rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

BCD層間の争いになってきた米国大統領選

2016-02-16 18:30:54 | 政治

B層支持  ヒラリー・クリントン マルコ・ルビオ(ジェブ・ブッシュ)

C層支持  バーニー・サンダース テッド・クルズ

D層支持  ドナルド・トランプ

 

民主党サンダース候補とクリントン候補                共和党トランプ候補とクルズ候補                                  共和党ルビオ候補

 

オバマ大統領を継ぐ次の米国大統領を決める選挙戦は3月1日のスーパーチューズデーを前に盛り上がって来ています。アイオワ、ニューハンプシャー州の予備選挙では民主党はヒラリー、サンダース両候補、共和党はクルーズ、トランプ両候補が勝って今後の趨勢がある程度決まって来たようにも思われます。今までの大統領選挙は民主、共和どちらが勝ってもウォール街にとってマイナスにならない、(大して変わらない)結果であったので面白くなかったのですが、今回はかなり毛色の変わった人達が勝ち残って来ていて本当ならばもっと日本のメディアで詳しく取り上げられるべきです。しかし詳しく解説すればするほど米国社会の矛盾、ひいてはアベノミクスのインチキ度合いや日本の政治が米国の一部勢力の「言うがまま」になっている現実が明らかになってしまうので、ミサイル、シャブや下衆の話題ばかりを取り上げています。

 

さて、現在の米国大統領選挙の状態を解りやすくまとめる方法はないかと考えたのですが、私は米国におけるBCD層間の争いと考えると理解しやすいと思います。人を層分けするのは好きではないなどと言っておきながら矛盾する事になりますが、前ブログの「書評ミシマの警告」で紹介した政治の分野でよく使われるB層とかC層という色分けは2005年の小泉郵政選挙において自民党が「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略案」を広告会社に作らせた企画書に出てくる概念です。国民をABCDの各層に分類して、構造改革を進めるA層、「構造改革に肯定的でかつIQが低い(自分で事の善悪を深く思索せずにテレビ・マスメディアや政府が言った事を鵜呑みにする低レベルの人達)国民」としてB層という概念を設けました。一方構造改革に明確な政治意識を持って反対する立ち場の人をC層、なにも考えていない無関心層をD層と名付けました。B層を最も日本国民に多い層として劇場型の政治を行えば支持が得られる「構造改革に賛成か反対か」といった単純なフレーズを繰り返す事で支持を得る戦略を取り、思惑通り大勝利を収めました。

 

米国の1%のウォール街支配層達や軍産複合体の人達にとっては、グローバリズム(one world構想)推進や戦争を起こして経済を活性化させるといった方策を行える大統領を選ぶことが第一優先であり、多額の選挙資金寄付をしたり、支配しているマスコミを使って間接的に支援させたりしていますが、その思惑通りに支持をしてくれる人達がB層と言って良いでしょう。候補としてはネオコンの指示通りに動く民主党ヒラリー・クリントンや共和党では本流と言われる候補者達、マルコ・ルビオ、ジェフ・ブッシュといった人達です。マスコミの予想(願望)ではこれらの人達が最後は勝つと言っています。

 

一方社会の矛盾に目覚めた貧しい若者達やインテリ層に爆発的な人気を得ているのが自らを「民主社会主義者」と呼び、強欲な拝金資本主義を辛辣に批判するバーニー・サンダース上院議員です。ヒラリー・クリントン候補との公開討論会をCNNで見ましたが、「ウォール街やコーク兄弟から選挙資金をもらったら彼らの儲けを制限するような政策は取れないだろう。」とサンダース候補が言うと「国家社会にとって本当に必要な場合には躊躇無く制限する政策をやります。」とヒラリー、そこですかさずチッチッと指を立てて横に振りながら「あのね、彼らはお金を配りたいという理由でお金を配っているのではないのですよ。」と厳しい突っ込みをサンダース議員が入れて会場はやんやの喝采、ヒラリーも返す言葉に詰まるという見ていて面白い論戦です。

 

共和党のテッド・クルズは茶会がバックに付いていて、米国社会生粋の右派、リバータリアンに人気があります。日本人は米国の保守本流の理解は乏しいと思いますが、信条として小さな政府、反連邦制に近く、政府の統制が強いワンワールド構想やTPPなどという制限を嫌い、真の自由主義を信奉する「米国の建国の理念に忠実」な人達と言えます。だからサンダース議員とは正反対の立場にあるとも言えます。しかしサンダース、クルズを支持する政治意識に目覚めた自分の考えを持つ人達がC層と言って良いでしょう。

 

D層にとってのヒーローは何と言ってもドナルド・トランプ候補でしょう。彼自身悪態や差別発現は確信犯と思われますが、あまり政治に興味が無いD層の人達を大いに掘り起こして大統領選に注意を向けさせている点、ウォール街が推すつまらない共和党候補者達を毒舌で切り落とした点で大きな貢献と言えます。

 

A層推薦、共和党B層が支持するマルコ・ルビオ氏は我が安倍総理とも親交があって(ネオコンの手下仲間だから)、トップ候補に上がってくれば日本のニュースでも盛んに取り上げられると思いますが、トランプ氏とサンダース氏がトップの間は日本のニュースで大きく報道されることはないでしょう。こういった理解でこれからの展開を見て行くと面白いと思いまとめてみました。

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認知症は治るか

2016-02-11 01:12:25 | 医療

認知症について精神科の専門の医師の講演を聞く機会がありました。「目から鱗が落ちる」というか、医師であり高齢者の医療にそれなりに感心がありながら、実にあやふやにしか理解していなかった「認知症」について認識を新たにすることができたので備忘録の意味で記しておきたいと思います。

 

まずは題名の「認知症は治るか」という問いを発すること自体があまり認知症を正しく理解していないと言えます。認知症は「糖尿病」とか「胃癌」といった独立した疾患概念ではなくて「種々の症状の総称」であることを理解しないといけません。西洋医学はscienceですから、その組み立ては経験的(帰納的)ではなくて演繹的(論理的)でなければいけません。解剖学や病理学的な欠陥の裏付けに基づいて病気は定義されるのですから、症状があるだけで病気を定義することは本来の西洋医学から外れる考え方と言えます。 

認知症の話に戻しますと、アルツハイマー病や脳血管障害などの病気(これは病理学的な定義がある)の結果起こってくる記憶障害、見当識障害(時間や空間を認識する能力の障害)、計画力(論理立てて物を考える能力)の障害などの中核症状と、その中核症状に付随して起こってくる日常社会生活を送る上での様々な障害(周辺症状)を総称して「認知症」と呼ぶというのが正しい理解です。だからアルツハイマーや脳血管障害になったから必ず認知症になると決まった訳ではないし、その程度や内容も様々であると言えます。また「病気」ではなく「症状」なので治療ではなく、「対応の仕方」で軽減することが可能と言えます。治すという事で言えばアルツハイマーの治療は研究中ですし、脳血管障害は急性期であれば治癒の可能性もあります。

 

「認知症に対応」する上でその症状を軽減させる(社会生活をできるだけ送れるようにする)ためには、認知症の中核をなす症状の特徴を理解しないといけません。つまり中核症状と言われる記憶障害、見当識障害、計画力の障害の特徴を理解する必要があるのです。以下にその特徴をまとめます。

 

中核症状の特徴

1)記憶障害   生まれてから今までの人生経験の部分的な所を覚えていないのはほぼ全ての人がそうだが、例えば30代の経験がすっぽり抜けていてない、とか1週間前の記憶が全くない、といった時間の連続が途切れたような記憶の無くなり方が特徴、特に近い過去の記憶がすっぽりないことが多い。だから見慣れない所に来ると何故そこにいるのか理解できなくなる。直近の記憶がないと常に見知らぬ土地に来た不安な旅行者のような心理状態になっている。

 

2)見当識障害  記憶障害もからんで時間と空間の認識力が落ちる。空間認識の障害はベッドを縦に使わず横に使って寝たり、料理のフタを取って中を見るといった単純な行動ができなくなったりする。

 

3)計画力の障害  駅に行くためには、(1)着替えをして(2)財布を持って(3)戸締まりをして(4)近くのバス停に往き(5)駅往きのバスに乗るという動作が必要になりますが、(1)を先にやるか(3)を先に行うか考えつかない、そもそも(1)から(5)までの段取りを計画する事自体(普通は無意識のうちにやっている)ができなくなり「駅には行かない」と突然言い出してしまう。同様の事が食事を作る、買い物をする、といった当たり前の日常生活の障害(IADL=Instrumental activity of daily lifeの障害という)として現れる。「困ったら電話してね」と話していても「困る」と「電話」が計画性の中で繋がらないので電話はかかってこないことになる。

 

中核症状から現れる周辺症状

上記の中核症状の結果どうして良いか解らなくなり、起こしてくる反応には

 

どうして良いかわからない   パニック症状

自分や周囲への怒り      暴力、暴言、排泄物などを投げるなどの行動

拒絶、鬱、何もしない     閉じこもり、拒食、栄養障害による衰弱など

子供還り           全て依存する、小児期の風景を探す徘徊

 

といった問題行動(BPSD=Behavioral and psychological symptom of dementia)を起こしてきます。大抵周りの家族や介護をする人はこの周辺症状のBPSDに難渋することになって、医療者に「鎮静剤を打って」とか「薬で何とかして」と懇願するようになり、また社会的に「管理責任」が問われるのもこのBPSDの結果であることが多いと言えます。先日線路を徘徊して電車事故を起こし、ダイヤを乱したということで遺族が鉄道会社から管理責任を問われて損害賠償を請求された裁判があり、遺族側が敗訴するという判決が出ました。まさにBPSDが社会問題として取り上げられた例と言えます。

 

 

では、どうすれば良いのか

 

環境を変えない。

初めての場所に来た旅行者に説明するように丁寧に教える。

問題行動を起こしている時は、本当は何が困っているのかを見つけてあげる。

一度に一つの事だけすれば良いように接する。

中核症状の特徴を理解して接する。

 

といった事が挙げられると思われます。要は日本人が得意とする「阿吽の呼吸」は通用しないということをよくよく理解することだと思います。初めの問い「認知症は治るか」については中核症状を治すことはできないが、周辺症状を改善することはできる。接し方によって日常生活をほぼ問題なく送ってもらう(本人が心から満足しているかは別として)事は可能であるという結論になるでしょう。

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