Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

何が原因で結果なのか

2007-03-28 10:12:09 | Weblog
昨夜の消費者間相互作用研究会はダブルヘッダー。まず,林さんのエージェントベース・シミュレーション。クチコミとマスコミ情報の相乗効果を扱っている。エージェントは仕事や家族の役割を持ち,実時間のなかを時間割にしたがって行動する。出口先生たちが開発した soars ならではの世界だが,ぼく自身はもっと理論的に抽象化するか,さもなくば各エージェントが現実の個人に対応するほどリアリティを高めることを好む。その中間の状態は,どうも居心地が悪い。

もうひとつは,吉田さんと峰滝さんによる,ブログやSNSの利用が,消費行動にどう影響しているかを探った実証研究。基準変数である消費行動の変化も,説明変数であるブログ/SNSへの関わりもすべて回答者の自己申告による。こうした場合気になるのは,説明変数とされた回答の内生性だ。つまり,回答全体に影響する,CGMへの積極性のような潜在変数がありはしないか,という問題。だが,このことはここ数週間,ぼくが没頭してきたデータ解析にもいえることで,現実問題として対応は難しい。

二次会では,コミュニケーション論の研究者を含めて,その辺を議論した。多メディア化する状況で,各メディアへの接触からその効果までを消費者に直接聞く類の調査が増えている。ふだんどういうメディアに接触しているかを聞くのは,まあいい。しかし,ある製品の情報をどのメディアから知ったか,あたりになると怪しくなり,どのメディアに影響されたか,などと聞くにいたっては,かなり無理があるように思う。そうはいってられない,という現実はよく分かるが・・・。

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