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rakitarouのきままな日常

人間の虐待で隻眼になったrakitarouの名を借りて人間界のモヤモヤを語ります。

似非医療を斬る(2)がんとは何か(続き)

2025-07-20 10:37:22 | 医療

前回「がん」とは幹細胞が体細胞に成熟してゆく段階で本来分化するべき形にならず、形質転換(或いは脱分化)した上で、無限増殖の能力を獲得した状態であると説明しました。だからその病態生理学的定義を満たす物であれば、どのような状態の物も「がん」という名称が与えられるのです。「がん」には非常に悪性度が高く発病から2-3か月で死に至る物もあれば、10年経過しても生命予後に影響しないものもあります。以下その違いについて解説してゆきます。

 

VIII.  形質転換の程度を示す分化度

 

自分の専門である前立腺癌が解りやすいので前立腺癌を例にとって解説します。本来あるべき正常細胞に近い分化を示したがん細胞は「高分化」と言い、一般的に増殖速度も遅いです。それでも無限増殖能は持っているので、放置すれば死に至る可能性があります。多くは増殖を繰り返すうちに分化度が低い低分化がんに変異して、増殖速度も速くなることがあります。高分化であると転移能もない場合が多く、出現した場所に限局しているうちに外科的に切除してしまえば、追加治療なしで根治できます。

一方低分化がんの場合、がんの塊は小さくても細胞レベルでリンパ節や他臓器に転移する可能性が高くなるため、外科切除後に追加的に抗がん剤などの治療を行う事が多くなります。これをアジュバント治療と言います。

前立腺癌の例 左の3は正常に近く、右の4,5は細胞が密で小さい

組織の写真を見ても、高分化がんは正常の腺組織に近い形状をしていて、低分化がんは細胞が小さく、密に集まっているのが解ります。厄介なのは顕微鏡的にがんの形態をしている様に見えて、非常に小さい範囲であったり、がんとは言えない程度の変異を示す場合で、「前癌病変」などと表現しますが、特殊染色をしてがんに特異的に発現する蛋白を調べると出ていなかったり、遺伝子解析でその癌に特異的にみられる遺伝子変異がなかったりするので「がんではない」と診断されます。以前は前癌病変が「将来がんになる」と言われましたが、最近はそうでもない事が確認され、自然に消失したりするので「がんとは別物」と考える場合が多いです。

前立腺で前がん病変と言われたPIN今は余り重視されない

 

IX.  増殖速度と健康診断の意義

 

がんの増殖速度が速いほど悪性度が高いことは既に述べました。これに関連した話題として、健康診断に意味があるか?と言った議論が良く行われます。以下の図に示す様に、増殖速度の異なるa,b,c,d4種類のがんがあった場合、aのがんは定期健診の合間に出現して瞬く間に発病して死に至るので健診の意味はありません。bは発病する前に検診で異常が見つかって早期診断につながり健診が非常に有用と言う結論になります。転じてcは2回目3回目の健診で異常を指摘されても発病まで余裕があり、ゆっくり治療しても間に合う種類のがんです。そしてdに至ってはがんであっても将来発病するかどうかも分かりません。このように定期健診はbcのがんには有用と言って良いと思いますが、a dのがんには役に立っていない訳で、善悪二元論で健診の意義を議論する不毛性が理解できると思います。

因みに新型コロナワクチンの投与が始まってから高齢者にaのタイプのがんが増加していて、症状が出た段階で既に手が付けられない全身転移の原発不明癌と言った例を良く見ました。高齢者のがんは「天寿がん」と言われて進行が遅く、老衰で亡くなる如くにゆっくり進行して死に至る物が多かったのですが、コロナワクチン後の高齢者がんは変わりました。

JAMAで報告されたGleason6の前立腺癌を治療せずに経過を見た場合の予後

前立腺癌で言うと、bは低分化癌、cは中等度の分化癌、dはグリーソン分類6(現在はgrade group1として積極的治療を行わないとされる)の高分化癌に相当し、2005年の米国医学会誌JAMAで報告された様に10年放置しても10%、20年放置しても20%しか前立腺癌では死なないがんというものが相当します。この記事で注意が必要なのは、診断時の組織型を示しているのみで、経過を経るにつれて悪性度が増したり、経過で治療を加えたりといった介入も当然入るという前提があります。

 

X.  がん治療はもう一人の自分を殺す事

 

がん細胞の遺伝子は元々自分の遺伝子とほとんど同じであることは前述しましたが、自分でありながら勝手に言う事を聞かずにもう一つの個体として体内で増殖を始めた者をどう始末するかは非常に大変な事です。上記の様にあっという間に身体を乗っ取られてしまう場合は敗北するしかありませんが、b,cのタイプのがんであれば、医療の力や味方であるはずの免疫の力を借りてもう一人の自分を殺す事もできるでしょう。

精神科疾患の二重人格の場合、どちらの人格を殺す(なくす)かが問題になります。その矛盾を喜劇にしたインパルスの秀逸なコントがありますが、社会にとって都合が良い方に残ってもらうしかありません。

がんの治療をしていて忘れられない事があります。可能な治療をご本人と相談しながら行っていても少しずつ進行してしまうことは避けられません。そんなある日、救急外来に死に装束で、包丁で心臓を刺して自死した方が運ばれてきました。数日前に診察をした進行癌の方で、それでもまだ1年位は外来治療ができそうな予後の前立腺癌の方でした。覚悟の自死だったので心臓まで一突きの即死でしたが、家族と主治医の私にも感謝の遺書を残してくれていました。根治はできない状況ではあったので、最終的に死は免れないものの、彼の選択で良かったか、他に治療上接する際にできる事がなかったか反省する所が多くありました。最終的に自死することはご本人にとって「がん」というもう一人の自分も殺すことで「がんには勝つ」という選択だったのかも知れません。

 

XI.  進行癌が治る(こともある)時代

 

前回のブログ初頭に、最終講義と現役最後の学会発表時に「進行癌が治る(こともある)時代」という題材の発表をしたと書きましたが、医療者にとっては当たり前のことであって、私の提言は「治療で寛解した進行癌例の出口戦略(off ramp strategyいかに治療を止めるか)」を考えるという内容でした。ガイドラインではがんの標準治療は学会主導で示されていますが、ほぼ治っている患者に副作用もあり、費用もかかる治療を延々とする必要はないし、他の疾患(認知症含む)が発病して元のがんの治療どころではない状況が頻発しているのが実臨床の世界であることからの提言でした。学会発表時には「これは最終講義にふさわしい内容ですね。」と言う感想を他大学の教授からいただきました。

例として、がん治療効果を飛躍的に高めた泌尿器科領域の新規治療薬を示す

実際には私が治療してきた数十例の寛解が続いている患者さんの例からいくつかを提示して、いかに治療を休止してきたかを発表したのですが、個人情報もあるのでここでは示しません。しかし図に示すような新しい薬剤が21世紀に入って実臨床で使用できるようになり、数年前には治らなかった進行癌が治療できる時代になったことは確かなのです。10年以上前に誰かが訳知り顔で「がんの治療は無駄だ!」といった一言を未だに信じ込んで現代医療を否定する意識高い系の人達は非常に残念に思います。サイエンスは宗教ではないので、常に進歩するものであり論理的に常に考えて判断するべきなのです。

長期寛解した進行癌の治療をいつ止めるかという筆者の提言

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似非医療を斬る 遺伝子ワクチンとがんとの関連?

2025-07-17 14:32:42 | 医療

昨年大学を定年退職する時に大学で行った最終講義と、泌尿器科の地方会で最期に行った学会発表は「進行癌も治る(可能性がある)時代になった」という内容でした。この話を理解してもらうには、前回ブログでも少し説明した「がんとは何か」「がんが治るとは何か」が理解できないと不可能です。大学の講義や学会発表ではこれらの基本的な事項を説明する必要はありませんが、医療関係者以外の方が理解するにはこれら基本的事項の理解が必要です。また世の中に蔓延る「がんに対するインチキ医療」を見破る簡単確実な方法も実はこの理解にあります。

 

I.  「がんとは何か」

がんの定義をアップデートするという論文(2023)

「がん」は皮膚や消化管などの上皮由来を漢字の「癌」といい、上皮以外の由来を「肉腫」と言って、両方を合わせてひらがなの「がん」と言います。だからすべてのがんを治療する「がんセンター」は「平仮名」なのです。そして「がん」(Cancer)の定義となると、概念的には明らかですが、実は曖昧な部分もあります。米国がん研究学会(AACR)機関紙のMolecular cancer research2023年版にJohns Hopkins cancer centerのPienta氏らがまとめた「がんの定義をアップデートする」という論文には、一般に用いられる米国国立がん研究所の「からだの細胞の一部が制御不能に増殖し、他の部分に広がる病気」という定義や米国がん協会の「体内の細胞が変化し、制御不能に増殖する疾患群」という定義が用いられるほかウェブスターや各種辞典では様々な説明が用いられていると提示します。しかし彼らは、遺伝子分野を含む最新の知見を総合して、「がんとは形質転換した細胞の制御不能な増殖の疾患」(Cancer is a disease of uncontrolled proliferation by transformed cells.)と表現し直しました。私もこの定義で正しいと思います。形質転換は細胞が幹細胞から分化して本来の役割を果たす細胞にならない状態であるとも言えるため、「脱分化」であると言えますし、元の場所から異なる身体の部位でも転移して増殖する機能を形質転換によって獲得した状態とも言えます。前回ブログでも示した様に、私はとにかく「脱分化」(本来の分化から外れる)と「無限の増殖」が「がんに必須の条件」であると考えます。他部位への転移は必須条件ではないでしょう。何故なら急性骨髄性白血病の様に実質臓器に転移を来さず、血液内で無限に増殖して死に至らしめる「がん(肉腫)」もあるからです。

少なくとも「がん」や「がん治療」を語る人がいたら「がんの定義は何ですか?」と問うて下さい。この定義を正しく答えられない輩はたとえ専門家を名乗っていても「似非」「信用できない」と断定して良いです。

 

II.  「がんが治るとは」

 

がんが治るとは「がんの定義」が理解できれば意味も理解できます。つまりがんが「体細胞が脱分化(形質転換)して無限増殖能を得た状態」なのですから、(1)「がん細胞が本来の分化に戻る」状態になれば「がんが治った」と言えますし、(2)「無限増殖能が消失」すれば「治った」と言えます。また存在するがんを(3)「全て切除」して取り除いても「がんが治った」と言えます。(3)については外科手術により全てのがんを取り除けば治ったと言える事は解りやすいと思います。

分化誘導によるAPL治療

(1)の「正しい分化に戻す」は急性前骨髄球性白血病(APL)に対する活性型ビタミンA内服治療が有名で、これは1990年代に中国と日本の血液内科医を中心に発展した治療法です。その開発経緯は2017年8月号の臨床血液誌に詳説されています。その機序はAPL細胞がビタミンAによって分化成熟を誘導して通常の好中球に戻ることによると説明されています。(2)の増殖能を消失させる方法は、各種の抗がん剤による代謝やDNA合成障害作用、強力な放射線治療によるDNA切断作用も含まれます。(3)の「がんを取り除く」で最近注目されているのは「自己のがん免疫を高める」ことによる治療です。これは2018年のノーベル医学生理学賞に輝いた本庶佑先生の発見による所が大きいものです。身体の中で免疫が働くのを抑えるPD-1というT細胞表面にある分子を抗体でコントロールすることでがん免疫を暴走レベルまで高めて免疫治療の力を強く発揮させる治療法です。当初悪性黒色腫や一部肺がんにしか保険適応がなく、1年使用すると家が建つほど高価であった薬剤も「あらゆるがんに効果がある」事が解り、多くのがんに保険適応が広がった事で薬価もかなり下がり(それでも1回10万円以上しますが)、私も多くの進行癌患者さんに使用して余命3か月以内と思われた進行癌の患者さんが年単位で元気に過ごしたり、他の治療と組み合わせてほぼ完治に近い状態で過ごしている患者さんもいます。免疫治療以外にも、新しい抗がん剤と従来の治療法を活用することで、初診時に多数の骨転移、リンパ節転移のある前立腺癌患者さんがほぼ完治に至っている例も多数経験しています。これも「がんの増殖能を無くし、免疫的にがんを取り除く」事で「がんが治った」状態に至らしめた結果です。

ある治療法が、「がんに効く」「がんが治る」事を宣伝する人がいたら「がんが治る」と言う定義の中で、その治療法がどの作用「分化させる」「無限増殖能を断つ」「取り除く」によって効果を発揮することが証明されたのかを必ず説明させて下さい。それが明確でないものは「似非」「インチキ」と断定して良いです。

 

III.  良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

 

消化器系の良性腫瘍はポリプなどと表現されますが、良性と悪性の根本的な違いは無限増殖するか否かにあります。また一般的に良性腫瘍は本来の細胞分化からの逸脱も小さく、本来の細胞に形状が似ているものが多いと言えます。良性であっても時間をかけてかなり大きく成長してしまう物もあり、それらは外科切除が必要になります。また成長して行く過程で一部ががん化して悪性に転化するものもあります。この「がん化」、「悪性に転化」とはどの様な事かを次に説明します。

 

Ⅳ.  幹細胞(Stem cell)が分化する過程で遺伝子変異を起こすのが腫瘍である

 

傷が治るのも、貧血にならないのも、病気が快復するのも、全て体中の各組織にある、それぞれの組織の基になる幹細胞が壊れた細胞の跡に新たな機能する細胞を供給してくれるからです。神経細胞や心筋細胞は再生が困難とも言われてiPS細胞(induced pluripotent stem cell人工的多能性幹細胞)を使って再生が試みられていますが、一般の組織は自然に備わった幹細胞が再生してくれます。しかし幹細胞が増殖、機能分化する過程で遺伝子変異が起こって正しい方向に分化せず、また統制された増殖を超えて無限に増殖する機能をもってしまったものが「がん」なのです。統制された増殖に留まっていれば「良性腫瘍」ですし、無限増殖に至れば「悪性腫瘍」になります。つまりがんの本態とは「遺伝子変異」にあると言えるのです。

 

V.  ドライバー変異、パッセンジャー変異

がん化、つまり本来の機能から脱分化して無限増殖に至る根本原因となった遺伝子変異を「ドライバー変異」と言い、がん化したことによって付随的に起こった遺伝子変異を「パッセンジャー変異」と言います。がん治療薬にはこのドライバー変異に対処するものや、パッセンジャー変異によって作り出された物質を感知してそれを作る細胞を攻撃する物など種々あります(上図)。がん細胞もこれらの変異以外の遺伝子は元々の自己遺伝子と同一ですから、がんを攻撃する「がん免疫」は全体から見ればこれらの僅かな変異によって生ずる異質なタンパク質を「排除すべきがん細胞が作っている」と判断して攻撃するのです。しかも攻撃される「がん細胞」の方は、基本的に自己と同じ起源(遺伝子)を持つ訳ですから、「いや私は自己細胞と同じものだから攻撃しないで下さい」と免疫を抑制するPD-L1を発現して免疫細胞による攻撃を回避しようとします。このPD-L1は正常細胞が自己免疫疾患を防ぐ目的で発現することもあり、全身の正常細胞が発現する能力があります。がん細胞ががん免疫を免れて成長するメカニズムの一つがこれです。また抗体を形成する免疫グロブリンの中にも、免疫寛容状態を誘発するIgG4ががんで増加していることも指摘されており新型コロナワクチン反復投与によるIgG4増加とがんとの関連も示唆されています。

免疫細胞が出すPD-1と攻撃される細胞が出すPD-L1による免疫抑制とそれに対する新規薬剤の関係

 

VI.  遺伝子ワクチンによる正常細胞の異物産生はがん免疫を惹起する?

 

前項で正常細胞の僅かな遺伝子変異で本来作らないがん関連蛋白を自己の細胞が作っている事を、がん免疫は感知して「排除すべき細胞」と判断していると説明しました。生物界で使用されたことがないmRNAを正常細胞に投与してウイルスのスパイク蛋白を作らせて、その蛋白に対する中和抗体を自己の免疫細胞に作らせることで感染を予防する、という新型コロナウイルスワクチンが製品化されて、しかもいきなり世界中の健常人に使用するという大胆な実験に対して、がん免疫を研究してきた私は「mRNAを注入されて異物を作らされる正常細胞はどうなってしまうのか?」というごく自然な疑問がわきました。

2020年当時、医学専門の検索であるPubmedなどをいくら探してもmRNAを注入された正常細胞がどうなるのか研究した論文が見当たりませんでした(現在でも)。所謂ウイルス感染症において、ウイルス感染を起こして細胞内でウイルスが増殖した細胞は、細胞内でインターフェロンなどを産生してウイルスを排除するか、排除しきれなかった場合は、自己の免疫細胞がウイルスと共に感染細胞も排除するのが普通ですが、分解されない特別なmRNAを注入されて異物であるスパイク蛋白を作り続けている正常細胞は、自然界においてはがん細胞と同じと見なされて攻撃されるのではないかと考えるのが普通です。mRNAを外界から投与するという感染防御機構が生物の進化の過程で存在しないメカニズムなのですから、自己免疫システムがスパイク蛋白だけを作り続けている自己正常細胞をどう判断するかは未定なのです。そして自己の免疫システムが排除すべき細胞として攻撃してきた場合、当然スパイク蛋白を作成している正常細胞は攻撃を避けるためにPD-L1を発現して免疫回避を図ると考えます。

ワクチンによる副作用報告は全身に出現する

 

VII.  新型コロナウイルスワクチン投与を受けた患者の末梢血白血球のPD-L1が上昇という論文

オーストリアのLoackerらは、Clinical Chemistry and Laboratory Medicine(2022)に、新型コロナウイルスワクチンを投与された人の末梢血顆粒球表面のPD-L1が増加しているという論文を発表しました。PD-1ではなくリガンドのPD-L1発現が増加した機序は不明と考察されていますが、上腕筋肉内に投与されたmRNAは全身全ての臓器、細胞に分布されることは証明されているので白血球の様な循環細胞内にも作用し得てこのような反応を惹起しているのではないかと推察されます。いずれにしてもPD-L1の発現は自己免疫疾患の出現を抑制すると共に、結果的には総合的な免疫力低下につながる事は明らかです。そして体中の多くのスパイク蛋白を産生している正常細胞がPD-L1を発現すると、一日数千個出現するとも言われるたまたまPD-L1を産生している細胞がいる組織にできたがん細胞が免疫による排除を逃れて臨床的ながんに進展する可能性があります。遺伝子ワクチンによるがん増加や、進行が急激である「ターボ癌」のメカニズムはこのような事と思われます。

論文内の顆粒球(Gran)、単球(Mono)のPD-L1がワクチン投与者(緑)で増加しているという図(非投与者コントロールは左側)

以上、今回は「がんとは何か」「がんが治るとは何か」、「がん化と遺伝子異常」、「遺伝子ワクチンとがんの関連」について説明しましたが、次回以降「脱分化の違いによるがん悪性度の違い」「無限増殖の速度の違いによる悪性度の違いと健康診断の意義」「がん治療はもう一人の自分(体内にできた自分の分身)を殺す事」「進行癌がどうやったら治った?」といった事について説明したいと思います。

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子宮頸がんワクチンの問題

2025-07-10 15:53:10 | 医療

2025年7月6日に開催された日野市市議池田としえ氏を迎えての「温暖化とコロナに流されない市民の会」勉強会におけるメインテーマの一つが子宮頸がんワクチンの問題でした。新型コロナワクチンの問題については、今までも詳しく度々紹介してきましたが、子宮頸がんワクチンの問題はやや専門外の所もあって予算に見合う効果かという以外は深く追及した事はありませんでした。

子宮頸がんについての一般的説明

 

I.  現在の状態

HPVワクチンは、受けた女性の一部から強い副反応が出て問題になったため、厚労省により2013年6月から積極的勧奨(集団接種)を控える処置が取られましたが、2022年4月から他のワクチンと同様「個別の勧奨」(個人の判断で無料摂取可能)という扱いになっています。

厚労省の個別推奨とするパンフレット(厚労省のホームページから)

 

受けるワクチンの種類は、ヒトパピローマウイルスの種類により、(HPV 16,18サーバリクス)(HPV 6,11,16,18,ガーダシル)(HPV 6,11,16,18,31,33,45,52,58 シルガード)の3種類のワクチンが使用可能です。小児科、婦人科学会では11~14歳の接種が推奨されています。抗原に使われるのはウイルスの外殻を構成するL1蛋白で、感染性や発がん性を持たないことからこの蛋白を酵母などに遺伝子組み換えで作成させて使用します。L1蛋白自体はウイルスが細胞に感染する際に必要とされ、ヒト蛋白と似たアミノ酸配列を持つために、これに対する抗体が自己免疫疾患を引き起こす可能性が指摘されています。HPVワクチンによる副反応の多くもこの自己免疫誘発作用で神経症状などが出る可能性が示唆されています。

 

II.  ワクチン接種の利点

子宮頸がんの発がんに関与する(慢性感染が前癌病変を惹起することが証明されている)ヒトパピローマウイルスの感染を予防し、前癌病変の罹患率が減少することが証明されています。感染してしまった状態の治療、発がん自体の予防効果はありません。2025年3月までに1回以上接種した対象女性は59%、3階接種完了者は34%と報告されています。高校1年の初回接種率は41.9%、全体で22.1%だそうです。私自身は、打ちたい人はどうぞと思いますが、自分の娘には打っていませんし、身近な人にも相談されたら「不要」と答えています

子宮頸がんは一次予防がワクチンによるウイルス感染の予防、2次予防が検診による早期発見と規定されていますが、先進国では2次予防を充実させて早期発見に勤めれば十分に患者を減らす事ができると考えるからです。新型コロナワクチンでも見られたように、ウイルスはワクチンで感染を抑えれば、変異種を作って免疫をすり抜けるようになります。二価ワクチンが、四価、9価と対象ウイルスを増やしたのも、ウイルスが無限に変異種を作る可能性があって多くの種類があるからです。副作用があって永続性がないワクチンよりも、健診による二次予防の方が実際的であり、予防医療という「健康人に対する医療が儲かる」という薬剤メーカーの戦略に一般人(医者や役人も)が協力する必要はないと考えます。

 

III.  なぜ発がん予防と言わないか

HPV感染が浸潤がんまで移行するには数年以上かかります。またHPVは最も一般的な性感染症で、多くの人が一度は感染して無症状のまま経過したり、自然に治ったりします。このウイルスは身体のどこにでもあるウイルスであり、ワクチンは感染した状態の治療の意味はないので感染する前の小中学生への投与が勧められている訳です。日本における子宮頸がんは2023年は年間1万人程度が発症して3000人程度が亡くなります。子宮体部癌は60代以降が多いのですが、図の様に頸部癌は30-40台が多く、亡くなる人も40台以降が多いのですが、女性のがん死亡16万人(2023年)に占める頸部癌死亡3000人の重さをどうみるかだと思います。

日本における子宮頸がんの年齢別罹患率(人口10万あたり)と死亡率(人口10万あたり) がんセンターの統計による

 

先進国における統計は、ワクチン接種者に前癌病変が有意に少ないという以上のものは現状ありません。それはHPV感染が一直線に癌化に進む訳ではない、図の様な(詳しい説明は省きます)複雑な宿主―微生物相互作用と言われるシステムが確認されているためです。

HPVウイルスの子宮頚管粘膜への感染の図 感染してから癌化するまでの宿主-微生物相互作用の図

因みに、「がん」とは、細胞が本来の役割(分化)を離れて(脱分化)、しかも無限に増殖する能力を持った状態と「定義」されます。図の異常な増殖(aberrant proliferation)をして不死化(immortalization)には、多くの遺伝子変異が必要になります。「感染を防ぐ」と「癌化を防ぐ」は別物であると解ります。「がんは存在しない???」などと言う人がいますが、がんとは「脱分化した細胞が無限に増殖する病態という病理組織学的定義」なので存在の有無でなく定義である以上「ある」が真実です。1+1は10進法では2と定義されている(二進法では10)のだから、存在云々ではなく、1+1は2であることと同じです。

ウイルス感染と癌化は一直線ではない 宿主の遺伝子変異などのプロセスがある

 

Ⅳ.  重篤な副作用

HPVワクチン後の線維筋痛症様副作用の類型化をした報告

世界的にHPVワクチンが接種されるようになって、ワクチン接種後に線維筋痛症に類似した慢性疼痛性自律神経障害を発症する例が散見されるようになり、HPVワクチン接種症候群として報告される様になりました。日本は主に複合性局所疼痛症候群の症状(とにかく痛い)が多く、デンマークからの報告は体位性頻脈や慢性疲労といった自律神経障害の例が多い特徴があります。スペインの報告は、有害事象は1000回に1例で、その1/3が重篤と分類され、それは他のワクチン接種の副作用の10倍という高率でした。世界各地からの独立した報告書で、頭痛、疲労、筋肉痛、知覚異常、めまいなど、ワクチン接種後の同様の症状のグループが記述されているという事実にあります。世界保健機関の有害作用データベース(VigiBase)の研究は、この問題を浮き彫りにしています。頭痛、めまい、疲労、失神の症例は、同年齢の個人に実施された他の種類の予防接種と比較して、HPVワクチン接種後に多く報告され、より重篤でした。HPVワクチン症候群の症例では、症状の発症日と誘因物質の投与日が明確に特定されています。最もよく見られる症状は線維筋痛症に典型的なもので、頭痛、全身痛、知覚異常、倦怠感などです。これらの患者の中には、振戦やミオクローヌスなどの運動障害を訴える人もいます。これらの運動障害は、複合性局所疼痛症候群のよく知られた合併症です。HPVワクチン症候群の患者は重度の自律神経失調症を呈します。

日本のワクチン後末梢神経痛についての報告

 

日本の44例の報告では、ワクチン接種時の年齢は11-17歳、発症までの平均潜伏期間は5.4±5か月。頻度の高い症状は、頭痛、全身倦怠感、脚の冷え、四肢の痛み、脱力などであった。四肢症状のある28名の少女の皮膚温を調べたところ、手指で軽度の低下(30.4±2.6℃)、足指で中等度の低下(27.1±3.7℃)が認められた。デジタルプレチスモグラムでは、特に足指で波の高さが低下していた。4名の少女の四肢症状は複合性局所疼痛症候群(CRPS)の日本の臨床診断基準と一致し、他の14名の少女の四肢症状はCRPSの海外の診断基準と一致したと報告されています。このワクチンによる副作用の明らかな機序は不明ですが、L1蛋白のヒト蛋白との類似性が自己免疫誘発に関与しているという事が推察されます。

いずれにしても発症した個人にとって、一生を棒に振るほどの病態であって、ワクチン接種による利益に対する不利益の大きさは計り知れません。安易な予防医療の推奨は厳に慎むべきであるという私の主張の根拠です。

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第70回日本透析医学会総会

2025-06-30 12:25:52 | 医療

2025年6月28から29日、大阪で開催された日本透析医学会総会に参加しました。28日金曜から開催されていましたが、透析施設は日曜以外全曜日営業日なので、実際には土日は交代で、主に日曜参加という人が多いのが実際でしょう。内容も同様のテーマで重なった物も多く、繰り返し発表になる演者もある所が他の学会と異なります。参加者も医師、看護師、臨床工学士、栄養士など透析医療に関わる人全てなので1万人規模の大きな学会になります。私も30年以上この学会に参加していますが、透析医療の発達と透析患者の変遷で他の医学会同様内容や特集となるテーマはかなり変化してきました。その中で備忘録を兼ねて特徴的だったテーマをまとめておきます。

各種ダイアライザーの進化や、透析液を血液と混ぜてから透析するOn-line HDFが普及している事は以前と変わらないのですが、学会として専門医・指導医維持のための研修を学会期間中に行うと、参加者が研修に集中してそれ以外の催しがガラガラになってしまうという弊害を避けるために、今回は、研修は全て学会終了後にオンライン配信することにしたのは良い試みと言えるでしょう。他の学会も次第にその方向に移りつつあります。コロナ禍によるオンライン化発達の良い面とも言えます。以下特徴的なテーマは

  • IT活用による省力化や新しい医療の試み
  • 患者の高齢化に伴う合併症の管理と予防、フレイル、動脈狭窄、心不全や弁膜症治療。
  • 栄養管理、自由な食事の重要性
  • 透析を止める時

 

〇 特別講演 アバターと未来医療 大阪大学 石黒 浩氏

テレビなどでも紹介されて、大阪万博でも人間そっくりのロボットが会場で人気を呼んでいる。ヒトの動きを再現するメカトロニクスはほぼ完成している。後は認知機能をいかに再現するか。ロボット工学では理系と文系の境がなくなり、社会(上下関係)・意識(相手が集中しているか)・意図や欲求・知能・身体性(熱い寒い湿気のうっとおしいとか)・知性を構成的にアプローチして瞬時に生成AIに反応させることが課題になっている。

医療に関して、より初歩的なアバター化として、精神的問題を抱える人がアバターを介して社会参加が進む実践も万博会場で行われている。

 

〇 CKD-MBDに関する指標の変化(低回転骨を恐れない)

二次性副甲状腺機能亢進の治療において、VitD製剤でなく、カルシミメティクス製剤による適正化は、低回転骨領域までPTHが下降しても海外、国内の統計ともに骨折のリスクが下がる(多分骨からのカルシウム溶出を抑えるから)。これは繰り返し統計が示された点である意味目からうろこのパラダイムシフトと思いました。実臨床では、PTHの下がりはVitD製剤の方が早く、コントロールするには使いやすいのですが、カルシミメティクス併用でカルシウム値を見ながらゆっくり調整すると良さそうと思いました。

 

〇 骨密度をどうみるか

YAM(若年成人平均骨密度との比較)70%以下は骨粗しょう症として治療の対象になる点は一緒ですが、圧迫骨折や大腿骨頸部骨折などの脆弱骨折があったら骨密度と関係なく治療の対象。一方で骨脆弱性は骨密度70%+骨質30%の影響を受けるので、骨密度の価に一喜一憂することは無意味。FRAXなどのツールで骨折リスクの予測もできる。デノスマブはやめるとリバウンドが大きいので注意が必要。ビスフォスフォネート製剤でつなげば良い。

フレイルとの関連を含めると、運動によるミオカイン(筋肉から出るサイトカイン)が、筋増殖と骨の強化を促すので運動は特に重要。筋量が減るサルコペニアよりも筋力が減るダイナぺニアの方が重篤。

 

〇 鉄と貧血

フェリチン100以下、トランスフェリン飽和度20%以下は鉄補充が必要。フェリチン300以上は不要。ただしフェリチンは炎症で増加するので注意必要だが、フェリチン50以下は貯蔵鉄も減っている状態なので早急に対応を。鉄が足りないと心血管イベントも増加する。実臨床ではスクロオキシ水酸化鉄(ピートル)はこの目的で多用している。特にHIF-PH阻害剤を造血に使うときは鉄剤が必須と思う。

〇 PPIの汎用化(透析患者の50%が連用)

エリスロポエチン製剤の低反応性につながる。肺炎や骨密度の低下、鉄吸収阻害、リン下降剤の効果低下(特にホスレノールやカルタン)。胃PH2.5以上で腸内細菌の変化、VitB12吸収阻害につながる。ピートルは影響を受けにくいが、透析患者のポリファーマシーを避ける目的で、新しい薬剤のテナパノル(フォゼベル)はPPIとも関係なくリンも下がるので良い薬だと思う(キリンの宣伝になっている)。

PPIは実臨床でもいつも私は問題化して注意しています。

 

〇 透析患者の食事

カリウム2000mg以下で行ければ、果物や野菜は食べても良い。アシドーシスの予防になる。PLADO(Plant-dominant low-protein diet)は地中海食などでも推奨され、酸化ストレスの予防にもなるが、日本食はもともとPLADOなので和食中心の食事ならば塩分を気を付ければそれで良い。nPCRタンパク異化の指標は、腸内細菌の尿素産生など多くの要素が入って正確ではないので気にしなくて良い。統計ではよく透析すれば余り食べなくても健康が保たれる事が証明された(高齢者)。

最近トウモロコシが旨いので食べ過ぎて高カリウム(6.7mEq/Lとか)になっている透析患者さんが多い。8超えると心臓が止まる。レンジゆででは、1/3切れで300mgなのでこれくらいなら良いですが、一本(100円位で売ってる)食べてしまうと一日のカリウム量の半分に達するので要注意。

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高齢者死亡のみ増加が続く日本

2025-06-06 11:02:25 | 医療

2025年6月4日に厚労省は2024年の人口動態統計のまとめを発表しました。ニュースなどでは、出生率の低下のみを問題として報道している様ですが、75歳以上の高齢者死亡が昨年に続いて増加しつ続けている事を敢えて無視していることにメディアの悪意を感じます。2025年3月に23年までの年齢別統計を示しましたが、24年の分を追加して報告します。

 

〇 高齢者に打ち続けるワクチンと死亡者増加の相関

コロナ前と比べた超過死亡は諸外国では落ち着きつつあるのに日本のみが増加しつづけているのは何故か?(△はワクチン接種)

各国の年別超過死亡がコロナワクチンを継続している日本のみ先進国でも突出して多いことは以前も報告しましたが、2025年3月まで公表されている月別死亡者数速報のまとめを見ても明らかに2025年1月以降も最高死亡者数を更新し続けている事が明白です。2024年の総死亡者数が160万人を超えた事は3月の時点で明らかでしたが、島根県(人口64.1万)と高知県(人口64.8万)を合わせたより30万人も多い人数が1年で死亡した事を何の問題もないと言えるか疑問に思います。死亡者数が増加を始めたのが図で解るようにワクチンを打ち始めた水色のライン2021年後半からである事は偶然とは思えません。

 

〇 75歳以下の死亡者数は昨年から減少し始めている

 

年齢別死亡者数の推移を見ると、3回目以降のワクチン接種をあまり行っていない70代前の若年層の死亡者数は他の先進国同様2020年のレベルに減少しつつあり、75歳以上の死者数が飛躍的に増加し続けている事が明らかです。この変化を的確に説明できるワクチン以外の理由があるでしょうか?

75歳以上の死因別増加推移は、2023年、2024年とも老衰による死亡が顕著です。心血管疾患(心不全など)とがんによる死亡も確実に増加しています。コロナ陽性死亡は昨年より減りましたが、市中肺炎(誤嚥性含む)は増加しており、免疫力低下が示唆されます。

老衰の診断名は、高齢者で明らかな急性疾患がなく、眠る様に気づいたら亡くなっていた場合に付けられる死因で、救急外来で、心肺停止状態で搬送された場合採血(可能であれば)で死後変化(腎機能正常なのに高カリウム血症とか血小板低下など)以外の異常が見られず、死後CT(Autopsy imaging行わない施設も多い)を含めて外傷がなければ老衰という診断がつきます。多忙な救急外来では死亡診断名を付ける事にかける時間は5分程度で、詳しい死亡前の状況把握などは行われません。誰かが見ていて急変したら心筋梗塞疑いなどの心疾患による死亡病名が付きます。

全年齢層における死因の推移(赤線より右がコロナ後)

 

〇 癌腫によって増減が別れる悪性新生物死亡

癌による死亡は75歳以上の年齢層では、2021年と比較して2024年は1.8万人増加していますが、全年齢層では2021年が381,505人で2024年が384,099人と数千人単位の増加しかありません。つまり75歳未満のがん死亡は減少し、75歳以上のがん死亡が増加したことになります。その中でも男性は大腸がん、膵癌の増加が明らかで、女性は大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がんが増加している事が解ります。高齢者にこれらのがんが増加しているかは詳しい統計が必要ですが、若年者に比して手術や化学療法ができない高齢者のがん死亡が増加していることが示唆されます。

 

〇 高齢者の事故死増加

 

高齢者の事故死増加は、入浴中の死亡と考えられます。入浴して血管が拡張して血圧が低下し、そのまま気を失って溺死する場合が多いと考えられます。死後CTで気管内が水で満たされていれば溺死が確定され、浴槽内死亡でも気管内に水がなければ、心不全など他の原因で死亡したと考えます。

以前施設入所中の高齢者が入浴後廊下で急に倒れて心肺停止で運ばれた事例がありました。介護職員の方が付き添いで来たのですが、CTでは気管内が水で満たされており、「入浴後に倒れたのではなく、入浴中の溺死ですね。」となった例がありました。

 

〇 懸念される2025年の動向

 

月別死亡者数推移で示した様に、2025年も今まで以上の死者数増加が続いています。前年と比較すると増加が目立たない様に見えるため、まるで問題がない様にメディアも厚労省も取り繕っていますが、コロナ前との明らかな死亡者数増加をどこまで誤魔化し続けられるか、日本国民の最低限の初歩的知性が試されていると言っても過言ではないでしょう。

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フェンタニルクライシス

2025-03-29 10:34:57 | 医療

トランプ政権が繰り出す関税処置に各国は戦々恐々としています。政権発足直後から隣国のメキシコ、カナダに対して関税をかけるとした大きな理由は両国から流入する違法薬剤の蔓延を問題視したことでした。以前はモルヒネ、大麻(マリファナ)、コカイン、覚せい剤などが米国における緊急事態であり、2015年時点で全米で4万人が麻薬の過量摂取で死亡しており、第一次トランプ政権においても「公衆衛生上の非常事態」を宣言しました。rakitarouもマリファナ、ヘロイン、コカイン、覚せい剤については、2012年に日本の人気タレントが逮捕された事をきっかけに纏めをブログにし、瞬間的にアクセス数1位になったこともあります。

トランプ政権にとって国家安全上の最大の脅威は違法薬物と報じるNPR

2025年現在、米国の違法薬剤問題のトップはフェンタニルであり、それらの原材料が中国産で、メキシコなど隣国で製剤化されて持ち込まれる事が問題になっています。フェンタニルは日本でも日常的に医療現場で使用される鎮痛剤で、手術や癌の疼痛緩和に用いています。フェンタニルも製剤化された純粋な形(フェンタニルクエン酸塩)で正しく用いている分には安全な薬剤ですが、問題は様々な合成フェンタニルが従来のフェンタニルの数倍から100倍の効果を持つようになり、それらが不正に製剤化されて市場に出回るようになった事です。

我々医師は癌の疼痛緩和のために、MSコンチン(モルヒネ)や半合成誘導体であるオキシコドン製剤をせいぜい10mg、多くても30mg程度を使用します。強い痛みのために痛みを緩和するモルヒネ様物質が脳内に不足している場合は、これらモルヒネ製剤を外から与えても中毒(欠乏症状)になることはありません。必要としていない時に多幸感を得るためにこれらを使うと切れた時に欠乏症状が出るのです。

フェンタニルはモルヒネの80~100倍の鎮痛作用があり、使用量は0.1mg単位になります。薬剤の調合をした経験があるヒトならば、精密秤を用いても10mg程度は結晶状の薬剤を分取できても0.1mgレベルの分取は不可能であることは理解できるでしょう。0.1mgを使用する場合は、可溶性であれば100倍の10mgを100mlの純水に溶解して1ml使用する形にします。

合成麻薬であるフェンタニルの融合体 左下のカルフェンタニルはモルヒネの1~10万倍強い

フェンタニルは1960年にポール・ヤンセンによって初めて合成され、クエン酸塩として使用されるようになりました。フェンタニルは、作用発現が速く、作用持続時間が短い強力なμオピオイド受容体作動薬であり、中等度から重度の慢性疼痛の治療に強力な合成オピオイド鎮痛剤として使用されています。1990年代に鎮痛用のパッチ剤が普及してフェンタニルは医療現場から市中に出回るようになります。1988年にはチャイナ・ホワイトと言われるフェンタニルの4倍の効果があるメチルフェンタニルが出回ります。2010年代にはヘロインの効果を強くするためにフェンタニルを混入した薬剤が出回り、過剰摂取による死亡例が増加します。そして2016年に何とモルヒネの1万倍から10万倍の効果がある(従来のフェンタニルの100倍)カルフェンタニルが合成される様になり、一粒飲んだだけで麻薬過量投与で頓死する若者の死亡が一機に増加します。

米国の人気TVドラマFBIのシーズン5、エピソード22では、良家の子女が遊び半分で仲間に渡された合成麻薬(カルフェンタニル)を1錠、笑いながら「冒険ね」と言って飲んでそのまま10名近く全員が森で死亡して見つかるという事件が描かれています。米国におけるフェンタニル・クライシスが日常的問題であることが解ります。

TVドラマFBIの1シーン 薬剤一粒でそのまま頓死する若者

今月発表された報告書によると、フェンタニルは米国で密輸される薬物の中で最も致死率の高い薬物の一つであり、この薬物を密輸する麻薬カルテルが合成オピオイドによる国内の5万2000人以上の死の原因の一つ(93%)と結論づけています。さらに、メキシコを拠点とするシナロア・カルテルなどの国際犯罪組織が違法薬物の主な生産者および供給者である一方、フェンタニルや錠剤圧縮装置を製造するための化学物質の主な供給国は依然として中国であり、インドがそれに続いていると指摘しています。トランプ政権は、2023年だけで違法オピオイド(主にフェンタニル)のコストが推定2.7兆ドルに達し、そのうち約1.1兆ドルが死亡に、2,770億ドルが医療費などのコストに起因していると概説しています。

2025年3月に公表された国家情報局による脅威の最初に違法薬剤が示された。

日本はやたらと自動車にかかる関税を問題視していますが、米国社会にとっての大きな問題はこちらであって、日本の自動車など大した問題ではない事をメディアはもっと強調するべきです。

日本は幸い薬物犯罪が大きな社会問題になる状態ではありませんが、海外からこれらの違法製剤が流入したり、若い人は海外旅行などで冒険心から一粒麻薬を試してみるといった事はおこり得ます。以前であれば大きな問題にならず、「良い経験」で終わった事も、「一粒で頓死」するカルフェンタニルが米国では日常的に出回っている事を肝に銘じて薬物には一切手を出さない覚悟が絶対に必要であることをメディアは強調するべきです。視点の圧倒的に狭いメディア諸兄はトランプの政策を闇雲に批判するのではなく、トランプ氏の持つ正常な危機感にもっと注目するべきだと私は思います。

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最高値を更新する日本の死亡者数

2025-03-08 15:25:01 | 医療

2025年2月27日に厚労省は2024年12月までの人口動態集計の速報を発表しました。一部はニュースでも取り上げられましたが、前回ブログで2024年10月までの途中経過で予想した通り2024年は今までを上回る160万人超えの死亡者数に達しました。それはコロナ前の死亡者数に対する超過死亡を比較した結果としては、欧米各国よりも圧倒的に多い状態が維持されている結果になります。

年齢別の死亡者数や、死因別の統計は6月以降にならないと出てこないのですが、前回2023年までの統計をまとめて紙の爆弾2025年3月号に発表した内容を含めて、新型コロナワクチンとの関連や社会で明確化されていない問題点などをまとめたいと思います。

I.  明確化した日本のみの超過死亡増加

図は2015年から19年の各国死亡者数の平均を100とした場合のコロナ以降各年の超過死亡推移を%で示したものです。バックに各年に流行したコロナ株の推移、△は新型コロナワクチン接種を示します。米英独仏は3回目ワクチンまでは積極的に施行しましたが、以降は日本のみが定期接種として主に高齢者に施行しています。南アフリカはワクチン接種率が35%と他国よりも低いため、比較として載せました。南アフリカは武漢起源株が流行した21年は超過死亡が飛びぬけて多かったのですが、以降沈静化しており、4回目以降ワクチン接種を積極的に行わなかった欧米各国は23年以降超過死亡が沈静化している事が解ります。

II.  死亡が増加しているのは75歳以上の高齢者だけ

統計が出ている23年までの日本の年齢別死亡者数の推移を比較すると、22年以降大きく死亡者数が増加したのは、75歳以上の高齢者の死亡が増加したためであると解ります。2019年は138万1,093名で20年よりも多かったのですが、新しい統計結果の24年は23年よりも多く161万1,864名でした。23年の時点で74歳以下の死亡者数は既に減少傾向にあり、24年も75歳以上の高齢者が増加したことが推察されます。

III.  増加した死因は体力・免疫力低下に関連するものが多い?

75歳以上の死因別実死亡者数の21年と23年の比較を示すと、赤丸で囲んだ体力、免疫力低下が関連すると思われる死因の増加が目立ちます。その他の死因による6.6万人の増加には、肺炎とは別に統計が取られている「コロナ陽性死亡」が含まれていて、これはコロナ検査陽性でコロナ病棟に入院した状態で他の合併症で亡くなった高齢者3.2万人の増加が含まれると考えられます。高齢者の事故による死亡増加は入浴中の死亡増加が多いと考えられます。これも大きくは体力低下に関連するでしょう。

IV.  科学的証明には相関関係と因果関係の証明が必要

ある事象が科学的真実であると証明するには、相関関係と因果関係が共に証明されねばなりません。ある薬剤が特定の疾患に効果がある事を証明するには、その薬剤が疾患の原因である病態を改善することが科学的に基礎実験や動物実験で証明されて、実際に患者に使って患者の病気が治る率が高いと証明されれば因果関係、相関関係が証明されて「その薬が病気に効く」という事象が科学的真実と証明されるのです。ワクチン投与と超過死亡には相関関係がある事は証明されました。ワクチンとコロナ感染が免疫力を弱めるという因果関係も証明されつつあります。後は超過死亡で亡くなった人達がワクチンなどと関連した免疫力低下を示していたという繋がりが証明されれば、ワクチン接種が超過死亡の原因と証明されます。

一方で厚労省が主張する「ワクチン接種で重症化が防げる」という事象は、コロナ重症で入院している人のワクチン接種、未接種の比率が、未接種の方が多かったという相関関係のみ示されていますが、ワクチン接種が重症化の原因となるサイトカインストームを抑制するという因果関係を示した科学的論文が皆無であるという事実を厚労省もメディアも公表しません。つまり科学的証明ナシで厚労省はワクチン接種を勧めているのです。

V.  ワクチンによる因果関係の証明は進みつつある

表は紙の爆弾3月号で発表した物ですが、発熱を呈する感染性疾患で救急外来を受診した1万8千名のうち、コロナ検査陽性であった2,854名と陰性であったインフルエンザや市中肺炎の患者1万5千名のコロナ陽性率、入院率をそれぞれワクチン接種の有無で示したものです。最新のワクチンであるXBBを接種した群は、コロナ陽性率、コロナによる入院率は確かに古い型のワクチン接種をした群、或いは未接種群よりも低い事が解ります。しかし、コロナ以外で入院に至る率は、ワクチン未接種群が最も低く、ワクチンを接種した群は古い型も含めて未接種群よりも多い。つまり相関関係としては総合的な免疫力は低下している事が推察されます。

また感染症やがんに対する免疫力を低下させるIgG4がワクチン接種を続けることで増加することが証明され、免疫学会会長も務める岩崎氏の最新の論文では、ワクチン投与後症候群の患者は免疫を弱めるCD8T細胞が増加していて、ヘルペスウイルスが活性化されるといった結果が出ています。

VI.  遺伝子ワクチンは「ワクチン系遺伝子治療薬」としての安全規制を

厚労省のデータでは、2024年12月までの4年足らずの間に新型コロナワクチンによる被害認定は、これまでのすべてのワクチン48年分の倍以上であり、死亡者数の認定は6倍に達しています。それでもワクチンによる死亡という明確な因果関係を厚労省は認めず、薬害として認定していません。それは、遺伝子ワクチンが実際のメカニズムは遺伝子治療剤でありながら、旧来のワクチンの定義に沿った副反応しか因果関係を認めていないからです。コロナワクチンによる副反応は投与された遺伝子によって正常細胞が作り出したスパイク蛋白(正しいスパイク蛋白とそうでない蛋白も含む)によって引き起こされる血栓症、神経障害や免疫異常によるものであるため、従来のワクチンであれば証明できるワクチンそのものとの直接的因果関係の証明が困難なのです。

今後も遺伝子ワクチンを使い続けるのであれば、緊急承認である遺伝子ワクチンは「ワクチン系遺伝子治療薬」として「遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保について」という令和元年の厚労省規制に基づいて厳格に製品や副作用について調査されねばいけないという事です。

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高齢者が沢山亡くなるなら問題ないか?

2024-12-26 14:34:44 | 医療

前回のブログで2023年とそれ以降の超過死亡の推移について記しました。今回はその補足的内容になります。厚労省が高齢者に対して「新型コロナ感染症の重要化予防効果」のみを頼りに定期的ワクチン接種を勧めていることは前回報告した通りですが、その根拠は非常に頼りないものです。統計上の重症化予防効果を維持するには、定期的にワクチンを打ち続けなければならず、打てば打つほど総合的免疫力が低下して他の原因で死亡する率が増加するのであれば、深読みするとワクチン接種で結果的に高齢者人口が減少することを厚労省が推奨していることになります。

厚労省の「使命は国民の命と健康を守ること」と大臣は明確に答えていますが・・・2023年以降も高齢者はワクチンを接種し続けている。

2023年の人口動態統計のまとめによる、年齢別死亡者率の推移表を見ると、22-23年で死亡者数が伸びているのは75歳以上の高齢者層(一番上のカラム)であることが一目瞭然で解ります。23年以降も定期的にワクチンを接種している人は65歳以上の高齢者では53%になることが12月17日参議院における川田龍平議員の国会質疑でも明らかになっています。前回のブログでも明らかな様に死因はがん、老衰と心疾患が増加しています。高齢で軽い風邪をこじらしたり、食欲が減って分からないうちに亡くなった場合はほぼ老衰と診断されます。老衰とつけがたい年齢の人が急に亡くなった場合は急性心不全です。

日本は死亡者数が増加したまま続いている。死因の内訳は、がん、老衰、心疾患が増加

死亡者の年齢分布は人口千人あたりの棒グラフで76歳以上の高齢者の増加が目立っていることが解る。

日本の死亡統計は2024年7月まで結果が出ていますが、Our World in Dataで示された最新の統計で、2015年から2019年までの5年間の死亡者数平均から、以降の各時期の超過死亡者数を出したものが、以下の図になります。米英、豪州、独仏は初期コロナ流行時の超過死亡が派手ですが、2023年以降は徐々に落ち着いてきている事が解ります。豪州は24年前半も超過死亡がありますが、23年から24年にかけては緑の日本の超過死亡が群を抜いている様に見えます。

日本以外の国はコロナ流行に伴う超過死亡が著明であったので2020年からの図が一般的

これを年毎に日米英独仏で比較したものが次の図になります。20年21年はコロナもワクチンも各国で盛んに投与されましたが、日本を除く各国は22年をピークにコロナ自体の流行はあっても超過死亡は減少しています。2024年のデータは年度途中のものの平均ですが、今後大きく変化する事はないでしょう。この明確な違いを高齢者へのワクチン投与以外の何で説明可能か知りたいところです。

2024年(途中まで)の平均を含む各国超過死亡の年毎推移は日本と明らかに異なる

参議院予算委員会で明らかにされたワクチン接種による被害認定数「何故これをトップニュースで報じないのだろうか?メディアで金をもらう諸兄は恥ずかしくないのか?」

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厚労省のワクチン有効性を読み解く

2024-12-21 11:56:15 | 医療

厚生労働省は2024年10月からコロナワクチン定期接種として5種類のJN1変異種対応の新型コロナウイルスワクチンを、65歳以上などを対象に接種を進めています。ホームページには掲示用のパンフレットも掲載されていて、「ワクチンの効果」と題する項目には、オミクロンXBB1.5対応ワクチンの効果として、新型コロナ感染症による入院を40-70%抑制する効果があった様な歯切れの悪い記載があります。

そこでワクチン有効性についてわざわざ例示されているJAMAに掲載された論文を読み解いてみました。

JAMAはアメリカ内科学会の学会誌で非常に権威のある雑誌であり、記載された内容は信用に値します。この論文の著者が主張したいのはどうもワクチンの有効性ではないと考えます。以下に読み解いた内容を示します。

目的はXBBワクチンの有用性だが・・

著者は新型コロナ感染症に対して、変異を繰り返して流行が何度も起こる現実は、「以前のワクチン接種が全く無効だから新たにワクチンを接種しましょう」と言いたかった様ですが、結論を得るまでに行った解析からは違う結論が出てしまいます。

 

ワクチン接種者のコロナ以外の入院率が増加

左の図データをわかりやすく表に読み込むと右の様になる。

対象となったのは18,199名の急性呼吸器症状で救急外来を受診した患者で、2,977名が入院加療を要しました。これらのうちコロナ検査陽性だったのは2,854名で、15,345名がコロナ以外の呼吸器感染症と診断され、入院はそれぞれ391名がコロナ、2,586名がコロナ以外の誤嚥性肺炎とかマイコプラズマ、インフルエンザとかによる入院と考えます。

この時点でコロナに対するワクチンの有効性が391名の中での比較で元々の18,000名の母集団に比べて「え?」というレベルの対象数の小ささであることが解ります。

表に示す様に、XBBワクチンを投与した患者の入院比率は12%でワクチン未接種者の13%よりも低いことは事実です。しかしXBBワクチン以外の古いワクチンを接種した(XBBは打っていない)人達のコロナによる入院比率はワクチン未接種者よりも多く、むしろ悪影響しか出ていないことが解ります。これは抗体依存性感染増強を証明したデータと言えます。

またコロナ感染症による発熱で救急受診をした率(コロナ陽性率)もXBBまで接種した人は9.4%で未接種者の15%よりは少ない率ですが、武漢型やBA4.5の接種既往は既にコロナ感染予防には役立っていない事が明らかです。むしろ抗原原罪により新たな変異種を排除する抗体はできにくくなっている可能性もあります。(ブレイクスルー感染の誘発)

問題は対象患者が圧倒的に多い「コロナ以外の呼吸器疾患の入院比率」で、ワクチン接種者は軒並みワクチン未接種者よりも高率に入院しています。統計的有意差では、コロナ以外の入院についてのワクチン接種の有害性を確実に証明した論文と言えます。

ワクチン接種は確実に免疫を低下させていると結論づけられます。

この論文の著者が本当に言いたかったのはむしろ接種者の易感染性ではないでしょうか。JAMAと言えどもワクチンが有害と結論づけた論文は掲載が困難な現状です。解析しやすい元データを載せて「こっそり事実を記載して解る人に気づいてもらう」のが現在世界中の科学者達が行い得る抵抗です。もしかしたらこの論文を引用した厚労省のお役人たちも「論文を読んでワクチンの現実に気づいてくれ!」という思いだったかも知れません。

 

追記

パンフレットにはJAMA以外にも長崎大学のXBB予防接種の効果分析、オランダの分析、CDCの分析が載っているのですが、JAMAほどの正確性がありません。単純にコロナ陽性者の中でXBBを投与したかどうかを比較しているだけで、一切ワクチンを打っていない人との比較が不十分です。分かりにくくなるので敢えて載せませんでしたが、長崎大の分析では、入院に関してはワクチン接種の方が効果があることになっていますが、投与しても時間が経つと未接種のほうがマシという結果でした。(下図)

発症予防について、あらゆる年齢で接種後時間が経つと効果がなくなり、未接種者と同様の状況、65歳以上についてはむしろ接種していない方が良いという事?(論文内に説明はない)

入院予防については接種者に効果ありでデータとして面目を保つ。但し武漢型とかは全く効果なし。

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2023年とそれ以降の超過死亡推移

2024-12-14 09:36:50 | 医療

日本の死亡者数が2021年以降増加し、それまでと比較した超過死亡が増大していたことは国会でも議論され話題になりました。世界でも同じ傾向が見られ、その原因は「新型コロナ感染症」と「コロナワクチン」で100%間違いないのですが、多くの人はそれが科学的真実であっても認めたがりません。ワクチンについての批判的論説が未だにSNS上で「禁忌」とされている事自体が「ワクチン犯人説」を自ら証明していることになります(全く根拠がないなら禁止する必要もない)。

 

I.  ワクチン投与が2022年に終了した国々では超過死亡は減少しつつある

名古屋大学名誉教授の小島勢二氏が引用したOECDの各国の超過死亡のまとめではワクチン投与を続ける日本だけが超過死亡が増加したままであることが解ります。一時非常に増加していた米国の超過死亡も図の様に収束しつつあるように見えます。このようにワクチン投与が終了した多くの国では超過死亡が収まりつつある所もあるようですが、遺伝子ワクチン接種や変異種による新型コロナ感染症には、免疫機能を弱める作用があると考えられ、「がんの罹患数」は増加しているデータが出ています。

米国のがんによる死亡者数が2021年以降想定よりも増加し続けているというCDCの集計

ワクチン推進派の人達には都合が悪いデータですが、英国の保健省が集計した2021年7-9月期の死亡者数でワクチン非接種者と接種者(一度以上)を比較した図は、母集団で80%の国民が接種者であるという背景を含めても右側カラムの接種者の比率が異常に多い事が明白です。これは前後の月の統計も同じです。

 

II.  死亡者数は2024年現在も増加したままである。

2018年から2024年7月までの死亡者数月別推移を示します。この図で明らかな様に、2016年から新型コロナ感染症が流行し始めた2020年までは日本の死亡者数は、微増傾向はあったもののほぼ一定であったと言えます。しかしコロナに多くの国民が罹患し、しかもワクチン接種が本格的に始まった2021年4月以降日本の死亡者数が増加を始め、毎月1万人単位で増加したままであることが図から明らかです。22年23年は8月にも死亡者数が跳ね上がっており、「熱中症で」という言い訳がなされましたが、私は病院で救急外来を含む死亡診断書を全例確認してきた経験からそれだけで説明はできないと考えます。ワクチン接種をやめた他の国々で超過死亡が減少しつつある現実をどう説明するのでしょう。

 

III.  ワクチン接種回数と超過死亡が相関している証明

ワクチン接種率と超過死亡の多さの相関についてweb論壇のUnz reviewにおいて、ユージン・クスミアク氏がOur world in dataで利用可能であった57か国の一人あたりのワクチン接種回数と翌年の超過死亡率に相関があるかを計算して報告したものを示します。2021年に国民一人が接種した回数に対する2022年のその国の超過死亡率(赤プロット)と、2022年に国民一人が接種した回数に対する2023年のその国の超過死亡率(緑プロット)(計114プロット)を合わせて示したものです。日本を除く多くの国は既に2022年にワクチン接種は行われておらず、超過死亡が2021年の各国のプロット(赤)より減少していることが解ります。この図から国民一人1回のワクチン接種で翌年の超過死亡率が6.2%増加するという結果であり、この結果がランダムに発生する可能性は0.0%(P値)で明らかにワクチン接種と超過死亡の増加は統計的に有意性があります。

以下厚労省の人口動態統計のまとめから日本の死亡者数とその内訳についての推移を記します。

 

IV.  2023年死亡の内訳は悪性腫瘍、心疾患、老衰が増加

厚労省の死亡統計から1947年から2023年までの人口10万人あたりの各疾患の死亡者数を示します。超過死亡が増加した直近の2-3年においては、悪性腫瘍は緩やかな伸び、心疾患と老衰が著明に増加していることが解ります。多忙な救急外来の現場において、心肺停止で搬送されてきた患者の死体検案書用の死因判定にかける時間は5分がせいぜいです。明らかな基礎疾患が悪化して死亡したことが明らかでなければ、事件性がないと判断されたお年寄りは「老衰」、中年以下の人は「急性心不全」と死体検案書に記入します。それが救急現場の現実です。良く分からない状態で亡くなっても全員CT検査や病理解剖を行うわけではありません。ワクチン接種後の体力低下、易感染性、無症候性の心筋炎による心不全の増加など因果関係を特定しにくい中長期の合併症がこれらに関係している可能性は否定できないと考えます。勿論公に認めることはしないでしょうが。

同じく死亡統計の中のがん死の内訳を示します。がん全体では緩やかな増加でしたが、図の様に胃がん、肝臓がんなどは男女共に減少傾向にあります。一方で肺がん大腸がんすい臓がんなどは明らかに増加しています。非常に進行が速い悪性度の高い癌がワクチン接種とともに増加した傾向はありましたが、全ての癌が罹患してその年に亡くなる訳ではありません。ワクチン接種が終了してもがんによる死亡が増加しつづける理由がそこにあります。

 

V.  遺伝子ワクチンの問題点を記事にしています

Noteなどの現在発売中の雑誌記事の内容の一部を閲覧できるwebがありますので、公開されていた「紙の爆弾2025年1月号」に掲載されたrakitarouの記事の一部を載せますので続きを読みたい方は是非ご購入の上お読みください。

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祝バッタチャリア氏NIH長官指名

2024-11-28 08:37:47 | 医療


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20241127061

トランプ次期大統領は「都市閉鎖やワクチン義務化などの誤ったコロナ政策」を早くから批判していたスタンフォード大学の医療経済学者ジェイ・バッタチャリア教授を次期NIH長官に指名しました。保健長官に指名されたRFKジュニア氏と同様誤った医療・公衆衛生政策を科学に基づく正しい方向に軌道修正する上で強力な人選が行われたと言えるでしょう。

rakitarouが2020年10月13日のブログでロックダウンやPCRによる感染診断は誤り(FDAもこの時点で明確に表明していた)であるという欧米5,000名以上のまっとうな医師・科学者が署名したGreat Ballington宣言について紹介しましたが、狂った日本のメディアは完全にスルーでした。バッタチャリア医師はこのバリントン宣言の提唱者の一人です。

AP通信の記事引用

トランプ大統領、COVID集団免疫を支持したジェイ・バッタチャリア氏を国立衛生研究所の所長に指名

ドナルド・トランプ次期大統領は、パンデミック対策のロックダウンやワクチン接種義務化に批判的な医療経済学者ジェイ・バッタチャリア博士を、米国を代表する医療研究機関である国立衛生研究所の所長に選んだ。

トランプ大統領は火曜日夜の声明で、スタンフォード大学医学部の56歳の医師で教授のバッタチャリヤ氏が、保健福祉省長官に指名したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏と協力し、「国の医学研究を指揮し、健康を改善し、人命を救う重要な発見をする」と述べた。「ジェイとRFKジュニアは協力して、慢性疾患や疾病の危機を含むアメリカ最大の健康問題の根本的な原因と解決策を調査し、NIHを医学研究のゴールドスタンダードに回復させるだろう」と彼は書いた。

バッタチャリア氏をこのポストに選ぶという決定は、COVIDパンデミックが政治と公衆衛生に及ぼす継続的な影響を改めて思い起こさせるものだ。バッタチャリヤ氏は、ロックダウンが取り返しのつかない損害を引き起こしていると主張する2020年10月の公開書簡「グレート・バリントン宣言」の3人の執筆者のうちの1人だった。

この文書は、新型コロナウイルスワクチンが利用可能になる前、トランプ政権時代に作成されたもので、感染リスクの低い人々は感染を通じて新型コロナウイルスに対する免疫を構築しながら通常通りの生活を送るべきであるという考えである「集団免疫」を推進している。文書では、保護はむしろリスクの高い人々に重点を置くべきだとしている

「ロックダウンは公衆衛生上の最大の過ちだったと思う」とバッタチャリヤ氏は2021年3月、フロリダ州のロン・デサンティス知事が主催したパネルディスカッションで語った。

(引用終了)

医学や自然科学の正しい答えは一つしかない

文系の社会科学における倫理や政治においては、正しい答えは複数存在しえるのですが、理系の医学・自然科学は正しい答えは一つしかありません。毒性が低く、感染力が強い新型コロナ感染症への対応は「集団免疫の獲得」の一択であることは発生後半年から1年で末端の医師である私を含め、世界中の多くのまっとうな医師、科学者は見抜いていました。専門家ほど早く気付くものであって、今では世界中の一般市民の人々も納得している科学的真実です。

「底に穴の開いた船は沈むという科学的真実」を「真実を告げられては都合が悪い権力者」は認めようとしないでしょう。科学者でも自分の地位保全のために忖度で科学的真実を曲げる曲学阿世の輩は「穴は小さいから大丈夫」の様な見解を出します。権力者は「科学者の先生が言っているから科学的に認められた」と言い、「穴が開いているのは危険だ」と真実を伝える者を「フェイクニュース」「陰謀論者」として葬ろうとするでしょう。しかし科学的真実は変える事はできません。いよいよ浸水して船が沈みそうになって「誤魔化しきれない」状況になると真実を認める他ないのです。

新型コロナに対する異常な対応、リスクのみで利益のない遺伝子ワクチンの推奨、誤魔化しきれない真実を突きつけられて「曲学阿世の輩と権力者」が右往左往し始めているのが現在の状況です。

世界で未だにワクチンを勧める日本の異常さについて、2025年1月号の「紙の爆弾」12月初旬発売にrakitarouが記事を載せましたので是非お読みください。

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レプリコンワクチンをめぐる問題

2024-08-31 13:54:28 | 医療

日本政府は2023年11月28日に海外で開発された「レプリコンワクチン」と呼ばれる遺伝子ワクチンを承認し、2024年10月1日から健常日本人への接種が開始される予定です。日本看護倫理学会は「緊急声明」として安全性の確立されていない自己増殖型ワクチンを医療従事者たる看護師たちに接種推奨する事に反対する声明を出しました。このきわめて論理的で真摯な声明に対して、より医学的専門家である医師会や専門の学会が沈黙している事の情けなさはいかがであろうかと思います。

暫くコロナワクチンについて論考していませんでしたが、現状で入手できる論文などから検討し得る自己増殖型ワクチンをめぐる問題について整理したいと思います。

 

I.  結論

 

まず結論から申すと、私はレプリコンワクチンを使わないと死ぬ確率が高い状態であれば「使う」ですが、新型コロナ予防のためには「使わない」です。以下にその根拠となる説明をしてゆきます。

 

II.  全ての感染症「X」に対する対応

 

全ての感染症「X」と表現します。は以下の図に示す4通りの分類と疫学的対応に分かれます。これを明確に分類・指示しないと経済や個人の対応が混乱します。今回の新型コロナに対する混乱で実証済みです。今年WHOが世界各国に強要した「新パンデミック条約」に対応するため、厚労省でなく内閣危機管理室が「新型インフルエンザなど対策政府行動計画」をまとめて、それに対してパブコメを募集していたのでrakitarouが送付した内容もこれに基づいています。

下図に示す様に、ワクチン接種が始まる前の2020年秋には、新型コロナウイルスがどんな変異種に変化しても(3)の感染力は強く毒性が弱いタイプであることは判明していました。ウイルスや細菌は自己保存(増殖)しやすい様に、変異するたびに毒性は弱くなり、感染力は強くなります。専門家にとっては常識中の常識です。だから2020年秋の時点でこのウイルスは起源が何であれ、今後人類に危機的状況を及ぼすことはないと判明していたのです。この科学的真実を政治的意図(経済的意図?)で明確に宣言しない政府やWHOは極悪以外の何物でもなく、人類の健康と命を預かる組織として信用に値しないということが解ると思います。

データが追える2024年2月まで、新型コロナ感染症は一貫して回復率は上昇し、死亡率は低下している。

 

III.  コスタイベ筋注用について

 

厚労省は、2024年10月1日以降に新型コロナウイルス感染症に対する世界に先駆けて接種開始となるJN1株(オミクロンBA2の亜種)に対する明治製菓ファルマのレプリコンワクチンの概要について5月29日に公開しています。内容は起源株(武漢株)を用いたレプリコンワクチンをベトナム人16,000名に対してデルタ株が流行している時期にファイザーのコミナティワクチンと比較した所、起源株に対して非劣勢(同等)の中和抗体価が6か月継続。有害事象はコミナティと有意差なし。BA.4-5(オミクロン株)対応の2価ワクチンを追加免疫した所、コミナティよりも抗体価が高く、有害事象は有意差がなかった。日本人に投与予定のJN1株に対してはマウスを用いた試験しかしていないが、良好な抗体価が期待できる、という内容でした。

厚労省発表のワクチンの効果についての実験結果(中和抗体価が増えているということ)

 

IV.  ワクチンとしての良い点、悪い点

 

後でレプリコンワクチンの構造(しくみ)や、ベクター型遺伝子ワクチンとの違い、遺伝子ワクチンが免疫寛容(免疫力が弱まる事)を起こす理由などを説明しますが、ざっと今回のレプリコンワクチンの良い点、悪い点をまとめます。

良い点  1)抗原にRBD(レセプター結合部位)(図)のみを用いているため、スパイク蛋白全体を抗原に用いた従来の遺伝子ワクチンよりも理論的には抗原原罪は起きにくく、ウイルスに変異が起きてもRBDが大きく変わらなければ抗体は有効である。スパイク蛋白全体を作らないので血栓などの有害事象が起きにくい可能性がある。2)mRNA自体にシュードウリジンを用いていないのでmRNA自体の分解は速やか。3)LNP(脂質ナノ粒子)をキャリアに使用できるため、ベクターとなるウイルス感染は不要。

今までのワクチンと異なり、スパイク蛋白全体ではなくレセプター結合部位(RBD)のみを抗原にしている。Nターミナルドメイン(NTD)や以下のS2部位が一つの蛋白となって、それが3本集まると(左の)スパイクタンパク質となる。また感染するにはRBDが活性化(UP)している必要があると言われる。

悪い点  1)健康な細胞に遺伝子増殖のためにαウイルスの一部を新たに感染させる必要があり、これが長期的に健常細胞と人体全体に与える影響について未知である。2)増殖のブレーキが設定されていないので、産生されるスパイク蛋白RBDがいつまで続くか、量的にどれだけ産生されるか個人差の想定ができない。3)抗原の大量刺激は免疫減弱を起こすIgG4産生の原因となる。4)遺伝子ワクチン全ての欠点である工業製品としての品質一貫性の保証がない(一定の割合で生物的に意味不明の遺伝子が製品に入る。コミナティは30-40%がどんな遺伝子か分からない状態だった)。5)生物の進化の過程を無視したワクチンであり、健常細胞の異物化による自己細胞障害の誘発(自己免疫疾患)、発がん監視機構の減弱化が起こる。

 

V.  レプリコンワクチンのしくみ

図に通常のmRNAと、自己複製機能を持つmRNAの違いを示します。目的抗原の遺伝子コードは、mRNAワクチンの場合は分解が遅いシュードウリジンを用いますが、複製型は細胞内で複製されるため、通常のウリジンが使われ、使用後は速やかに分解されます。しかしレプリカーゼとαウイルス由来の増殖プロモーターがあり、これにより細胞内の図の様に増殖工場が細胞膜内部にぶら下がる様に作られてmRNAが無限に?産生されて目的抗原蛋白が細胞内に作られるしくみです。このmRNA産生がいつまで続くかは不明で、ベトナム人への治験では6か月後も高い抗体価を示したことから、産生している細胞が死滅するまで続くと考えられます。個々の細胞の寿命はそれぞれで、消化管粘膜の様に数日のものから神経細胞や卵細胞の様に一生変わらないものもあります。筋肉内に投与された遺伝子ワクチンは、濃淡はあっても数時間で全身に広がる事は実験で証明されています。

尚、スパイク蛋白などの体外への排出(シェッディング)を問題視する人もいますが、私は単体で大量に体外に排出するとは考えられず、粘液や皮膚片などのゴミに付着して蛋白の破片が体外に出る可能性がある程度であり、それが他人に有害事象を起こすとはとても思えません。シェッディングによる有害事象を証明した基礎データや論文も皆無であり、これはワクチン問題全体を偽情報にすり替えるスピンドクターの可能性もあり、私は問題視しません。

 

VI.  遺伝子ワクチンと免疫寛容、IgG4増加

科学論文にまとめられた新型コロナワクチンの有害事象

スパイク蛋白を抗原とする新型コロナウイルスワクチンの直接的有害事象は、図に示される様に血栓や心筋炎など世界中で患者が出て報告されたために有名になりました。もう一方の間接的に時間をかけて出てくる有害事象が、種々の仕組みが解明されて明らかになってきました。総合的免疫力の低下、自己免疫疾患の増加、進行がんの増加といった事象です。中でも特殊な免疫グロブリンの一種であるIgG4の増加は、mRNAワクチンを2回以上受けた人に顕著に表れることが確認されていて、スパイクタンパク質への自然な免疫反応を抑制してコロナに罹りやすくなる他、過剰な抗原に反復して暴露することがIgG4の増加スイッチになっている事も指摘されています。IgG4によってウイルス感染への免疫が抑制されるしくみは、図の様に細胞障害性T細胞が感染細胞に作用する事をIgG4抗体が邪魔をすることによります。

IgG4によるウイルス感染症免疫の低下メカニズムとがん免疫低下のメカニズム

またがん免疫を阻害するしくみも図の様に抗体、細胞障害両方をIgG4が阻害する事が証明されています。

発がんのメカニズムについては、人体の各所で異物であるスパイク蛋白が作成されることで、宿主となる正常細胞が自己の免疫細胞から「異物産生細胞(がん細胞)」認定を受けて排除されようとする際に、自己免疫を抑制するPDL1を産生することが考えられます(図)。採血で証明できるワクチン接種者の末梢血細胞のPDL1増加は既に論文化されています。

抗原蛋白合成を強制された宿主健常細胞によるPDL1産生が、発がん監視機構を障害するメカニズムが考えられる。

 

VII.  ワクチン接種と超過死亡の増加

 

Unz ReviewのEugene Kusmiak氏は2024年5月に世界各国のワクチン接種数と超過死亡の相関についてまとめを発表しました。 2022年に国民一人当たりのワクチンを接種した回数と2023年の超過死亡増加率を国別にまとめた図が以下のもので、日本の接種数と超過死亡増加がいかに特異的か分かります。それによると相関式は

2023年超過死亡率=8.31x2022年の一人当たりワクチン接種回数

となります。

米国は州によってワクチン接種の積極度が異なりますが、2021年と22年の各州毎の住民一人当たり接種回数と州毎の2022年と23年の超過死亡率の増加(緑が21年、赤が22年の接種で示す)は明らかに接種回数によって超過死亡率が増加している相関関係があると思われます。

医療には必ずリスクが伴います。リスクよりも医療を行う事によるベネフィットが大きいならば、敢えてリスクを承知で医療を行う正当性が生まれます。ワクチン接種は健常人に対して行う医療行為です。医療を受けた結果病気になったり、増して死亡するなど絶対にあってはならない事です。その厳しさを理解せず、安易に予防医療(コレステロール低下や抗血栓治療含む)やワクチン接種を行ってはいけないのです。私はワクチン投与全てを反対する者ではありませんが、コロナワクチンに対する異論を簡単に「反ワク」などとレッテル付けして排除するようなレベルの低知能者は医療を語る資格はありません。医療を受ける時は必ずリスクとベネフィットを比較して熟考した上で、最悪の有害事象も受け入れる覚悟をした上で医療を受ける必要があります。

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米国泌尿器科学会2024のまとめ

2024-06-01 13:36:14 | 医療

今回は専門的な内容の備忘録です。2024年5月3日から6日に米国テキサス州サンアントニオで米国泌尿器科学会総会が開かれ、rakitarouは現役として最後だろうと考えて出席してきました。全体の印象は前回出席したBostonの総会に比べて内容含めて「地味」の一言に尽きる様に思いました。最近の泌尿器科全体として注目に値する新しい話題がない事もありますが、日本の泌尿器科学会も教科書的な総論が多く、現在の日本において倫理規定が厳しすぎてユニークな研究がほぼできなくなっている事も背景にあると思います。Plenaryと呼ばれる専門に特化しすぎない教育的内容の催しもBostonにおいては医療過誤の模擬裁判や当時先進的であった遺伝子治療や免疫治療について判りやすく問題点などを解説する内容で参加する意義があると感じたのですが、今回は「そうだよね。」と既に納得している内容が多く、わざわざ米国南部まで来なくても、と感ずる物が多いと感じました。

その様な中でもいくつか今後のために特記するものを記しておきます。

会場となったHenry B. Gonzalez Convention Center街の中心部にある巨大な会場

I.  BCG抵抗性の膀胱上皮内癌に対する全摘手術以外の治療法

1) ICI(免疫チェックポイント阻害剤)Keynote-057でも報告済で、日本でも化学療法後であれば保険適応になっており、私も実際に患者さんに使用したこともあります。研究では投与中央値が7回で、3か月時点で40%に完全奏効CRが見られたとされます。

2) TAR-200徐放性膀胱内注入デバイス これは日本では未導入ですが、化学療法で用いるジェムシタビンを2週間かけて膀胱内に徐放性に効かせるデバイスで、平均6回注入して奏効率80%以上という良好な成績です。血中移行は代謝物が少量検出される程度で膀胱痛など副作用も少なく(8%)(SunRISe-1試験)、膀胱全摘に代わる優れた治療と思いました。

膀胱内にコイン大のジェムシタビン徐放性デバイスを2週間留置する。ジェムシタビンやシスプラチン注射液の膀胱内注入はショックなど悲惨な結果だっただけに、徐放剤は期待できる。

 

3) 腫瘍溶解性ウイルス感染による治療 正常細胞に感染せず、がんに特異的に感染するウイルスを用いて腫瘍を壊死させて新たに免疫誘導もすることで治療する。これはまだ実験段階。

腫瘍溶解性ウイルス治療の概念図。各種ウイルスで効果試験中。

 

II.  前立腺癌に対する集束超音波治療(HIFU)

これは自分が専門に行っていて、全摘に匹敵する効果が期待されたのですが、標準治療にはならず、現在部分治療(Focal therapy)が中心になっていますが、フランスからの報告では、比較的悪性度の低い治療群においては全摘手術に非劣勢の結果であった(HIFI trial)。

米国ではwhole gland治療は否定されて部分治療のみになったが、フランスでは見直されている。

 

MRIガイド経尿道的超音波治療(TULSA)が経直腸HIFUに代わって紹介されていますが、1年生検での再発率が11.8%(18/152)と予想通り悪く、今一つと考えます。私が行っていたDegarelixを2回投与した中間の2週目にHIFUを行うやり方(5年で再発率6.7%1/15)の方がはるかに有効だと思う。

TULSAはあまり期待できないと思う。右はHOLEPとHIFUを同時に行って肥大症と癌を同時に治療するというもの。力業であまり勧められない。TUR-P先行で後日HIFU+Degarelixが確実。

 

III.  前立腺肥大症の新しい治療 iTIND

米国オリンパスがイスラエル企業と共同で開発(合併)した尿道に6日間拡張デバイスを留置した後除去することで、肥大組織が圧迫壊死を起こして肥大症が改善するというもの。数年は効果があると言われる。局所麻酔でも挿入可能で、高齢者の前立腺肥大による尿閉でカテーテルを留置している患者さんにも安全に行い得るため、日本でも需要が多いと思いました。会場にいた日本から派遣されたオリンパス技術部員に日本でも発売するよう話しました。

前立腺部に拡張ワイヤーを留置する。国内での発売が待たれるiTIND

 

IV.  前立腺癌治療後のMRI、生検のGleason分類、PSMA―PET

初回診断時にPSMA-PETはMRIや生検の代わりにはならず、使えない。逆に治療後はMRIにおけるPIRADS-Scoreや生検のGleason分類は意味がなく、PSMA-PETで癌の有無を検索する意味がある。

以上

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ワクチンの危険性について撤回された論文と講演会記録

2024-03-25 11:35:47 | 医療

I.  いまこそ問うコロナワクチン推進の責任 講演会

2024年3月24日に横浜県民センターで「2回連続セミナーin横浜 ほんとうに接種する意味はあったのか? ~いまこそ問う「コロナワクチン」推進の責任~ と題する講演会があり、参加してきました。主講演者の名古屋大学小児科名誉教授の小島勢二医師は、最新の厚労省資料などから特定の癌(乳がん、子宮がん、血液がん、すい臓癌)が日本においてもコロナワクチン接種前と比べて20-25%増加している事、自己免疫疾患の難病指定者数がやはりワクチン接種前と比べて10%以上増加していることなどを科学的に示し、ワクチン後長期後遺症に苦しむ患者さん達の各種自己抗体発現調査の結果などを示されました。獣医師のStray氏は私も以前紹介したワクチンで死亡した患者さんの各所病理組織にワクチン由来のスパイク蛋白が染色されている状況を説明し、後遺症と疾患の関連を説明されました。

質問の時間で、「がんの増加や自己免疫疾患の増加といった<免疫系の制御逸脱>をおこした原因は、(1)mRNAの機能を持った遺伝子ワクチンで<自己の物でない異物>を宿主の正常細胞に作らせた事が原因か?(2)作らせた異物が<スパイク蛋白>であった事が原因か?」を小島先生に尋ねた所、「自己免疫肝炎の一部などではスパイク蛋白に対する特異反応も見られているが、圧倒的に免疫異常をきたした主な原因は(1)の方だ」と言う答えで私の考えと一致する内容でした。

 

II.  撤回を強いられたワクチン接種再考を促す論文

 

ワクチン関連の医療記事はしばらくなかったのですが、少しずつワクチンの副作用を科学的に証明する医学論文が出てきています。しかし講演会でも指摘されましたが、「ワクチンの副作用」「危険性」を前面に(表題や抄録)に出すと採択acceptされないバイアスがかなり強く、一見ワクチンの有効性を推奨するような内容ながら、よく読むと「危険を指摘」といった工夫がされています。学問の自由、科学の公正は既にないのが現在の世界情勢なのです。

私が以前から指摘している「自分の正常細胞に異物を作らせる事でがん免疫が惹起されて正常細胞を攻撃する様になり、結果的に自分の正常細胞を攻撃する自己免疫疾患が増加する。また攻撃された全身の正常細胞が自分の免疫細胞を抑制するPDL1という因子を発現して、結果的にがん免疫監視機構を弱め、全身の癌出現が増加してしまう」というメカニズムを一部検証する論文が出ています。

ワクチン接種を受けた被検者(右の緑の箱ひげ図)の顆粒球や単球のPDL1が受けていない者(コントロール紫)より増加しているという図

 

また「Covid-19 mRNAワクチンの登録試験及び全世界に渡る接種キャンペーンから学んだ教訓」と題されて、293題の参考文献を元に書かれたCureusに2024年1月16日に発表された論文( 10.7759/cureus.52876)は2月26日に撤回させられました。結論には「利益よりリスクが高く、耐えがたい副作用を持つこのワクチン接種は少なくとも小児に対しては控えるべきであり、安全性が確立されるまでは政府は認可すべきでない」と書かれています。今はアクセス可能ですが、できなくなる可能性もあるので、以下にこの論文から主だった有用な図表を転載します。

クリーブランドクリニックでワクチンを複数回受けた職員(黒赤緑青黄土の順)ほど変異してゆく新型コロナに罹っていったという累積図

若年者ほど(横軸)心筋炎症例が増えたというワクチン回数別による表示(赤緑青の順)VAERSの報告例から(2回目が一番多いようだ)

インフルエンザワクチンに比べてコロナワクチンによる自己免疫の副作用が8倍に増加したというVAERSの報告

ファイザーのワクチン登録試験で、始めは解らなかったが、政府が緊急認可した後、33週目にはワクチン接種者の死亡例(実線)が非接種コントロール(点線)より増加したという報告

ワクチンはウイルスの変異(evolution)、免疫異常(immune dysfunction)、抗原原罪などの免疫回避(escape)を促し、何かいも打たせるし、失敗であるという図

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前提が誤りなら途中の論理展開が正しくても結論は誤り(2)

2024-01-04 15:41:40 | 医療

2年前の2022年1月9日に同じ題名でブログを記しました。2023年末になって新型コロナ感染症は衰えるどころか患者数を増大させています。すでに5類感染症扱いになり、全数調査を行っておらず、マスクや外出制限も行われていないので実感がありませんが、昨年秋から冬にかけてインフルエンザが流行した後に世界で問題になっているJN1変異種の流行が日本でも確認されています。NHKニュースでも紹介されていましたが、JN1変異種はオミクロン株の一種で、2022年に流行したオミクロン株BA2系統のウイルスがさらに変異したもので、昨年11月ころから増加し、検出割合は30%を超えています。日本のメディアでは詳しい解説をしたものを見かけませんが、このJN1は重症化リスクは高くないものの、今まで以上に感染しやすくなるようスパイクたんぱく質が変異しており、重要な点は今までのワクチンや既感染による免疫が効かない事です。JN1はスパイクタンパクのアミノ酸が11個(遺伝子が11個でなく)が変異しており、感染しやすくなると共に、タンパクの3次構造4次構造を認識して結合するワクチンや既感染で作られた既成の免疫グロブリンがアミノ酸の変異が多いために無効になっている(しかも類似点も多いから新たにグロブリンを設計作成しにくい)のです。「ワクチン地獄を永久に続けますか?」でも説明した様に、「ワクチンで耐性株の出現」は医学では常識中の常識です。だから同じワクチンを繰り返し打つ、変異種が出る度に後追いでワクチンを追加接種しろ、などと「医学や感染症の初歩を否定した主張をするバカ」をいつもまでも相手にしてはいけない。この人たちは「金」が目的でメディアに出て、製薬会社の儲けに貢献しているだけなのです。でもいくら「事実」を目の前につきつけられても真実が見えない人というのはいるものです。残念ながら日本人に多い。それは日本人が演繹法に基づく論理的思考に慣れておらず、周りと権威にとりあえず盲従することが身の安全を保障できる術だと長年の経験から身についてしまったからだとは思います。そこで2022年1月に記した「前提が誤りなら途中の論理展開が正しくても結論が誤りなのだ」という意味が今日でも生きてくると思います。

JN1変異種の増加を伝えるNHKニュースと日本を含む世界での増加を示すデータ(BA2.86.1はJN1類似種)

 

(以下2022年の再掲)

今更ながらの解説ですが、演繹法とは事実とされる前提を組み合わせて、論理的に正しい展開をして正しい結論を導く事で、科学(サイエンス)において正しい結論を得るために用いられます。しかし演繹法の欠点は前提が誤りであれば途中の論理展開が正しくても得られる結論が誤りである事です。

 

ウイーン生まれの英科学哲学者カール・ポパー(Karl Raimund Popper1902-1994)は、「探求の論理(1934)」において科学は帰納的学問ではなく演繹法に基づいた「反証可能性」という理論を提言し、受け入れられてきました。つまり反証の試みで「科学的研究によって得られた結論」が誤りであると証明されなければその結論は「科学的に真実だ」(=パラダイムの構築)とされるものです。大事な事は仮説の検証、反証が自由に行われる事であってこれがないものはサイエンスではなく宗教や政治の「主張」と同じであるという点です。

 

私は既にブログで何度も指摘してきましたが、現在の「新型コロナ感染症はエボラやSARS1型と同じ根絶せねばならない」という誤った前提に基づいて、種々の対策が立てられているのは、例え途中の論理展開が科学的に正しくても結論が誤りであると主張してきました。経済を破壊するロックダウンや大規模人体実験でしかない遺伝子ワクチンの強要など、もうデタラメとしか言いようのない政策がこの2年間行われ続けています。多くのまっとうな医師・科学者達が「これはおかしい!」と声をあげてきましたが、それらの声はメディアでは意図的に取り上げず、本来自由に情報発信できるはずのSNSではBAN(禁止)という処置が取られています。上記の様に、「反証可能性」を否定した段階でそれは「サイエンス科学」ではなく単なる宗教的・政治的主張にすぎないものになるのに、「科学の衣を着たプロパガンダ」としてあたかも科学的事実であるかの如く扱われているのが現状なのです。21世紀の人類は科学が発達して知性が20世紀の人類よりも秀でていると錯覚しがちですが、逆に科学の基本的な考え方さえ理解できない状態へ、知性が退化しているのです。

 

I.  オウム真理教事件を笑えるか

 

1980年代から90年代にかけて、教祖麻原彰晃を中心に「弁護士一家殺害」「松本サリン事件」数千人の負傷者を出した「地下鉄サリン事件」など様々なテロ事件を起こしたカルト宗教集団、オウム真理教というのがありました。特徴は多くの一流大学を出た(入学中)理系・文系の若者が入信し、一般社会から隔絶した特殊な社会、政治体制、小規模ながら化学工業・武器製造までオーガナイズされた別社会を構築していた事です。それは教祖麻原が主張する「ハルマゲドンが来る」を前提に「修行によって宙に浮くなど超越した能力を身につけ悟りに至ることができる」とする教えで、論理展開が精緻で科学的だった事が高学歴の若者に受け入れられる素地になったと考えられます。最終的にはテロを起こして罪のない人々を殺害する、という結論に至るのですが、これは前提となる麻原の主張が誤りであることを見抜けなかった事が失敗の始まりと言えます。新型コロナ感染症への対応で、多くのコロナと何の関係もない人々が傷つき、ワクチンで人類の健康が大きく損なわれた時、論理展開が科学的に正しくとも、誤った結論を導いた前提が誤りであったという事実を見抜けなかった責任を、21世紀の大人達は背負う覚悟が必要です。

 

II.  オミクロン株にワクチンは不要(むしろ有害?)

 

英国保健省が定期的に出しているワクチンレポートの51週目によると、α株、デルタ株に対しては2回のワクチン接種で重症化率、感染率が共に低下したが、オミクロン株に対しては2回のワクチン接種で感染率はむしろ悪化、3回目ブースター接種の効果も10週程度で半減したことが示されています。オミクロン株は気道感染が主体で肺まで到達せず、重症化しにくいというデータしか出てこないので「まだ結論は早い」「安心できない」といった不安をあおりたい意見しか言わない専門家(馬鹿じゃないのか?)ばかりですが、もう結論は出ています。オミクロン株にワクチンは不要です。オミクロン株のスパイク蛋白にある受容体結合部位はマウスのACE受容体に結合し易く、オミクロン株というのはマウス由来(マウスで変異した)ものだろうと言う論文が出ています。昨年9月の医学雑誌Lancetにも中和抗体の量が減っても重症化率予防の効果が残っている(細胞性免疫)から3回目のブースター接種は不要という専門家の論考が載っています。2021年2月26日のブログでも記した様にワクチンは1回でも接種すれば細胞性免疫は付きます。2回目接種以降は疑似感染を起こさせたと同じ事で、感作された細胞が指令を出して全力でウイルスをやっつける中和抗体が作られるだけの事であり、感染は防ぐ効果はあるでしょうが、重症化を防ぐ効果は免疫の機序から、細胞性免疫が主体になると考えます。

ワクチンのコロナ死亡を防ぐ上での有効率と感染を予防するブースター接種の効果持続性(英国保健省のワクチンレポートによる)

2回接種のみでは20週目以降は効果がむしろマイナスになっている(ADEによる逆効果というよりはサンプルの取り方によると説明される)。大事な点はブースター接種しても感染予防効果は2ヶ月程度。

 

III.  感染しない事でなく、治る事が免疫の仕事

 

免疫というのは一つのウイルスや病気だけを相手にしていて良い訳がありません。世の中には5万とウイルス、ばい菌、寄生虫などが存在し、毎日数千の癌細胞が普通に生活していても自分の体から生じて、免疫機構がくまなく目を光らせて必要に応じて排除してくれています。エボラ出血熱の様に感染したら最後高率に死につながってしまう感染症は「感染しない事」に予防の主眼をおかねばなりませんが、多くの者が軽症で済む新型コロナ感染症の場合は、感染しても重症化せずに済めば良い、「重症化の予防」に主眼を置けば良いという事は誰でも理解できると思います。多少タンパク質の構造が変わっても一度類似のスパイク蛋白で免疫細胞が感作されていれば、実物のウイルスが感染した際に免疫細胞が1から抗原の認識を行って抗体の鋳型を作るのではなく、素早く抗原に対応する中和抗体を作る作業に移れるから重症化を防げるのであろうと、上記のデルタ株にも中和抗体量が低下した時期においても重症化を防ぐ効果が残っている科学的説明が成り立ちます。一方でオミクロン株に対して感染を防ぐ効果が長続きしない(中和抗体の作用が直ぐに低下してしまう)のは変異種に対する免疫的多様性とワクチンで説明した様に、アミノ酸の成分がかなり異なるオミクロン株には中和抗体の力が従来の株よりも弱いことが推測されるのです。かかっても風邪程度の毒性であるならば、ワクチンなど打たずに普通の感冒と同様「罹って通常の免疫力で治る」で良いと結論づける正当性がここにあります。

 

IV.  早くパンデミックが終わり、with Coronaの時代へと言い出した人達

 

パンデミックの宣言は病原体が決めるのではなく、ヒトの都合で決まります。パンデミックの定義自体があいまいで「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の状況に基づいて総合的に判断されるものだからです。本来パンデミック(世界的流行)と宣言した時点で「封じ込め」という戦略は失敗したことを意味するのであって、「ゼロコロナ」という目標が実現不可能なナンセンス、非論理的なものとなります。病気にかかったヒトに「病気の予防」を説く様なものです。With Coronaとしてどのように共存して被害を最小限に留めて行くかが求められる政策になります。その意味では初めから政策目標が誤りであったと言えます。もっとも「ワクチンパスポートを2022年までに導入」が政策目標であったならば恐怖を煽り、ワクチンを強制してパスポートを制度化したEU諸国は政策目標を達成したと言えるでしょう。だから英国などは堂々とwith Corona政策を採り出しているのかも知れません。日本は周回遅れのままいつまで「ゼロコロナ」を目指して終わりのないワクチン接種や自粛を続ける気なのでしょうか。

(2022年からワクチンパスポートを本格導入する予定だったが頓挫、でもあきらめてなさそうー2024年時点の感想)

(再掲終わり)

 

現在日本は幸いwith Corona政策に変更しましたが、諸外国はすでに否定している「遺伝子ワクチン」を今だに推奨しています。それどころかどの国も承認していない遺伝子増幅型ワクチン(レプリコンワクチン)などというとんでもない代物を日本人に使うことを承認してしまいました勿論長期動物実験さえ行っていない怪物ワクチンを人間につかって何が起こっても誰も責任は取れませんし、取るつもりもないでしょう。正体不明なものに責任を取ること自体不可能なのです。「日本人をモルモットにして世界が観察する」事態に日本人は立腹することさえできない「腰抜け」になってしまった。

今年秋には犠牲者が出始める予定とニュースで宣言している。

 

喧々諤々の議論、反論のないものは「サイエンスではない」という大原則を半分は理系大学出身のはずである日本人に再度つきつけたいと思います。

コメント (3)
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