1939年に設計開発されたソ連の双発爆撃機で、ツポレフSB−2と同様高速性能を重視した多用途爆撃機でした。ウラジミール・ペトリヤコフによって設計され、1,100馬力V型12気筒の水冷クリモフM105Rエンジン2機を搭載して高度5,000mで時速540kmに達したと言われ、護衛の英国製のハリケーンは付いて行くのがやっとであったと記録されています。中低高度からの急降下爆撃を主任務として、両翼にドイツ軍のJu-87の様なダイブブレーキを装着していますが、その高速性能から偵察や戦闘機としても活用され、終戦までに11,427機も生産されました。乗員3名、武装は7.62mm機銃3丁、爆弾最大1,000kg搭載、航続距離は1,200kmでした。第二次大戦における戦勝への貢献度が高い割りに、現存する写真はあまり多くなく、プラモデルの種類もあまり出ていません。今回作ったairfix製プラモもデカールなどの装丁は2000年以降のものでしたが、金型は中学生時代に作った物と同じ60年代でした。
Pe-2の実機 Aifix 1/72 Petlyakov Pe-2 Czech Air Force late1940's ダイブブレーキの配置が良く解る。
第二次大戦を生き延びた大量のPe-2は、戦後もポーランドやチェコスロバキアに引き渡されて爆撃・練習機として活用されました。今回作ったのはプラモに設定されていた1940年代後半にチェコスロバキア空軍で使用された仕様で、上面ブルーグレー、下面ライトブルー塗装です。チェコの識別マークは国旗を象ったものですが、赤(血・ボヘミア)白(清潔・モラビア)青(空・スロバキア)を表す汎スラブ主義のマークとされますが、機内から見て国旗と同じ配置になる様に、胴体に向かって内側が赤になる左右別設定であることが珍しいと思います。今回はアンテナをミシン糸でなく0.1mmの鋼線を使用してみました。金型が古い事や凸モールド(2B鉛筆で筋書き)など、簡単でない所もありました。中学時代に作った(やや雑な)飛行姿勢のPe2と並べてみました。
国籍識別マークの配置が特有で面白いと思います。上面はブルーグレー
チェコスロバキアの複雑な歴史をすんなり説明できる日本人は少ないと思いますが、1918年の第一次大戦後に独立するまでは、チェコはオーストリア、スロバキアはハンガリーに属していました。50%がチェコ人、15%がスロバキア人で残りがチェコスロバキア国籍のドイツ、ハンガリー、ルテニア、ユダヤなどの多民族国家だったようです。1938年のミュンヘン協定をきっかけにチェコスロバキアは解体に進み、1939年にナチス・ドイツと結んだスロバキアが独立、チェコは分割占領されました。チェコとスロバキアは以降もわだかまりが残ることになって1944年にチェコスロバキアが再興(1948年チェコスロバキア社会主義共和国設立)された後も対立することになります。1968年のプラハの春ではスロバキア出身のドプチェクはチェコとスロバキアの対等な連邦化を目指しますが、ソ連の介入で頓挫します。1989年のビロード革命で共産党支配が排除され、民主的な連邦分離が決議されて1993年にチェコとスロバキアは平和的に再度分離独立(ビロード離婚)し、EUに属して現在に至ります。尚国旗は現在もチェコ共和国がチェコスロバキアと同じ物を使用しています。
同じ金型の昔作ったソ連空軍仕様 飛行姿勢のものもそれなりに形良いと思う。