Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

クリエイティブという非属性

2007-08-11 23:25:36 | Weblog
サービスの価値は,サービス供給者の手のなかにあるのではなく,サービス供給者と顧客とのインタラクションから生じるといわれている。サービスではデザインよりデリバリーが重要だというのも,同じことだといえよう。レシピやマニュアルがいかに整備されていようと,それを実現して顧客に接する瞬間の,人間の業が鍵となる。

その点で,サービスはエンタテイメントと同じ性質を持つ。エンタテイメントの価値は,送り手と受け手のインタラクションのなかにある。だからこそ最高のエンタテイメントはライブなのだ。では,モノはどうなのか・・・それは確かに工場ですべてパッケージ化される。販売やサポートの場で人手を介するが,それはすでに,モノからサービスの守備範囲へ移っている。

クリエイティブな製品,たとえば iPhone はなぜクリエイティブなのか。革新的な技術を採用しているとか,外面的なデザインが卓越しているとか,何らかの属性によるのか。それは確かに必要条件だが,十分条件ではないように思える。クリエイティブと感じられる要素は,モノと顧客のインタラクションのなかにあるではないか。直観的にはそう思うが,もっと厳密に詰める必要がある。

昨日の打ち合わせが契機になって,サービス,エンタテイメント,クリエイティブネスの関係,そしてクリエイティブネスと選好形成の関係など,見えなかったリンクがつながり始めた感覚がある。問題は,そうしたインタラクションとか「経験価値」といった重要な概念を,単なる属性として扱う以外のどのような知恵があるかだ。

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