Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

広告の電子取引市場

2006-07-26 18:16:21 | Weblog
全米広告主協会と広告業協会が,広告の電子取引市場を開発するタスクフォースを発足させたというニュース。広告業協会も加わっているというのが,日本的感覚からするとすごい。もちろん「TVネットワークなど大手メディア会社では、広告のコモディティ化につながるということで参加できないという意向を示しているようだ」とのこと。

広告の電子取引市場については,阿部さんが2002年にその可能性を理論モデルで示している(日経広研所報,202号)。かなり先駆的であったといえる。その後,検索連動型広告が登場し,消費者が生成するメディアが広告枠になってくるなど,阿部モデルで扱われていない要素が現れている。

ABM の実用性に関するプレゼンを準備しながら,少し気になってきた(その前にやるべきことがいっぱいあるはずだぞ!)

経済学ですべて解明?

2006-07-26 13:39:52 | Weblog
伊藤元重のマーケティング・エコノミクス』という本が本屋に平積みされていた。日経MJに連載されていたコラムをまとめたもの。帯に「消費者の行動も企業の戦略も,経済学ですべて解き明かせます!」とある。これは出版社が考えた文章だろうけど,世のマーケティング研究者たちに「皆さん,それでいいの?」と問いたくなる。

マーケティング・サイエンスを研究する上で,(ミクロ)経済学や産業組織論の知識があったほうが望ましいのは事実だ。しかし,心理学だって同じぐらい(あるいはそれ以上?)大事なはず(それは,行動経済学でカバーしている?)。

もちろん,この本は,そんなにゴリゴリの経済学ではないし,「すべて解き明か」されているわけでもないので,マーケティングの研究者にちゃんと仕事は残されている。TVのニュース番組で国際金融や景気の動向を解説することは無理でも,マーケティングの問題で,実務家向けにわかりやすい本を書くことぐらいはできないと。