プン吉 punkichi の台所★海外遠征大好きな、完全禁煙南国料理店「島結」は飛ぶ!

台所は料理するだけの場所でなくいろんなことを思う場所♪南国料理・泡盛の店「島結」からのお知らせもあるよ

クトゥさんの村へ

2006年06月30日 | 毒バリ
クトゥさんは、レントゲン検査で骨に異常が無いことを確認しただけで、翌日には家に帰された

ぬあんだと!?
どういう病院なんだ!
わかっちゃいるけど、レントゲンだけ?
CTとかMRIしてくれないの?
おいおい…

無理な話だよね…ジャカルタの大きな病院にでも行かない限り、ありえない
いや、バリのお金持ちはシンガポールの病院に行くって言うしなぁ

数日後、私達はクトゥさんと仲良しのダユ・オカの案内で
彼女の家へお見舞いに行けることに
治療費の足しにしてもらうためのお見舞金と、普段はあまり口にしない輸入物の高級フルーツをカゴいっぱい

「あとは必要なもの、他にないかきいてみましょ」

彼女の村は、観光客があまり足を踏み入れない場所
途中、自分達以外の外国人とすれ違うことはまずない
美しい水田風景が続く道を、海の方向に向かう

大きなバニヤンツリーのある寺院近く、子供達が遊んでいる

「この先は狭くて車は無理ですから、ここから歩きます」

ダユ・オカの指示で車を降り、細い路地を歩いていく

外国人が珍しいのか?
大勢の子供達が集まってきちゃった…

視線がすごいぞ!

でもクタやウブドの観光客慣れした子供たちとはちょっと違う…
親しげに側に来たり、話しかけたりせずに、少しはなれた所から見守るようについて来るだけ

村の大人は、私達が誰なのか察している様子
レストランで働いている子が怪我をしたから、お見舞いにやってきた外国人はお店のボスに決まってるからね

門を入るとすぐに竈のある炊事専用の建物があって、そこを通り過ぎた別の建物の入口、日本で言えばタイル張りのエントランスのような場所に、クトゥさんがいた

マットレスをタイルの上に敷いて、クッションに寄りかかるようにしている

彼女の頬には大きな擦り傷

ムチ打ちになったのだろうか、首には固定具がついていて暑そう…

「ぷんさん…ごめんなさい」

最初の彼女の言葉は謝罪
仕事に行けない事を申し訳ないと思ってるんだ

思いがけない第一声に、涙があふれる

泣いちゃダメなのに…でもこんな状況の彼女に謝罪させてることが辛いよ

「大丈夫、何も心配要らないから、ゆっくり休んで早く元気になってね」

「ありがとうございます」

犯人は見つかって、治療費の半分を負担してくれることになったらしい
半分なのは解せない話だけど、通常の事故には警察を介入させないのがここのやり方

バリ人の多くは正式あ運転免許を持っていないから、警察を間に入れると面倒なことになる…

両方から多額の罰金を徴収して懐に入れたりするのは当たり前

そんな事になりたくない庶民は、事故の当事者同士が痛み分けのうえで折半という形を取らざるをえないんだな

クトゥさんの治療はレントゲンで異常なしで終了
飲み薬(抗生物質と痛み止め)が処方されただけだと

ひどすぎる!
嫁入り前の女性の顔なのに、それだけ?
痕になるんじゃないのか!!!!



でもここでの庶民への医療ではこれが精一杯なのかな…
治療はしてもその後どうなるかなんてことまでは気にしてくれるはずもない
日本だって少し前まではそうだったんだもんね

彼女はずっと私の手を握ってる

彼女をどうやって元気付けていいのか私には見当がつかないんだ…
情けないなぁ

クトゥさんの災難

2006年06月23日 | 毒バリ
キッチンスタッフで一番の腕利きヘッドシェフ、クトゥさんが出勤して来ない
彼女が時間を守らないことはめったになくて、万が一遅れる時は必ず電話してくるか、別のキッチンスタッフとシフトをチェンジ済ませてる

「クトゥさん来ないね、どーしたんだろーね?」

もうすぐランチだから忙しくなるんだけどなー
他のスタッフとフロア越しに道路を眺める


「プン、クトゥさん事故にあったらしいから、今から病院行ってくるわ」

勤めて冷静に告げるダンナ…

「え!」

私は「事故」って2文字が頭をぐるぐるかけめぐり、もうすっかり取り乱してる
数日前にあんな事故現場を見たばかりだもん、冷静でいられるわけがない

「で、どんな状態なのよ、ど、ど、どうして?何があったの?」

「通勤途中にトラックに巻き込まれたらしいんやけど、細かいことはわからん」

トラック?
巻き込まれた?


めまいがした

バイクとトラック…勝ち目はない

「意識はあるらしい」

意識があったって、どーなのよ!
でも私自身、こんな時の自分の習性は良くわかってる
怪我している相手を前に、涙が止まらなくなって、当人に気遣いをさせちゃうんだから…

「わかった…私が病院に行ったら大泣きするから、行ってきて…」

キッチンスタッフの新顔プトゥラの案内でダンナが、ギャニャール県で一番大きな総合病院へ向かう

総合病院っていったって、外国人向けではない病院のレベルは知ってる
ちゃんとした診察、治療が受けられるのかなぁ…

クトゥさんは、出勤途中に大きなトラックと接触して、顔から地面に叩きつけられたものの、幸い頭部への被害はなく命はとりとめた
腕や足は強打のうえに、衝撃でヘルメットが脱げたため、顔にもひどい打撲と擦過傷が…

「クトゥさんか誰だかわからなかったです」

プトゥラが辛そうに言う

「顔半分パンパンやぁ、痕にならなかったらええんやけど…」

クトゥさんは少し前に彼ができたばかり
自分よりもカーストが高い男性で、大きな体と優しい性格なのを自慢してた
夜のシフトの時にはバイクで迎えに来る
仕事のときは皆のお姉さん的存在のクトゥさん
気がつけば、私も彼女だけはさん付けで呼んでいるくらい頼りになる

でも彼の前ではカワイイ一人の女性

健康そうに日焼けした、大きな彼の背中につかまりながら、笑顔で手を振っていた…

この事故で万が一彼女の顔が変わってしまうようなことがあっても、彼女を捨てないで欲しい!
幸せそうなクトゥさんの、あの笑顔を壊さないで…

「相手の運転手は逃げてしまったらしくて、今みんなで探してるんやて」

ぬあんだとーーーーーー!

逃げたぁ~?
許せん!卑怯モノめ!



私の怒りは頂点に達していたけど、だからって犯人逮捕ができるわけも無く、その時の私達は、彼女の若い細胞が損傷修復に頑張ることを祈ることしかできない…

バリの交通事情

2006年06月16日 | 毒バリ
ジャラン・バイパス・ングラライ

大きな道路で、交通量もとても多い

タイも香港もそうだったけれど、バリの交通ルールとかマナーはかなりひどい
運転免許がお金で買えてしまうような国なので、規則とかルールの徹底などあってないようなもの

この島はほんとになんでもかんでも

あってないようなもの

なんだから

あるのは宗教心だけかもなぁ

車のシートベルト着用は義務化されていないとはいえ、シートベルトが切ってあって使えない状態の車とか、平気でレンタカーとして貸し出されてるんだから

10年前、バリ島内の車の台数なんてたいしたことは無かったらしいけど、今は車を所有する人の数も増えて、更に増えているバイクと共に排気ガスを撒き散らしてものすごい

排ガスで国を駄目にしている日本人がこんな事いうのもおかしいんだけど、日本が通ってきた道だからこそ、これはマズイぞって感じ
道路整備や交通規制、法律が追いつかないまま車だけが増えて死亡事故や公害が問題になるのは目に見えてる…

運転中よそ見をするの人たちの多いこと!

ウインカーなんか出すはずもなく、いきなり車を路側に寄せて駐車しようとするし、バイクが突然右折、左折なんて当たり前
事故が起こらないほうがおかしい

ヘルメット着用が義務付けられているとは言え、これも表向きのこと
売っているヘルメットの大半は、発泡スチロールが内側にくっついてるだけの、見せかけヘルメット
価格は200円~500円

大丈夫なはずがない

籐で編んだ自作のヘルメットのおじちゃんもいる
暑いのはわかるけど、意味無いんじゃない?

宗教儀式の正装の時には、男性はウダンという刺繍入りの鉢巻のような飾りを頭に被るから、その場合は

ノーヘルメット、大丈夫~
これからお祭り行きますから神様がマモッテくれます


って、守ってないって!

祭事に向かう一家3人、4人が一台のバイクに乗っていることも多い
私がすごく小さかった頃の写真に、父と母の間に姉、母の背中に背負われた私という姿が…

昭和40年代前半の風景が今、バリにそのままある!

バリ人がいくら宗教心が厚いとは言え、神様に守ってもらえず悲惨な死を遂げてしまう一家も多い
お祭りの正装に身を包んだ小さな子供たちの死は、その姿が愛らしいだけに問題になってるというけど、一向にやめる気配はないって感じ

自分たちだけは大丈夫

どこの国でも誰でもそんな過信が死を呼ぶこと、お願いだからわかってくれよ!
昔ののどかなバリの道じゃないんだよ
経済社会を受け入れた以上、そろそろ考え方を改めないといけないんじゃないかな?って思うんだけど

店へ向かう道、ジャラン・バイパス・ングラライ

路肩に人垣ができてるよ

そこには事故にあったと思われる男性が、壊れたバイクの傍に仰向けで倒れてる
男性の頭部には新聞紙がかけられ、その下からどす黒い大量の血が道路に流れている…
体は少しも動かない

「死んでるんだよね」

「朝から嫌なもの見ちゃったな」

バイクで通勤してくるスタッフたちが気になる
皆が帰る際には必ず

「ハティハティ(気をつけて)」

声をかけることにしてるけど、本当に心配
誰もこんな目に遭わないことを祈るだけ…



日本沈没

2006年06月08日 | ぼやき
今朝、横須賀線の人身事故で電車が混んでるというのに
隣の男性がその隙間で必死に漫画のページをめくる

「なんなんだよーこんなに混んでるんだしさーやめてよ」

と思ったものの、そのページに私の目は釘付け!

映画「日本沈没」の漫画バージョンで、場面は相模湾、江ノ島…
うちの近くじゃないかーっていうかうちの目の前の風景

人の雑誌だし、自分のペースで読めるわけも無く断片的に目に飛び込むだけなんだけど、それはすごく怖いシーンの連続

片瀬河岸、鵠沼海岸、七里ガ浜、由比ガ浜…
一帯に押し寄せる壁のような津波の絵

「相模湾大津波」って書いてあるよ!

波にのまれる人々、その惨事のあとの描写

江ノ島展望台に津波の水しぶきが届いた

とか

鎌倉大仏のひざあたりまで水が押し寄せた

とか

高台に逃げた人だけが助かって、水がひいいたあとには死体がゴロゴロみたいなことが書いてある

ぎゃーーーーーーーーーーー

もう人事じゃないっての

プーケット、インドネシア、スリランカを襲った津波あの津波で怪我をした女性が、藤沢にある某病院で診察を受けている場面にダンナが遭遇してたことがあって

両足にビニール袋を巻いた女性は診察室に入ってて、順番を待っていたダンナはその人の話がきこえて、それだけで血の気がひく思いで、雪で滑って打撲した肩の痛みも一瞬忘れたらしい

ダイビングでプーケットに行っていた女性は津波に何百メートルももって行かれて、足に怪我を負ったとか…きいているだけで痛々しいし、何より恐い!
助かって本当によかったよね、そんな言葉をかけたくなる

満員電車の中で目にした漫画は、見慣れたご近所の風景を悪夢のような修羅場に変えてた

絵が上手いもんだから現実味があって、胸がドキンドキン
防災意識の薄い自分にカツを入れられた感じ

うちは片瀬江ノ島の駅から歩いて数分の、8階建てのマンション
相模湾の向こうから押し寄せてきた津波は江ノ島でワンクッション、そのあと手前のマンションでワンクッション、境川に沿って波は膨らんでさかのぼっていくに違いない…

6階なんだけど大丈夫かな?非常階段で8階まで逃げるしかない?それでOKかな?

朝から気分が悪くなってきたよ…

混んだ車両で泣き続ける赤ちゃんの声が、さらに不安感をあおるじゃないか~

私の一日はこれから始まるというのに、目的地に着いたとき、もうすでにヘトヘト

誰か相模湾の津波はそんな大きくはならないよん
みたいな話教えてくれないかな~(涙)
気休めでもいいから

月の子供チャンドラー その5

2006年06月06日 | 毒バリ
帰国後、肉体的にも精神的にもボロボロだった私たちも、何ヵ月後かにはようやく落ち着きを取り戻し、人生のリセットボタンが押された感じ

でもチャンドラーのことが頭から離れない

同じ年頃、似たような背格好、大きな目の姪を見ると涙が出てくる…
チャンドラーへの思いが、こんなにも自分を苦しめるなんて思いもいもよらなかったんだよね

一緒に撮った写真を見つめながら、デワにいじめられないか心配になる
チャンドラーの家に行ったとき

「私はポジションは一番下に下げられて、給料も下げられたの」

ときかされてて、だからそれも胸が痛んで…

レストランは元のオーナー、ニョマンが私たちとの契約をきっちりと破って、メニューを盗み、レシピも別の日本人が作ったなどとふれ込んで、営業を再開したらしい
想像通り、狡っからい奴らのしそうな事だよ

帰国してから1年と少し経った頃チャンドラーから私の携帯に電話が!!!!

「私あれからすぐ結婚して、赤ちゃんが生まれたの!相手はカンジさんだよ!」

あの、大好きだった彼と結婚することができたのね~
良かった…幸せそうな声が涙声になりながらも嬉しそうに弾んでる~
道端で、英語やインドネシア語をごちゃ混ぜに話しながら、涙を流し鼻水をすする私はかなり異様
でもいいんだよ、そんなこと

チャンドラー、幸せなんだ

私の胸のつかえは消えた

おめでとうチャンドラー~

時間のできた旦那は、バリ在住フランス人の友人のバリ宅新築祝いに渡バリするから、ついでといってはナンだけどチャンドラーの様子もみてきてもらうことに

実は心配事がひとつ

バリの女性は母親になったとたんに「女の子」から「ババア」に変身するんだもん「おかあさん」って言うよりも、なんていうか、もう女性を全部捨てちゃった感じ?あんなに細かったお腹廻りもぶくぶくになちゃうし、しゃべり方や動き方まで変わっちゃうんだよね~

結果

「チャンドラー、びっくりするほど変わってへんかったよ」

渡された写真を見ると何も変わらない、可愛らしいチャンドラーが、ほっそりとした優しい顔のご主人「カンジさん」と、元気に太った目の大きな男の赤ちゃんとともに笑っている

「良かった~」

男の子だったんだね
チャンドラーは本当にラッキー
バリでは第一子が男の子であることがどんなに重要なことか…女の子しか産まない嫁へのプレッシャーはかなりのものだっていうし

私へのお土産は二人からの手紙と、カンジさんが描いたというバリ絵画
嬉しいお土産にまた涙がホロリ

美しい民族衣装姿のチャンドラーと嬉しそうに写ってるダンナ

「ずるい!来年は絶対に私もバリに行く!」

私からのお土産はもう決まってる
子供用の洋服とチャンドラーが大好きな日本のレトルトビーフカレー

必ず会いに行くから待っててね、チャンドラー

月の子供チャンドラー その4

2006年06月02日 | 毒バリ
私たちがレストランを続けられなくなったことを知ったチャンドラー

「ぷんさん、私はぷんさんがいなくなるの嫌!ぷんさんが新しいいビジネスをするなら私も連れて行って!」

大きな目から涙がこぼれ落ちそうになっているよ~

胸が痛い

誰が言ったんだか、私達が海の近くサヌールで別なレストランを始めるという噂になってるらしい

「ごめんね、チャンドラー私達はどうにもできないの…新しいビジネスの予定も無いし、来月日本に帰るんだよ」

私に従順なチャンドラーを、デワは目の仇にしていることはわかっていたけど、どうしてあげることもできない

チャンドラーはエルナのようにこの島を出て行くことはおろか、生まれた村を出て行く能力もお金も無ない…
そんなチャンドラー一人の面倒を見ることもできない自分がほんとに情けなくて情けなくて…

別れの日はあっという間に来てしまう
閉店日、チャンドラーはシフトに入っていなかったけれど、前日の仕事のあとにこっそり彼女を呼び出して

帰国前に必ずチャンドラーの家に行くから!

と固く約束

あとでまた書くけれど、デワとの確執から命のキケンも感じていた私たちは、誰にも告げづにホテルを変えたり、出国出国準備などに追われ、なかなか約束が果たせない…
すでに帰国日を1週間後に控えたある日、ようやくその時が…

チャンドラーの家には電話が無い
近所の人に呼び出してもらうか、仕事で携帯を持っている人などに間に入ってもらって連絡してもらうバリ人は珍しくないけれど、ちゃんと家までいけるかな?
ちょっと心配…

でも心配は必要なかった
大体の道をきいていたので、チャンドラーの村に入ったあたりで道を歩いていた人に、チャンドラーの写真を見せる

お?この子の家か?つれてってやるよ

ニコニコ親切なおじさんと、ほんの200mくらい歩いて到着

一目見てチャンドラーのお母さんとわかる優しい笑顔の女性、おばあちゃん、おじいちゃんが驚いた様子で、でも私が誰なのかわかっているんだね

さあこっちへどうぞ~と導いてくれた

小さくて古いお家だけれど掃除が行き届き、チャンドラー一家のひととなりが十分に伝わってくる
そこに小走りに現れたチャンドラー

ぷんさん!
チャンドラー!


私とチャンドラーは涙を流しながら抱き合う
それを見ていた周りの皆も同じように泣いている~
これはもうノンフィクション映画の一場面にしたっていいくらい

「こんな汚いところでごめんなさい」

「何を言うのチャンドラー!?チャンドラーがいつも厨房を綺麗に掃除できる理由がわかったよ~チャンドラーの家族が素晴らしいからだってこと」

いつの間にか家族全員集合

私とダンナを囲んでお店の話や、日本の話に花が咲く
おかあさんが気を遣って近くのワルン(日本で言うところのちょっとした食堂兼駄菓子屋のような小さなお店)から飲み物と菓子パンを買ってきて、勧めてくれる

「ねえ、みんな、ぷんさんって私が言ったとおり、すごく綺麗でしょ?髪がまっすぐで色が白くて背が高くて」

「ほめてくれてありがとう
 じゃ、お礼にプレゼント!
 自分たちが使っていたものだけど、チャンドラー、おうちで使ってくれるかな?」

住まいにしていた小さなホテルで遣っていた物干しスタンド、食器、家庭用品、洗剤などの日用品を託すとチャンドラーの姉が目を丸くして

「これ全部チャンドラーに?」

この島では工業製品は高価、日本では当たり前の日用品も嬉しい贈り物になるみたい

1時間程度の時間だったけれど、私とチャンドラーはその間ずっと手を繋いだまま…お互いがお互いを心から愛しく思っているのがわかる

これは何だろう?言葉も生まれも年齢も全部超えてこういう気持ちになることがあるんだね

私たちはお互いの姿が見えなくなるまで、手を振り合って別れた
涙でくしゃくしゃになった私の顔を優しく見つめるダンナ

「よかったな、チャンドラーにお別れが言えて」

自分の非力さを再度かみ締めながら、言葉も無く車に乗る

チャンドラーのことは絶対に忘れない
苦しい思いをさせてしまったんだもん
チャンドラーの小さな手のぬくもりを握り締める…

これが自分へのバリのお土産