小川,林両氏はかつて『アップルとグーグル』という本を書き,両社の連携の先に Googlpple が登場するシナリオを描いた。しかし,現実には両社は対立を深めているようにみえる。果たしてその行方は・・・という疑問に答えるのが本書である。
アップルとグーグルはともに強いビジョンを掲げ,市場を創造する。ただしベクトルが違う。アップルが卓越した美意識でソフト/ハードの一貫した製品を目指すのに対して,グーグルは誰もがあらゆる情報にアクセスできる環境を目指す。
両社の競争をゼロサムゲームとして見るよりは,よりよき情報社会を目指すプラスサムゲームとして理解したほうがよい。そこで日本企業がどういう役回りを演じるのかが気になるが,最近のソニーの動きに対する著者の評価は厳しい。
ソニーはともかく,日本企業をアップルやグーグルと比べるのは無意味なような気もする。そもそも日本企業は,市場で売れそうなものを作り,改良したり機能を付加したり,コストを下げることしか考えていないわけだから。
人間でも組織でも,それを目指していない以上,そこに到達することはまずないと考えたほうがよい。
もう一つ残念なことは,アップルとグーグルという,いま最も注目すべき企業についての分析が起業家とジャーナリストによって書かれることはあっても,経営学研究者によって書かれていないこと。そのうち山ほど出てくると期待したい。
アップル vs. グーグル (ソフトバンク新書) | |
小川 浩,林 信行 | |
ソフトバンククリエイティブ |
アップルとグーグルはともに強いビジョンを掲げ,市場を創造する。ただしベクトルが違う。アップルが卓越した美意識でソフト/ハードの一貫した製品を目指すのに対して,グーグルは誰もがあらゆる情報にアクセスできる環境を目指す。
両社の競争をゼロサムゲームとして見るよりは,よりよき情報社会を目指すプラスサムゲームとして理解したほうがよい。そこで日本企業がどういう役回りを演じるのかが気になるが,最近のソニーの動きに対する著者の評価は厳しい。
ソニーはともかく,日本企業をアップルやグーグルと比べるのは無意味なような気もする。そもそも日本企業は,市場で売れそうなものを作り,改良したり機能を付加したり,コストを下げることしか考えていないわけだから。
人間でも組織でも,それを目指していない以上,そこに到達することはまずないと考えたほうがよい。
もう一つ残念なことは,アップルとグーグルという,いま最も注目すべき企業についての分析が起業家とジャーナリストによって書かれることはあっても,経営学研究者によって書かれていないこと。そのうち山ほど出てくると期待したい。