Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

創造的資本主義って・・・

2008-02-13 22:28:16 | Weblog

アフィリエイト広告関係の文献に目を通す。アフィリエイト広告に参加する人を「アフィリエイター」というのは和製英語で,英語では affiliate(s) という。ふーん・・・というレベルからの出発。それにしても間に合うのか・・・ MAS コンペや WCSS の論文提出期限が延びてくれないかと切に願う。

Shuriken 問題解決の旅も終わらない。サポートの方もひるむことなく,どんどん探求し続ける。いつか問題が解決したとき,ぼくのこの製品ないし会社へのロイヤルティは以前より高まっているのだろうか・・・よくいわれる「サービス・リカバリーのパラドックス」を身をもって実験中・・・。

ところで,ビル・ゲイツがダボスで語った「創造的資本主義」という考え方がちょっとした議論になっている。ここで「創造的」というのは,世界の貧富の格差を縮小するように働く,これまでにない資本主義の機能を「創造」する,という意味といっていいだろう。自然淘汰による「進化論」を排する「創造論」,といったらおちょくり過ぎか。また,MS の製品をもっとクリエイティブにしたらどうかという,ありがちな突っ込みもやめておこう。

経済学者からは,(公正な競争を通じて)利益を稼ぐことこそ企業の社会貢献だという声が聞こえてくる。一方,膨大な利益を稼ぎ出したゲイツやソロスは,市場メカニズムの限界を説く。面白い対比だと思う。ある高みに立った人しか見えないものがあるということか,それとも巨万の富を手にした人間が最後に欲しがるのが人々からの尊敬だということか,いずれにしたって,それにチャレンジしてもらうのは,悪いことではない

ただ「創造的資本主義」ということばがゲイツがいうような意味で使われるようになると,クリエイティブ,クリエイティブと,バカのひとつ覚えのように繰り返してきた人間としては,ちょっと困った立場に追い込まれる。では,あんたのいう創造的=クリエイティブとは何? 何となくの雰囲気で捉えるのではなく,もっと意味を突き詰めていかないと,そのうちガツンと批判を食らいそうだ。

本日入手した本

O.W.メイヤー,林信行,アップル・コンフィデンシャル 2.5J,上・下,アスペクト ・・・こちらはあくまで,ものづくりでクリエイティブたらんとする企業の歴史をまとめている。最近アップル系の文献が急に増えており,どこかでまとめて読む必要がある。

T.B. Ward, R.A. Finke, & S.M. Smith, Creativity and the Mind: Discovering the Genius Within, Perseus Publishing ・・・創造性=クリエイティビティの心理学に関する啓蒙書。Rogers に訳本があることがわかったため,来年度の教材候補。

木嶋恭一,中條尚子,ホリスティック・クリエイティブ・マネジメント ・・・東工大のCOE「エージェントベース社会システム科学の創出」の成果の一つ。新たなシステム論からどんなクリエイティブ・マネジメントが生まれるのか,お手並み拝見(何てエラそうなことがいえる立場じゃないが・・・)。

N.N. タレブ,まぐれ:投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか,ダイヤモンド社 ・・・原題は"Fooled By Randomness: The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets." ・・・最も楽しみな本。クリエイティブ論への応用を密かに期待。

ルカ・トゥリン,香りの愉しみ、匂いの秘密,河出書房新社 ・・・同じ著者の『香りの帝国』を買ってから,どれだけ時間が経っただろうか・・・パラパラめくると,あちこちに化学式があり,少し不安になる。

近江政雄(編),講座<感覚・知覚の科学>4 味覚・嗅覚,朝倉書店 ・・・こちらは生理学や心理物理学の教科書。 こういうのもいつか読まねばといつも思う。

D.C. ギアリー,心の起源:脳・認知・一般知能の進化,培風館 ・・・最近,向かうところ敵なしの?進化心理学の大著。興味がある選好,嗜好の話は出てこなさそうに見えるが果たして・・・

谷岡一郎,仁田道夫,岩井紀子(編),日本人の意識と行動:日本版総合社会調査JGSSによる分析,東京大学出版会 ・・・8,000人規模の調査を学術目的で実行し続けているのはすごい。

いろいろ本が集まるのはいいが,細かい字が読みにくい状況からの脱皮が最重要。遠近両用コンタクトレンズを試しているが,効果はいまいちだ。これも早く決着をつけないと,仕事にならない。