Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

ESHIA/WEHIA2008@Warsaw 3日目

2008-06-21 23:27:19 | Weblog
昨夜はディナーのあと,有賀先生の話をじっくり聞く。技術革新を内生的に扱う確率過程モデルとして,Aoki-Yoshikawa 2006 が非常に重要な貢献をしているという。ぼく個人としては,無限に細分化する選択肢や選好の扱いのヒントにならないかと思う。歯が立たないという強い予想は持っているが…。

今日聞いた話ではまず,Konig & Tessone, Social Network Formation of Agents Competeing for High Centrality が興味深かった。社会ネットワークの形成プロセスを扱うモデルはすでにいくつかあり,この研究はそれに数理的な解析を試みている(だから,詳細はよくわからなかったが…)。

もうひとつは,Silverberg, Frenken & Valente, A Percolation Model of the Product Lifecycle ... 製品や技術の普及のモデリングは数々あるが,この研究が扱うのは製品ライフサイクルだ。数多くの企業の競争からドミナント・デザインが登場し,いったん製品の同質性が高まるが,その後差別化が進んで異質性が高まるプロセスを創発させている。

最後の講演は Ormerod, Global Recessions as a Cascade Phenomenon with Heterogeneous, Interacting Economic Agents ... 景気後退をスモールワールドネットワークで結びついた各国経済の確率的な相互作用でモデル化している。彼は邦訳もある有名な本の著者である。

バタフライ・エコノミクス―複雑系で読み解く社会と経済の動き
塩沢 由典,ポール オームロッド
早川書房

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シンプルにしてなかなか面白そうな分析だ。ともかく,ESHIA/WEHIA08 はこれで終了。明日(日曜)にこちらを発ち,月曜に帰国する。ここで得た刺激を研究に展開したいところだが,それとは関係ない仕事が山ほど待っている…。

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