rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

中国公安ウイグル人弾圧の内幕

2008-05-11 18:11:57 | 政治
中国公安ウイグル人弾圧の内幕

会員雑誌「選択」の5月号に「中国公安ウイグル人弾圧の内幕」と題するレポートが掲載された。チベットに対するあからさまな弾圧とその抗議への執拗な抵抗が明らかになり、中共政府の現実がようやく世界に知られるようになってきたが、チベットと同様建国後に中共が侵略征服したウイグル自治区(住民900万)の現実について報道されることは少ない。今回ウイグル人でありながら中国公安警察に勤務し、住民弾圧に直接加担した後、同胞への虐待に耐えられずに国外に亡命し、現在ウイグル人亡命者の国際組織「世界ウイグル会議オランダ支部長」となったバフティアル氏への取材から、弾圧の実際が具体的に紹介されている。

記事をそのまま載せるわけにはいかないので概要を紹介する。

<住民への公安の監視制度>
治安上要注意人物は3年間観察対象とする。
反政府活動で逮捕された者は一生観察対象とする。
地域で共産党に協力的な者4人を選び定期報告をさせる(四保一戸)。
注意人物の周囲住民10戸を協力家庭として定期報告させる(十保一戸)。
公安警察が市民のスパイを数人雇い、反政府活動の情報収集をする。

<97年2月の「イリ事件」について>
地域の文化活動を目的に集まった「マシュラップ」を反政府活動として解散させたことに不満を持った青年700名がイリカザフ州の首都グルジアで反政府デモを行った。公安警察が直ちに動員され、デモ参加者を拘束、グルジアの監獄に収監した。

収監者達は膝を抱えた姿勢で手足を縛られ、レンガを積み上げるようにトラックに積載されてその上に漢人の警官が座り監獄に運ばれた。トラックからは荷物を投げ下ろすように放り投げられ骨折する者も出た。取調べでは拷問が行われ、棍棒で頭蓋骨を割られる者、爪を剥がされる者、手指から足先に電気を通される者、裸で雪の上に座らされる者、女性には性的暴力も行われたという。

その後3ヶ月、グルジャ市は戒厳令が敷かれ、警察の報告で2万5千名の市民が逮捕された。裁判で実刑判決が出された者を運ぶトラックに集まった市民から激励の言葉がかけられた時、戒厳令下に武装した兵士が発砲、3人の市民が死亡、30数名が負傷した。

<チベットでも同様のことが>
バフティアル氏はイリ事件の後、同胞への弾圧に我慢できず亡命したのであるが、これがほんの10年前の事件であることに衝撃を受ける。現在チベットでデモに参加したとして大量に拘束されている人々が同じ運命にあることは間違いない。

以降は私見ですが、拙ブログ5月2日の書評「歴史とは何か」でも述べたように中国は国民国家の成立を目指していると思われるが、その国民とは「漢人のための国家」に過ぎないことがウイグル、チベットの現状を見てよくわかる。中国は19世紀型の侵略と圧制による帝国を夢見る国家である。

日本のマスコミ、政治家、経済界もすでに帝国主義中国に間接侵略され、アメリカの覇権が消えればすぐにでも中国に飲み込まれるのではないかという危惧もある。ウイグル、チベットの姿は明日の日本かも知れない。しかしそれに対抗することは戦争ではない。戦争をすれば14億を敵にまわすことになりまた確実に敗戦である。拙ブログ4月28日の書評「中国の闇」に示したように、帝国主義中国もその内情は磐石ではない。我々が注目する中国とは経済発展の恩恵に浴する上澄み2億人の中国であり、発展に乗り遅れた残り12億人については無視していないだろうか。2億人が日本人と同じ生活をしただけで経済規模は日本を上回る。我々が帝国主義中国に飲み込まれないための方策は、現状に不満を持っているであろうマジョリティ12億人をいかに味方につけるかということに思える。
コメント (4)
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