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Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

好みの先天性

2007-11-16 14:07:42 | Weblog
昨日は,3人の学生の卒論中間発表を聞いた。みんな,他の研究室の学生である。社長のパワーが業績回復にどう影響するか。文学賞審査員のネットワーク。固定顧客の管理会計・・・門外漢の分野を含めいろいろあるが,数式の羅列を聞くよりはよい。あと2ヶ月ちょっと,頑張って下さい。昨夜から今日まで,大量データからの非補償型ルール抽出の方法を考えるが,なかなか斬新なアイデアが出ない。

そうこうしていると興味深いニュースに遭遇。東大の研究者たちが,哺乳類の匂いに対する好き嫌いが先天的に決まっていることを,世界で初めて実験で示したという。彼らは遺伝子操作によって,本来なら忌避するはずの匂いを忌避しないマウスを作りだした。その論文は,近く Nature にも掲載されるらしい。

匂い(あるいは味)への好みは,根源的には遺伝的に決まっているということである。つまり,選好の部品は自然によって与えられている。これは長い進化のプロセスで「獲得」されたものだ。これを「基礎選好」と呼ぼう。だが,部品だけで機械は動かない。部品を特定の形式で組み立てると機械になる。基礎選好が1つの実体として構成されたものを「メタ選好」と呼ぶことにしよう。これが,マーケターや経済学者が対象とする選好だと思われる。その形成には,無意識の作用と意識的な操作が加わる。後天的な部分はここに現れる。個人差の多くの部分は,それによって生まれるのだろう。

基礎選好が組み合わされた結果,全く新たな選好が生まれるとしたら,選好の化学(ケミストリー)とでもいうべき現象があることになる。人間はそうした階層性が生まれる方向へなぜ「進化」してきたか・・・そのあたりに,遺伝子操作だけでは済みそうにない,人間の選好マネジメントを解く鍵がある。

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