愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

京都市山科区、小山の勧請縄

2009年02月21日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


名神高速道京都東インター直近の山科区小川中島町に有る勧請縄(地元では蛇縄と呼んでいる)です。


多分、高速道路がこのあたりを貫くまでは静かな里山風景の広がる旧集落であったに違いないような感じがします。



滋賀県と境を接する音羽山から流れる音羽川が山科川と名前を変えるのもこの辺り。


国道1号線から、山手に向かって住宅密集地を越え、名神高速の下を潜りぬけたあたりが小山中島町。


少し進むと右側に広い駐車場があってその向こうに三面側溝された音羽川が流れている。



駐車場奥と音羽川の狭い空き地に太い勧請杭が建てられその間に青竹を渡し、この蛇縄と称する勧請縄が吊るされています。


これは誰が見ようが確かに蛇にしか見えません、凄く解りやすい蛇縄です。


地元では山の神の蛇縄だと言う事ですが山の神としての機能は持ちあわせていないように私には見受けられます。



長さ約13メートル、ヘビと呼ばれる勧請縄を約三百束の藁を用いて作り、大きく開けた口は赤く塗り、みかんの目をつけているのは現代風アレンジかも知れない。


篠竹で輪にしたものに樒、松葉、御幣を付けた足を13本作り、そのうち12本を胴体に吊り下げ、残りの1本は音羽川の水源地とされる場所の木に吊り下げる様です。



鎌倉期より続けられているとされるこの蛇縄は、村人を苦しめていた大蛇を退治したところ村に災いが降りかかり、恐れをなした村人が大蛇の霊を慰めるため、藁の大蛇を祀るようになったという。



以来、大蛇退治があったとされる二月九日には「小山二ノ講(二九(にのこう))」に依って蛇縄が新しく付け替えらて居るということです。



湖東に多い蛇縄と共通点も多く、足と呼ばれている小勧請が12本有るというのも勧請縄の決まりごとのようです。


しかし赤い口と蜜柑の目玉は何処かしらユーモラスな大蛇に見えます。


1997年に京都市の無形民俗文化財に認定されています。


撮影2009.2.14


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