トルコにおけるテロはクルド人組織のせいにされることが多く、トルコは陰でISを支援しているという評判もありました。今回トルコの空港でISがテロを仕掛けたとすれば(政府がクルド人ではなくIS関与と声明を出したということはかなり確実なのでしょう)、エルドアン大統領がロシアに対して昨年のISを攻撃しているロシア軍機を領空侵犯を口実に撃墜した事件を正式に謝罪し、ロシアとの関係修復に乗り出したことへの警告と取るのが妥当ではないでしょうか。
NATOに属するトルコは領空侵犯を理由にISに効果的な爆撃を行っていたロシア軍機を撃墜し、ロシアによるIS撲滅を止めるか、あわよくばNATOを巻き込んだロト戦争にまで発展させようとしていた可能性があります。ウクライナの内戦ではロシアが正式に親ロシア派勢力に加勢することを避け、NATOとの開戦に発展しそうになることをプーチンは避けてきました。トルコによるロシア軍機撃墜もプーチンは挑発にのらず激怒したいところを抑えて米国の一部勢力が画策する戦争への発展を防ぎました。戦争を始めたくないオバマやメルケルらの欧州指導者達もどこかでプーチンにシグナルを送っていたものと思われます。結局リスクを犯したエルドアンだけがはしごを外されて浮いた存在になり、国内の治安や経済が厳しい状態になってしまい、大量のシリア難民を欧州に送り出す戦略もEU諸国から総スカンを食って遂に英国のEU離脱といった事態にまでなりました。
もう中東で大規模な戦争は起こらない、サウジとイエメン、シリア、イラク、イラン、トルコがいくら挑発してもどこにも大規模な戦争は起きないことがはっきりしたからロシアと手打ちをしたということではないでしょうか。
現状に不満を持つ若者が銃の乱射など起こしても、ISに示唆されてやったことになり、ISも後追いで声明を出すような風潮が見られますがどうも怪しい。本当は何の関係もないのではと思います。
ところで、英国のEU離脱問題で、早速移民に対する嫌がらせなどが増加したと報じられ「多様性に対する寛容が足りない」といった批判が見られます。本当は多様性を認めていないのは移り住む先の文化や生活様式に対して寛容でない移民の方が問題なのだという視点はありません。大抵迷惑を被っている一般市民が批難の対象となります。異なる文化や生活様式で暮らす世界各地の人達の多様性を認めず、一つの経済法則を押し付ける左翼グローバリズムこそが「多様性への寛容」を身につけるべきであると私は思います。