rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

本当に精神疾患なのだろうか

2016-07-30 13:58:20 | 社会

【相模原19人刺殺】措置入院後2週間で退院、「家族同居」もフォローなく…植松容疑者“野放し状態”で惨劇

戦後最悪とも言われる大量殺人事件で、小出しにされる情報からは全貌をつかむことができないのですが、今回の事件を複雑にしているのは、犠牲者が重度の障害者のみ選択的に被害を受けたこと、加害者が精神疾患で措置入院を施されて退院して間がないことにあると思います。

メディアで紹介されている衆議院議長への手紙などから加害者はある信念を持って「重度の障害がある人は生きている価値がないので殺してしまうべきだ」と考えていて、「日本国からの指示」があればいつでも殺害する、と言ったことで措置入院になっていたようです。そして実際に犯行に及んでしまった訳ですが、実行するにあたって大麻などのドラッグが関与していたことも明らかになってきたうようです。しかし総合的に考えてもこの犯人の精神状態を「精神疾患」として病気のせいだと考えることには無理があるように思います。

この犯人には「誤った信念」と「社会性の欠如」があることは明らかですが、これは精神疾患、医学の問題ではありません。フランスや米国における最近の大量殺人は「テロ」と定義されていても精神疾患による犯罪とは言われていません。「ジハードによる異教徒無差別殺人」や「同性愛者は殺しても良い」というのは「誤った信念」であって、後は犯人が「社会の中で責任ある存在として生きてゆく」という「社会性が欠如」して「自分は何をやっても良い」「事件をおこして自分が死んでもかまわない」という状態になれば、場合によってドラッグなどの後押しがあるかも知れませんが同じような大量殺人は世界中どこでも起きてしまうと思います。

今回の事件は、加害者が精神疾患であって、その管理に問題があったという結論に落とし込んでしまう方向で社会が動いていますが、私はこの人は精神疾患ではないし、このような結論にしたところで何の解決にもならないのではないかと思います。かえって今までの類似した事件のように本当の精神疾患の患者さんへの誤解や社会的差別を助長するだけのように思います。

猟奇的な殺人があると、犯人は精神病であるとか心神耗弱状態だったので責任能力が問えないなどと、刑事罰を回避するための法廷戦術として精神疾患が利用されることが多々あります。しかし同僚の精神科医などは「このような犯人が精神病であることは殆どない」と以前話していました。「誤った信念」「社会性の欠如」がセットになっただけで精神疾患ということにされて加害者の法的責任が免除となり、周囲の人達や医師を含めた行政などの管理者が責任を問われるような結論にならないよう祈ります。これでは今回犠牲になってしまった方やそのご家族の方が浮かばれませんし、再発の予防にもなりません。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

効果が期待できる薬ですが国が滅びる可能性というのもあながち

2016-07-14 12:56:09 | 政治

がん新治療薬 適応外投与で副作用 死亡例も

切除不能の進行癌に対して癌に対する自己の免疫的排除を抑制するポイントを解除することで患者自身の免疫機能で癌を治療するという新しいコンセプトに基づく薬です。悪性黒色腫他肺がんで日本において適応となり、日本中で使用されています。確かに化学療法が効かなくなった進行癌に一定の効果を示して(全例に効く訳ではありません)いて有効な薬であることは間違いありません。

問題は2週間毎の投与で1回150万円かかること、毎月小型車2台を買って行くのに等しい医療費を当然国民全員の保険で賄って行くことになります。しかも終了地点は効いている限りずっと(年単位ではマンションや家が買える値段になります)続けるという事です。

癌の抗原性を認識して自己の免疫力で攻撃するというコンセプトですから、現在適応の癌腫以外にもいくらでも効果が期待でき、今後適応癌腫が広がって行きます。この秋には腎癌にも保険適応が広がり、いずれ膀胱癌など他の癌腫にも広がると言われています。

特定の癌細胞をターゲット(攻撃目標)にしている訳ではないので、もともと癌細胞は自分自身の細胞であることから、正常な自分自身の細胞に対して攻撃が行われて所謂自己免疫疾患を副作用として併発する可能性が高いこと(指摘されている間質性肺炎など)も問題です。例えは悪いかもしれませんが、暴漢やテロリストを取り締まる警官隊の機能をめちゃくちゃ高めて、しかも抑制する司令官を拘束して「好きなように怪しい奴を攻撃しろ」と言って街に放した状態と考えて下さい。まともな市民でも少しでも怪しいそぶりをみせようものなら機関銃を乱射されて銃殺というのがこの治療です。

この免疫治療、残念ながら「癌の根治」は望めません。早期に導入すればもしかすると可能なのかもしれませんが、以前この治療の研究を専門に行っている研究者の方と討論した時にも「可能性はあり、完治例も世界の中では散見されているようでもありますが、現在の使い方では無理」ということでした。本来毎日人間の体内では何万という癌細胞が誕生しているのですが、自己の免疫能や癌細胞自体の不完全さによって自然に体内から除去されています。そういった免疫チェックをすり抜けた希有な癌細胞がたまたま増殖してしまって臨床的な癌になると言われています。自己の免疫チェックをすり抜けて臨床的な癌に発展した「臨床癌」を再度自己の免疫機能で完治するというのは所詮無理がある設定ではないか、と私には思います。神はそのような免疫能力を人間や動物には与えていないと私は思うのですが皆さんはどう思われるでしょうか。

さて、子宮頸癌のワクチン療法の際にも、一例の子宮頸癌の発症を抑えるために750万円の税金がかかることを紹介しましたが、癌の延命に一例3,600万円皆の払う保険医料と税でかかるこの治療を広げて行くことに国民は皆賛成なのでしょうか。日本国民の平均年収が1,000万円を超えているような裕福な国ならば永続可能と思いますが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クリントン候補の私用メール問題不問か

2016-07-08 18:52:46 | 政治

サンダース氏、12日に支持表明か=クリントン氏とそろい踏み―米紙

クリントン候補の私用メール問題不問か

東京新聞2016.7.6朝刊(引用開始)

 

私用メール問題 クリントン氏の訴追求めず FBI、意図的でないと判断

 

 【ワシントン=後藤孝好】米大統領選で民主党の指名獲得を確実にしたヒラリー・クリントン前国務長官(68)が公務で私用メールを使っていた問題で、米連邦捜査局(FBI)は五日、訴追を求めないとの捜査結果を発表した。司法省が近く最終的な判断を示すが、訴追されない可能性が高まった。

 FBIによると、クリントン氏が国務長官時代に私用のメールアドレスで送受信した内容に、機密情報が含まれていた疑いがあるとして捜査。三万通以上のメールを精査したところ、当時、機密情報に指定されていた内容を含むメールがあったことが判明した。

 だが、クリントン氏や側近らが意図的に機密情報を流出させたことはなかったと判断。FBIのコミー長官は機密情報の取り扱いについて「極めて軽率だった」と批判したが、訴追には至らないと結論づけた。

 FBIは二日、首都ワシントンでクリントン氏から三時間半にわたって任意で事情聴取。側近らからも事情を聴いて捜査していた。

 クリントン氏は私用メールを使ったことが間違っていたと認めつつも、当時は機密情報と記されていなかったなどとして、違法性はないと主張していた。

 

この私用メール問題というのは機密情報が含まれる内容を私用メールで送ったということが問題になっているようですが、本当の問題はこの機密情報の内容であると副島隆彦氏は指摘しています。要は2012年9月11日にリビアの米国大使が惨殺された「ベンガジ事件」に至る経緯、2011年の10月にヒラリー指示の下特殊部隊がカダフィを殺害した報復とされていますが、それらの経緯をやりとりした極秘情報の内容が私用メールを使っていたために漏れてしまったという事です。その内容(下記)については私でも普通にNew York timesのサイトで見れます。米国はカダフィを殺害して潤沢にあったリビアの資産を収奪してシリアの半政府軍に配った(間接的にISに渡った)ということです(重たい掲示板1945)。しかもカダフィを暗殺したアフガニスタンの部隊はタリバンによって輸送機ごと始末されてしまったとか。

 

           リビア解体における英仏政府の暗躍みたいな内容が書いてある文書

共和党の下院議長のポール・ライアン氏(反トランプ)はクリントン氏への訴追中止は「法の支配を傷つける悪しき前例」と批難しています。一方でオバマ氏はノースカロライナ州の集会でクリントン候補支持を表明したそうですが、メール問題やTPPには触れず、(本当は応援したくないんだけどね)という雰囲気だったようです。これでサンダース氏もクリントン支持ということになると悪女クリントン氏が本当に次の大統領になってしまうかも知れません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今回問われているのは自衛隊を海外で戦わせる是非だ

2016-07-06 18:23:06 | 政治

参議院選挙までの残り日数が短くなってきました。ある調査では改憲を主張する党が得る改選議席は全議席数の2/3を超えて改憲を発議することが可能になる確率が高いとの調査結果もあります。私にはどうも改憲論議、特に9条を巡っての論議について紛らわしく、論点がぼやけてしまっているように見えます。

 

今回、主に自民党が掲げている改憲の趣旨は、自衛隊を日本の国外においても戦闘ができる国軍として扱えるようにすることであると認識するべきです。「専守防衛に限って存在を銘記する」という従来の「自衛隊の存在を認めるための改憲」をするつもりはないと考えねばなりません。そうでなければ昨年あれだけ揉めた集団的自衛権についての解釈改憲をする必要もなかったのですから。

 

改憲論議についての解りにくさをまとめると下図のようになると思います。つまり1980年頃まで国論を二分していたのは自衛隊の存在自体を認めるかどうか(A対BCD)だったのです。その中で専守防衛のみとしても現在の日本国憲法で自衛隊が存在することは合憲と言いがたいというのがCの意見であって、現実問題として自衛隊は存在しても良いというBCDを合わせると国民の半数近くだったのですが、自衛隊を合憲とはっきり考えていたのはせいぜい20%程度(私もその一人)だったと思います。憲法学者に至っては合憲派はほんの数人程度で殆どの人は裁判官も含めて違憲であると考えていました。だから統治行為論のようなものが出て来たと言えます。

 

ところが現在は自衛隊の存在を認めないとする国民はごく少数(5-10%以内)であり、殆どの国民は自衛隊の存在自体は認めようと考えています。但し集団的自衛権を認めて日本国外においても戦争できるよう変えて行こうと積極的に考えているのは1980年頃のごく少数よりは増加して20-25%位はいるかも知れませんが、全体としてはまだ少数派であると思います。今回改憲の是非という論点で可否を問えば図のように国論を二分(AB対CD)する可能性が出てきますが、きちんと「自衛隊の海外派兵による戦闘行為に対する可否」で問えば否決されることが明らかと思います。我々は今回の選挙を憲法解釈の問題における自衛隊の存在の可否という論点(図で言えばBと考えるかCと考えるか)で投票すべきではありません。ABCに属するか、Dかで選択投票することを解りやすく説明しないと投票率も伸びないし、野党が勝つこともないと思います。

 

自民党が目指す改憲のもう一つの目標は「秩序維持」「公共の利益」のためならば国民の権利を制限して良いということの銘記です。これは2001年911以降の米国「愛国者法」の下に国民個人のプライバシー他殆どの人権の制限が許される法体系ができていることへの憧憬によります。米国は国力衰退と共に、長期に渡るアフガニスタン、イラクなどでの戦争で疲弊し、米欧の資本主義を中心とするワン・ワールド形成のために戦争を遂行する能力が減退しています。だから数年前から米国は自衛隊にも海外で戦争をする能力を高めることを執拗に迫るようになりました。

 

一方、中国を現在のような大国に育てたのは米国でありながら、大国になっても米欧財閥中心の資本主義の傘下に入ろうとしない(独自の通貨発行権を持ち続けて国家資本主義を発展させる)ことに業を煮やした米国は中国に対して敵対政策を取り始めました(ピボット戦略)。これに対して中国も軍事力強化で対抗しているというのが現在の姿です。一方で米国国内も1%の権力者が経済を支配することに国民が反発を始め、トランプ現象、サンダース現象が起きていることは周知の通りです。本音では国内で勝手な事をさせないために戒厳令に近い厳戒態勢を布いて完全な管理社会にしてしまいたいというのが愛国者法を作成した理由です。最近頻繁に「テロリストによる凶行」が米国内で報道されるようになりましたが、何とかテロ事件を増やして完全管理社会にしてしまいたいと焦っているようです。

 

中国の目下の最大目標は中国貨幣(CHY)の価値の維持に他なりません。AIIBを作り、国際通貨バスケットに元を認めさせた事、ロシアなどとの間で自国通貨による貿易を増やしている事など全てCHYの価値を維持させることが目的と言えます。軍事力の強化は軍人の暴走も否定はできませんが、自国の領土拡張などという前時代的な政策で国力が増大できないことは本当の天才達が揃っている中国指導者達は理解していることと思います(中国は想像を超えたバカ野郎も沢山いるので困ってしまうのですが)。

 

日本は今ここで自衛隊を領土外で戦争できるように変えても何も得るものはありません。ワン・ワールド達成など二千年の歴史を誇る日本国にとって迷惑千万な話であり、米中(ロシア欧州も)ともにあまりうまく行っていない実情が見えているのですから、何も変えることなく静観しているのが得策であると私は思います。その意味でも今回改憲はノーでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする