愛しきものたち

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笠置町 笠置寺虚空蔵菩薩磨崖石仏

2006年09月18日 | 石仏:京都

笠置山は南山城の東南、木津川が奇岩の峡谷をなす南岸にその山裾を落としている。

霊峰として知られる、笠置山は古代巨岩信仰の地として開け、1300年前東大寺の実忠上人、其の師,良弁僧正により、大岩石に仏像が彫刻され、一大修験行場として栄えた。

しかし、元弘元年(1331)後醍醐天皇がこの地に留まった事により、元弘の役の兵火により全山炎上した。

現在、笠置寺として真言宗智山に属し、車でも登れるのだが道険しく訪れる人は少ない。

今回紹介するのは唯一兵火の何を逃れて現存している、日本最大、最古、最優美だとされている大磨崖石仏。

寺の奥まった所に行者道があって、巨石が眼上に聳えているが、正月堂の建物を過ぎるとすぐにこの大磨崖石が眼に飛び込んでくる。

寺伝では弘法大師の刻んだ虚空蔵菩薩だと伝えられているが、其の容姿から弥勒菩薩ではないかと考えられている。

巨岩の前は1mほど残して直ぐに絶壁となっており、正面からの写真、引きがぜんぜん足りません。

しかし全山消失中、この磨崖だけが焼け爛れることも無く現存するのは、この立地条件が幸いしたのかもしれない。

高さ10m、幅6mの花崗岩に2重光背を彫りくぼめ、中に座高3,8mの菩薩像を線彫りにしている。

像立年代は奈良後期~平安初期と言われており、渡来人の作だと考えられている。

しかし、千年以上も経たとは思えないほど像容は傷みも少なく、圧倒的な大きさです。

撮影2006.9.18

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