rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

Potez 63.11 1/72 Heller

2020-03-30 17:35:59 | プラモデル

第二次大戦のフランス機は、フランス対ドイツが第一次大戦のような長期戦でなかったため目立った物がありません。フィンランド等に戦前輸出されて使用されたモラン・ソルニエ位しか思い浮かばないのですが、フランスのプラモメーカーのHellerは昔から地味ながらフランス機のプラモを送り出していて貴重な存在でした。

Potez63.11の実機 性能はさておき、フランス車の様なある種の優雅さを感じさせるフォルムと思う。   ドイツやイタリアの爆撃機の様な機首偵察窓

 

今回制作したPotez63.11は1937年に採用された3座双発戦闘機Potez631が性能的に今ひとつであったので、派生型として機首をゴンドラ型にして視界を確保した偵察機型としたもので、700機近くが作られました。660馬力のノームローンエンジンを2機搭載して、420 km/hの速度、航続距離は1,200kmで機銃は20mm機関砲搭載の物もありましたが、7.5mm機銃主体が多く当時の新鋭機と比べると非力、鈍足であった事は否めない状況でした。ドイツ機の餌食になったばかりでなく、大きさやシルエットがメッサーシュミットBf110に似ている事から味方の対空砲火や戦闘機に撃墜されたという悲劇も複数あったようです。以前作ったBf110と並べてみました。

色の再現は少し工夫が必要でした。          ドイツのメッサーシュミットBf110とは大きさやシルエットが類似していて良く誤認されたという。

モデルは1970年代の古い金型ですが、2018年にビシー政権軍のデカールなどが追加され、カラーの色彩図も添付されて発売されていたものを購入、これらが新しいので割と奇麗な仕上がりになったと思います。ただ色はどれを使用するか迷う所で下面はドイツ機用濃い目スカイブルー、上面はニュートラルグレーに青を混ぜたブルーグレー、英国機用ダークグリーン+ロシアングリーン、レッドブラウン+タンを使用してスプレー迷彩にしてみました。部品数は少ないながら車輪周りなどは煩雑で、透明部品は奇麗な透明が保たれています。

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Grumman TBF-1 Tarpon Mk. II 1/72 ハセガワ

2020-03-25 18:26:08 | プラモデル

第二次大戦初期において、イギリス海軍は高性能の対潜水艦を兼ねる沿岸哨戒機がなかったため、旧式のAvro Anson双発機を用いていましたが、米国からロッキード・ハドソンを輸入してやや長距離の偵察が可能となりました。その後を継いだのがグラマンTBF-1 (GM製はTBM-1と表記) ターポン(イセゴイ)で、後にアベンジャーと呼ばれる機体です。4,788kgもあり、第二次大戦中の単発機としては最重量級と言われ、エンジンは1,700馬力、最高速度414km、航続距離は1,700kmでした。乗員は3名で後方に12.7mmの回転銃座と下面後方に7.62mmの銃座を持ち、魚雷を爆弾倉に格納できる大型機で胴体が2階建ての様な構造でした。アベンジャーとして太平洋戦でも活躍したので日本にも馴染みがある機体です。

実機    仕事としては先輩格のロッキードハドソンとの比較

モデルは1996年のハセガワ製で日本製なので出来は良く、作り易いものでしたが、デカールが劣化して使えず他の物を流用しました。機体上面はダークシーグレーとダークスレートグレーの迷彩と記載されていますが、箱絵や写真ではダークグリーンに近い色の様にも見えるので今回はダークグリーンを使用しました。翼下面のアンテナは自作です。ロッキード・ハドソンと比較してもその大きさが解りますが後の世代のフェアリー・ガネット(ターボプロップエンジン)よりは小さい事が解ります。

前方翼内に1丁ずつ12.7mm機銃を持つ。魚雷は格納庫内。         英国海軍用は胴体側面に球型の観測窓を持つ2階構造        ガネットと比較するとガネットも大きい事が解る。

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新型コロナパンデミックは第三次大戦の引き金となるか

2020-03-19 13:34:51 | 社会

2020年3月11日WHOによるパンデミック宣言以降も新型コロナウイルス感染症はますます世界的な広がりを見せており、3月19日現在全世界の感染者数は21.8万人、(中国以外で14万人)死者8800名(中国以外で5000名以上)に達しています。世界は感染拡大を恐れて地域を閉ざすのみでなく、国を閉ざす(国境閉鎖)方向に動き出しています。今回の題である「この新型コロナ感染症で世界が戦争になる」というのは突飛すぎてさすがに私もコロナウイルスについて種々の陰謀論があるとは言っても直接世界戦争が起きるとは思えません。しかし第一次大戦から100年が経過した現在の状況があまりにも第一次大戦前の情勢に類似している(スペイン風邪のパンデミックは大戦中なのできっかけではありませんが)事は言われているので一寸したことから世界戦争が始まる事も憂慮しないといけないように思います。

 

第一次大戦前も経済は「行過ぎたグローバリズム」だった

 

第一次大戦の原因は三国同盟(独墺伊)と三国協商(英仏露)、3B政策3C政策の対立などと帝国主義史観に沿った説明がなされますが、これは戦後レーニンの「帝国主義論」に沿って組み込まれたこじつけに近く、開戦原因とは関係ないと言われています。1870年代から第一次大戦勃発の1914年までは第一次グローバル化の時代と言われていて、原料を生産する被植民地諸国と工業製品を生産する欧州諸国の二極化が進み、人物金の移動がほぼ自由に行なわれた時代であったと言います。グローバル化が進むので誰も戦争などもう起きないと考えていた時代であった点も現在に似ています。しかし当時も現在と同様グローバル化に取り残された人達がかなりいて世界で物価や賃金が均一化されてゆく中で先進国内でも格差が問題になり、人々の間に不満の鬱積が高まっていたと言われます(世界史としての第一次世界大戦―宝島社新書2020年)。 この格差の拡大に対する対応には3つの選択肢が示されます。

 

(1) グローバル化のより進行するに任せて産業構造を変えてゆく(米国を工業でなく金融とサービス業で成り立つ国にするとか)。

(2) 社会主義によるセーフティネットの拡充、資本主義自体の否定(後のソ連)もしかするとサンダース大統領のアメリカ?

(3) 自由貿易に対して関税や国を閉ざす事による保護、ナショナリズムの台頭、今で言えばポピュリズムの台頭か

 

1914年6月ボスニアの首都サラエボでセルビアで訓練された青年がオーストリアの皇位継承者フェルディナント大公夫妻を殺害した事がきっかけでオーストリアがセルビアに開戦した事が戦争開始であることは間違いありません。これにドイツが全面協力するという白紙小切手をカイザーウイルヘルム二世が切っていた事からドイツが参戦、出てこないと思ったロシアがまた参戦してしまった事で英仏を巻き込む大戦争になってしまいます。当時は現在の様な相補的な義務を持つ軍事同盟というのはなく「利があれば参戦」が常識だったので、三国同盟のイタリアは中立のまま(後から連合側で参戦)でしたし、スペインのようにずっと中立の国もありました。各国国民もナショナリズムの台頭という背景があって、しかも総力戦として銃後の国民も駆り出されたり空襲を受けたりしたので否応にも戦争に参加してゆくのですが、戦争が長引くにつれて第二の選択肢である社会主義化(革命)の方向に向かってゆくことになり、ロシアを皮切りにドイツでも革命が起きて終戦となります。

 

パンデミック不況の後どこまで自由貿易が戻るか

 

BREXITの後、シェンゲン協定内のEU域内においても現在人の自由な往来は制限されました。イタリア、ギリシャの国債はほぼデフォルト、ドイツ銀行もほぼ倒産という状況で中国も国内生産や消費の回復にはかなり時間がかかる(鶏の鳥インフルや蝗害、アフリカ豚コレラの問題も)と思われます。各国が国を閉ざしている間に世界の紛争地域では大国の干渉を受けないうちに地盤を固めてしまおうと各勢力が闘争を強めてくる事が考えられます。特にリビアやソマリア、クルド対トルコの確執などの紛争が悪化しそうに思いますし、もともと大国の思惑が絡んでいた紛争なので、より大きな戦争に拡大する懸念もあります。新型コロナ感染症自体は1-2年で収束するでしょうが、「感染症から第三次大戦なんて起こるはずないじゃん」との思いが杞憂に終わることを願ってやみません。

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新型コロナ世界の反応と少し解って来た事

2020-03-10 19:24:51 | 医療

新型コロナウイルス感染症の世界への広がりは、疾患以上に世界経済へのダメージの方が危惧される状況になってきました。病気に罹る人のダメージよりも病気とは無縁ながら経済的なダメージで命に関わる人の方が圧倒的に多いという結果が見えてきました。

一方で中国以外の国々における新型コロナウイルス感染の広がりも一様ではない様子が見て取れます。ほぼ毎日更新されるWikipediaの感染拡大についての項目の図(2020年3月10日付け)を見ても、イタリア、イラン、米国の一部の地域の感染者数の増加が著しく、また死亡者数もそれらの地域に多く見られます。検査数の各国比較から、軽症者の検査が行われていないにしても2%程度と言われる死亡率よりも多い印象があります。世界の症例数や死亡者数はグラフの様に対数目盛りで日々増加しているのですから、大して予防措置を取らず、検査も少なかった日本などイタリア北部並みに患者が増加して、今頃は各地の医療機関がごった返す状態であってもおかしくない様に思います。しかし私の病院は地域の基幹病院ですが、毎日気管支炎等で入院する患者はいますが肺炎の患者で病棟が一杯ということもなく、臨床的に新型コロナ疑いで検査に出す例も何件かありますが陽性例はないというのが実情です。

特定の国の感染者増加が目立っているのは何故か?   世界における日々の感染増加は対数的に続いているが日本はそうでもないように見える

死亡者の累積も感染者同様世界においては対数的に伸びているが日本ではそうでもない。  韓国は検査数は多いがイタリアやイランと比べると死亡者が圧倒的に少ないのはウイルス感染の型が違うからではないか?

 

新型コロナに2つのタイプ?

 

主に中国などから精力的に多くの論文が毎日発表されて、SARS CoV-2の実態についてまだ全容解明には至りませんが、徐々に明らかになってきました。特に強い感染力については、ヒトの細胞にどのように取り込まれるかといった解明が進んでいます。既にテレビでも報道されていますが、細胞のレセプターとされるアンギオテンシン変換酵素に取り憑くウイルス細胞膜のスパイクと呼ばれる部位に2種類あるということがWu AらとTang Xら2編の論文が北京の大学から発表されています。どうもスパイクの元になったセンザンコウを宿主とするウイルス(その元をたどるとコウモリ由来のSARS関連コロナウイルス(RaTG13))に近いのは毒性が弱いS型とされる結合部を持つウイルスでその変位L型の方が現在は70%の症例から検出されていて毒性も高いということが解って来た由です。検討例ではL型S型両方の感染が見られる例もあるということで、市中では両方の型が流行している(初めにS型が流行した?)事が示唆されるという事です。今イランやイタリア、米国の一部で広がりつつあるのは毒性が強くまた70%検出されるというL型の方ではないか、また日本で既に流行してしまったのは早期に出現したS型ではなかったかという気がします(これは希望的推測でしかありません)。だから日本では他国のようには感染者が増加していないのではないでしょうか(逆にL型が今後逆輸入されると悲惨な事になる可能性があります)。

 

乾燥に強く感染力が強いが高温には弱い可能性?

 

武漢のHe J(3)らの論文(大変な状況で研究を続ける様に頭が下がります)ではSARS-CoV2のヒトへの感染メカニズムを蛋白構造レベルで検討しています。彼らによると、2003年のSARSウイルスに比べて、今回のウイルスは同じアンギオテンシン変換酵素(ACE)をターゲットにしているものの、接着するSpikeの構造がよりACEに親和性が強く、容易に細胞内に流入する(感染力が高い)という事を見いだしました。またSpike部分は構造的により安定していて乾燥にも強く液体に溶解し易い(エアロゾルに入り易い)という事です。但しこの特徴は温度に弱い特性をも有していて、高温になるほど感染力が衰える特徴があると言う事です。これらはまだ正式な論文にはされておらずbioRxivというサイトで確認することができます。読んでいてこれは語彙が間違っていると解る所もあり、今後訂正されるでしょうが、遺伝子解析などの結論が大きく変わる事はないと思います。

 

参考

(1) Tang, X et al. On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2. (https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwaa036/5775463)

(2) Wu, A et al. Mutations, recombination and insertion in the evolution of 2019-nCoV. (https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.29.971101v1)

(3) He, J et al. Molecular mechanism of evolution and human infection with the novel coronavirus (2019-nCoV). (https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.02.17.952903v1)

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Gotha G III Roden 1/72

2020-03-09 18:23:19 | プラモデル

1915 年Gother社は双発の爆撃機を製作し、Gotha G Iとしてドイツ空軍から製作を命ぜられたが、エンジンなどのトラブルが多く、後に改良版のG II、G IIIとなって活躍するようになります。GIIIは計500kgまでの爆弾搭載が可能で、後期型のGVからGVII等に系譜が続いてゆきます。

第一次大戦100周年が過ぎてゆきました。この第一次大戦というのは日本人には馴染みがありませんが、欧州の人達にとってはGreat warというと第一次大戦を意味する程で、何故欧州中のお互い恨みもない国民達が一部の支配階級の人達の思惑や思い込みから延々と殺し合いをする結果になったのか当人達も判然としない所があるようです。当時5,000万人の人口を有したやや分裂気味の大国、オーストリア・ハンガリー二重帝国が汎スラブ主義を掲げるセルビアと対立していた背景はあるにしても、後に戦争の主体となるドイツや仏英ロが本気で戦争をする必然性は初めの時点で全くなかったように思います。まして戦争を始めたはずの実戦におけるオーストリア軍の弱さや、やる気の無さはいかんともし難く、普墺戦争までしたドイツが何故オーストリアのために国威をかけて戦い、戦後あそこまで酷い目に合わねばならなかったのか理解できません。

Gotha G III Roden 1/72 第一次大戦は航空機を初めとする各種兵器の飛躍的進歩を促しましたが大型爆撃機もその一つ

Rodenはウクライナの模型会社で、第一次大戦物の渋いキットを多数製作していますが、このキットは2000年にリリースされた物です。細かい作り込みは良いのですが、デカールが脆い、製作図がどこに接着したら良いか解りにくい、部品の接着面が小さくて組み立てが難しいなどけっこうChallengingな内容です。今回は第一次大戦ドイツ機の制作で、一度試してみたかった菱形迷彩(Rosenzi camouflage)も行ったので余計Challengingになりました。この菱形迷彩は1916年頃から登場し、航空偵察により当時の白黒写真で撮影すると周囲にとけ込んで見分けられないという事で主に夜間爆撃機などに使用され始めた迷彩で、鮮やかな色を含む種々の色が使われ3色から5色の不定形手塗りのものから後に羽布プリントを貼付けた物など様々な形態の物が使用されたと記録があります。模型は手塗りで行ったので羽布プリント柄のような精密さでは再現できませんでしたが、下の写真のような不定形手塗りの菱形迷彩の感じはあるていど再現できたかと思います。鉛筆で下書きしてから細かく筆塗りをするのに時間がかかりました。下面も明るい菱形迷彩にしているものが多いのですが、今回は断念。Riggingも可能な範囲でミシン糸と真鍮線を用いて張ってみました。上翼の製作と取り付けはこの手の模型では一番難しい所ですが、やはりこのモデルも簡単に合わず、苦労しました。私は支柱を下翼に立ててからRiggingを見通しが良いうちに行って、最後に上翼を付けるのですが、支柱の高さが均一にならず、何とか形を付けるために高すぎる物を切ったりして上下の翼の間隔が少し狭くなってしまった感があります。

1916年当時手塗りで描かれたRosenzi迷彩のファルツ E1   前回作ったRoland C11と並べてみました。Rolandの方が早く機敏な印象があります。

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新型コロナの収束はSARS型か豚インフル型か?

2020-03-03 13:10:01 | 医療

日本政府は子供達への新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、3月2日から全国の小中高の休校を要請するという異例の処置を取りました。また不特定多数が集まる集会なども自粛要請が出て、イベントや会合、学会も休止や延期が相次いでいます。物流を止めない限り、この1—2週間の感染者を増やさないための処置、また世界への日本国としての対応を示す意味でこれら対応は適切な事である様に思います。

但し、前回ブログのコメントでも指摘した様に、現在のメディア情報というのは「サイエンスに基づく医学的情報」と「政治的建前を含む情報」とが混在していて、互いに影響し合い、また互いを否定することもないのですが「建前」を含む情報を「全て真実」と鵜呑みにすると誤りである事を認識する必要があります。目の前にある情報がこのどちらであるかは素人であっても注意すれば判ります。

米国も情報の二重性については同じであり、経済と再選を気にするトランプの発言とCDC長官の発言が食い違っている事から、とうとう新型コロナについてはCDCが勝手に見解を発表できなくなり、全て副大統領のペンス氏を通して発表することになりました。

 

新型コロナの収束はSARS型か豚インフル型か?

 

2002年11月に中国広東省でコロナウイルスを原因とする約20%の患者が重篤な呼吸器症状や下痢を呈する非定形肺炎が発生し、SARS(Severe acute respiratory syndrome 重症急性呼吸器症候群)と命名されて2003年3月WHOからグローバルアラートが発令されました。SARSは32の地域と国に8,000名を超える患者が発生しましたが2003年7月5日にはWHOから収束宣言が出されました。これは感染源を特定し、隔離を徹底する「封じ込め」により感染拡大を防いだ良い例と言えます。

一方で2009年米国、メキシコなどで発生した豚インフルエンザ(H1N1)は、当初WHOはパンデミック警報レベルをPhase4に引き上げて世界的な注意喚起が行われました。日本でも当初はPCR検査による感染の確認も行われていましたが、翌年までに日本では推計2,000万人が罹患し、200名が死亡という統計が出されたものの、2010年8月にはWHOはポストパンデミックの宣言をして以降この新型インフルエンザは普通の季節性インフルエンザと同様に扱われるようになりました。つまり流行してしまったものは仕方なく、今後は通常の感染症の対応で問題ないという事になったのです。その後の季節性インフルの予防接種(4価)にはH1N1が含まれています。

さて現在問題となっている新型コロナ感染症はこのどちらに落ち着くか、当初はSARSとほぼ同じウイルスということもあり、2002年のSARS型の「封じ込め」を狙っていた事は確かです。感染源の徹底的な追及と隔離というのがパンデミック前の「封じ込め」の原則です。この時期においては「疑わしきは検査」も大事です。しかし私は「この感染症は強力な感染力と無性状や軽症者が多く、その様な人も感染源になりえるため、昨年末の時点で既に蔓延している」という立場を取っていることは前回のブログで述べた通りです。幸い2002年の初代SARSよりも重症化は少なそうで若い人はあまり死なないですし、季節性インフル+αの疾患として扱うことも可能と思われます。欧米においても感染症学者で「既に蔓延」「遠からず必然的に蔓延」立場を取る人は増えています。日本でも表立ってメディアで言いませんが、政府内部では「もう広まっている」という前提で話が進んでいると思わせる対応をしていると思います。つまり予防法や治療法については未確定ながらパンでミックになることは受け入れて豚インフル型の収束にせざるを得ないという立場なのではないかと思います。

ただ世界がまだ2002年のSARS型封じ込めを狙っている段階でパンデミックを受け入れると「日本が封じ込め」の対象にされるからそう表明できないのです。

メディアやネットでも新型コロナについて明確にこの視点で議論をしている物を見かけないのですが、国民がどうしてよいか混乱するのは目標が定まらないからであることは確かです。

 

狂想曲に踊り狂うと「PCR検査をしない」と「医療を受けない」が同じに

 

訳が判らず「新型コロナ狂想曲にただ踊っている」テレビ番組はワイドショー初め多いと思われます。3月1日のTBSサンデーモーニングの内容は酷いものでした。解説者として出ていた専門家らしい人も視聴者を混乱させるばかりで、実臨床をしていない専門家というのはこんなレベルかと暗澹たる気持ちになりました。新型コロナの診断をするPCR検査の敷居が高い事を批判する内容でしたが、「検査をしない」が「医療を受けられない」に話がすり替わっている。保健所などに問い合わせて「PCR検査をしなくて良い」と言われたら面倒な「帰国者接触者外来」に回されず、堂々と普通の病院やクリニックを一般患者として受診できるのに「お年寄りは脱水などあり早期の対応が必要」とか「検査ができないまま死ねと言うのか」といった意見を紹介してしまい、専門家が「熱や咳が出るのは新型コロナだけではないので普通に医療を受けて下さい」という重要なメッセージを発せず、国立感染症研究所は旧陸軍の流れを汲むからどうのこうのと現在の活動内容と何の関係もない御託を並べる始末、視聴者の認識を偏った方向に導くあり得ない内容でした。その後の「デマが広がる病理」の解説はまともな内容だっただけに医学の内容がお粗末だったことが悔やまれます。

 

日本で「検査対象を広げた結果感染源不明が増えた」理由

 

北海道での感染増加は無症状の若者が地域に移動して感染を広げた可能性がある(確度がかなり低く無理やり考えればという感じがにじみ出ている)という結論になっています。本当にそれが唯一合理的な回答でしょうか。私は「もともと流行っていたから」という方が自然な考え方のように思います。しかし政治的建前ではそう言えないのでしょう。前回のブログで記した様に、昨年12月末頃に流行していたインフルエンザ陰性の高熱が続く呼吸器症状の強い風邪は、今その症状ならば新型コロナのPCR検査を受ける対象になりますが、その時点から関東など都心部では新型コロナが流行っていたのであり、月単位の遅れで北海道にそれが蔓延して現在の北海道で広がりが見られていると考えるのが合理的だと思います。米国CDCも同様の結論だから国民の70%は罹患するとコメントされ、カリフォルニアでは要観察対象が急に数千名も増加したのだと思います。

 

私は、新型コロナ感染は「豚インフル型」に収束せざるを得ないだろうと考えています。現在我々にできる事は粛々と感染予防に務め、パニック買いなどはせず、「必要に応じて普通に医療機関にかかる」事だと思います。

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