Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

逆説的な幸福もある

2008-01-24 21:37:30 | Weblog
昨日は東京で打ち合わせ二件。雪がたいしたことなくて助かった。行き帰りの電車のなかで「日経トレンディ」2月号「攻めるマネー術」特集を読む。銀行サービス調査の設計の参考にしたいが,銀行,証券会社,保険会社のシームレスな競争にどう対応するのかが難しい。だが,「執行」までのタイムリミットが迫っている・・・。

今日は,手帳に何も予定がない。しかし,コマゴマした仕事が続く。ここ数年使ってきたメーラー Shuriken の調子がおかしい。バックアップを取ろうとするとエラーが出る。メールを印刷しようとすると,デフォルトでは1ページ分しか印刷しない。アドレスを直打ちすると,入力の先を予測して候補アドレスを出す機能(非常に便利!)が,2文字の入力しか受け付けない。

最初の問題について数日前にベンダーにメールを送ったところ,今日回答が届く。指示通り実行したが,残念ながら解決しない。その旨返事すると,今度は即座に返事。再び指示通りの作業をするが,うまくいかない。再インストールしたほうが早いのだろうか・・・。過去のデータを上手く読み込んでくれるだろうか・・・。

気分転換に「クーリエ・ジャポン」2月号を読む。「未来へ。」という特集。シナリオ・プラニングの第一人者ピーター・シュワルツへのインタビューで,バクテリアから石油を作る技術が研究されているという話が面白い。そんなのが実用化されたら世界の政治と経済が大衝撃を受けるだろう。つまり,研究がそのまま容認されるのか,また実用化したとして誰が覇権を握るのか・・・。

もうひとつ「フランスの哲学誌と考えた幸福の世界地図」という記事も面白い。マクロ指標を合成して各国の幸福度を評価するのに,有名な哲学者(あるいは学派)に対応づけて指標を選択している。たとえば,ストア派的幸福では,南米のコロンビアがトップになる。犯罪や内戦で苦しみながら,国民の主観的な幸福感はそこそこ高い。「どんな逆境にあっても,自分は幸福だと考えるのがストア派」だと。

それ以外の哲学に基づく幸福度では,北欧諸国が上位になることが多いが,たまに日本が上位になることもある。幸福の高低は「哲学」次第なんである。もちろん「一流」経済学者のように「効用の異個人間比較は不可能」などと切って捨てることも可能だが,大方の尺度で北欧が高い得点を得ているということは,幸福という概念に何らか客観的な要素があるのではないか・・・そう考えるほうが前向きだ。

本日入手した本

マイケル・ドリアン,ギャビン・ルーカス,誰かに先を越された広告-ゲリラ広告事例集,東急エージェンシー出版部 ・・・デカい本・・・いや作品集というべきか。それにしても,広告表現を「クリエイティブ」と呼ぶからといって,それらがすべてクリエイティブである保証はないのだなあと,しみじみ思う。これまた「クリエイティブ・マーケティング論」で取り上げるべきテーマだろう。画像がCDで提供されていたら,授業に使えるのに・・・。

C.M.ビショップ,パターン認識と機械学習 上,シュプリンガー・ジャパン ・・・本来ならこういう題名の本を買うはずがないのだが,なかを見るとベイズ統計学が軸になっており,カラーの図などもあって魅力的に見える。骨太の理論書であり,いつか読むあてもないのに,つい買ってしまった。