳と娑婆脳

2023-06-21 17:58:29 | 社会

自衛官候補生が銃を乱射した事件は日本社会に大きな衝撃を与えましたが、その背景についてメディアでは種々の分析が進められている様です。勿論教育隊の実銃訓練で乱射事件など通常ではおこり得ない事ですが、犯人とされる候補生の心理的背景については、元自衛官としてある程度想像できる様に思うので以下説明します。

 

I  教育隊とは一度娑婆脳を棄てて頭に白いキャンバスを提出する場

 

一般人が自衛隊に応募して試験を受けて採用されると、陸海空に分かれて、まずは3か月程度自衛官としての基本を身に着ける「教育隊」に入ります。この教育隊を卒業するまでは、仮採用であり、給与は出ますが、まだ正式の自衛官(軍人)ではありません。この一番最初の教育期間で最も大事な事は、今までの人生の経験やしがらみを一度全て棄てて、頭の中をカラにして白いキャンバスを提出する事にあります。これが抵抗なくできるかが教育隊をソツなく過ごせるかの分かれ目ですが、戦後、日本社会に軍隊の経験・歴史がなくなってからは実はこれが一番困難な試練なのです。

 

日本の現代社会において、自衛隊に入るからには、それなりの覚悟や思い入れが必要なのは当然ですが、例えばゲームにおける戦場の知識やサバゲ―の知識といった物は「不要」もしくは「むしろない方が良い」になります。そのような知識は教官から徹底的に「否定」されます。むしろ学生時代ヤンチャでチョイ悪だった奴くらいの方が、入隊して真っ白なキャンバスを頭の中に容易に作ることが出来たりします。軍隊においては、教官(上官)の指示と教本に書いてある事が全てであり、「余分な知識を交えず教えられた通りに白いキャンバスに書き込んでゆく事」を要求されます。「それは違う」「この方が良い」は意味がありません。それは娑婆で考えれば良い事になります。兵士は目の前で砲弾がさく裂して前進すれば討ち死にするだけと解っている状態でも命令があれば銃を撃ちながら突撃しなければならない場合があります。そちらに敵を引き付けて背後から撃つ作戦で、最終的にその軍が勝利すれば良いからです。個人の命にとっては非合理的ですが、軍としては正しい作戦であり、兵士脳にはそれに無条件に従う事が要求されます。

 

その点を割り切って考えられないヒトは「教官は頭が悪い」とか「知識のある自分をいじめている」と考えるかも知れません。しかし教育隊の曹(下士官)は部隊の中でも優秀な人材が選ばれます。彼らは知識も経験もあり、部隊からも信頼されているからこそ教育隊勤務を推薦されて来ています。新入隊員が娑婆の知識を全て棄てて白いキャンバスを差し出す事が容易でないことは百も承知しているからこそ、その様な接し方をします。3か月の初期教育で娑婆脳を一度棄てる事ができなかった候補生は、任官できない=不採用になります。

 

これは日本に限らず、世界で共通した認識です。徴兵制のある国はどう対応するか分かりませんが、軍人が制服を着用している間は「兵士脳」でいる事を表します。日本では認識がありませんが、外国では制服を着た兵士はそれだけで尊敬の対象になります。それは利己的な煩悩に支配された娑婆脳を一度超越した兵士脳(国家社会の任務に忠実)に従って行動している事が前提になるからです。

 

II  兵士と士官の違い

 

伍長(自衛隊では三曹)以上曹長以下を下士官、准尉以上を士官と言い、兵士とは区別しますが、下士官が戦略を決めることはないので、基本的に言われた事をそのまま行うのは下士官まで同じです。但し実戦(演習も)で大いに役立つのはベテランの下士官であることは平時における自衛隊でも同じです。

 

兵士脳で士官と曹士に違いがあるか、と言われると基本的には娑婆脳は捨てている点で同じですが、情報や戦略に疑問や改善点がある時には「軍の勝利に結びつく事であれば上官に意見具申をして良い」という点が違います。全ての軍人が「ただのイエスマン」である軍隊は弱いです。上官が誤れば全滅するからです。しかし一度決定が下されれば異論があっても従うのが軍隊であり、映画「遠すぎた橋」では偵察写真でドイツ軍の機甲部隊が隠されている可能性を正しく指摘した英軍情報将校が干されて部隊が大惨事に陥った様が描かれます。

 

司令官(海では艦長)の決定は絶対ですが、例えば核戦争を始めてしまう明らかにおかしい命令を司令官が命じた場合、それを止める事ができる唯一の存在は副官(number 1と呼ばれる)だけです。勿論number 2以下の部下が納得しなければ司令官の命令を覆すことはできませんが、副官は場合によって「抗命」の汚名を着る覚悟が必要な重要な存在と言えます。

 

III  ウクライナ軍のデタラメ

 

士官と言えども、上記の様に娑婆脳を棄てる試練を理解し、実践しているのですから、兵士達の気持ちは理解しています。実戦においては、戦略上敢えて死地に部下を追いやる決定を下す必要に迫られます。全ての兵士一人ひとりには、それぞれに親も子も恋人もいる人生があり、生き延びれば社会を代表するような会社のオーナーになったり、子孫が大発明をして人類に貢献する可能性だってあります。戦争は外交の一形態であり、どうしても避けられない時に最小の犠牲で最大の利益が得られる様に外交官(政治家)が努力をした上で仕方なく行うのが戦争であると軍人は考えます。自分たちの身を棄てた貢献が国家社会の利益になるという前提があって初めて軍人は全力で敵と戦うことができます。

ウクライナ戦争におけるウクライナ軍の使い方を米軍の退役士官たち(ダグラス・マクレガー氏やトニーシェイファー氏ら)が「犯罪的」と激怒している理由はここにあります。

ウクライナと仮調印した機密文書をアフリカ代表達に敢えて暴露したプーチン大統領

プーチン大統領は6月17日ウクライナ情勢の和平仲介に向けてゼレンスキー大統領との会談後に訪ロし、10項目のロードマップを示したアフリカ7か国代表団と会談しましたが、その際、昨年3月にウクライナとイスタンブールで和平交渉を行って仮調印まで達した合意内容について暴露しました。その文書では、ウクライナの非軍事化について、ウクライナ側が希望する1/3程度の武力は認める内容になっていたようです。この段階ではロシア、ウクライナ双方に相当の損害が生じていたものの、現在に至るほどの取り返しのつかない損害は出ていなかった。2国間の顔を立てた状態での休戦が可能であったと言えるでしょう。どちらの軍人たちにとってもここで休戦協定を結ぶ事は納得がゆく結果であったと思われます。しかし地球の裏側から、グローバリストの要求に従わないロシアプーチン政権を破壊したい米英勢力が「金と武器を送り続けるから勝手に和平を結ぶな」と命令し、ゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリエフ氏を射殺(3月5日)して、その後既に署名もされていた「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」を反故にしました。停戦交渉の進展でロシア軍はウクライナ政府との約束通りにキエフ周辺から撤退を開始、3月末には撤退終了していたのですが、4月2日にウクライナのネオナチがブチャに入って親ロ派とみられる住民を虐殺して、ロシアがやったと宣伝、それらも含めて一度署名した条約を反故にするウクライナと交渉するつもりはない、と機密文書を敢えて暴露したのが今回のいきさつでした。

反攻が行われた地域と数千名の犠牲の後、実質ウクライナ側が得たとされる地域(右上の薄い黄色) 地雷原で団子になって破壊されたNATO供与のウ軍戦車

戦争という将来ある健康な若者の犠牲が不可避である場合、最小限の犠牲で最大の国家利益につながる様、命がけで交渉するのが政治家の役割であり、軍上層部は兵士の犠牲が最小限になるよう、可能な限り万全の戦略・戦術を立て、作戦開始を命じなければなりません。欧米NATO諸国はウクライナの若者を数万人集めて、使い古しの戦車装甲車を与え、各国バラバラに訓練して今回の春季攻勢と呼ばれる戦場に送り出しました。一応作戦らしきものはありますが、情勢判断から勝てる見込みはなく、訓練も形のみで未完成のままでした。後方からの航空支援や火砲の援護もなく、ただ万歳突撃を繰り返す命令を送るのみであり、当然のごとく数日で数千名の兵が死傷しました。無駄死にするためだけに戦場にゆくウクライナ兵たちは自軍の戦車を破壊する者まで出始めています。グローバリスト、ネオコンがプーチンロシア体制を自分たちの利益を獲得するという煩悩を満足させるために、自分たちには痛くもかゆくもないウクライナの若者を西側諸国の市民が払った税金で得た武器を与えて死地に送るだけのウクライナ戦争の欺瞞は、誰でも気が付く物でしょう。兵士脳の覚悟を知る米国の良識ある退役軍人たちが「これは犯罪である」と怒りを露わにするのは当然です。

前線における兵士の大きな損失を伝えるワシントンポストの記事(2023.06.13)

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