Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

商業学会@甲南大

2007-05-27 22:58:26 | Weblog
初めて商業学会に参加した。階層帰属意識,さらに仕事のクリエイティブ志向およびパワー志向が生活・消費意識に対して与える影響について報告。実はいずれも,JACSですでに報告した内容であったが,論旨を若干再考し,簡単な分析をいくつか追加した。いくつか有意義なコメントをいただく。

一つは,仕事意識の希求水準(aspiration)だけでなく,達成水準(achievement)とのギャップを考慮すべきだという指摘。もう一つは,コトラーたちが最近ソーシャル・マーケティングの文脈で論じているように,グローバルな視点から貧困層へのマーケティングを考えるべきだという指摘。いずれももっともである。

同じセッションでは,ライフコース概念に基づく消費者パネルの分析,リサイクル行動を促進するコミュニケーション効果の研究報告があった。いずれも相当数の標本規模のデータを基に,経験的な分析を行っている。その問題意識は,マーケティングという狭いコミュニティを超えたところから生まれている。社会という広い文脈にマーケティングを置こうとする,しごくまっとうな試みだ。

このうちリサイクル行動の研究は,ほぼ1年前のJIMSでも一緒のセッションであった。そのとき,ぼくの発表(広告効果)で元々少なかった聴講者が,さらに減ってしまったことを思い出す。すなわち,その学会の参加者の大半は,「エコ」に関心はないということ。この学会ではそういう退席はあまり目立たず,JIMSとの違いを感じる。

この学会は同時並行で4トラックあり,他のセッションではインターネットやサービスマーケティングがテーマになっていた。おそらく,この学会の主要な人々はそちらに出席していただろうから,ぼくはまだ商業学会のごく一端しか触れていない。

にしても,大阪への出張はそれなり疲れた。暑かったせいもある。6月にはJACSとJIMSが関学で開催される。商業学会を含め,それらに全部出る方は(関西の居住者はともかく)大変であろう。統計関連学会連合のように,共同で同時開催してもらえると助かるのだが・・・。

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