クアトロに入店すると、パルミジャーノの大きなかたまりが置かれている。
これが、クアトロ自慢のパルミジャーノかと確認する。
しかも、まだ新しいパルミジャーノらしく、中央の掘られた穴は小さい。
テーブルに座ると、面長の男が注文を取りに来る。
クアトロの父だ。
その面長のクアトロの父に、パルミ・ペンネを注文する。
クアトロの父は、ペンネ・マカロニは茹で時間が長いですよと、モゴモゴと云う。
それではと、やはり自慢げに客席に置いてある生ハムを注文する。
クアトロの父は、老人らしい猫背な姿勢で生ハムを切る。
この生ハムが切り立てならではなのだろうか旨い。
この生ハムは美味しいでしょうと自慢げなクアトロの父だが、だれが切っても切り立ては美味しいのだろう。
そして、ペンネ・マカロニが茹であがり厨房での下調理が終わり、いよいよ仕上げの時が来る。
クアトロの父は、「お好みの濃さで仕上げますが濃いめでいいですか」と聞いてくる。
ここで迷ってはいけない。
迷っている内にペンネの温度が下がる。
即答で「濃いめ!」と返答する。
すると、クアトロの父が急いで予め掘っておいたパルミジャーノの穴にペンネを投入し、スプーンで混ぜ始める。
やがて、パルミ・ペンネが運ばれてくるが、何と二粒だ。
クアトロの父は語りかける。
「お味見をお願いします」
チーズの濃さを確認するらしい。
ここでも、素早く自分の好みを答える。
ここで迷っているとせっかくのパルミ・ペンネが冷める。
それでなくとも、クアトロの父は手際がよさそうに見えない。
そして、いよいよ完成するのだが、食べようとすると仕上げのコショウをかけますと云うクアトロの父。
持ってくる前にやっておけよと思うのだがここは余裕と忍耐だ。
パルミジャーノの濃厚な旨味が、ペンネ・マカロニにしっかりと絡み、粗挽きコショウの風味がピリッと全体を引き締める。
色々と待たされた分も旨味のうちのパルミ・ペンネだ。
※勝手ながら、明日11日(水)12日(木)のクアトロは連休させていただきます。
※緊急事態宣言中のクアトロは、平日の夜の営業を休ませていただきます。
※緊急事態宣言中のクアトロは、お酒の提供を自粛します。
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