ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

12/02/08 独のドキュメンタリー映画「第4の革命」で脱原発への確信を深める

2012-02-19 02:28:35 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

昨年9月に「ミツバチの羽音と地球の回転」を、11月に「チェルノブイリハート」と続けて観て、次に観ようと機会をうかがっていた作品をついに観ることができた。
ドキュメンタリー映画「第4の革命」の公式サイトはこちら
goo映画の情報が、わかりやすいので以下、引用してご紹介。
【第4の革命-エネルギー・デモクラシー】
<作品解説・紹介>よりあらすじ
本作は、ドイツを脱原発決定へ導き、再生可能なエネルギーへのシフトを決断させたドキュメンタリーで、2010年ドイツ全土で上映されると、その年のドキュメンタリー映画最高の13万人を動員し、2011年テレビで放映されたときには200万人が視聴した。ドイツ連邦議会議員やヨーロッパ太陽エネルギー協会会長を務めたヘルマン・シェーアは、大量の風力発電導入を促した1990年の“電力買い取り法”と、太陽光発電導入の起爆剤になった2000年の“再生可能エネルギー法”の2つの法律を制定させた中心人物である。そんなシェーアがナビゲーターとなり、太陽光、風力、水力、地熱など、再生可能な自然エネルギー源の可能性を伝えていく。ノーベル平和賞受賞者であるバングラディッシュの経済学者ムハマド・ユヌス、アメリカの起業家イーロン・マスク、国際的な人権活動家ビアンカ・ジャガー、デンマークで自然エネルギー活用の中心的役割を果たすコミュニティを設立したプレベン・メゴー、アフリカ・マリ共和国で自然エネルギーと環境保全に取り組むイブラヒム・トゴラなどが登場し、100%再生可能なエネルギーへシフトすることが可能であることを分析し、紹介していく。

「第4の革命」というタイトルの由来がわからずに観たが、私の場合は鑑賞に支障なし。後でネット検索してみたら、飯田哲也(著)『エネルギー進化論:「第4の革命」が日本を変える』(ちくま新書)にいきあたり、内容の概説のところにあった。「革命」といっても政治的な転換ということではなく、「自然エネルギーへの転換」を産業構造の転換という視点で、農業革命、産業革命、IT革命に次ぐ「第4の革命」と評するようだ。

この映画はそういう説明なしに、ナビゲーターのヘルマン・シェーアが再生可能エネルギーへのシフトが実現可能であるという話をし、それにからんでいろいろな人が登場する。ご一緒した人の中で、シェーアを「このおじさん誰?」というくらいの感じで観た方々の中にはわかりにくいという人もいた。まぁ、脱原発ということについてある程度は調べたり考えたりしている人向けのドキュメンタリー映画であるといえよう。

国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)のパリにある本部で取材に応じた主任研究員はしたり顔で「数十年のうちに再生可能エネルギーにシフトすることは非現実的だ」と語る。自身がここに転職してくる前はOPECで6年間働き、そこで専門知識を身につけたことが役に立っているということも自信を持ってしゃべっている。IEAがまさにどういう勢力の利益を代表する組織なのかを自分で明らかにしてしまっているのが実に皮肉だ。
その場面に続けて、シェーアは「石油などの化石燃料や、その代替として原子力エネルギーを使い続けたい勢力は、再生エネルギーへの転換を非現実的だと言い続けることで、転換をはかろうとする人々のやる気をなくさせようとしている」と指摘する。
まさに、そこである。それに反論するために、世界で再生エネルギーへの転換に本気で取り組んでいる人々を登場させ、志を持つ人々に勇気を与えようとする映画になっているのだ。

そういう人々が<作品解説・紹介>で列挙されているが、さらにドイツのような合理的なビジネスにこだわりそうな民族が実に多様な再生エネルギービジネスを展開しているのを見ると確信が強固になる。ドイツ人にできて日本人にできないわけがないじゃないかという気持ちが沸々と湧く。
さらに中国で太陽光発電の起業家である施正栄(シ・ジェンロン)が展開している事業も頼もしい。海を越えて中国の大気汚染物質が日本にどんどん流れてきているという現実を変える動きが、中国の若い世代の起業家がもっともっと増えることで強くなるはずと思え、エールを送りたい気持ちでいっぱいになった。)
さらに、マリ共和国のような発展途上国で電力を地方の農村などに確保して生活レベルを向上させている取り組みに目から鱗状態になった。それをバングラディッシュのグラミン銀行の投資が支えるという国を越えたマイクロクレジットの力にも感動!
先進国でも発展途上国でもまさに地域社会の中で再生可能エネルギーをつくりだして活用するということに確信をもつことが大事だと納得した。

今回は主婦連環境部の上映会だったが、今回の参加者が、さらに自分のところで自主上映をしようという動きにつながっているという話が私の耳にも入ってきた。ドイツの脱原発の世論に影響を与えるまでに草の根上映運動が広がった作品が、日本でもじわじわとそういう取り組みになりつつある。
3/11から一年という日が近づいている。「悲惨な経験をしてもやがて大方の国民が忘れてしまうのが日本人だ」と世界の志高い人々からあきれられないようにならないといけないと思う。
そのためにやれることを少しずつでもやっていく決意を固めている。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
方法 (paru)
2012-02-19 10:44:53
国によって適した方法がありますね。
まぁとりあえずは石油や石炭で、模索していけばいいのではないかと思いますが。
中国の安い太陽光パネルは質が落ちるのと、ドイツでは中国企業のパネルの席巻で自国の雇用が大打撃を受けましたから、内需を守るのも並行して考えないといけないでしょう。
日本も反原発と言って、被害を誇張して商売にしてるのが多いですから気をつけなければいけないと思います。
チェルノブイリのデータや事情を調べていると、言われているようなことと随分違うことも多いですし。
飯田氏も自身のファンド利益が政治家などと繋がってるようです…
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★paru様 (ぴかちゅう)
2012-02-19 21:56:42
>国によって適した方法......国というレベルよりももっと小さな単位=地域ごとに適した方法をとればよいのだと思います。
確かに自然エネルギーへの転換を採算ベースに急速にすすめたドイツで、安い輸入の太陽光パネルなどに走った企業もかなり出たのでしょうね。そこは、なるべく国内産の資材を使うようにそれも誘導する政策をとればいいことだと思っています。
それと私は、政治家と繋がること=悪いことだとは思っていません。どんな政治家とどのように繋がるかを問題にすればいいことでしょう。そこに倫理的でない要素があれば、そういう行動をとらないようにさせる監視システムは社会として構築しなければならないと思います。
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政治家 (paru)
2012-02-19 22:43:44
もちろん繋がるというのはお金のためにやっている人のことで、利益が上がれば意見なんてコロコロ変わるたぐいです。
被災地の人は迷惑してることもありますからね。
反原発運動をやってる有名な人も効かない物を売っていたり、ありもしない健康被害を平気で書くジャーナリストなどが平気で講演をしていたり、ここぞとばかりに商売に走っている人が多く最近は危険派話もうんざりしています。
今は放射能ステマがあるくらいですからね。
こちら関東ホットスポットのことも、見たことも聞いたこともない被害を書かれて驚きます。
地道に過去の(チェルノブイリなど)のデータを探して比較して冷静に判断するようななりました。
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第4の意味 (茲愉有人)
2012-02-20 00:53:34
「第4」の意味は、そういうことですか。

あの映画は、再生可能エネルギーの多様性とポテンシャルを啓発するのには、有意義ですね。
IEAの主任研究員の語りを継続的に入れていくことで、エネルギー問題に対する観点の客観性を維持していた点と、それ故に、コントラストが明瞭になったことを興味深く思いました。

IEAの見方をどう見るかは、あの映画を見た観客にゆだねられている。判断するのは、あなた自身だと・・・・

再生可能エネルギーに100%転換して行くためには、やはり、エネルギーについてのパラダイムをシフトしていかないとだめでしょうね。
あの映画の中では、その部分も描き込んでいたと思いますが。

中国については、私はまだデータが十分に検索できていなくて、あの映画での取りあげ方がピンポイントであるのを、ぬぐえません。
中国のエネルギー需要とエネルギーの国策の中で再生可能エネルギーがどいういう位置づけになっているのか・・・
中国は、風力発電にもかなり積極的な投資の方向性を打ち出しているようですね。

本文を拝見し、かなり補うことができました。ありがとうございます。

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皆様、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2012-02-20 01:26:30
★paruさま
本当にエセ反原発にも騙されないようにしなくてはいけませんね。
本文中にも書きましたが、『チェルノブイリハート』もおすすめのドキュメンタリー映画です。
★茲愉有人さま
>再生可能エネルギーの多様性とポテンシャルを啓発するのには、有意義......同感です。
>判断するのは、あなた自身......ある程度調べたり考えたりしている人はちゃんと判断できるはずと思います。
中国という国は大国ですが、資本主義が発達する中で民主主義も育つという歴史的過程を経ずに共産党が一党独裁で支配する体制になってしまったので、日本人が自分たちと同じ感覚で中国人も暮らしているという錯覚をしてはまともにおつきあいできないです。
それでも国を挙げて政策転換すると巨大な力を発揮する国ですから、こういう先進的な取り組みをしている事例があれば、きちんと取り上げて誉めて応援することの意義が大きいと思っています。ドイツの脱原発運動の世界的に運動を盛り上げる戦略のうまさを感じたところでもあります。
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チェルノブイリ (paru)
2012-02-20 08:10:45
チェルノブイリハートは見ていませんが、矛盾するところもあると指摘している人もいます。
それぞれの主張をアピールすると大きめな表現になることもあるでしょうから、その辺は差し引いて考えないといけないと思います。
過去の原発事故の話はYouTubeやネット記事でたくさん見たのでもういいかなと(^_^;)
どうなるかは誰にもわからないので一度見ておくのは大事だと思います。
反原発商売は海外の資本とも繋がっているような感じがします。
何にしろ日本人はすぐ信じてしまう人が多いから気をつけないといけませんね。
相手の民族性も考えないと。
今はガイガー持ちなので、数値で見ると巷で言われていることと随分違う結果が多いのがわかりました。
今は安いものなら6000円くらいから買えます。
私が持っている機種も震災直後の1/10の価格になりました。
中古車も計ってきましたよ。
また記事にしたいと思います。
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中国 (茲愉有人)
2012-02-20 09:49:43
私にとって、現代中国は未だに得体のしれない国です。
エネルギー問題でも、様々なことを同時にやっている印象だけが強い・・・・

ちょっと、検索のキーワードを変えて、トライしてみたら、エネルギー政策関連の情報がヒットできました。一歩、内実を知るきっかけができたようです。

トフラーの本が手許にあったと思ったのですが、『未来の衝撃』は見つけたけれど、『第三の波』の訳書は迷子。借りて読んだのだろうか・・・

ウィキペディアで、ふと、「トフラー」を検索してみようと思い、今朝アクセス。
「アルビン・トフラー」の項目がありました。(当然かも・・・)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%BC

From Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Alvin_Toffler

農業革命について、第一の波とトフラーが述べたようですね。
私は第三の波を情報革命と記憶していたのですが、トフラーは「脱産業社会/脱工業社会」と位置付けて、その中で情報革命に言及していたようです。
第一の波を私はブログを書いたとき、思い出せませんでした。



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