Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

アップルから学ぶ心理学

2012-09-03 10:21:20 | Weblog
今月号の MacFan はデザインやユーザインターフェースに関心のある人には見逃せない特集が組まれている。「アップルから学ぶ「UI/UX」心理学」と題する特集なのだが,いろいろ面白そうな記事が掲載されている:

Mac Fan (マックファン)
2012年 10月号 [雑誌]
マイナビ

冒頭でUX(ユーザ経験)やUI(ユーザインターフェース)の心理学の権威として,ドン・ノーマンが紹介される。そして著書『誰のためのデザイン?』をベースにアフォーダンス,メンタルモデルといった概念が解説される。

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
ドナルド. A. ノーマン
新曜社

次いで,ノーマンが基礎を作ったというアップルのデザインガイドラインが紹介される。それだけでなく,グーグルやマイクロソフトのデザイン・ガイドライン(あるいはその背景にある哲学)との比較が興味深い。
ノーマンがかつて属したアップルの Advanced Technology Group は,ジョブズのアップル復帰時に廃止された。アップルを去ったノーマンはその意趣返しなのか, Vista 以降のマイクロソフトのデザインの顧問をしている。
本特集の白眉は,OS X や iOS の各種機能の背後に隠された「心理学的カラクリ」を,数ページにわたり解説している部分かもしれない。最近翻訳が出た『インターフェースの心理学』がベースになっている。

インタフェースデザインの心理学
―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針
Susan Weinschenk
オライリージャパン

最後に,増井俊之,松村太郎両氏が「来るべき未来のインターフェース像」と題する対談を行っている。心理学が UX,UI の進化に貢献できるのだとしたら,同様のことがマーケティングにおける消費者行動研究にも可能だといいが・・・。