Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

現場はクリエイティブ

2008-01-10 23:22:36 | Weblog
東京でいくつか打ち合わせ。大きな本屋を何軒か回る。そして「ものづくり寄席」で「イトーヨーカ堂の経営の特徴と現場事例」を聞く。演者は同社元常務取締役の邊見敏江氏。イトーヨーカ堂の単品管理は,パートタイムの従業員も含む現場への大幅な権限委譲によって実行される。前例に従うことを拒否し,新たに仮説を立て,実践を通じて検証する。パートの主婦たちが自らの創案で惣菜の売り方を次々に変え,売上を大幅アップさせた事例などが紹介された。

仕事の段取りを自分で決められることが,Richard Florida のいうクリエイティブ・クラスの条件である。現場が発注の権限を持ち,パートの主婦が商品を創意工夫できるということは,クリエイティブ・クラスの条件を一定程度満たしている。限られた範囲内の権限かもしれないが,米国流経営ならマニュアル化されるべき部分で,従業員にクリエイティビティを発揮させるのが,日本流なのだろう。ただし,仕事におけるクリエイティビティの定義を広げすぎると,その意味が希薄になることに注意を要する。

帰りの電車で,切通理作『失恋論』を読む。自らの失恋経験が赤裸々に?語られ,かなり「イタイ」本だ。コラムでは,失恋に関する文学や哲学書などが多数紹介される。失恋とは,客観的に見れば,男女のマッチングの失敗にすぎない。失恋したなら,別の相手を探せばいいじゃん・・・で済む人もいるが,済まない人も多い。進化はなぜ,人に失恋を一大事とする形質をもたらしたのか・・・。

本日入手した本

宮川公男(編),シナリオ2019:日本と世界の近未来を読む,東洋経済新報社 ・・・統計研究会,健在なり。

平山譲,ファイブ,幻冬社文庫 ・・・先日見たNHKのTVドラマの原作。さすがに東京では平積みしていた。アイシンのバスケチームの実話だという。