Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

KISSからKIPPへ

2006-07-30 10:17:06 | Weblog
「ゲド戦記」を観てから専修大学@神田神保町に行き,Agent-Based Modeling (ABM) に関するシンポジウムに出席。ぼくの報告は,ABMのビジネス利用に関する思い出話と,今後の可能性に関する与太話。

従来の Keep It Simple, Stupid(KISS)原理に基づくシミュレーションでは,蟻のような知能のエージェントの相互作用からマクロ的な秩序を「創発」させるのが醍醐味であった。理論研究としてその意義はあるが,実用目的(ビジネスののためのフライト・シミュレータ)を目指すには Keep It Plausible, Practical が必要だというのがぼくの主張だ(KIPP原理と名づけたが,いまいちかな)。ただ,このへんは,少なくとも寺野さん,出口さんあたりは織り込み済みだったようだ。

構造計画の服部さんを加え,高橋さんの司会でパネルディスカッション。なかなか面白かった。ぼくは偉そうに,Maximum Likelihood だけでは ABM は生きてこない,Sufficiently Possible & Critical Scenario を潜在的に含むような計測をどう行なうか,という問題提起をした。もちろん,その答えはない。まさにシミュレーションで試したいところだが,いつ着手できるか…。

聴衆のなかに鳥山さんがいた。消費者の予測能力,CGMや検索連動型広告によるメディアの適応エージェント化といった話題に関心を持ってもらったようだ。懇親会で熊倉さんから「老いてますます盛んですね」といわれる。老いて口はますます達者だが,ふだん,ぐたー,ぼけーっとしているのが真実だ。だが偉そうな発言をし,誰かがそれを覚えていることで,体面を保つためにぎりぎりの仕事をする。最近は,そういう生き方になっている。

北中さんによると,京都の学会,そろそろホテルを予約しないとやばいようだ。その前に,来週から長崎で集中講義が始まる。ぐたー,ぼけーっとしていられない。