rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

映画EYES WIDE SHUT感想

2018-12-21 22:56:36 | 映画

EYES WIDE SHUT 1999年米英 監督スタンリー・キューブリック 主演トム・クルーズ(ビル・ハーフォード医師)、ニコール・キッドマン(アリス/妻)、シドニー・ポラック(ヴィクター・ジーグラー)

 

 プチ倦怠期の夫婦の浮気願望をベースに使いながら、一般人の住む「表社会」と超エリートのみからなる「秘密の裏社会」があることを暴露したキューブリック監督の遺作。秘密裏に制作されたものの、公開直後に監督は急逝してしまい事件性はないとされるものの映画の中で描かれたように秘密をばらした罪を償わされたのではという陰謀めいた話も絶えません。文章と写真だけではこの映画の独特の雰囲気は表せないので、見た事がない人はこの解説を読んでから是非レンタルなどで実際にご覧になることをお勧めします。

 

 映画は、明るい虹・クリスチアニティ(各所に出てくるクリスマツツリーに象徴)で表現される「表社会」と、暗くサタニズムに基づく「裏社会」の対比がストーリー内に豊富にちりばめられた暗喩で描かれます。「目を硬く閉じて(見なかったことにしろ)」という題名は秀逸。割と裕福(名前のビルが示す様に映画内で札を気前良く払う)な階級の医師ビル・ハーフォードは患者で超富豪のジーグラーのパーティーに妻と共に招待され、そこでコンパニオンの若い女性達(奴隷階級)から「虹の向こう(裏社会)に行きましょう」と誘われる所から彼の非現実的な旅が始まります。

 

パーティーで虹の向こう(裏社会)に誘われる所から非現実的な旅が始まる       表社会の各所は虹色の象徴が使われる

 

 旧友のナイチンゲールから秘密の儀式へ入る合い言葉(Fidelio=忠誠)を知り、ロングアイランドのソマートンの屋敷で行われている(ロケは英国の実際にロスチャイルド家が所有するメントモールタワーで行われたと)裏社会の儀式に迷い込むのですが、そこは仮面はつけているものの裸身の奴隷階級とマントを着た支配階級が別れて面妖な儀式や乱交が行われている壮絶な場所。結局ビルは身分がバレて放逐されますが、一般人を入れてしまった者の過ちは死であがなわれます。この儀式の場面の音楽はRomanian chantを逆再生して悪魔の儀式にしている由、迫力があります。また儀式を司る赤いマントの司教?は実在する組織のシンボルを象った椅子に座っています。このような儀式は、実際は小児性愛や血のカニバリズムといったもっと凄惨なものであって、参加した者は絶対的な組織への忠誠と秘密を誓わされるという噂もありますね。

 

儀式の外ロケに使われた屋敷                  組織の秘密儀式の様子 各所に象徴的デコが使われている

 

 妻のアリスはパーティーでハンガリーの実業家(Sandor)に二階(虹の向こう)に誘われるのですが、「奴隷」としてか「支配階級」としてかが問題となります。これは後半に妻が話す夢「裸で乱交している周りを沢山の人が見ている」で奴隷階級の方であったことが明らかに。Sandorという名前も悪魔教会の創設者(Szandor Lavey)から取ったものだろうという話も。ビルの夢想的な旅の途中で何人かの女性達に会ってSexualな雰囲気になるのですが、その女性達は秘密の儀式において奴隷階級として参加していることが劇中の小道具などで暗喩されるのですが、これは説明されないと一度見ただけでは判りません。ビルは儀式の中と同様これらの女性達と関係を持つことはなく終わります。

 

ヘレナのクリスマスプレゼントも象徴的                         監督と出演者達

 

 最後の娘のヘレナにクリスマスプレゼントを買いに行くデパートのシーンも小道具の暗喩が満載です。遠景にジーグラーのパーティーに出席していた人達(支配階級)が見える所で、ビルが旅の途中で会っていた奴隷階級の娘達が部屋に飾ってあったぬいぐるみをヘレナは「欲しい」と言って駆け出してしまいます。子供から目を離してはいけない社会で大丈夫か、と思わせる中、妻アリスが「結局なんだかんだ言っても私たち(奴隷階級)はF○CKでもするしかないわね。」というラスト。一説では妻と娘のヘレナも既に奴隷階級としてマインドコントロール(Monarch beta-programming mind control 覚醒状態でかかっているマインドコントロール)されている事を示唆しているという話もあります。オウム真理教など覚醒状態のマインドコントロールは実際に可能であることが判っていますから、この映画がある種の真実を暴いてしまっているものであるならば「隠しておきたい勢力」にとって、キューブリック監督は許し難い存在であったかも知れません。昨年ハリウッドのセレブ達(実際は奴隷階級)が一時me too運動などで人権復活を叫んだような時期がありましたが、監督などの下っ端の好色家が犠牲になっただけで「真の支配階級」に追求の手が行く事はなかったようです。しかし現在米国社会、フランスの社会もDEEP STATEと呼ばれる人達の力が弱くなり、体制がかわりつつある中、この映画で描かれたある部分が事実として明らかになる時がくるかも知れません。

 

 追記(2019.12.28)米国の富豪ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein) が、ニューヨークの刑務所に収監された状態で自殺した事件も、まさにカリブ海のエプスタイン島で世界の富豪達、米国大統領やイスラエル首相、英国王室まで招待(顧客?)して繰り広げられた小児性愛やカニバリズムの秘密儀式が暴かれそうになって慌てて火消しした、というのが実体でしょう。恐らくは自殺したことにして別の顔と姓名を与えられてどこかで余生を過ごす(殺されればあらゆるセレブの秘密が自動的に発表されるといった仕掛けをして権力者を脅していたはず)ことになったのでしょう。これからはこの事件、ほぼ無かった事になりそう。

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データ階層社会という支配構造に適応するには

2018-12-11 18:53:23 | 社会

データ階層社会化は必然か

 

 雑誌、週間東洋経済2018年12月1日号の特集は「データ階層社会」と題されたもので、AIによるビッグデータを基にした個人のスコアリングが進み、国民の情報がデータとして一元管理されるようになることで人々がごく一部のエリートと多数の無用者階級に分断されてかつてないほどの階級社会が実現するというものです。「サピエンス全史」「ホモ・デウス」の著者で、ヘブライ大学の歴史学者ユバル・ノア・ハラリ氏が提唱する社会観で、ごく一部のエリートがロボットやコンピュータを支配し、遺伝子工学を使って自らを超人類「ホモ・デウス」に高める一方で、残る殆どの人達はAIよりも能力が劣る無用者被支配階級として生きて行く事になります。

 

 このデータ階層社会は既に一部現実化されていて、雑誌で紹介されているシンガポールはエリート支配の選別国家として例外的生き方が許されない(経済と学問に優れた者以外は肉体労働者として区別され、政治的意見・行動は許されない)社会になっています。中国もキャッシュレス社会になって携帯のアプリが経済状態から政治的な従順性まで点数化されて「君は何点」と表示される社会になっていて、国民はその点数を見て人を評価するようになったと説明されます。日本においてもNTTドコモやヤフーといった企業が信用スコア事業を展開すると表明していてビッグデータに基づく国民のスコア化、プロファイリングが実現されつつあります。

 

 日本はまだ遅れている方なので、このデータ階層化を積極的に進める方向の論調が多いようですが、欧米では行き過ぎた個人データの漏洩や利用に対して逆に「個人データを守る」方向に逆舵が切られる動きもあるそうです。2018年6月には米国カリフォルニア州議会が「消費者プライバシー法」を可決して、20年から施行されることになり、GAFAなどの大企業に対して個人の持つ情報を開示する権利が保証され、他企業などへの情報販売を拒否する権利ができるそうです。欧州でもGDPRと言われる一般データ保護規則が制定され、私が所属する国際泌尿器科学会(SIU)からもニュースや関連するお知らせなど、メールを利用して送信しても良いか承諾する書類が回って来たりしました。

 

 しかしAIの進化の中では「データ階層化」の流れはある程度止められないような気もします。そうなると国家や人権は虚構化する、殆どの大衆は限られた自由空間の中で飢えない程度に食べ、適度な娯楽を与えられて飼いならされて生涯を過ごすという社会に行き着く可能性もあります。

 

社会の支配構造の変化

 

 社会における支配階級を形成する構造を支配構造と呼ぶならば、昭和の中程までは東西冷戦が続いていて、将来資本主義が勝つのか、社会主義・共産主義の社会になるのか未定という時代でした。世界は資本主義的な支配構造と社会主義的な支配構造が混在した社会でした。1970年代の日本では恐らく30%位の人達は、資本主義は堕落した悪い経済社会体系であって、将来共産主義が世界を席巻するだろうと真剣に考えていました。国立大学の経済学部の殆どがマルクス主義経済学を教えていて、その余波で未だに日本には世界に通用する経済学者がいません。当時の若者は資本主義の一般社会に出て社会の階段を一歩ずつ上がってゆく他に「反体制」を唱えて全共闘的・マルクス主義的な支配構造に入って行くことで比較的簡単に指導的立場に立って周りから尊敬を得ることもできました(実際には虚構でしたが)。全共闘世代の人達は取りあえず資本主義的社会にモラトリアムとして出て、将来共産主義になってから本来の自分を実現してゆくのだと考えていた人達が大勢いました(結局一生モラトリアムのままになったのですが)。しかしそれはそれで、真剣に自分を見つめて社会にどう適応して生きて行くかを考えた結果であって、一概に批判するべきではありません。

 

 90年代になって社会主義、共産主義が否定されると、「資本主義が全てに勝る」という思想がはびこり、共産主義経済で世界を統一することを夢見ていた人達の一部が今度は「グローバリズムという単一的価値観」で世界を統一しようと夢見るようになります。彼らはネオコンと呼ばれて、元々大きな力を持っていた世界金融勢力と結びついて有無を言わせず世界を統一(ワン・ワールド化)しようとします。弱者の立場から人権などを唱えていたリベラルと呼ばれる勢力も、資本主義的グローバリズムに入り込んだ上でワン・ワールド化に利用される形で一方的な価値観を世界に強制するようになりました。こうなると金も力もない若者達は簡単に資本主義に根ざしたリベラル陣営に加わることもできず、「拝金主義」「金を持ってなんぼ」の方向で生きるか、社会から一歩引いて「ネトウヨ」として自己を満足させてくれる言論空間に身を置くか、という方向になって来ました。

 

 ここで「データ階層社会」という支配構造に微妙に社会が変化して、AIという人間の能力を超えてしまった支配者を相手に生きて行くことを強いられるこれからの社会において、金も力もない若者はどのように適応して生きるかという問題が生じます。この問いの一つの答えと思われるものが内田樹氏のブログに紹介されていました。「空虚感を抱えたイエスマン」と現代の若者達を表現しているのですが、「虚しい・・」と言いながら、現状を追認し、長いものに撒かれ、大樹の陰に寄る、ただのゴマすり野郎とは違う、クールでスマートにさえ見える若者達という事だそうです。長い文ではないので詳しくは氏の文を読んで欲しいのですが、まさにデータ階層社会に適応する生き方のようにも感じました。

 

 フランスで勃発した「反マクロン暴動」というのは、欧州における民衆による何か新しい政治の動きのようにも見え、あらがい難いAI主導によるデータ階層社会の未来に一石を投じるものになる可能性もあります。まあ日本に飛び火する事はなさそうですが、中国の経済失速、トランプ政権の行方とともに未来は変わる可能性の一つとして注目してゆきたいと思います。

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米中新冷戦と身近に起こった事

2018-12-10 19:04:50 | 社会

米中関係は習近平政権が「宣戦布告なき戦争」と位置づけ、外交、軍事、経済まで「全面的かつ総合的な対米戦の準備」を進めているそうです(雑誌選択2018年12月)。米国による対中国技術漏洩対策として貿易問題以外にも次々に政策が打たれているのですが、民主党クリントン政権は中国融和政策と経済発展を援助するための投資を積極的に行うことで、多くの先端技術の移転を進めてきました。結果はファーウエイ(華為技術)のスマホが米国の政府機関でも使われて、機密事項が知らないうちに漏洩するまでになり、政府機関における中国製(HUAWEI, ZTE)IT製品使用禁止、昨今の孟晩舟CFO逮捕にまで発展してきています。

 

中国は2008年からいずれ米国との技術戦争が到来することを視野に入れて高度な技術を持った外国人技術者を中国国内に獲得する「千人計画」を進めていたそうですが、千人計画のリストに載った研究者は米国FBIの監視対象になるなど計画通りには進まなくなって来ているということです。また米国に35万人滞在するという中国からの留学生、研究者に対するビザの有効期間が科学・工学分野では従来の5年間から1年に短縮され、早期に帰国せざるを得ない状況になっているそうです。

 

先日、この影響と思われる事象が私の下にもありました。ある日全く知らない米国の中国人研究者からメールが届き、米国に永住権を得るために「彼が基礎医学分野で優れた研究をしている」ことを第三者の立場から証明して欲しい。という内容でした。知らないと言っても、私が今年始め頃に出した医学論文で彼の文献を引用文献として使用したので「あなたならば、私がこの分野で良い研究をしていると証明できるだろう」と考えてお願いした、と言う事でした。メールをもらった時点では留学生・研究者のビザ短縮の情報はまだ知らなかったので、これは新手の詐欺ではないかとまず警戒しました。添付されていた彼の履歴書(CV)には米国ベイラー大学医学部を卒業して、現在ワシントン大学の中国系アメリカ人が主催する研究室で研究中とあります。数々の賞も授賞していて本当であれば大変優秀な人材であることは確かです。私が米国に留学していた時、半年後から中国からやって来た劉君という医師がいたのですが、同年代ながら目を見張るような優秀な人だったので「中国にはいくらでも優秀な人がいる」ことは実体験として理解していました。彼とは英語でコミニュケーションするより漢字を書いて意思疎通をすることが多かったので周りの欧州系の研究者達から異国人同士が「不思議な記号の様な物で会話ができている」ことをamazing!と不思議がられました。

結果的に今回のワシントン大学の彼が弁護士と相談して私の英語のCVも送って書類にサインしてくれ、という話になったので「英語のCVはない」という事にして断りました。CVとサインと偽のパスポートがあれば当人に成り済まして背乗りすることも可能です。私はNYの大学病院への留学経験もあるし、公務員であった経歴もあるから悪用しようと思えば便利であり、やはり警戒します。その後連絡はないのですが、後になって米中対立からの上記のような背景があったことを知ると今回の事は詐欺ではなく本当だったかなあ、と思う次第。

いろいろな事が関連しているのだなあと思い、備忘録として記しました。

CVの一部 大変優秀だと思う

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移民・難民についてのNHKの秀作

2018-12-05 18:09:13 | 社会

NHKは受信料を払っていることもあって辛口の評論を書く事も多いのですが、時々素晴らしいと思う番組に出会います。先週末に放映された移民、難民についての2つの番組は内容、視点、編集ともに見所のある良い番組であったと思います。一つは「映像の世紀プレミアム第10集難民〜希望への旅路」で今ひとつは 「BS1スペシャル静かなる侵略 中国新移民に揺れるオーストラリア」です。

 

映像の世紀、映像の世紀プレミアムは共に20世紀に撮られた記録映像や写真をふんだんに使って歴史や社会の問題に切り込む秀作ですが、今回再放送された映像の世紀プレミアム 第10集、難民〜希望への旅路 は第一次大戦で帝政ロシアからドイツのスパイ容疑で多くのユダヤ人達が住居を追われて難民となる所から、現在のシリア難民まで、本人達の意思に関わる事なく生活の場を追われて身体一つで未知の場所へ移動せざるを得なくなった人達が世界でいかに多かったかを痛感させられるものでした。第二次大戦におけるユダや難民は有名ですが、大戦後多くのドイツ人達が支配地を追われてドイツに難民として追放されたこと(1,400万人と言われ、そのうち200万人が死亡したとも言われる)はあまり取り上げられることがなく認識を新たにしました。戦後ドイツの人口の1/5近くの人達がこれらの被追放者であったこと、そこから苦労して戦後の社会を作り上げて行ったというドイツ人達の経験が現在の難民受け入れへの柔軟な姿勢にも現れていると言われます。ベトナム戦争における南ベトナムの人達が米軍からも戦後北ベトナムからも苦労をさせられた事、ユダヤ人のシオニズムで新たなパレスチナ難民が生まれた事など改めてその経緯を振り返ると各個人の「故郷の権利」と「自己決定の権利」が主に他国の都合によって侵害されてゆく事実が虚しく、残念ながらこれから先の未来にも起こる可能性が高いと暗澹とした気持ちにさせられます。

 

難民達(番組ホームページから)           敗戦後のドイツ追放者達の移動                 ベストセラーとなった静かなる侵略(番組ホームページから)

    

もう一つの番組は中国からの移民が120万人に達して人口の5%が中国移民になったオーストラリアにおいて、地方自治に中国系移民達が参入してくるにあたって、政治参加の目的が中国共産党の意を受けた国家的な間接侵略の様相を呈して来たことへの危機感を地元の住民達が持ってきたことのレポートでした。シドニー大学の教授の書いたSilent invasionという本がベストセラーとなり、特に中国の南極観測の拠点として利用されるタスマニア州の実体が紹介されていました。留学生でも住民であれば選挙権が与えられるタスマニア州では、中国系移民が立候補した市会議員選挙のため、有力者が所有する使用されていないアパートの同じ住所に中国からの留学生が複数人同居したことにされて選挙権が与えられているけれども、調べに行くと誰も住んでいなかったことなどが紹介されます。言ってみれば「静かなる侵略」というよりも「合法的侵略」と表現した方が近いかも知れません。入管法の改正で労働者を10万単位で受け入れようとしている日本に最も多く集まるのは現在の状態からも中国系の人達であることは明らかで、オーストラリアの現在が今後の日本にも当てはまる(特に沖縄や離島など)事が憂慮されタイムリーな番組でした。

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副島隆彦氏の講演会2018

2018-12-03 18:48:24 | その他

2018年12月2日に都内で行われた定例会に参加してきました。2014年以来でした。その備忘録としての記録です。

 

第一部は著作「日本会議の研究」(扶桑社新書)で有名になった菅野完(たもつ)氏の講演で、「安倍政権は何故倒れないか」という命題についての解説でした。

安倍政権を支えているのは成長の家学生運動から派生した日本青年協議会(日本会議)日本政策研究センターなどですが、輿論調査などで安倍政権を支持する理由は(他よりも良さそう)という消極的な理由が大半で「政策が素晴らしい」というものではないことが説明されます。安倍政権の政策はTPP推進、水道民営化、種子法、公共事業への国債投入、移民法推進など保守主義からはほど遠いものが多く、同じ政策を民主党や社民党が進めたら保守陣営から大批判が起こりそうなものばかりです。では左翼的政策を行っている安倍政権が真性保守から批判されないのは「慰安婦」「靖国」「9条」という政策において「右寄り」とされる主張をずっと繰り返しているから「雰囲気右翼的」を貫いていて「深く考えない多くの日本人達に安心感を与えている」からだろう、という結論です。表現はもっと過激な物でしたが内容的にはなるほどと思わせるものでした。

 

第二部は副島隆彦氏の新著 歴史再発掘(ビジネス社刊 予定) (重たい掲示板の2373番)と近著日本人が知らない真実の世界史(日本文芸社2018年10月刊) の解説を中心としたものでした。風邪気味であるのと昨日までの著作活動でややお疲れ気味だったか、いつもよりも「あの馬鹿共!」という副島節がやや不調だったように感じました。まあご本人も話していたように65歳という年齢もあって50代と同じようには吠えられないということかも知れません。

 

内容はイギリスMI6内部でソ連のために働いた戦後最大のスパイ キム・フィルビー、007シリーズの元になったミンギス、松岡洋右と3国同盟の話
(この辺はrakitarouも以前興味を持って調べた事あり)、ユダヤ民族とは900年代に黒海北岸にあったカザール王国から始まったというA.ケストラーの本、同じ説を唱えるシュロモ・サンド テルアビブ大学教授の著作の解説から、一神教が紀元前からあるという説が欺瞞であることを解説しました。

 

今回は経済やトランプの動向といった時事的な事はあまり述べられませんでしたが、また大きな動きがあったときに期待したいと思います。

コメント (13)
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