プン吉 punkichi の台所★海外遠征大好きな、完全禁煙南国料理店「島結」は飛ぶ!

台所は料理するだけの場所でなくいろんなことを思う場所♪南国料理・泡盛の店「島結」からのお知らせもあるよ

ある男の存在

2006年01月31日 | 毒バリ
また回想に戻って…

私達にこのビジネスの話を持ってきたモシモシ社長は、新婚旅行でバリを訪れた時

フォーシーズンズ・ジンバラン

に宿泊して、日本にはないその優雅な趣にすっかり魅了された
この時、彼の脳天にプスっと 毒バリ が差し込まれたに違いない

毒バリにも色々あるけど、この毒は
「エクセレント」
「ラグジュアリー」
「セレブ」

という言葉に反応しやすくなって、旅行中嫌な思いを一度もしなかった、一流好き日本人に効果テキメンの強力な毒

バリの毒が全身に回ってしまった社長は、何かにあやつられるようにバリ島紹介のホームページを作成し、バリの広報活動を開始
その後一流商社を退職してまで、バリ島内オプショナル専門の旅行代理店をたちあげてしまった

ネットでバリに関する様々な情報を提供し、お客の獲得もネットからの申し込みによってのみ行われる
バリのみならず旅行業界では常識である
コミッション(レストランや土産物屋が、旅行代理店やガイドにコミッションと呼ばれるお金を渡し、お客を連れてきてもらい、そのお金は観光客の買う商品や、食事代にあらかじめ上乗せされている仕組み)
を排除した方法はなかなかに評判を呼んで、パッケージツアーを好まない自由旅行者には重宝がられていた

社長は更なる毒の効果か、インドネシア語を巧みに操れるようになり、生来の押しの強さも手伝って、経営は順調~
そこに目をつけたバリ人が、今回のカフェレストランの実質的オーナーであるニョマンだったというわけ

毒バリ恐るべし…

ニョマンは、ラフティング会社やスパも経営しているお金持ちのバリ人で、ウブド地区ではちょっとした実力者
役所では顔もきくというが…

どこでも役所で顔が利く人間はちとやばい

芸術の村として知られているウブドで、一番最初にレストランをオープンしたのは彼
70年代、欧米人のバリ旅行ブームに乗って、お店はなかなか繁盛したとか
そのレストランを長男に引き継いだのは3年前、全面改装を施、しその時あの立派な業務用の大型冷蔵庫、厨房機器も揃えたんだとか

なるほどね…カワイイ息子の為か…

だがこの長男、レストランビジネスには興味が持てず、レストランは中途半端なまま、ジャカルタのコンピュータースクールへ進学してしまって今に至る…

「その後は経理をやっていたデワにマネジメントを任せたんだが、ご覧の通りうまくいっていない」

横でデワと呼ばれた男が、薄笑みを浮かべてた
自分の話になっていることは分かっているようだが、英語はあまり得意ではないらしく、内容までは理解していない様子
逆三角形の小さな顔には長い毛のついたホクロ、薄くなった坊主頭、痩せた体に合わないやたらと大きなポロシャツを着たこの男が、実は最悪のシナリオをもたらす張本人になるとは…

レストランに関することは、この男にすべて聞くようにとのニョマンの指示だったのに、どうにも当てにならん!
あてにならないどころか全く頼りにならなくて、サプライヤーの情報、工事の工程なども一切知らせてはくれなかった

バリ人はいい加減で、ノンビリ屋だからこんなもんなんだなねー

私達に対しても毒は効果を発揮し、優しい気持ちでそんなふうに思ってしまった…不覚…

大卒のデワは、村ではエリート
にもかかわらず、いきなり現れた日本人にレストランの前権限を奪われ、プライドがズタズタだった
彼は、私達に対して日増しに

復讐の炎

をメラメラと燃やしていく

彼の地位を奪ったのは私達じゃなくて、外国人とビジネスをしたくなったニョマンなんだけどなぁ…

余談

2006年01月30日 | 毒バリ
昨日、久々にバリテイストの料理を作っているとき、帰国直後のことをふと思い出した

バリに住んでいた1年間、日々日本語を使う相手はダンナだけで、他にはモシモシ社長、あと、何かあればお客さんと挨拶する程度
マネージャーの女性スタッフ(メダン出身のインドネシア人)とは殆んど英語で、私のメインの仕事場、厨房内(全員バリ人)はインドネシア語と英語のミックス、しかも単語の羅列が中心

これ、洗って下さい、次、切る 細かく細かく

とか

オイル少し、火弱く、ゆっくりゆっくり、OK、でも火強い、よくない、わかる?

みたいな

365日を殆んど仕事で過した私達、帰国後、会話がおかしくなってることに気づく…

できる、違う、済んだ、おいしい

短く簡単で使いやすいインドネシア語が口をついて出てしまう
あとは英語もちらほら
人とぶつかりそうになったりすると

「Sorry」って…

頭の中でトランスレートする癖がついてしまって、すぐに日本語で出て来ない単語もあったりして、かなりビックリ!
たとえば 「ほうき」 って言いたいのに 「ほら、掃除するヤツ、掃くやつ、何だっけ?」 って感じ
ウソみたいなほんとの話で、もちろん日本語が一番楽なのは変わりないのに、脳みそが戸惑ってたのかな?

オーストラリア在住の友達も、やはり日本語で思い出すのに時間がかかる単語とかあるって言ってたな
そういえば彼女の旦那さん、日本にいるときは「英語が変」って言われてた…

バリ在住の、インドネシア語と日本語が上手なフランス人の友人も

久々のフランスの友達来ました、私フランス語、ヘタクソになった言われました~

って…そうなっちゃうものなんだ!


他にもおかしな癖が…
欧米人って、人と目が合うとにっこり微笑んだり、軽く挨拶をする人が多いじゃない?
バリは観光地なので、欧米人観光客がかなり多いし、お客商売だった事もあって私自身もそんなしぐさが癖になってて…
やっちゃいました、成田空港で

目が合った男性に「にっこり」

戸惑う男性、キョロキョロしながら私を見返す

俺か?ナンだこの女?知り合いか?ナンパ?気持ち悪いぞ?

ってところかな?
どうみたって東洋人ルックスの私がおかしいよねえ?

すぐに「やっちゃった!」と気づいたんだけど、取り返しはつかない
しらばっくれて、カートを押しながら足早に立ち去る~

実家の母親と話していても会話が噛み合わない
会話のテンポが速いと英語やインドネシア語が出る
「おかしな言葉使わないで!」
ゆっくりにすると
「あんたトロトロしてどうしたの?」
って…かなりツライ

今でこそ問題ない生活ではあるけど、やっぱり時々インドネシア語が顔を出す
ふいに頭に浮かぶ言葉がインドネシア語だなんて

なんか気持ち悪ッ!

時々、人に聞かれると都合の悪い会話をダンナと交わせるのはいいけどね
「この店員頭悪い!しかもこのコーヒーすっごく不味い!」
とかね

もちかしてこれも 毒バリ の影響なんじゃないのか?
バリを離れて2年、もう2年?まだ2年?
毒はいつ抜けるのだろう?

Apa boleh buah(あま、仕方ないかぁ…)


ミスターボンド

2006年01月28日 | 毒バリ
彼らは木を真直ぐにしてから使うということをしない
運ばれてきた材木は100%歪んでるから電動カンナをあて、なんとなく真直ぐにはするものの、日本の大工さんが使う仕上げ用のカンナは使わない
だからどうやったって隙間ができる

さあ、その隙間はどうするでしょう?

そんな時は木工用ボンドにおまかせだよ!

電動カンナの細かい屑とボンドを練り合わせて、隙間に埋め込めば終了
穴ぼこや少しの段差だったらこれでOK!
ボンドがはみ出してるって?
そんなの平気だよ~
あとで紙ヤスリをかければいいんだからさー

ああそうですか…

工事中、ボンドを埋め込む作業が大好きなおっさんがいた
頼みもしないのにどこからともなく現れて、勝手に隙間を埋めていく
しかも彼の仕事は、とーっても雑で、はっきり言ってすごく迷惑していたけど、
誰なのかわからない
大工さん達とも妙に親しげだからニョマンのお友達?
にしても勝手に冷凍庫をあけてアイスクリームを食してる

私は彼を

ミスターボンド

と名付けちょっと敬遠していた
あとで知ってびっくり
なんとそれはニョマンのお兄さん!

「だって顔、全然似てないんだもん!」

かつては警察官だったらしい
この地で警察官をしていたとなると、要注意人物かも?
賄賂でなんでもする=この地の警察官 だから…

工事も佳境に入り、エントランスにホワイトストーンが貼られる
美しい白い石を入り口の階段に使うと、明るくなって清潔感が出るし、特に灯りの少ないウブドの夜にはピッタリ

こういう作業はみんな大好き!
エントランスという目立つ場所、先を競うように精を出す

「ん?何使ってるの?」

チョビヒゲ太郎の片手にはビーサンが!

しかもそれは自分のじゃない

ジョニーのだ~

「目地埋めはこれが一番なんだ」

見ればもう片方のビーサンも、他のスタッフが使っている
当のジョニーは、煙草をくわえながら、道ぞいの花壇を作っていた
もちろん裸足で…

さあ、ついに仕上げの植栽
南国のレストランには、その気分を盛り上げる美しい植物が不可欠!
植物は、強い陽射しから日陰を造る役目のほかに、目隠し効果や、リラックス効果も果たす

南国を代表する椰子の木を4本ほど希望したら、彼らはガーデンショップには行かず、ジャングルに向かってトラックを走らせた!
にしたって、なかなか帰ってこない大工達…

丸一日かかってやっと見つけだした4本の木
どうやらジャングルの木は成長しすぎて、ちょうどいい大きさを見つけるのに一苦労だったらしい

「すごいだろ、この木!お金は1ルピアもかかっていないぞ」

ジョニーは自信満々!
しかし無理やり掘り出した自然の木は、あっと言う間に元気を失い、1週間もしないうちに次々に枯れていく…

「根っこ切り過ぎたかな?」

そういう問題じゃないでしょ?
成長したジャングルの木を持ってきたって、町中でそう簡単に育つものじゃないよ
人間だって、若くて頭が柔らかいうちじゃなければ、新しい環境に順応するのは大変なんだからさ…

ちょうど同じ頃、向かいのバティックショップが、園芸店から届けられた、姿の綺麗な椰子の木をエントランスに植えていた
それが枯れることなく、順調に成長して行ったのは言うまでもない


工事開始 いいトコ見せたい人々

2006年01月26日 | 毒バリ
木製デッキは、あっという間に組み上がり、上に板を張る作業もスイスイと進んでいく
打ち付けた釘が錆びないよう、上から丸く削った杭を打ち込み、デッキ面に合わせてカットしていく

あれ!?それってキッチンで鶏さばいてた包丁じゃないの?

作業に参加しているキッチンスタッフの手に握られていたのは、紛れもなくあの木製まな板の上で使われていたナタだ
カピカピにひからび、こびりついた肉片とキャベツが、それを証明している

このナタは、

バリニーズスペシャル万能ナイフ

で、料理はもちろん、庭木のカット、家具製作、造作工事、全てに渡って使用されるとのこと
何に使ってもいいよ、それがあなた方の文化
でもね、せめて調理用とそれ以外に別けようよ~レストランなんだからさ

工事の進捗が早いように感じていたはずなのに、完成が近付くにつれ、なぜかそのスピードは急激に鈍っていく…
第一の理由は彼らの性格にあると見た

彼らは目に見える部分での活躍のみが好き!

デッキを造る、屋根を組み立てる、タイルを貼る、セメントを塗る、そんな作業は大好きなんだけど

面を滑らかにする、艶を出す、微調整するというような最終行程の仕上げや、雨樋をつける、継目を直すといったような、メンテナンスが絡む作業となると、急に仕事をしなくなる

特に雨漏りに関しては

雨は漏るものだ

が常識なのか、どうだっていいと思ってるようで、私達がバリを去る日まで解決を見ることはなかったところがスゴイ

第二の理由はニョマンが現場に来なくなったこと

最高監督者の顔が見えなくなったらサボる

ニョマンも
「私がいないと彼らは仕事をしない」
と嘆いていたが、その反面、それは自分がいるからこそ彼らは仕事をする
という彼の絶対的自信と、支配欲がそれを招いていたような気もする

トイレもようやく仕上げの時が来た

「おーい、換気扇ついたぞ!どうだい?」

大工のチョビヒゲ太郎とジョニーは自信満々で旦那を呼びにきた

仕上がりを確か絵めに行った旦那は固まっている

「で、換気扇の後ろのガラスはどうした?」

「へっ!?」

二人の目は点

彼らははめ込みのガラスをはずさずに、換気扇を取り付けてるよ!

換気扇の役目が何なのか知らなかったらしい
インドネシアでは、もともとキッチンは屋外に作るものでなので、ジャカルタの高級アパートのキッチンにすら換気扇がないことも多い

私達の住処でも、キッチンの換気扇は、全く吸い込んでいる様子がなかったから
たぶん、取り付けてるだけで煙の行き先がないんじゃないかな~?

2階の雨樋工事が中途半端なのを見つけて、ダンナはチョビヒゲ太郎をつかまえて指示した

「ちゃんと最後までやってくれないと困るんだけど」

「高いところの作業は危険が伴うから、これ以上できない」

「そんな、、、これじゃ1階のフロアに雨が漏れちゃうよ」

「じゃあ、自分でやってみろ!危険なんだぞ」

逆切れ…

自分が大工であることをすっかり放棄した発言
どうやら地に足の着く作業しかできないらしい
その割には、屋根工事の時に大喜びで高いところに登っていたことを私は知っているし、普段から、高ーい椰子の木にだって登ってるじゃん!

2階は誰も見ていない目立たない作業
しかも雨樋の事なんか誰も気にするものはいない
チョビヒゲ太郎はダンナの厳しい監視と私の視線で、やっと重い腰をあげて作業を始めた

「誰かが見ててくれないと、仕事する気がしないからな!」

こっちをちらちら見ながら、浮かべる笑顔がそう言っている

次から次へと

2006年01月25日 | 毒バリ
旧レストラン「N」は、ウブドのメインストリートに面していて「坂本龍一が通った店」というのが日本人観光客へのへの売り文句で、バリ旅行のガイドブックにもそのように紹介されていた
でも実は

ずいぶん昔に 一度 来ただけ

来たのはウソじゃないけど、通ったってのはウソらしい

厨房内のチェックが進めば進むほど、この店がバリのフードビジネスから取り残されていってることを実感する
だからこそ、私達にこの仕事が舞い込んだんだけど…

平均月収が7000~8000円程度のバリで、こんな素晴らしい厨房機器が揃っていてもメンテナンスが追いつかず、宝の持ち腐れ
シンクには黒カビ、コンロは油がこびりつき、オーブンはずいぶん前に壊れたままで錆付き、蜘蛛の巣だらけ
時々ガタガタ、チュウチュウ♪

ネズミの遊び場になってるじゃん!

水道をひねると、ちょろちょろとしか水が出ない
スタッフ用のトイレで水を出すと、キッチンへの給水が悪くなるらしい
側にあった大きな鍋に水を溜めてみた

げ!緑色の藻が浮いている!

少し時間を置くと、鍋の底に黒い粉のようなものも沈殿してきた…

「タンクの掃除をすれば出なくなるからダイジョブー」

出たよ、得意の ダイジョブー が!

今まで何の対策もなされないまま営業してきたってこと?
昨日、一昨日、その前の前の前の、、、そして今朝もこの水沸かしたお茶で淹れたお茶!

げーーーーーーっ (@皿@;)

生水を飲まなければ害はないらしいけど(ほんとかよ?)これは非常にマズイ
高温多湿で貯水タンクに湧いた藻が、蛇口から出てくるんだから、このまま使用することは無理

タンクを掃除したところで2週間もすれば元通り、浄水器を使ったところでフィルターも速攻目詰まりで、外資系ホテルでもない限りコスト的には全く合わない

ひらめいた!日本から持参したさらしが役立つかも!

2枚重ねさらしで濾過作戦!

いい感じ、これなら藻が水に混入することはない
とは言えその水はスープやサラダ用の野菜には一切使わず、ボトル入り飲料水を使うことを徹底した

ちゃんとしたレストランの値段が、それなり高い理由はこんなところにもある

最も、水の管理を適切に行っていいるかどうかはわからないけど…

今でも、あのさらしのことを思い出すとゾッとする
どろっとした藻の固まりがさらしにこびりつくと、詰まって水が出なくなる
ひどいときには1日に10回以上もさらしを交換することも少なくなかった

木製の丸太タイプのまな板から、また問題発覚
タイルの床に直接置かれ、丸鶏や骨付きの肉を叩き切るのに使うのはいいけど、洗い流している様子がない
ナタのような包丁らしきもので

シャッシャッと軽~く擦ってそのまんま

調理台の下にスッと戻されるてるだけ…
先週まで、まかないで出てた料理ここで作ってたんだよね、知らずに食べてた…

げーーーーーーっ (-皿-;)

人間の体って意外に丈夫なものね…って感心してる場合じゃない!

庶民の台所 市場

2006年01月24日 | 毒バリ
ウブドのローカルマーケットでも食材を仕入れる
バリ料理には欠かせないスパイスやハーブは

市場が一番新鮮で、しかも安い

スーパーと違って少量から購入できるところが◎

野菜はものによるかな?
ここで売っている野菜は地モノが中心で決まった野菜しかない
まかない用には十分だし、それこそが本物のバリ料理なんだけど、レストランで使うには見た目が悪く、洗って整えると半分ぐらいの量になっちゃう

特に気をつけなければいけないのはブロッコリー
農薬を使わないのは有り難いこと、でも

中に青虫がぎっしり巣作り中~

緑色の細かい軸の中に入り込んだ、同じ色の小さな青虫はなかなか取りにくいし、気がつかない…うっかり見のがした虫をお客がお皿の中で見つけたら大変!

まかない用のお米も市場で調達し、いくらか払って配達してもらう
まかない用の米は

毎月50キロ以上必要

になるし、お客用のタイ米が尽きたときの非常用として使うこともあるので、クオリティもそこそこのものを選んで、常に多めに炊いておく
お米そのものが美味しくても、小石の混入が多いから、それを慎重に取り除く作業も大切

お土産の定番になった天然塩
スーパーで売られているものよりずっと美味しいから、市場でのおススメ品!
結晶が大きくてゴミ(ひからびた海藻のようなものや、ビニールシートの繊維)が多いのが難点だけど、強烈な塩辛さはなく、ほんのり甘味も感じる
紙の上に広げてゴミをとってから、フライパンで空入りして湿気を飛ばす
その後ミルで砕いてさらっとさせれば、どんな料理に入れても問題なし!
1キロで30円から40円くらいかな?

まかない用のローカルフードに時々登場する

フィンダン 

も市場の定番商品
カツオ、サバ、アジなどを塩漬けにして干したもので、とっても塩辛~い
これを水に漬けて塩抜きしてから、良く揚げて辛いソースと和える
加工行程が良くないのかな、生臭くパサパサしていてお世辞にも美味しいとは言えないけれど、海辺から遠いウブドでは貴重な魚料理になっている

朝4時、5時頃までに行けば殺したての肉が手に入る
さっきまで生きていた証拠

新鮮な肉は触るとほんのりあたたかい

当然冷蔵庫はないので、8時ともなれば日が昇り、気温も上昇…高温多湿のバリでは肉の劣化が早いので、買うのは遠慮いたしま~す

広い市場をゆっくり歩き、お店用食材を吟味したいのが本音だけど
外国人の私が

ローカル価格で買い物することは難しい

これはインドネシア人でも無理、バリ人がバリ語で買い物しないとローカル価格にはならないんだって
旅行中のちょっとした買い物ならまだしも、バリで商売しているのに毎日ローカル価格の何倍もの値段で買うなんてバカバカしいじゃない?
ということで市場での買い物はスタッフにお任せ~

でも旅行で訪れた時には、一度くらい市場に足を向けて欲しいな

極彩色のお菓子
山と積まれたトロピカルフルーツ
ツヤツヤ輝く唐辛子
お供えの用の細工物や花々


どこを切り取っても絵になる、パワフルな世界

お香の香りを中心に、様々な香りが交じり合う中で、バリの女性達は威勢よく働いている
その頃、男達は朝の農作業を終えて、木陰でのんびりタバコを一服
みんな揃って、今夜の闘鶏の相談をしながら…

スーパーマーケットにて

2006年01月23日 | 毒バリ

「MACRO」 以外の食料調達先として、ウブドの地元スーパーマーケット 「デルタデワタ」 がある
ここも重要な食材確保の場所
フルーツは地元の市場とそう変わらない値段で買えるし、雨季が終わってからも輸入物のマンゴーなどが売られているし、オーダーが集中してなくなってしまった食材などを急場しのぎで買うこともできて便利
でも食品の管理は例に漏れず要注意

妙に重い牛乳…
中身は既にヨーグルト!

振って液体であることを確認してから購入しないとね
これ、長期滞在者やバリ在住者の間では、結構当たり前

買うたびに厚さが違う餃子・春巻の皮は、黒かびがないかよく見て
肉の鮮度は悪いと思って間違いないので、ここではめったに買うことはない
中身がドロドロに溶けたアンチョビ缶、ダニだらけのパスタ、糸ひく豆腐…数え上げたらきりがないうえに、それらが

賞味期限内

だから始末が悪い
苦情を言ったところで、交換してくれた品物が今度は安全という保証もないしね

比較的まともなスーパーは 「マタハリ」 と 「ペピト」
どちらもターゲットは外国人だから、ローカル向けスーパーよりも値段は高めだけど、その分品物の管理は良い方
「ペピト」 には日本のビールも置いてあって(1缶500円ぐらいする)買いたくなったけど、我慢我慢…インドネシアのビンタンビールなら大瓶一本100円だもん!

腐ったものを何回かつかまされ、品物別に店をチョイスすることが出来るようになったら、その時こそ

バリの買い物達人

スーパーはお土産を買うのにも楽しい場所
バリコーヒーや天然塩、バリの調味料もいいけれど、私のおすすめはコピー商品
と言ってもブランド品のことじゃないよ
最強のニセモノ、それは

KOKKIMAN醤油

キッコーマン醤油は日本を飛び出して、世界中で名の知られた製品
インドネシアの一般的な醤油、ABC社のケチャップ・アシンが1リットル100円程度買えるところを、キッコーマンの醤油は同量で500円もする高級品!
そこでこの偽?キッコーマンの「コッキーマン醤油」は微妙な300円弱という微妙な価格で、ラベルデザインからマークまでソックリ
キッコーマンと間違えて買う人をそ~っと待っていると見た

店内を良く見ると、あるある、次から次へと…味の素、かっぱえびせん、インスタントラーメン、プリングルス、ネスカフェ、微妙なコピー具合がまた笑える
日本製品=品が良い という印象からか、日本風の名前をつけた商品もとても多い
旨味調味料のMASAKO と、 美白石鹸SHINZUI は超有名
SHINZUIの箱には「しんずい」とひらがなで書いてあるし、「ひふあんぜんてすとごうかく」って何でこれもひらがな?箱の裏には美白成分ありの日本の松オイルが入ってるって書いてある

CMは更にすごい
色白の東洋系女性達が、すれ違う時に「しんずい~」と言いながらおじぎをし合う
なんのこっちゃ?
高めの値段設定にもかかわらず、色白が美人の第一条件であるインドネシアでは、この石鹸はかなりの人気商品なんだって
マーケティングの勝利かな?

「プンさん、しんずい使ってるんでしょ?」

スタッフの若い女の子がきいてきた

「しんずいは日本製品じゃないし、日本では売ってないんだよ」

「えーーーーっ!」

驚愕事実だったらしい

マクロ

2006年01月22日 | 毒バリ
通常カフェやレストランでは、食材や飲料を専門の卸業者(サプライヤー)から購入することが多いんだけど、バリでまともなサプライヤーはとても少ない

自分で動くのが一番信用できる

以前のレストラン「N」でもこれといったサプライヤーは使っていなくて、近所のスーパーや市場を利用するか、サヌールにある会員制ホールセールの 「MACRO」 を利用して食材や厨房用品を買っていたという

この 「MACRO」 は会社、店舗、ホテル、または外国人が主な客層、会員制ということでここで買い物をしていることが、バリ人の間ではステイタスになっているみたい

広~い倉庫タイプの店舗内には、電化製品から日用品、雑貨、生鮮食料品、輸入食品まで殆んどのものが揃う
便利ではあるんだけど、何分にも

品質に難あり

のインドネシア、先日ご紹介のSONYOのラジカセや、すぐに壊れる品々等あっと驚く商品の宝庫なの~

一切手入れされてない、超動きの悪いショッピングカートをギーギーと引きずりながら店内を一周
高級電化製品は日本企業の製品でお手ごろ価格のものは韓国・中国企業製
食器は家庭用、ローカル食堂用のプラスティック製品は品数豊富だけど、レストラン向けの陶器のものとなるとセンスが許せない
日用品では、見慣れた月のマーク花王の製品が幅を利かせている
これは他のアジア各国、オーストラリアでも言える事で花王の海外進出はめざましい!
花王が日本企業だと知らないバリ人がとても多いことに驚くほど、花王はインドネシアに浸透しているってことね

鮮魚売り場とは名ばかり、どこが「鮮」なのかききたい…氷の上に乗せられてはいるものの

真っ赤に変色した目玉

鱗は剥げ落ち表面は乾いている
売り場の異臭はかなりのもの
魚の鮮度に関しては日本のようにはいかないことぐらいわかってるけど、売り場そのものの清掃がなってないのは大問題

あーもう1分も立っていられない!退散!

野菜は国内保の他の島からのものや、輸入品も多く、品数も豊富
ジャワ島産のジャガイモが、すごく美味しいことはバリに住んでから知った
さすがジャガイモの語源の地だけある!
でも油断大敵、何でも一個一個手にとって、腐っていないか確認してからでないと買っちゃダメ
ホワイトマッシュルーム、茶色に変色著しくブラウンマッシュルームになってるからね

一番怖いのは肉のコーナー、かなりやばい

パックの中で赤黒く濁った肉汁に浸るどす黒い豚肉…

日本のスーパーであのニオイしてたら即営業停止でしょ

お待たせしました冷凍食品のコーナーですよ~
ありました!

例のクサヤ臭小海老ブロック!

鼻を近づけてクンクン…すでに臭い…
売ってるときから臭いってことは、冷凍するときに臭いのか?
うん、考えられる
炎天下の海岸で殻剥き作業したとすれば、小海老など10分で半腐れだもんね

生鮮食品は、全くもって 役立たずの「MACRO」 
肉、魚はここで主に買出ししてたって言ってたから、あの料理になって当然の結果
さて、これからどうしたものか
これを頭に入れた上で、メニューを組み立てていくのか
はーぁ…

会計後、パン粉の袋が破けていることに気がついた
店員を呼びとめて

「破けてたんですけど、新しいのと交換してもらえる?」

と告げると笑顔で

「OK~」

取り出したのはホッチキス

これで留めるってこと?

「最初から破けてたんだから、新しいのに変えてほしいんですけど」

男はセロテープに手を伸ばす

私はツッコミであんたはボケか!?

「英語わかる?これはいらないから新しいのをちょうだい」

ニヤニヤ笑いながら売り場を指差しただけ
わかったよ、勝手に取りに行くわよ!フン!

まったくもってやる気のないことで…
建物だけじゃない、いい加減さもまさにマクロ

耐久時間

2006年01月20日 | 毒バリ
色は気に入らないけど消耗品だし、100円ショップのでいいや
壊れても100円ならまた買えばいいし
なんて思っていたのに、意外にも長持ちして、もう3年も使ってる…そんな商品があったりもするよね

そうかと思えば、
値段ちょっと高いけどとても便利そうだし、よし買ってみるか…でもなんだか期待はずれ、しかも1年も経っていないのに壊れてきてる…ということもある

でもね…私は断言する

日本で売っているものは、外国製品であってもレベルが高い

でね…ダメなんだな

バリで売っているものは、日本製品以外すぐに壊れる

ホールセールで買ったボールペン50本入り、半分は最初からまともに書けない
ダメなもののまとめ売りってひどくないか?

スプーンは成型加工の技術が低いのか、口元がさっくり切れそうな処理
実際、唇の内側の皮が薄く傷ついたことがあるんだから

ラジカセはいろんな意味ですごかった
値段は日本円で600円程度
ブランドは SONYO
ソニーなのかサンヨーなのかはっきりしろ!

では日本から持ってきていたテープをかけましょ
なぜか浜田省吾…
んん?イントロ、みょーにゆっくりじゃない?

♪ゆううぅべええぇねむうううぅれええぇずううぅにいいいぃぃ~なぁぁいてぇええぇいいいたんんだぁろおおおおぉぉぉ…

ひ、低い!この重低音声は何なんだ?
名曲「もうひとつの土曜日」が、犯罪の手口をテレビ番組に漏らす内部告発者に歌われてるみたいに聞こえる…
仕方がないのでラジオとして使おうとしたら、なぜか少しずつ雑音が入り始め、いつの間にか聞こえない
よく見たら、ラジカセ自身の微妙な振動で、チューニングが勝手にずれていく…
笑うやら、あきれるあやら

さすがSONYO中国製

デッキブラシ
ブラシ部分がはずれて柄なしのブラシに
(耐久時間1週間)

プラスティック製の折りたたみ式ちりとり
地面に置いたとたんにボキッ
(耐久時間0秒)

今、日本でも流行の湯沸しポット
いくら待っても永遠に沸騰せず
(不良品)

ガステーブル
調理中本体内部の管から火が噴出し、危うく大惨事!
(不良品)

書き始めたらきりがない…

世界一厳しい消費者といわれる日本じゃ考えられないこと
こんなもん売ったら首絞められるっちゅーねん!

スダ・マティ(もう死んだ→要するにもう使えませーん)

この言葉をスタッフからきくたび
「ハイ、今度は何かな?」
すっかり慣れてきた自分が悲しい
笑うしかないでしょ?

改善という言葉は、今や世界の製造業界では共通語だというのに、ここでは通用しない
国産品も外国製品もまとまに検品もしないんだろうね

ここで日本製品以外であてになるのは、植物の枝や木の皮、葉などで作られた昔ながらの日用品
お金がかからないうえに、壊れてもすぐに換えもきく
日本じゃそういうものの方が、プラスティック製品よりずーっと高いんだけどね

小海老のクサヤ?

2006年01月18日 | 毒バリ
厨房にはあまりお金をかけられないので、総クリーニング、レイアウト変更、今ある食材の在庫チェックを行う
以前のレストランで使われていた厨房機器は意外と立派
調理台も丈夫なステンレス製の高級品だし、揚げ物、炒め物に使う強力火力のゴレンマシン(インドネシア語で揚げたり炒めたりする事をゴレン:gorengという)も素晴らしい品物

冷凍冷蔵庫も業務用の大型のものが1つと、家庭用の大きめサイズのものがもう1つ、小型のものが1つ、合計3つもある

すごいなーぁ、どれどれ

ウッ! (`Δ´;

異臭が鼻を突く!
小型冷蔵庫は壊れていて内部はカビカビ繁殖中~
その中で何かが異臭を放っているんだけど
それが何かは確認したくない

続いて家庭用の大きめ冷蔵庫の方へ
おそるおそる中を開けると、

ぐ! (゜-゜;

これまた異臭が~
動いてはいるものの、やはり庫内は汚れ放題、野菜も肉も買ったときのポリ袋に包まれたままの状態で、放置されてる感じ

冷凍室には、霜のついたアイスクリームの他、使いかけの冷凍フレンチフライ、黄色く冷凍焼けした丸鶏が1羽、ポリ袋入りの肉や魚が隙間なく詰め込まれていて、底にはこぼれた肉汁がシャーベット状の血だまりが…

さあ、もう覚悟は出来てるよ、一番大きいやつ、いってみるか…

く、くっ、くっさー!

予想通りに汚れた冷蔵室には、いつ作ったとも知れぬミートソース、周囲がかぴかぴのスライスチーズ、黄色くしおれた野菜くずが入っている

冷凍室…開けたくない

以前、「N」の営業中にちらっと見ちゃったから、中は知ってるんだ

冷凍焼で表面が赤黒くなった、鯛と思しき凍った魚、目玉は取れていた
そこへイカンゴレン(魚の丸揚げ)の注文が入って、水をじゃんじゃんかけて解凍し、何事もなかったかのように揚げていたんだよねー

ティッシュの箱より少し大きいブロック状の冷凍庫小海老はもっとやばい…使う度に水道水にあてて、溶け崩れた部分を調理し、残りはそのままビニール袋にしまい込んで再冷凍
その小海老、解凍されただけなのに既にクサヤ系腐敗臭がしてる!
何に使われてるかって?

小海老のカクテル

だそうです…そのクサヤ小海老を茹でて、ケチャップ風味のオーロラーソースを添えて出してた
もちろん、殆んど手がついていない状態で、料理は下げられてたけど

キッチンスタッフの家には冷蔵庫がない
調理器具もない
理由はカンタン、バリ料理には必要ナシ

バリの庶民の食卓は、私達とは全く違う
ご飯を炊く鍋とザル、スパイスを潰す石臼、包丁(ナタ)、炒め用の鍋、これで十分
材料もその日に必要な分だけを市場に買いに行くか、畑から取って来る

自分達の日常とかけ離れた調理道具を使って、自分達が普段口にすることのない料理を作る
のだから、それはとても大変なこと
冷凍庫に入れてしまえば、何でも永遠に食べられるのだと思い込んでいるようだし、電化製品の手入れ方法などもわからず、適当に扱ってしまう
山であるウブドに暮らす彼らは、新鮮な魚介類がどういうものかもわかっていないし、生食の習慣などあるはずもなく、調理知識も乏しくて当然

「彼らは何も知らない、ここしか知らないのだ、だからトレーニングしてやってほしい」
ニョマンは言う

ちょっと無責任じゃない?
トレーニングもしないで、観光客にあんな危険な食べ物出してさ!
レストランを開くと決めた時、バリ旅行に来る観光客に、本当に安心なものを食べさせたいというのが私の思いだった

食品の保存法や衛生から教えていくのか…

でもトレーニングだけじゃ済まない、もっともっと大変な食糧事情があることをすぐに知ることになる