rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

新型コロナウイルスとパンデミック予測

2020-01-28 13:53:14 | 医療

中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(Novel Corona Virus : nCoV)は数日のうちに数倍の患者数となる広がりを見せています。一人の患者が何人に感染を拡大させるかを示すR0という指標が通常のインフルエンザが2程度であるのに対して今回のnCoVは英米らの研究者による論文では4近いとされます。そして発症率が5%程度と低いので感染者数はより多く、感染拡大阻止は70%以上可能ながら、パンデミックとなる可能性も高いだろうと考えられます。現状では、感染率が高くても発症率や死亡率が高くなければ普通のかぜ(コロナウイルスが多い)と同様と考えられますが、発症後の死亡率がインフルエンザよりも現状高いのでやはり注意が必要です。中国で2003年流行したSARSのR0は3程度で感染力は強めでしたが、2013年中東で流行したMERSは1以下と弱く、今回のnCoVはかなり強いと言えます。1月28日にWHOは新型肺炎の危険性評価を「中程度」から「高い」に改めましたが、この感染力の高さを反映したものと思われます。

 

今回のnCoV発生の2ヶ月前、2019年10月に米国Johns Hopkins大学のCenter for health securityで新型コロナウイルスによる感染が南米ブラジルの養豚場で発生したとして、それが全世界にパンデミック流行して、18ヶ月で65万人が死亡するというシミュレーションをしました。あまりにタイミングが良かったので同施設のEvent201のホームページには「今回の催しは中国の新型肺炎流行を予測したものではありません、フィクション上のウイルスで65万人死亡というモデルは今回のものと関係ありません」という但し書きが慌てて加えられました。ただ感染力の強いコロナウイルスが全世界に広がるモデルとしてはかなり良く練られたものと思われ、今後今回の肺炎の広がりとの比較がなされてゆくと思います。

 

今回の肺炎について、武漢の生鮮市場の生きた動物(ネズミ)が元ではないかと言われていて、科学誌Natureでも紹介されている武漢にあるセキュリティーレベル4(最高)の微生物実験施設から何らかの生物兵器や実験動物から漏れたものではないかという疑惑も囁かれています。この施設ではSARSウイルスの研究も行われていて、今回のウイルスがSARSに遺伝子配列も似ている事も疑惑に関連してます。まあこの手の疑惑は陰謀論を含めて証明しようもないですし、明らかにされることもないでしょうが、2020年1月14日には新型検査キットが深圳(武漢でなく)の大学で開発されたという発表などかなり前から(しっかりした簡易検査キット開発には最低2-3ヶ月は必要と思う)nCoVの詳細を政府は知っていた可能性は示唆されています。日本での感染確認は国立感染症研究所に検体を送って公表された遺伝子から作られたプローブでRNAを増幅するPCR法で確認しているのでどんなに早くても1-2日はかかります。普通簡易検査は遺伝子でなく蛋白を抗体で検出するものですから、そのウイルスに特有の蛋白構造に対する特異的な抗体をマウスなどに産生してもらった上でそれを精製、大量増殖してきちんと反応することを確かめてからキット化するという大変な手間がかかります。武漢は早々に都市閉鎖されましたし、邦人救出に動いた米国、日本政府もこのウイルスがただ者ではないとの情報を教えてもらった(米国から?)と考えるべきかもしれません。

今回のウイルスが広がった原因は、本来レベル4の微生物実験施設で廃棄殺処分される予定の動物が「元気そうだから」という理由で殺処分されずに市場で売られて、持っていたウイルスが散撒かれたというお粗末な理由が一番ありそうな気がします。施設で働く全ての職員が高度な知識と倫理観に裏打ちされているなんてことはあり得ません。まあこれは単なる想像ですが。

今回の新型感染症、日本における流行は予断を許さない状況ですが、もう少し冷静に経過を見守って行こうと思います。

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Fairey Swordfish Mk I Airfix 1/72

2020-01-19 15:18:42 | プラモデル

フェアリーソードフィッシュ(メカジキ)は1930年から開発が始められ、旧式で鈍足(220km)な複葉機でありながら第二次大戦で連合軍最大の撃沈数を誇る攻撃機となりました。有名な戦果は空母イラストリアスから発してイタリアのタラント港の夜間攻撃やドイツ戦艦ビスマルクの撃沈があげられますが、他にもロケット弾によるUboat攻撃はかなり有効であったと記されています。総生産数は3,400機に上り、乗員はパイロット、観測士、無線士の3名で対船レーダーを備えた機もありました。武装は7.7mm機銃を機首と後方に2丁備えるのみで、1,670ポンド(757kg)の魚雷積載(か60ポンド8発のロケット弾または1,500ポンドの爆雷)が大きな戦力でした。

Historic Flight の際の実機

模型は1950年代の金型で、1993年に英国で現存するソードフィッシュがHistoric flightを行った記念にBoxartと転写マークを一新して発売されたものです。Airfixからは2012年に新しい金型のソードフィッシュが発売されていて、こちらは主翼の折りたたみや風防も付いているのですが、古い物は風防は自作です。乗員も2体しか付いてなかったので他から流用し、Riggingも可能な範囲で行ってみました。1943年から実用化された艦上戦闘爆撃機のFairey Fireflyと戦後対潜哨戒に使用されたFairey Gannetを並べてみました。フィアフライは戦闘機と言いながらSwordfishの後継として開発されたFairey Barracudaと同じくらい重く、戦闘機としての評判は良くありません。

Airfix 1/72 Fairey Swordfish Mk I 記録写真では魚雷とロケットを選択して装備可能にしている機もあった。

Fairey社製の英国海軍機達(Fairey社は1950年代にウエストランド社に吸収されてなくなった。それもなくなって現在英国の主な航空機会社はBAEシステムズのみ)

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NHKBS 欲望の資本主義2020 感想

2020-01-15 18:46:56 | 社会

2020年1月NHKBSで欲望の資本主義2020が放送されました。昨年、一昨年も「欲望の資本主義」と題して各界の識者や経済学者が現在の資本主義の問題点を浮き彫りにしたのですが、今年は「不確実性への挑戦」と銘打っての展開となりました。ポイントは「実体経済は様々な経済学の理論通りに行かない」が「学問として何らかの経済学に沿って経済運営する他ない」現実において、我々はどう対応すべきか、つまり理論通りにゆかない「不確実性」の原因と対策は何か、という事です。

番組のホームページから(動画リンクはありません)

以下内容の抄録ではなく、備忘録として気付いた点についての感想をまとめます。

 

○ 何故経済理論通りにゆかない?

・  人間の欲は無限であり、また一方で希望が持てない状況では無欲でもありえるから。(中間層がなくなり、社会が二極化してくると欲の多寡も二極化してくる)

 

○ 異次元の緩和(市場の貨幣を増やす)は有効か?

・貨幣には下に示すような3つの意義があります。

貨幣の意味 1)異なる物の価値を比較する物差しとしての役割

      2)価値そのもの(金や貴金属の替わり=金属主義としての貨幣)

      3)経済を循環させる水の役割(負債の記録、帳簿としての名目)

一部の人や企業、ファンドなどに金が貯まって、それらが限られた名義のままTax havenなどに塩漬けにされたままで一般の人達に広く分配されないと、実体経済で循環される貨幣が足りなくなって不況(或はデフレ)になってしまいます。だから市場に貨幣を増やせば好況になるはず、という理論です。

異次元の緩和は、3)の意義を満たすという点では正しいのですが、市場に出した貨幣が実体経済内で循環し続けないで、塩漬けされた蓄財や一部信用経済に吸い込まれてしまう現実があって100%理論通りには行きませんでした。リフレ派の元日銀副総裁 岩田紀久男氏と元日銀理事早川英男氏の掛け合い漫才の様な対論が実に興味深く、理屈通りには行かない現実を物語っていました。

 

○ 新たな理論としてのMMT (modern monetary theory)はどう?

・  昨年来注目を浴びるMMT理論ですが、要は「政府は赤字を気にせず、自国の発行する通貨で財政出動を許容されるインフレの範囲内ならいくら行っても良い」とするものです。

異次元緩和で市場に貨幣を散撒いても、所有者が限定された蓄財分野に吸い込まれて塩漬けされてしまうなら、吸い込まれて塩漬けされた分、新たに貨幣を発行して実体経済(庶民)に供給し続ければよいじゃん、という発想です。これに驚懼しているのは塩漬けマネーを持っている金持ち達、つまり貨幣の意味として2)「価値そのもの」を重視している人達です。1)3)として貨幣を考えている人達にとってはMMTはあまり怖いものではありません。ただ2)として貨幣を溜め込んでいる人達がGoldや貴金属(将来に渡る変わらない価値)としての貨幣の意味がなくなる、と考えて一期に溜め込んだ貨幣を実体経済につぎ込むと「ハイパーインフレ」が起こる事も確かでしょう。

 

○ 世界が畏怖するデジタル貨幣は?

・今回の番組では取り上げられませんでしたが、中国で現実化されつつある「デジタル人民元」による経済運営は、貨幣の1)と3)の意義を大きくし、デジタル上の仕様を変えてしまえば(新通貨の発行)貨幣を2)として溜め込む意味を少なくする事も可能となってしまいます。通貨の使用が全国民の個人番号ごと把握されてしまえば脱税も不正送金やロンダリングも不可能になります。こうなるとMMTの弱点は考えなくても良くなる可能性があります。

 

○ 温故知新的な宇沢弘文氏の「社会的共通資本」の思想

・  ジョセフ・スティグリッツ氏も激賞してましたが、日本の誇る世界的経済学者の宇沢弘文氏が提唱した「社会的共通資本」の考え方こそが、行き詰まった経済運営に解決の糸口を示すものではないか、というのは私も同感です。経済も政治も人類、社会生活が豊かになるための「方便」「手段」に過ぎない、経済の拡大が目的ではない、という大前提に立ち戻って、医療や教育といった利潤追求では目的達成ができない事象は「社会的共通資本」として経済原則から外して考えよ。利潤追求を可能とするのは特定の分野に限定せよ、という思想です。

 

以上、不確実性への答えは明確ではありませんが、質の高い、内容のある良い番組でした。

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Lavochikin LA-5 1/72 ITARELI

2020-01-05 17:03:23 | プラモデル

1982年頃製造されたイタレリ製(後タミヤ模型が販売した時期あり)のラボーチキンLA-5を作りました。ソ連製の戦闘機はあまりプラモデル界では人気がなく、ポリカルポフI-153やI-16、Yak戦闘機位しか見当たらないのですが、それは塗装や部隊の詳細が冷戦期には西側であまり紹介されてなかった歴史があるからと思われます。その中ではLa-5の模型は貴重なものと思います。ソ連機はI-16もこのLa-5もそれぞれ1万機近く大量に製造され、実戦に投入されたのですから名機と言ってよい物と思いますし、様々な塗装のバリエーションがあったものと思います。

これはLa-5の発展型のLa-7

La-5は大戦初期に導入されたLagG-3の改良版で、LagG-3が防御能力を高めた単葉機で水冷1,100馬力エンジンを搭載したものの非力で操縦性能が悪く「ラッカー塗装の棺桶(頭文字がLAGG)」とまで揶揄されて評判が悪かったのに対して、1,700馬力空冷エンジンに換装し、種々の改良を施したため、ドイツ空軍のメッサーシュミットと互角に戦える戦闘機として多くのエースを産み出したと記録されています。

それでも機首が大きく張り出していて離陸時などは前がほとんど見えない状態であったと思われ、広いソ連だからこそ使いこなせた機体のように思います。

La-5 43年頃グレーの2色迷彩    I-16も旧型機でドイツ機の恰好の餌食となるものの1万機の生産を誇り、大戦前半の戦線を支える力となった

古い模型ながら老舗のイタレリのモデルは整合も良く、モールドも明瞭で出来上がりも綺麗です。デカールは古くなって色褪せが目立つ感じでしたが使用可能でした。塗装は説明書と異なるのですが、2000年初版の大日本絵画オスプレイ・ミリタリーシリーズ「第二次大戦のソ連航空隊エース」を参考にして上面は濃淡ブルーグレーの迷彩、下面ライトブルーにしました。一世代前のI-16と並べてみました。

ドイツ空軍は100機200機撃墜のエースを主に東部戦線で多数輩出しましたが、ソ連では万単位で多数の航空機が作られていたから結果的に戦争自体には勝つことができなかったのでしょう。一方で共産主義体制は命令一下、国を挙げて生産力を軍事に集中する権力を行使できたものの、戦争が終わってみるとそれを民生の充実に振り向けることはできず、結局大量の無駄な軍備を生産し続けることになり、50年後のソ連崩壊に行き着く事になったと思うと時代と状況でどのような権力構造が社会に必要か考えさせるものがあります。

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Junkers Ju188 F-1 Matchbox 1/72

2020-01-03 14:35:58 | プラモデル

 年末の休暇を利用してまた古い買い置きプラモを作りました。

 第二次大戦時のドイツ空軍爆撃機にはいくつかの系譜があって、第一次大戦敗戦から空軍保持を禁じられていたことから再軍備を宣言するにあたって旅客機から転用したハインケル111やユンカース52など、郵便機から転用したドルニエDo-17、そして新たに高速爆撃機の開発を命じてから開発されたユンカース88やドルニエ217などがあります。

 ユンカースJu188はその前型で大戦全期間を通じて活躍したJu88が1.5万機も生産されたのに比して開発が遅れたため数百機が終戦まで実戦配備されたに過ぎないものでした。実際はほぼ同時期に開発されたと記録されていて、Ju88AとBのBに相当する機体であったようです。真のJu88の後継機は長距離大型爆撃機としてHe177グライフ等と同様の系譜に属するJu388が当たります。

 Ju188は当初目指した戦闘機よりも速い爆撃機の目標は達成されず、偵察機や夜間爆撃機として転用されることになりました。連合軍が大戦後半にかけてB17、B24、ランカスターなどの大型爆撃機の名機が多いのに比して枢軸軍は守戦に適した防空戦闘機が発達した事と対照的です。Ju188は卵型の特徴的なコックピットを持ち、視界が広く、パイロット用の計器類も天井からヘッドアップディスプレーの様に懸架されるなど近代的な工夫も見られました。エンジンはBMW星形空冷14機筒1,700馬力2機で最高速度は500km、爆弾積載量は3,000kg、航続距離は約2,000キロでした。

下面の風防は透明部品でないのでスモーク状に塗りました。  迷彩はやや特異な縞模様

 模型はmatchbox製で1970年代の金型と思われ、後にドイツレベルに吸収されますが、懐かしい3色のプラスチック製(部品数によって2色だったりする)です。古い金型の割には整合は良い方で、説明書によるとJu188 F-1型、機首に機銃のない偵察機型です。塗装は43年頃デンマークに配属された部隊の物でBoxartに示されていた蛇の様な緑のシマシマにしました。エアスプレーは今まで色毎のスプレー缶のものを使っていたのですが、細かい作業ができないのでAmazonで購入したRaywoodの6千円の物を初めて使用しました。耐久性はまだ解りませんが、ダブルアクションも可能で、使用後の手入れも先端のノズルを緩めてシンナーのうがいも簡単に行えて使いやすいと思いました。尾翼の鍵十字は例によってキットに付いていなかったのでネットで見つけた愛知県の「模型工房みりたり庵」さんから購入。1/72キット用の鍵十字ばかり各種揃って1シート500円と手頃でメールでの対応も丁寧でした。前回作った旅客機から派生したハインケルHe111と並べるとJu88の様な急降下爆撃の機能はないものの、ハインケルより一回り小さい事が解ります。

ハインケルHe111よりも一回り小さくでスリムな感じ。

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