B層支持 ヒラリー・クリントン マルコ・ルビオ(ジェブ・ブッシュ)
C層支持 バーニー・サンダース テッド・クルズ
D層支持 ドナルド・トランプ
民主党サンダース候補とクリントン候補 共和党トランプ候補とクルズ候補 共和党ルビオ候補
オバマ大統領を継ぐ次の米国大統領を決める選挙戦は3月1日のスーパーチューズデーを前に盛り上がって来ています。アイオワ、ニューハンプシャー州の予備選挙では民主党はヒラリー、サンダース両候補、共和党はクルーズ、トランプ両候補が勝って今後の趨勢がある程度決まって来たようにも思われます。今までの大統領選挙は民主、共和どちらが勝ってもウォール街にとってマイナスにならない、(大して変わらない)結果であったので面白くなかったのですが、今回はかなり毛色の変わった人達が勝ち残って来ていて本当ならばもっと日本のメディアで詳しく取り上げられるべきです。しかし詳しく解説すればするほど米国社会の矛盾、ひいてはアベノミクスのインチキ度合いや日本の政治が米国の一部勢力の「言うがまま」になっている現実が明らかになってしまうので、ミサイル、シャブや下衆の話題ばかりを取り上げています。
さて、現在の米国大統領選挙の状態を解りやすくまとめる方法はないかと考えたのですが、私は米国におけるBCD層間の争いと考えると理解しやすいと思います。人を層分けするのは好きではないなどと言っておきながら矛盾する事になりますが、前ブログの「書評ミシマの警告」で紹介した政治の分野でよく使われるB層とかC層という色分けは2005年の小泉郵政選挙において自民党が「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略案」を広告会社に作らせた企画書に出てくる概念です。国民をABCDの各層に分類して、構造改革を進めるA層、「構造改革に肯定的でかつIQが低い(自分で事の善悪を深く思索せずにテレビ・マスメディアや政府が言った事を鵜呑みにする低レベルの人達)国民」としてB層という概念を設けました。一方構造改革に明確な政治意識を持って反対する立ち場の人をC層、なにも考えていない無関心層をD層と名付けました。B層を最も日本国民に多い層として劇場型の政治を行えば支持が得られる「構造改革に賛成か反対か」といった単純なフレーズを繰り返す事で支持を得る戦略を取り、思惑通り大勝利を収めました。
米国の1%のウォール街支配層達や軍産複合体の人達にとっては、グローバリズム(one world構想)推進や戦争を起こして経済を活性化させるといった方策を行える大統領を選ぶことが第一優先であり、多額の選挙資金寄付をしたり、支配しているマスコミを使って間接的に支援させたりしていますが、その思惑通りに支持をしてくれる人達がB層と言って良いでしょう。候補としてはネオコンの指示通りに動く民主党ヒラリー・クリントンや共和党では本流と言われる候補者達、マルコ・ルビオ、ジェフ・ブッシュといった人達です。マスコミの予想(願望)ではこれらの人達が最後は勝つと言っています。
一方社会の矛盾に目覚めた貧しい若者達やインテリ層に爆発的な人気を得ているのが自らを「民主社会主義者」と呼び、強欲な拝金資本主義を辛辣に批判するバーニー・サンダース上院議員です。ヒラリー・クリントン候補との公開討論会をCNNで見ましたが、「ウォール街やコーク兄弟から選挙資金をもらったら彼らの儲けを制限するような政策は取れないだろう。」とサンダース候補が言うと「国家社会にとって本当に必要な場合には躊躇無く制限する政策をやります。」とヒラリー、そこですかさずチッチッと指を立てて横に振りながら「あのね、彼らはお金を配りたいという理由でお金を配っているのではないのですよ。」と厳しい突っ込みをサンダース議員が入れて会場はやんやの喝采、ヒラリーも返す言葉に詰まるという見ていて面白い論戦です。
共和党のテッド・クルズは茶会がバックに付いていて、米国社会生粋の右派、リバータリアンに人気があります。日本人は米国の保守本流の理解は乏しいと思いますが、信条として小さな政府、反連邦制に近く、政府の統制が強いワンワールド構想やTPPなどという制限を嫌い、真の自由主義を信奉する「米国の建国の理念に忠実」な人達と言えます。だからサンダース議員とは正反対の立場にあるとも言えます。しかしサンダース、クルズを支持する政治意識に目覚めた自分の考えを持つ人達がC層と言って良いでしょう。
D層にとってのヒーローは何と言ってもドナルド・トランプ候補でしょう。彼自身悪態や差別発現は確信犯と思われますが、あまり政治に興味が無いD層の人達を大いに掘り起こして大統領選に注意を向けさせている点、ウォール街が推すつまらない共和党候補者達を毒舌で切り落とした点で大きな貢献と言えます。
A層推薦、共和党B層が支持するマルコ・ルビオ氏は我が安倍総理とも親交があって(ネオコンの手下仲間だから)、トップ候補に上がってくれば日本のニュースでも盛んに取り上げられると思いますが、トランプ氏とサンダース氏がトップの間は日本のニュースで大きく報道されることはないでしょう。こういった理解でこれからの展開を見て行くと面白いと思いまとめてみました。