書評 小沢一郎の最終戦争 木下英治 著 KKベストセラーズ2010年刊
総理を目指してまさに最終戦争を始めた時の人、小沢一郎ですが、この人ほど好悪の評判が別れる政治家は珍しいと言えるでしょう。私は以前からブログに書いていたように党幹事長という直接行政執行の権力がない所に国政の全ての決定権を集中させていた鳩山政権時代の氏のありかたには反対していました。権力を集中させて政治を行なうなら「首相になって全責任を持って国民に見える所でやるべきだ」と考えていました。その点で今回の決断は自分としては賛成で首相として命がけで(途中で暗殺されるかも知れないから)やって(官僚内閣制の打破、公務員改革<特別会計の見直しを含む>、米中とのバランスの取れた外交<中国で日本開放司令官と言ったのはジョークでしょう>、景気対策<成熟型社会への移行>など)くれれば良いと応援しています。
その上で小沢氏の今までの政治的奇跡というか、何を主にやりたいのか、を知る上で本書は参考になると思われます。本書は金丸氏の側近としての自民党幹事長時代に政治改革として小選挙区制を導入する所から始まり、自民党を離党して新生党、自由党などを経て民由合併の後、偽メール問題で辞任した前原氏の後を受けて民主党の代表にもなるのですが、福田政権下での大連立構想が民主党内で却下されたことを受けて辞任します。そして幹事長として選挙を仕切り、政権奪取に至ります。経時的にこれらの出来事と小沢氏、小沢氏の周りの政治家の言葉がふんだんに述べられながら話しが進んでゆくのですが、著者が「いくつかの著作を合わせた」と述べているようにやや著述内容が冗長になってそれぞれの個所で今何を述べたいのかが解りにくくなっています。ただ著者の得意とする、それぞれの時代における小沢氏を取り巻く政治家の生の声を聞くような編集になっているのでその時々でどのような思考で小沢氏が動いていたかが解るのは良い点です。
この本を読むと、「政治とは権力闘争である」と自任している小沢氏が自民党時代、細川・羽田内閣時代を含めて権力の頂点である総理大臣になろうと思えばいくらでも成れたことは明白です。福田氏との大連立の時にもやり方次第で次期総理も可能であったでしょう。「最終目標総理大臣」というだけの政治家であれば小沢氏の戦争はとっくに終わっていたはずですが、彼が政治家として目指しているのは二大政党制の確立と政治家主導の政治、国民の生活を主目的にした政治ということは間違いないようです。小沢氏の政治のやり方は自民党的と批判されますが、政治には金がかかる以上ある程度しかたない面もあります。草の根運動で政治をするには公明党か共産党のようなやり方しかないのですから。この本で加藤紘一氏の小沢評として「彼はどちらかというと総理タイプの人だ。自らの理念を信じてぐいぐい引っ張ってゆく理念型である。」しかしこのタイプは最も総理にふさわしいのに本人は金丸型のキングメーカー、幹事長タイプだと思い込んでいるところに大きなギャップがある、と記されている所が小沢氏の生き方の特徴を良く表わしていると思いました。
「政治とカネの問題」などと実際には帳簿記載上の不手際にすぎず、起訴さえできない問題を印象操作し続けるマスコミはよほど小沢氏が嫌いなのでしょう。新生党時代から小沢氏を評価するマスコミ論調はあまりなく、常に批判にさらされてきた小沢氏ですが、現実に大悪党かというと政治手腕が強い以外のことはないように見えます。米中を含めて世界で日本の現在の政治家で一人選べ、と言われると小沢氏以外の名前は出てこない。だから私は小沢氏が総理で良いだろうと思います。ただし外国人参政権とか人権擁護法案とか移民受け入れとかの国益に反する法案はくれぐれも拙速に出さないことを期待します(国民が十分議論する時間を与えて反対デモなど十分する時間があって議論するなら良いですがね)。
総理を目指してまさに最終戦争を始めた時の人、小沢一郎ですが、この人ほど好悪の評判が別れる政治家は珍しいと言えるでしょう。私は以前からブログに書いていたように党幹事長という直接行政執行の権力がない所に国政の全ての決定権を集中させていた鳩山政権時代の氏のありかたには反対していました。権力を集中させて政治を行なうなら「首相になって全責任を持って国民に見える所でやるべきだ」と考えていました。その点で今回の決断は自分としては賛成で首相として命がけで(途中で暗殺されるかも知れないから)やって(官僚内閣制の打破、公務員改革<特別会計の見直しを含む>、米中とのバランスの取れた外交<中国で日本開放司令官と言ったのはジョークでしょう>、景気対策<成熟型社会への移行>など)くれれば良いと応援しています。
その上で小沢氏の今までの政治的奇跡というか、何を主にやりたいのか、を知る上で本書は参考になると思われます。本書は金丸氏の側近としての自民党幹事長時代に政治改革として小選挙区制を導入する所から始まり、自民党を離党して新生党、自由党などを経て民由合併の後、偽メール問題で辞任した前原氏の後を受けて民主党の代表にもなるのですが、福田政権下での大連立構想が民主党内で却下されたことを受けて辞任します。そして幹事長として選挙を仕切り、政権奪取に至ります。経時的にこれらの出来事と小沢氏、小沢氏の周りの政治家の言葉がふんだんに述べられながら話しが進んでゆくのですが、著者が「いくつかの著作を合わせた」と述べているようにやや著述内容が冗長になってそれぞれの個所で今何を述べたいのかが解りにくくなっています。ただ著者の得意とする、それぞれの時代における小沢氏を取り巻く政治家の生の声を聞くような編集になっているのでその時々でどのような思考で小沢氏が動いていたかが解るのは良い点です。
この本を読むと、「政治とは権力闘争である」と自任している小沢氏が自民党時代、細川・羽田内閣時代を含めて権力の頂点である総理大臣になろうと思えばいくらでも成れたことは明白です。福田氏との大連立の時にもやり方次第で次期総理も可能であったでしょう。「最終目標総理大臣」というだけの政治家であれば小沢氏の戦争はとっくに終わっていたはずですが、彼が政治家として目指しているのは二大政党制の確立と政治家主導の政治、国民の生活を主目的にした政治ということは間違いないようです。小沢氏の政治のやり方は自民党的と批判されますが、政治には金がかかる以上ある程度しかたない面もあります。草の根運動で政治をするには公明党か共産党のようなやり方しかないのですから。この本で加藤紘一氏の小沢評として「彼はどちらかというと総理タイプの人だ。自らの理念を信じてぐいぐい引っ張ってゆく理念型である。」しかしこのタイプは最も総理にふさわしいのに本人は金丸型のキングメーカー、幹事長タイプだと思い込んでいるところに大きなギャップがある、と記されている所が小沢氏の生き方の特徴を良く表わしていると思いました。
「政治とカネの問題」などと実際には帳簿記載上の不手際にすぎず、起訴さえできない問題を印象操作し続けるマスコミはよほど小沢氏が嫌いなのでしょう。新生党時代から小沢氏を評価するマスコミ論調はあまりなく、常に批判にさらされてきた小沢氏ですが、現実に大悪党かというと政治手腕が強い以外のことはないように見えます。米中を含めて世界で日本の現在の政治家で一人選べ、と言われると小沢氏以外の名前は出てこない。だから私は小沢氏が総理で良いだろうと思います。ただし外国人参政権とか人権擁護法案とか移民受け入れとかの国益に反する法案はくれぐれも拙速に出さないことを期待します(国民が十分議論する時間を与えて反対デモなど十分する時間があって議論するなら良いですがね)。