プン吉 punkichi の台所★海外遠征大好きな、完全禁煙南国料理店「島結」は飛ぶ!

台所は料理するだけの場所でなくいろんなことを思う場所♪南国料理・泡盛の店「島結」からのお知らせもあるよ

エルナのバリ島人生4

2006年04月25日 | 毒バリ
エルナは友人の家に身を置いている
友人は男性だけれどゲイだから問題ないって
とはいえ他人が見たら離婚してもう違う男に走ったか?ってことになる

狭いバリじゃ噂はすぐに広がっちゃう!

「ダーリンが留守の間に家まで荷物を取りに行きたいんだけど、車を出してもらえるかなあ?」

もちろんだよー
では昼間は人目につくので、日が暮れてから…
バリは幸いにも街灯が少ない…暗くなれば人目はなくなる!
普段は暗くて嫌でも、こういう時には便利?
私は厨房の仕事があるから、ダンナがエルナのお家まで同行

お家は二人で働いたお金で、つい最近完成したばかりだって言ってたのに、エルナは何も求めずに離婚するだけらしい…新しいお家のために色々物色してたの知ってるだけに、なんだか切ない

「かわいらしい家やったけど、 真っ青 なんや」
ダンナは、その 徹底した「青」 にちょっとビックリ…家の壁、ドア、室内、すべてがブルーだったんだそうで

私は青が一番好きだから!

エルナの口癖…室内の壁を青くすると、人間関係が冷えるって本で読んだ気がするんだけど…本当にそうなのかしら?色彩学をご存知の方教えてくださーい

エルナの荷物はスーツケース2個
本当に身の回りのものだけなんだね

「すっきりした」

って微笑むエルナだけど、やっぱりその笑顔がさびしげ…

「私ってバカね~親の反対を押し切ってまで結婚したのに、結局こんなことになっちゃった…子供ができていれば少しは変わったのかもしれないけど」

「いや、ある意味子供がいたらいたで問題は起こったかもしれないじゃない?人生は何が起こるかでなくて、起こってしまったあと、どうするかだよ」

「プンちゃん、ありがとう…」

離婚したエルナは、私たちのお店が閉店することが決まった後、結婚前に働いていた高級ホテル 「ブガワンギリ」 からもう一度お呼びがかかった
エルナはスタッフとしても、一人の人間としても有能だもん!当然!

新しい仕事場を得たエルナに会いに出向くと、彼女は満面の笑顔で私たちを出迎え、ホテルの広大な庭やハリウッドスターも泊まるという超高級スペシャルスイートルームまで特別にご案内~

いやーほんと、凄かったです!

一人になったエルナの28歳の誕生日、サヌールにある私たちお気に入りのイタリアンレストランでお祝いの食事会
日本から遊びに来ていた友人も一緒に祝う
シャンパンを空け、メインはサヌールの海でとれた大きなタイのグリル!
そしてレストランの電気が消え、スタッフが Happy birthday を歌いながらエルナの前に大きなケーキを運んできてくれた

予想外の演出でエルナの目には大粒の涙

「私、こんなお誕生日初めて…本当に本当にありがとう!!」

私たちは非力で、エルナにしてあげられることはこんなことだけ…エルナはスタッフでありながらも、私の大切な友人で仲間
彼女と私の人生は一時でも交差して、お互いに信頼し合うことができたことを幸せに思う

その後彼女はバリを出てしまう
もともとバリ人でない彼女がバリで仕事をしていく意味はないといえばない
その年の冬にはイギリス、サイレンチェスターのホテルに就職
インドネシアの女性が海外で職を得るのは本当に大変なことだけれど、エルナはそれほど有能ってことで、そんな人が私たちのレストランで働いてくれてたことが誇らしい

私たちの再会の約束は

今年の夏

約束が実現するといいな
早くエルナの笑顔に会いたい!

エルナのバリ島人生3

2006年04月19日 | 毒バリ
ある夜のこと、お客もまばらエルナと私はフロアでちょっとした立ち話…
いつものごとくエルナとご主人の話になって、少々興奮気味のエルナ

女を40年近くやってきた私だもの、エルナに話してあげたいことは山ほどあるのに、自分の語学力のなさがうらめしい!
エルナは先進国の女性の考えや生活に十分溶け込める能力があるんだし、話し合いにも応じない、らちのあかない男にこだわっている必要はないんだよって…

ああ、もっと英語が話せたら…情けない…大切な友達一人に元気もあげられないなんて…
あ!ゲストが2組も来たよ、私は厨房に戻らなきゃ

そこへモシモシ社長も食事にやってきた
Ohラッキー!語学堪能な社長がエルナを元気にしてくれる…
社長は複雑な状況で思い悩むエルナに色々な言葉をかけている様子、それがまた嬉しいのだろうし、色々な気持ちが胸を交錯してるに違いない

エルナはもういっぱいいっぱいだったんだろうね
モシモシ社長の席で涙を流しはじめた
翌日のスタッフ控え室ではアホなスタッフたちが言う

「モシモシ社長とエルナはつきあってるの?社長は日本に奥さんがいるんじゃないの?別れ話?」

それはありえんだろが!

それから1週間後のこと…

「私家を出ることにしたの」

なんという急展開~エルナはご主人の両親や自分の両親と話し合い、色々考えた結果修復不可能と判断し、ついに決断
いつまでたっても沈黙のご主人に、自分のほうからアクションを起こし、家を出る覚悟であることを宣言

うーんこのあたり、思い切りはやっぱり女のほうが上だわ

あれれ?不思議なことにご主人の態度が変わり始めたって!

家に帰ると夕ご飯の買い物がしてあったり、テレビを見てると隣に座ってきたり…
あんなにご主人命だったくせに、エルナは気持ちを戻すどころかすっかり気持ちが離れてしまったらしい

「なんなのこの人って感じ!この期に及んで綺麗に結末を迎えられないなんて!ほんとがっかり!」

なんかわかるなあ…この感じ…うん

この男は独占欲が強いだけみたい
愛情があるかどうかはわかんないけど、エルナが違う男にとられるのは嫌ってこと
だから結婚に至る時も、エルナが自分以外の男性と親しくなったのが気に入らなくて思わずプロポーズ!
エルナも、この一件でそのあたりがわかったみたいで、だから一気に冷めてしまったみたい

「彼はまたいつか同じ事すると思うわ」

エルナは正しい
こういうタイプ、バリの男に多いときくけど、日本にもいっぱいいそうだよね

エルナのバリ島人生2

2006年04月13日 | 毒バリ
エルナの故郷メダンでは、子供の教育に力を入れる土地柄だとかで、バリで働いているデキル系のインドネシア人と話しをするとメダン出身だったりするんだよねー

彼女との会話は、まるで日本語で話しているような感じ…英語能力が素晴らしいから、ボキャブラリーの貧しい私の言いたいことを推測して「こう言いたいの?」とか「ああ、もしかしてこれかな?」という風に

会話をリードしていってくれる

本当に頭がよいというか、会話センスがいいというか、本当にいい子~
しかしこの頭脳明晰さやセンスの良さ、バリ社会ではあまり役に立たないって言うか、役に立たないどころか

疎まれてる?

口のたつ、生意気な、異教徒だった嫁

エルナの悲しそうな顔は、日を追うごとに増えていく

そしてある朝

「昨日、家族会議があったの…私たちもうダメみたい…」

会話が少なくなって、近くに寄り添うとすっと離れてしまうご主人
そして最近は休日の予定も告げずに、朝から一人で外出していくらしい
エルナが行き先を訊ねても友達と会ってるって答えるだけ…

ア・ヤ・シ・イ

ある日、町の中心部で、エルナの友達がご主人を目撃
若い女性をバイクの後ろに乗せ、親しげに走り去るその姿を…

やっぱり!

その日の夜、帰宅したご主人に問いただすと「友達だよ」
「じゃ逆のことを私がしてもいいの?」と詰め寄ると、何も言わずに家を出て行き、心配するエルナの気持ちを知ってか知らずか明け方になってようやく帰宅

「どこにいたの?」ときくと「森の中で考えていた」とだけ

「彼の拳はどこかに打ちつけたみたいに腫れあがって血が出ていたの…森の中で木を殴っていたって…」

意味わかんない!
なんのポーズなのさ?
それとも苦悩している自分をアピールしたいわけ?
なぁんて私は単純に思うけど、エルナはそうは思えないらしい
愛があるからね

二人の様子がおかしいことに気づいたご主人の両親、バリではお決まりの家族会議が開かれ

どうするつもりなのか?
ほかに女がいるのか?
エルナに言いたいことがあるのか?


そんなご両親の問いにご主人は黙秘
結局この日は黙して語らないご主人をみんなで囲んだだけで会議は終了~

ご主人が大好きで仕方がないエルナは、普段からご主人にべったり…
それが鬱陶しく思われたというものあるかもしれないよね
西洋風の食べ物を好むエルナのお気に入りはシーフドーのクリームパスタ、インドネシア人には珍しく生野菜もパリパリ食べる
ご主人は、お母さんの作る「バリの食卓」がだーい好きで、生野菜はおろかパスタやチーズもNo thanks

これが致命的とは思わないけど、夫婦の食の好みってそれなりに大切だったりするんじゃないかな?
ほかの場所からお嫁に来た、ある程度裕福な女性はバリ料理のレパートリーのなさに泣くはずだし、まして元モスリムのエルナに豚肉の強要はかな~りツライ…

私の勝手な見解だけど
食べ物に保守的な人って、大抵考え方も保守的

さまざまな重圧から、エルナは、時々神様に祈りをささげてた
その姿を見た近所の人が、エルナのご両親やご主人に告げ口し、二度と異教の神に祈らないと約束させられたらしい

「エルナはやっぱりイスラムの神様を捨てられないのね?」

「ううん、そうじゃなくて自分の中の神様に祈っていたの」

厳しい戒律や、宗教の違いで食べ物を強要したり、儀式で生活ががんじがらめになったり、エルナはそんなことが嫌になってしまったんだって
だから自分の中の神様に現状脱却を祈っていたエルナ…

宗教観の違いは、長男であるエルナのご主人や家族にも大きな問題になっていたはず
宗教が生活の一部であり、人生そのもの…それがバリだから