rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

英国空軍博物館探訪記

2014-10-23 19:26:05 | その他

ベルリンに訪れた際に郊外にあるドイツ空軍博物館を探しながら見学に行った記録をブログに残した所、コンスタントに検索して見ていただいているようなので、航空ファンには有名ではありますが、今回訪れた英国空軍博物館についても記しておこうと思います。

 

行き方はRAF museumでググると当該博物館のホームページにも比較的詳しく出ているのですが、ロンドンに始めて行く日本人はヒースロー空港でまずロンドンにどう行くか迷ってしまうのでそこから解説しようと思います。

 

地球の歩き方を含むどのガイドブックにもヒースロー空港からロンドン市街に安く行く方法が具体的に書いてありません。英国航空を含む日本からの便は大抵第5ターミナルに到着します。第5ターミナル自体がABC3つのブリッジに分かれていてBCに到着するとメインのAブリッジまで何と電車に乗って向かいます。大きな空港では米国のアトランタ空港なども到着してから荷物を受け取るまでに電車でターミナル内を移動する必要がある場合があって面食らうことがあるのですが、その辺の説明がガイドブックにはありません。

 

第5ターミナルのAブリッジに行くとバス、電車、タクシーなどの乗り場があります。料金が高い指定席の特急電車(1ポンドは実質200円で20ポンド以上、ロンドンまでは20分程度で到着)は第5ターミナルの地下から出発しますが、通常料金(10ポンド)で行ける電車は1.3.4ターミナルが集まるセントラル駅に行かないと乗れません。ターミナル間は無料のシャトルバスが走っていることになっているのですが、「必要な時は携帯電話で呼べ」と停留所に書いてあって普通の旅行者では使い物になりません。私はここで諦めてバス乗り場からタクシーで市内に向かったのですが、夜で渋滞がないにも関わらず市内までタクシーで90ポンド(チップこみ)もかかってしまい、家内と二人分といってもタクシー代2万円はかなり痛い出費でした。ガイドブックにはタクシーで40-70ポンドなどと書いてあって二人分の特急料金とあまり変わらないように見えてしまうのですが大嘘です。絶対電車を使うべきでしょう。

 

帰国する段になってやっと理解できたのですが、実は、第5ターミナルの地下に電車についての案内係の人がいて、料金の高いヒースローエクスプレスでなく、ヒースローコネクトに乗りたいと言えばその切符が買えます。第5ターミナルからコネクトに乗れるヒースローセントラル駅まではエクスプレスに乗って3分程度ですが、この移動は無料で改札もありません(これがガイドブックには書いてない)。やって来たヒースローエクスプレスに黙って乗ってセントラル駅に行って、ここからヒースローコネクトに乗り換えれば実質15分位の違いで市内のパディントン駅まで行けます。ヒースローコネクトは車内に改札が回ってくるので無賃乗車はできない仕組みになっています。エクスプレスとコネクトの違いは東京で成田に行きたい時に京成スカイライナーに乗るか、成田行きの特急(普通料金)に乗るかの違いと同じといえば分かりやすいでしょう。地下鉄でヒースロー空港から(第5ターミナルからも乗れる)市内に行く手もあるのですが、ゾーン別料金でコネクトとあまり変わらなくなる上に時間が1時間以上かかるので大きな荷物を持って移動する上でお勧めではありません。逆にロンドンからヒースローの第5ターミナルに行くにはパディントン駅からコネクトに乗って終点のセントラル駅で降りると同じホームにエクスプレスが直ぐにやってくるので無料でそれに乗って第5ターミナルまで行けば良いのです。

 

ロンドン市内からRAF museumまでは日本で地下鉄に乗り馴れていれば迷う事はありません。日本のsuicaに相当するタッチ式のプリペイドカードであるoister cardを空港の駅ででも購入して(市内の駅ではクレジットカードでないと購入できない、カード代5ポンドとデポジット5ポンドずつ入れるので数日ならば20ポンド分くらい入れておけば市内どこでも行けます。帰国する時はヒースローの第5ターミナル駅で係の人に残額cash backを頼めばカード代の5ポンドも含めて返ってきます)地下鉄に乗るのが一番便利です。例えばパディントン駅からであれば、緑色のDistrict lineに乗って2駅目のNotting Hill Gateで赤いCentral line東行き(East bound)に乗り換え、6駅目のトテナムコートロードで黒いNorthern lineのEdgeware行きに乗って12駅目が目的地のColindaleです。既に地下ではなく、地上を走っています。出口は一つしかなく、出た所の道路に「RAF museumこっち」という看板が立っているので指示通りに歩いて行くと10分位で博物館の建物と入り口が見えます。バスに乗る必要はありません。ベルリンのドイツ空軍博物館に比べればとても分かりやすい場所です。

 

館内は勿論無料、お子様向けには4Dビジュアルゲーム体験のような施設もありますが、第二次大戦の飛行機ファンであれば端から見て行くだけで十分にお腹いっぱい珍しい飛行機を眺める事ができます。

  

入り口で迎える定番ハリケーン milestone of flightと呼ばれるハンガー

スピットファイアやハリケーン、P-51ムスタングといった定番の飛行機から、B-17, B-24, ランカスター、モスキート、ハインケル111といった往時のスター達。フェアリーバトル、ライサンダー、ブレニムなどイギリスならではの飛行機や嬉しいのは昔プラモデルを作ったAirspeed OxfordやAvro Anson沿岸哨戒機などの本物がさりげなく陳列されていたことです。

      

モスキート、oxford、ブレニム、ハインケル111爆撃機達

渋々のサンダーランド飛行艇とかワルラス飛行艇といったファンにとってたまらない物が見れたのも、一生にそう何回も来れる所でないだけに「来て良かった」感がありました。

ワルラス(seagull)隣にサンダーランドも

実はイギリス中西部のCosfordにもRAF museum分館があってかなりの数の飛行機が陳列されているのですが、さすがにちょいとイギリス旅行に来た外国人が行ける所ではないのが残念です。Focke Wolf190の単座機(Hendonにあるのは複座型)とかカタリナ飛行艇などの魅力ある機もあるのですが、多くはミュンヘンやベルリンの博物館でも見れるものなので、やはりロンドン(Hendon)に行きさえすれば十分堪能できるように思います。

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スコットランド/ロンドンのニュース事情

2014-10-23 01:21:16 | 社会

国際学会に参加するため、スコットランドのグラスゴーとロンドンに1週間ほど滞在しました。晩秋のスコットランドは紅葉が美しく、独立投票が否決された直後でしたが、特に変わった様子もなく、街中にも立て看板や落書きも見られず、といって繁華街は賑わっていて極めて平穏な感じでした。グラスゴーとロンドンは飛行機で1時間程度の距離ですが、北のグラスゴーの方が3−4度は涼しい感じでした。スコットランド銀行発行の紙幣はロンドンで使いにくいので、釣り銭などでもらったものも当地で使い切るようにしてロンドンに移動しました。

 

グラスゴーの街(学会の歓迎の幟も)

英国に滞在した印象は円が安いせいか全体的に物価が高いという印象がまずありました。1ポンドは180円くらいですが、ロンドン市内の両替所では手数料含めて200円以上であり、元々英国はインフレ(この1年が1.2%に収まったとニュースになっていた)気味であったので食事や記念館の見学料などすぐに数千円(20−30ポンド)に達します。パブでビールを飲んでスパゲティなど食べるとチップ(10-15%)を含めて4,000円くらいになります。1週間程度ならば全て外食でも良いですが、それ以上になると経済的に辛いと思います。それでもロンドンのパブなどは街路にまでジョッキを持った勤め人達が平日の夜参集して歌を唄い合ったりして活気がありました。

賑わっているロンドン市内のパブ 

今回は英国におけるテレビのニュース事情を報告しますが、ホテルでは60ch位受信可能な中でBBC、SKYTV、ロシアtoday(RT)などがニュース専門チャンネルとして見る事ができました。BBCは日本でも見る事ができますが、RTはyou tubeなどにupされない限り見れないので、この2つを見比べる事で種々のニュースを二面的に知る事ができて有益でした。

 

日本に帰って来たら安倍内閣の女性閣僚のうちわやら観劇の代金がトップニュースになっていて議員としての法に触れるのだから議員を辞職するのかと思ったら大臣を辞職するという話で盛り上がっていて情けなく思いました。だって議員を辞職して民間人として大臣を続ければ良いのであって、大臣として失策をした訳ではないのですから、法の趣旨に沿うにはそうするべきだと常識では思うのですが。まあその人以外の大臣の適任者がいないのではなく、誰が大臣になっても同じという所に本当の問題があるのですが。

 

英国ではニュースの第一はエボラ対策、第二はISIS、次がヒマラヤの遭難でした。RTではこれらの他にウクライナ情勢が報じられて、政府側が停戦を破って攻撃しているとか、東ウクライナにおける民間人虐殺についてのhuman rights watchの調査の協力をCNNやBBCは拒否したとか、インドが打ち上げた火星探査衛星など、なかなか西側のテレビでは報じられない内容がありました。

 

欧州ではThe Great Warというと第一次大戦のことを指しますが、今年は民間人にも莫大な被害を出した第一次大戦開戦100周年にあたり、英国でも各地で第一次大戦を記念する催しが行われていました。グラスゴーでも博物館でビデオ上映が行われていたり、ロンドン塔では戦死した兵士に祈りを捧げるために88万本のセラミックの赤いケシの花が堀を埋め尽くし、テレビでも紹介されていました。当時の開戦を報じる新聞の復刻版が4ポンドで売られていたので記念に購入してみましたが、面白いのは淡々と開戦を報じるニュースの他に「英国は戦争に巻き込まれるなかれ」という1面の意見広告が出ていることです。興味のある方は拡大して見ていただきたいのですが「バランスオブパワー?騙されてはいけないよ」といった口上で不戦を訴える意見広告を堂々と載せる所に当時のメディアの力というか意気込みを感じました。同じ事が今の日本の新聞にできるでしょうか。

   

講演パンフ、ロンドン塔の赤いケシ、開戦を伝えるDaily News and Leader(1914.8.5)

コメント (2)
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何となく違和感を覚える心肺停止状態という表現

2014-10-01 23:19:24 | 医療

御岳山の突然の噴火は47名という戦後最大の噴火被害を記録し、海外のニュースでも大きく取り上げられています。しかしニュースが報じられた当初から怪我をした人と共に心肺停止状態の方が・・名といった報道が繰り返されています。心肺停止状態Cardiopulmonary arrestというのは医学的表現で心臓の動きも呼吸も停止しているということで、蘇生する可能性も0ではありませんが、数分以上その状態であれば通常は「死亡している」ことを指します。現在心肺停止で発見された場合でも救急医療においては必ず蘇生措置が施されながら救急病院に搬送され、そこでさらに蘇生措置がなされた結果、蘇生できない時に医師により死亡が確認され、死亡が確定します。だから死亡が医学的に確定されていない状態の人を死人扱いすることは報道としては誤りであるから心肺停止状態と表現しているのだと思います。それはそれで正しいので文句を言うべき筋合いのものではなく、増して家族の無事を祈っている近親者の方にとっては医学的な確認もなしに亡くなっていると報道してしまうのは問題があるのも解ります。しかし何か違和感を感ずるのは私だけでしょうか。

 

20世紀のニュースであれば躊躇なく遺体で発見された人・・名と言う報道がなされていた所を心肺停止状態と言い換えることに違和感を感じているのは私だけではないようですが、報道各社の申し合わせのようなことで決まった事なのでしょう。海外ニュースではbodies(遺体)という言い方がされているようなので、これは日本だけの事態と思われます。ガザの空爆で心肺停止状態の市民300名などという報道は日本でもされてません。

 

以前拙ブログでも紹介したように、目の前で心臓が止まって蘇生措置をした場合を除いて、心肺停止で搬送された人が元気に退院することはほぼありません。救助隊の人達も「収容」と表現して、搬送先も病院でなく「小学校」である心肺停止の人を死者として扱う事は別に失礼ではないし、ご遺体としての礼を尽くせば良いだけではないかと愚考します。書評「日本人の心のかたち」で、日本特有の思考に「不二と両行」という特質があることを紹介しました。日本人は生きている状態と死後の状態を別物とは考えず、同一の連続した人生の続きのように捕らえ、道教の思想ではありますが、死後7日の間は家族のそばに寄り添っているとか、死後も盆にはこの世に戻ってくるとか、死後も変わらぬ心根を持ち続けて存在するかのように考えます。亡くなっている人を心肺停止状態と表現して生きている人と同様に扱うこともその辺の日本人的な優しさから来るものと理解することもできます。実際には「亡くなっている」と全ての人が理解しているものを単に言い換えているだけなので誰かに迷惑をかけている訳でもないのですから問題ないとも言えますが。

 

ただ医療の世界では「医者が死亡を告げるまでは蘇生を続けろ」といった教条的概念が徹底されてしまうと死後硬直が出て身体が冷たくなっているご遺体を蘇生しながら救急隊が病院に搬送してきて、病院でもいきなり死亡宣告するわけにもゆかず型通りの蘇生を儀式的に一定時間行ってから死亡宣告するという無意味な医療を続けることになり、私は賛成しかねます。というか実際にそのような医療が救急病院では行われています。高齢者の安らかな死や終末期医療を考える時、眠るように亡くなった方を「心肺停止状態」として蘇生の対象にするような事態は絶対に避けるべきだと思います。その意味で「心肺停止状態」を医学的な用語でなく、まるで使いやすいマイルドなご遺体の表現として多用するようなことは避けて欲しいと私は考えます。

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