プン吉 punkichi の台所★海外遠征大好きな、完全禁煙南国料理店「島結」は飛ぶ!

台所は料理するだけの場所でなくいろんなことを思う場所♪南国料理・泡盛の店「島結」からのお知らせもあるよ

いきなり 裏切り

2006年02月09日 | 毒バリ
オープン当初はぼちぼちだった客足も、クリスマスホリディの欧米人客が増え始め、日々忙しくなってくる!

新しいお店には付き物のバタバタもあるけれど、K君のフォローや皆の頑張りで、毎日をなんとか切り抜けていく…

いつも注意ばかりしている私も、戻るお皿が完食なのを確認して笑顔でスタッフを褒めたりする
お客に呼ばれて、料理の説明をすることも少なくはない
日本ではそこまでしたことのなかった私にも、メインシェフの自覚が出てくるというもの

頑張らねば!

新年をあさってに控えた
12月30日、キッチンスタッフの「アグン・ライ」がやってきた

「私、結婚しますから1月1日から5日までセレモニーで休みます
手には招待状…

へ!?
自分の結婚式の数日前にそれを言うのか?
しかもこの超多忙な時期に!
無邪気な笑顔、招待状アリガトさん
でもさ、あんたが抜けたら行けないでしょ?
しかもK君もビザが終わって帰国しちゃったし…

ダメとはいえない…

彼らにとってセレモニーは人生そのもの

わかっているけど、日本で自分の結婚式を1週間前に宣言するヤツは、そうはいない
産休していたスタッフに急きょ連絡をとると、喜んで復職するという
ひとまず助かった…でも彼女にはまだ何のトレーニングもしていないわけで、頼りにはならない
言ってもしょうがないけど、イライラは募る…

そんな私を見ていたからだろうか、キッチンヘッドの「カデ」がダンナの所にやってきて

「僕は休みいらないから「アグン・ライ」を休ませてやってください」

と言うじゃないか~ダンナは感激して

「カデには申し訳ないが、今はその言葉に甘えさせてもらう」

と握手!彼はきっといい料理人になるよ!うん!

しかし裏切りは思いのほか早くやってきた
いや、あまりにも、驚くほど、早かった…

忘れもしない12月31日

ダンナが困ったような起こったような顔で事務所に入ってきた

「カデが辞めるんやて」

はぁ~?昨日のあの話はナンだったの?

「前に務めていたの店のオージーのオーナーから戻って来いといわれたらしい」

あ!思い当たることがある!
クリスマスの直後、カンガルー柄の趣味の悪いキーホルダーを大事そうに眺めていたカデ「オーストラリアのお土産?」ってきいたら「ボスがくれたんだ」と言う

ボス?ボスって今のボスはうちのダンナやろ?

「ああ、前の店のオーナーね」

「オーストラリアに行きたい!僕の夢なんだ!」

そんな会話をしたんだった!読めてきた…

カデは半月ほど前に自分の友達をキッチンスタッフにと紹介してきたことがあって、面接はしたものの長い髪、汚い爪、だらしない態度…英語も殆んど話せない…雇わなかった

カデはオージー男に「状況がよくなったらもう一回雇ってやる」という約束で他の店にとりあえず勤めただけ、そこがウチの店
代わりの誰かを雇ってもらえば自分はスムーズにやめられると思ったんだろうね
お客が増えるクリスマスシーズンににそのオージー男は舞い戻り、憧れのオーストラリアの安っぽいお土産を渡して

いつかオーストラリアに連れてってやるという言葉をぶらさげて

カデを取り戻しにかかった…料理の腕はいいからその気持ちはわかる

でも、、、そういうことアリ?オージー男のずるさが許せない

ダンナがカデに

「この間「アグン・ライ」の変わりに頑張るからと言ったのはウソか?」

と言うと今までの温厚な態度は急変し、血走った目でにらみつけた

カデが店を去った日、従業員休憩所に壁に貼られた書置きがひとつ…
「We love peace」
ご丁寧にカデのサイン入り

アホか!平和を愛するなら、こんな辞め方するな!