Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

iPod PRO 2005 XP

2008-02-06 23:23:14 | Weblog

朝,部屋を出ると雪が降っている。一瞬ひやっとするが,道路は問題ない。修論「最終」発表会でぼくが出席したのは,ネットコミュニティへの書き込みのテキストマイニング2件と,購買履歴データの分析1件。修論とは「打席に立ってバットを振ること」だから, フルスイングしていた学生たちの労をねぎらいたい。

ちなみに卒論は「ともかく打席に立つこと」,博論は「何とかバットにボールを当てること」・・・これはあるゲーム論の研究者から聞いた話の受け売り。

研究とは保守的なものである,てことを認めつつ,指導教員の研究の縮小コピーのような研究を聞いていると,こんなんでいいのかな,と思わなくもない。つまり,教員たちの問題や限界が再生産されているわけだから。これは,わが身に降りかかる批判でもある。

昼食をとる時間なく,データ解析の補講に出かけるが出席者2名。今日は皆さん,そんなに忙しいのか・・・。

夕方から,ガソリンスタンドの「研究」のため,ネットサーフィン(これって死語だろうか?)。その過程で「たまたま」見つけた iPod PRO 2005 XP のパッケージの「メイキングビデオ」・・・笑わせてくれます。これがジョブズのいう「地獄」なわけね(笑)。

だが,マイクロソフトだけがダサいわけではない。多くの企業が同様にダサく,アップルが特別なのだ。最近読んだ林信行『iPhoneショック』によれば,アップル(=ジョブズ?)にはデジタルライフスタイルに関するグランドデザインがあり,製品やサービスの生態系があるという。それを「統合性」と呼んでもいいかもしれない。

誰もがアップルのようにはなれない,だから稀少にして例外的な事例を云々しても仕方ない・・・という見方にそれなりの説得力がある。しかし,それは違う。誰もがなれないとしても,誰かはなれるとしたら,どうしたらそうなれるのかを考える価値がある。そして,そこに科学的思考が貢献するはず。そのためには,せめてもう一つのアップルを見つける必要があるが・・・。


販売の日

2008-02-05 23:41:07 | Weblog
朝9時から夜7時まで「業務」。これは,大学の販売活動といえるかもしれない。「経営の神様」ドラッカーは,マーケティングとは販売をなくすことだと喝破した。逆にいうと,マーケティングがなければ,販売に頼らざるを得ない。そして「戦略」がなければ,マーケティングは成り立たない。

そのあとMASコンペの打ち合わせ。あと1ヶ月・・・というほど時間はない。楽観も悲観も禁物だ。あと1週間でアブストラクトの期限が来る。同じ時期に WCSS の投稿期限が・・・こちらは多分無理だろう。人はすべてを手に入れることはできない。そして「サービス」プロジェクトの企画・発注業務はいつ終わるんだ?

それは市場にならないと

2008-02-04 21:58:14 | Weblog
一日労務。明日もまた。こういう仕事も「給料の内」だと。では,その分給料を返上するから,解放してくれという取引はあり得ないか? いくら返上するかは,市場メカニズムで決めればよい・・・と雑談で話すが,経済学の先生は,それは市場にならないという・・・ホントだろうか。

今日入手した本:

川本裕司,ニューメディア「誤算」の構造,リベルタ出版 ・・・「ニューメディア」はいまや死語となった。キャプテンにしろINSにしろ,なぜ失敗したか。衛星放送やケーブルはなぜ期待されたほど伸びなかったのか・・・を朝日新聞の記者が「徹底取材」。要は官主導はダメだと。

土谷勉男,大鹿隆,井上隆一郎,世界の自動車メーカー どこが一番強いのか?:5年後のナンバーワン企業を見抜く,ダイヤモンド社

Duncan Brown, Nick Hayes, Influencer Marketing: Who Really Influences Your Customers, B-H

Jim Albert, Bayesian Computation with R, Springer

スポーツ・マイニング

2008-02-03 23:02:09 | Weblog
朝TVをつけると,竹中平蔵,木村剛両氏が並んで出ていた。木村氏は,最近の日本は,既存の大企業を守り,ベンチャーを叩くという流れにあると指摘する。かつて若い企業家たちに夢を与えた堀江貴文氏。彼のやり方にいくつか重大な誤りがあったとしても,彼の起業をすべて否定してしまっていいのか。そんなことをしているから,この10年で Google を生み出した米国との差が広がる一方だ・・・と力説する。少なくとも最後の点には同感だ。

誰が悪いかといえば,いろいろ犯人はいるだろうけど,やはり「政治」ではないか。小泉政権は郵政民営化を主張して衆院選で大勝。それを継いだ(はずの)安倍政権は,年金問題プラス小泉政権の「三位一体改革」が招いたとされる地方の疲弊を背景に参院選で大敗。勝った民主党が,かつて安倍政権が挑戦する気配を見せた道路特定財源の一般財源化を主張し,自民党が反対している。両党の主張が180度入れ代わったようで,どちらが「改革派」なのか?

それはともかく,早く仕事を終わらせるべく,(という割には)昼過ぎに大学へ向かう。雪はすでに雨に変わり,道路の凍結もない。調査会社様に向けた仕様書を何とか作成して送信する。××××という定められた手続きのために,面倒な形式を踏む必要があるのだ。これで終わりではない。専門家の皆さんにいただいたアドバイスを反映させるためには,まだまだ手間がかかりそうだ。夕方に再び雪が降り始める。

冒頭の部分は見逃したが,今夜のNスペはなかなか面白かった。日米の野球ビジネスを取り上げていた。レッドソックスのオーナーは,トレーダーとして財をなした人で,独自の観点からデータを徹底的に重視,選手の採用にも活用している。打者の評価には,単なる打率ではなく,塁打数や四球による出塁数を考慮する。投手の評価は,防御率ではなく三振と四球の比率を重視する。そして,安く買い,高く売るという原理を適用。その成功例が岡島だと。

データに埋もれる「金脈」を他人より早く見つけ,ビジネスに生かす。それをデータ・マイニングという。膨大に蓄積された野球選手の成績データから,投資すべき物件が見出される。伝統的なデータ・マイニングの成功例は,伝説となったビールと紙おむつの併売だが,スポーツ・マイニングの成功例は,われらが岡島秀樹投手なのである。TVで紹介されたのは非常に簡単な公式であったが,実際にはもっと複雑な分析が行われていても不思議じゃない。

野球選手の力をどう評価するかは,実に奥深い問題をはらんでいる。なぜなら,野球がチームプレイである以上,各選手の成績はお互いに強く関係し合っている。したがって,完全な評価のためには,選手間あるいはプレイ間のケミストリーを把握する必要がある。そのための解法がすでに確立しているとは思えないから,そこには大きなチャンスがあるはずだ。ビジネスをはじめ,多くの潜在的な応用分野が考えられる。

もう一つ印象深かったのは,安く買って高く売り,そこで得た利益でもっと高いものを買って,さらに高く売る,という単純明快なビジネスの原理だ。レッドソックスのオーナーは,MLB のチームは日本のように親会社の広告塔ではないから,それぞれ単独で儲けなくてはならないのだという,そうか・・・であれば,日本でそれを行う資格があるのは,唯一親会社を持たない広島カープではないか。そうなれば,「広島化」ということばが,別の意味を持つようになるだろう・・・。

今日入手した本

トーマス・フリードマン,フラット化する世界 増補改訂版 上・下,日本経済新聞社 ・・・あちこちでよい評判を聞く本であり,一応買ってはいたものの,読む前に増補改訂版が出てしまった。最新の状況を反映すべく改訂されたという。もしこの本をすでに読んでいたら,増補改訂版を買っただろうか・・・。

21世紀 世界遺産の旅,小学館 ・・・今後の出張先選択の手引きとして(ホントか?)。

地獄から抜け出すぞ

2008-02-02 23:42:11 | Weblog

朝,高速を飛ばして東京へ。データ収集をお手伝いした研究について,結果の概要を伺う。社会ネットワークがあって,製品への選好データがある。そこから何ができるか・・・社会ネットワーク分析はお任せするとして,他のアプローチがないだろうか。ぼくが何かできるとしたら,選択モデリングとエージェント・シミュレーションしかない。

明日,東京は雪が降ると聞いて,夜の高速を飛ばして日帰りする。月・火が××業務で朝早くから拘束されるため,クルマが絶対に必要だ。本屋で Mac Fan と Mac People の最新号を買う。どちらも表紙でスティーブ・ジョブズが笑っている。ついでに,安野モヨコ『ツンドラ ブルーアイス』『ベイビーG』と岡崎京子『うたたかの日々』も。

今日読んで,思わず吹き出したジョブズ語録の一つ:

Windows上のiTunesについて・・・「これは、地獄にいる人間にコップ1杯の水を差し出すようなものだ」

よっしゃ,約15年ぶりに,地獄から抜け出すことにしよう。


あと半日(悩み中)

2008-02-01 23:11:46 | Weblog
2月1日は Marketing Science Conference 2008 の申込み期限。1,800 characters の abstract をさくっと書いて申し込むか,パスするか・・・時差を考えるとあと半日ちょいの勝負である(そんなにピタッと締め切られるのかどうか知らないが・・・)。

正直なところ,翌週のワルシャワのほうが魅力的だが,JIMSと日程が重なる。それに,marketing scientist の端くれとして,現状を把握しておくべきではないか・・・ バンクーバーは比較的近いし,一度は行ってみたい土地だ・・・ 悩むなあ(これから abstract を書けるかどうかがもっと重要だが)。

今日は,午後イチが大学院のデータ解析の授業で,コンジョイント分析の話をした。若き頃,昼夜をたがわず?取り組んだ分野だけに,話すことはいっぱいある。これから経営工学を学ぶ者にとって,論文のネタが多々眠っている領域だとも思う。だが・・・それが大きなインパクトを持つことは,もうないかもしれない。まだ使いでがある手法だが,すでに成熟期を迎えている。

今日のもう一つの悩みは,NLOGIT の新規購入と STATA のバージョンアップをするかどうか。いずれも有名な計量経済分析のソフトで,選択モデリング系が充実している。しかし,ほしいという気持ちが急速に萎えてきた。そこに網羅されている高度な手法を,今後本当に使うのか? 必要な範囲で,MATLAB なり R で組めばいいではないか? いま必要なのは,別のものだ・・・。

授業のあと,MASコンペに向けた打ち合わせに3時間ほど費やす。ホワイトボード用マジックで手が真っ黒になった。こちらも今日が申込みの最終日。日本時間を守って,ぎりぎりに申し込んだ。これでわが研究室は,4年連続の出場となる。来年からしばらく,お休みすることになるが・・・。

打ち合わせのあとは,例の調査発注関係やら,期末の処理関係やら。今日もジムには行けず,昨夜に続き,晩飯はローソンのお世話になる。時間がない・・・ふつふつとストレスが沸き上がる。