新型コロナ感染症の流行が始まって約1年が経過した2020年11月に拙ブログでワープスピードで開発されて実際に全世界のヒトに投与されようとしている遺伝子ワクチンについて、「地球規模の壮大な人体実験が始まる」と警鐘を鳴らしました。第二次大戦におけるナチスや日本の731部隊などの「非人道的な人体実験の過ちを繰り返してはならない」として、医学的な人体実験に対する倫理基準として1947年にニュルンベルク綱領が明文化されました。また世界医師会によって1964年にヘルシンキ宣言が採択され、「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」が定められ、少なくとも被検者となるヒトは、その実験のリスクや自由意志による参加を十分な説明の後に納得した上で参加する事が定められています。
厚生労働省はヒトを対象とする医学研究についての倫理指針を非常に細かく定めておりこれに沿って、医学研究を行う研究者は各施設の倫理委員会の審査を受けて種々の医学研究を行ってきました。しかし、人類にまだ使ったこともないできたての「遺伝子ワクチン」を実験的に使用するにあたって、WHOも各国政府も一切の倫理的検討は行いませんでした。またこれが危険な人体実験であることは世界中の心ある医学者達が声を挙げたのですが、SNS上でBANされることで拒絶されました。ワクチン使用のリスクについても被検者である世界中の人達に十分説明することはありませんでした。製造者である製薬会社はこの実験を行うにあたって「製造者責任は一切問われない」という免責事項だけは明確にして実験が開始されたのでした。
I. 新型コロナウイルスワクチンを用いた地球規模の人体実験の内容
今回の人体実験では以下の内容について実験が行われました。
1)遺伝子ワクチンを世界中の人類に使ってみる実験
2)ワクチンで世界規模の流行病が制御できるかの実験
3)細胞性免疫を無視して、中和抗体の量だけを注目して感染制御が成り立つかの実験
II. 感染症を制御する仕組み概説
実験の各検討項目について結果を見る前に、感染症を制御するヒトの免疫機構について概説します。本当はもっと複雑系ですが、ごく大まかに図示すると以下の様になります。
1)細菌感染症
細菌感染は、皮膚や粘膜の外側にいる細菌が、本来無菌である体内に侵入して、増殖することから「感染」が始まります。免疫系が健全であれば、T cellなどの細胞性免疫が異物を認識し、B cellに命じて抗体を作らせて共同で細菌の駆除を行いますが、組織障害がひどくなると重症化して死に至る可能性もあります(敗血症、多臓器不全)。
2)ウイルス感染症
ウイルスは宿主の細胞内に侵入して増殖すると感染が成立します。感染しても発症しなければ何の症状もない可能性があります(C型肝炎ウイルスのキャリアとか)。ウイルスが増殖して免疫が反応すると種々の症状が出て発症します。その免疫反応が大きすぎて、宿主の細胞や組織の損傷が大きくなると重症化して死に至ることもあります。新型コロナウイルスによる肺臓炎で呼吸不全になる場合もこれにあたります。
3)今回のワクチンを使った実験
今回の実験ではワクチンを複数回打って疑似感染を起こし、感染が起こる前から多量の中和抗体を体に作らせて、「感染を防ぐ(発症ではなく)」試みがなされました。感染の診断にはウイルス1個でも反応してしまうPCRが用いられました。PCRを発明したノーベル賞受賞者のキャリー・マリス博士は、「感染症のスクリーニングにPCRを用いるのは適切ではない」と専門家として警鐘を発しましたが無視されました。
III. それぞれの検討項目の実験結果
1)遺伝子ワクチンを人類に使ってみる
〇 急性障害 アナフィラキシーは繰り返し投与においても危惧されたほど多くは見られなかった。
〇 中期的障害 血栓症、免疫障害、神経系の障害、がんの増加などが徐々に報告数が増えている。これらは前回のブログで取り上げた通り。
〇 長期的障害 レトロトランスポゾンによるRNAの遺伝子への取り込みや不妊などへの長期的影響については5-10年の経過を見ないと分からない。
2)ワクチンで世界規模の流行病が制御(抑え込み)できるか
人類の歴史において、流行病をワクチンで制御できた例はありませんでした。多くは集団免疫を獲得して自然に収まるか、公衆衛生の発達で流行自体が収まりつつあった時にワクチンも開発されたといった天然痘の様な例はありました。今回初めてワクチンを世界の人達に投与して、流行を抑える実験をしてみましたが、明らかに失敗。ワクチンを打てば打つほど、変異種が出現し、次の流行波が大きくなって感染者が増加することが実証されました。
3)中和抗体の量を考慮するだけで感染を防ぐことができるか
感染症の免疫機構は感染しても発症しなければよく、発症しても重症化しなければ良い。細胞性免疫が健全であれば、感染してから中和抗体を作って発症を防ぐことができる(ワクチン1回投与で70%の発症予防、2回投与でプラス10%程度)であることは新型コロナウイルスにおいても証明されました。やはり重要なのは細胞性免疫が健全であることであり、液性免疫の中和抗体の量だけでは、中和抗体の有効期間が次第に短くなってゆくことが立証されただけで、感染流行をコントロールすることは不可能であると解りました。
失敗から学ぶ事の大切さとその戦略という講義
今回の倫理審査も通していない地球規模の人体実験はどうも失敗であったと言えるのではないでしょうか。ハーバード大学のAmy C Edmondsonは失敗から学ぶというレクチャーにおいて、失敗は「予防可能な失敗」「複雑な失敗」「チャレンジの結果としての聡明な失敗」に分かれると説明しています。我々(日本人)はこの絶大なる実験失敗から何かを学び取ろうとしているでしょうか。まさか失敗にすら気が付いておらず、しかも何も考えていないなんてことは??