Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

行動経済学とマーケティング・サイエンス

2006-07-12 19:36:30 | Weblog
Journal of Marketing Research の最新号は,行動経済学(behavioral economics)の特集だ。行動経済学とは,心理学・認知科学的アプローチを全面に取り入れた経済学の新領域である・・・といっても Herbert A. Simon 以来の歴史を持つ。最近,行動ファイナンスの興隆が契機となって,脚光を浴び始めた。

Tversky, Kahneman らの理論の導入という意味では,マーケティング・サイエンスは経済学よりはるかに先行していたはずだ。しかし,使えるものは何でも使うというアドホックな姿勢だったので,「体系化」という話になると経済学者に頭を下げざるを得ない・・・ということか。

・・・などと減らず口をたたいたが,冊子自体はまだ手元に届いておらず,RSSリーダを通じて知ったのである。American Marketing Association (AMA) 会員の特典としてオンラインでも閲覧できるようになったのはうれしいが(ただし2000年以降の号のみ),先日突然アクセスできなくなった。AMA の会費を振り込むのが遅れていたせいである。紙媒体だけの時代には,会費支払いが多少遅れてもどうってことはなかったが,いまや即座にサービスが停止される。

それにしても,初めて行動経済学に関心を持ってから,どれだけの月日が流れただろう。そして,自分の原点を振り返ってみると「選好の形成,変化,進化」という最も関心の深いテーマに沿った研究を,いま,どれだけ,しているのか,という問いに直面する。

コトラー,ブランドを語る

2006-07-12 09:58:45 | Weblog
コトラー教授が「ブランド構築」について講演する。といってもシカゴでの話。受講料はAMA会員割引で595ドル(正規で895ドル)。彼の米国での講演料は5万ドル(日本では10万ドル)と聞いたことがある。200人くらい集まれば十分元が取れる,という感じだろうか。

ウェブページに "Over 100 books have been written about branding. This course will present the main ideas and skills necessary to establish a successful branded offering." と書かれている。ブランド本を何十冊も読むよりも,マーケティングの世界的権威から直接話を聞いたほうが,はるかに効率的というわけだ。

確かにコトラーは「まとめ」の天才だ。9.11の直後,東京で彼の講演があって,聴きに行ったことがある。そこそこに新しい話題も聞け,並の学者より話が面白かった。受講料は10万ぐらいだったか(豪華ランチ付)・・・会社が出してくれたが,自腹でも行く価値があるかというと,ないだろうな・・・(ただ,独立したコンサルタントで参加している人はいた)。

講演料は話の面白さと順位相関すると思うが,金額そのものは面白さと非線形の関係にある(加速的に跳ね上がる)。プロ野球選手の給料と同じ。その理由が「ブランド」だとしたら,なぜ彼がそうなり得たかの自己分析を聴いてみたい気がする。

ちなみに,このページには
Success = Strong Brand Promise + Reliable Customer Delivery
という公式も書かれていた。

ジダンの頭突き

2006-07-12 02:57:43 | Weblog
W杯決勝でのジダンの頭突きの理由は何だったのか。多くの人が,何か人種差別的な発言があったのではないかと想像したはずだ。あのジダンがかっとするぐらいだから,マテラッツィはよほど酷いことをいったに違いない,と。報道もそれに近い情報を流している。

だが,別の可能性として,ジダンがほとんど勝手にキレてしまった,ということはないだろうか。サッカーはそもそもお行儀のいいスポーツではない。あのジーコの,ボール唾吐き事件だってあったじゃないか。勝負をめぐって極限状態にあるとき,何が起きても不思議ではない。