Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

スポーツ・マイニング

2008-02-03 23:02:09 | Weblog
朝TVをつけると,竹中平蔵,木村剛両氏が並んで出ていた。木村氏は,最近の日本は,既存の大企業を守り,ベンチャーを叩くという流れにあると指摘する。かつて若い企業家たちに夢を与えた堀江貴文氏。彼のやり方にいくつか重大な誤りがあったとしても,彼の起業をすべて否定してしまっていいのか。そんなことをしているから,この10年で Google を生み出した米国との差が広がる一方だ・・・と力説する。少なくとも最後の点には同感だ。

誰が悪いかといえば,いろいろ犯人はいるだろうけど,やはり「政治」ではないか。小泉政権は郵政民営化を主張して衆院選で大勝。それを継いだ(はずの)安倍政権は,年金問題プラス小泉政権の「三位一体改革」が招いたとされる地方の疲弊を背景に参院選で大敗。勝った民主党が,かつて安倍政権が挑戦する気配を見せた道路特定財源の一般財源化を主張し,自民党が反対している。両党の主張が180度入れ代わったようで,どちらが「改革派」なのか?

それはともかく,早く仕事を終わらせるべく,(という割には)昼過ぎに大学へ向かう。雪はすでに雨に変わり,道路の凍結もない。調査会社様に向けた仕様書を何とか作成して送信する。××××という定められた手続きのために,面倒な形式を踏む必要があるのだ。これで終わりではない。専門家の皆さんにいただいたアドバイスを反映させるためには,まだまだ手間がかかりそうだ。夕方に再び雪が降り始める。

冒頭の部分は見逃したが,今夜のNスペはなかなか面白かった。日米の野球ビジネスを取り上げていた。レッドソックスのオーナーは,トレーダーとして財をなした人で,独自の観点からデータを徹底的に重視,選手の採用にも活用している。打者の評価には,単なる打率ではなく,塁打数や四球による出塁数を考慮する。投手の評価は,防御率ではなく三振と四球の比率を重視する。そして,安く買い,高く売るという原理を適用。その成功例が岡島だと。

データに埋もれる「金脈」を他人より早く見つけ,ビジネスに生かす。それをデータ・マイニングという。膨大に蓄積された野球選手の成績データから,投資すべき物件が見出される。伝統的なデータ・マイニングの成功例は,伝説となったビールと紙おむつの併売だが,スポーツ・マイニングの成功例は,われらが岡島秀樹投手なのである。TVで紹介されたのは非常に簡単な公式であったが,実際にはもっと複雑な分析が行われていても不思議じゃない。

野球選手の力をどう評価するかは,実に奥深い問題をはらんでいる。なぜなら,野球がチームプレイである以上,各選手の成績はお互いに強く関係し合っている。したがって,完全な評価のためには,選手間あるいはプレイ間のケミストリーを把握する必要がある。そのための解法がすでに確立しているとは思えないから,そこには大きなチャンスがあるはずだ。ビジネスをはじめ,多くの潜在的な応用分野が考えられる。

もう一つ印象深かったのは,安く買って高く売り,そこで得た利益でもっと高いものを買って,さらに高く売る,という単純明快なビジネスの原理だ。レッドソックスのオーナーは,MLB のチームは日本のように親会社の広告塔ではないから,それぞれ単独で儲けなくてはならないのだという,そうか・・・であれば,日本でそれを行う資格があるのは,唯一親会社を持たない広島カープではないか。そうなれば,「広島化」ということばが,別の意味を持つようになるだろう・・・。

今日入手した本

トーマス・フリードマン,フラット化する世界 増補改訂版 上・下,日本経済新聞社 ・・・あちこちでよい評判を聞く本であり,一応買ってはいたものの,読む前に増補改訂版が出てしまった。最新の状況を反映すべく改訂されたという。もしこの本をすでに読んでいたら,増補改訂版を買っただろうか・・・。

21世紀 世界遺産の旅,小学館 ・・・今後の出張先選択の手引きとして(ホントか?)。