経済倫理の本、などと聞くと敬遠したくなる人は少なくないだろう。しかし、サンデル教授の白熱教室で有名になったコミュニタリアン対リバタリアン、といった対立軸における自分の位置が、本書に用意された質問に答えていくと診断される、と聞けば興味がわくかもしれない。
経済政策への選好に関する研究プロジェクトで本書に出会った。有権者としての経済政策の選択は、価値やイデオロギーと深く関連する、というのはきわめてオーソドックスな考え方だろう。研究上の問題は、それをどう測るかである。当然ながら先人に学ばなくてはならない。
ところで、価値観やイデオロギーは、マーケティングのセグメンテーションにも使えるだろうか? イデオロギーはともかく、価値観という概念は、マーケティングの現場でもたびたび使われてきた。マーケティングの教科書には VALS というモデルが紹介されていることが多い。
本書で紹介されるのは、シュワルツやイングルハートといった心理学者あるいは政治心理学者の価値モデルだ。特に後者は、大規模な国際比較研究にまで発展している。日本では電通総研が参加しているので、価値観と消費との関連も研究されてきたのではないかと想像している。
価値観あるいはイデオロギーと、消費のある側面の相関が見つかると面白い。実際、TIME.com の行っているテストでは、使用ブラウザの違いが左-右のイデオロギーの予測変数の1つに使われている。逆に見れば、イデオロギーでブランド選択を予測できるということだ。
この本が出版されたのは2008年。著者の橋本努氏が最近の動向を踏まえて新たに開発した診断項目が、ネット上に公開されている。
経済政策への選好に関する研究プロジェクトで本書に出会った。有権者としての経済政策の選択は、価値やイデオロギーと深く関連する、というのはきわめてオーソドックスな考え方だろう。研究上の問題は、それをどう測るかである。当然ながら先人に学ばなくてはならない。
![]() | 経済倫理=あなたは、なに主義? (講談社選書メチエ) |
橋本努 | |
講談社 |
ところで、価値観やイデオロギーは、マーケティングのセグメンテーションにも使えるだろうか? イデオロギーはともかく、価値観という概念は、マーケティングの現場でもたびたび使われてきた。マーケティングの教科書には VALS というモデルが紹介されていることが多い。
本書で紹介されるのは、シュワルツやイングルハートといった心理学者あるいは政治心理学者の価値モデルだ。特に後者は、大規模な国際比較研究にまで発展している。日本では電通総研が参加しているので、価値観と消費との関連も研究されてきたのではないかと想像している。
価値観あるいはイデオロギーと、消費のある側面の相関が見つかると面白い。実際、TIME.com の行っているテストでは、使用ブラウザの違いが左-右のイデオロギーの予測変数の1つに使われている。逆に見れば、イデオロギーでブランド選択を予測できるということだ。
この本が出版されたのは2008年。著者の橋本努氏が最近の動向を踏まえて新たに開発した診断項目が、ネット上に公開されている。