ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

12/01/08 亀治郎・愛之助の卒業公演「新春浅草歌舞伎」第一部

2012-01-23 23:58:58 | 観劇

今月の東京は5座で歌舞伎の公演があるが、国立劇場と平成中村座は見送った。浅草公会堂一部二部、演舞場昼夜、ル テアトル銀座の5公演を観る。「新春浅草歌舞伎」第一部は1/8(日)に観劇。雷門前で待ち合わせした職場のS先輩は吾妻橋のたもとまでスカイツリーを観に行ってから合流。今年の5月開業ということで冒頭の今回の公演のチラシ画像もスカイツリーをバックに撮影された写真が使われている。亀治郎・愛之助が浅草歌舞伎を卒業する公演でもあり、バトンタッチする若手と勢揃いしているのが感慨深く、しっかりプログラムも買ってしまった(^^ゞ
「新春浅草歌舞伎」の公式サイトはこちら
【お年玉<年始挨拶>】
浅草歌舞伎初登場の隼人による挨拶。高校3年生で現役高校生の出演は七之助以来とのこと。俳優祭でツーショットを撮らせてもらったこともあり、若手花形としての成長を確かめられたことが実に喜ばしかった。
以下、冒頭に上記のサイトからのみどころを引用。
【南総里見八犬伝】
第1部の幕開きは江戸の文豪、曲亭馬琴原作『南総里見八犬伝』。滝田城主息女の伏姫と、その愛犬の八房の不思議な関わりから生まれた八犬士が、里見家再興を目指し奮闘します。今回の上演では八犬士誕生を描く富山山中の場、足利家の宝剣、村雨丸をめぐる大塚村庄屋蟇六内の場、八犬士が勢ぞろいする圧巻の円塚山の場をご覧いただきます。亀治郎は強欲な庄屋蟇六と八犬士の一人犬山道節の二役に挑みます。
主な配役は以下の通り。
伏姫=春猿 金碗大輔/簸上宮六=男女蔵
庄屋蟇六/犬山道節=亀治郎 犬塚信乃=歌昇
蟇六娘浜路=壱太郎 蟇六女房亀篠=竹三郎
下男額蔵実は犬川荘助=薪車 網干左母二郎=亀鶴 
犬村大角=巳之助 犬田小文吾=種之助
犬坂毛野=米吉 犬江親兵衛=隼人
犬飼現八=愛之助
2006年の納涼歌舞伎でも八犬伝を観ているが、その時とは上演する場面がだいぶ違っている。座頭は亀治郎で因業な庄屋蟇六をコミカルに見せるのが眼目。そして最後の「円塚山の場」で、今回初登場の若手たちが八犬士で勢揃いし、亀治郎も二役目の座頭役として絵面に極まるという、今回の公演にふさわしい演目ということだろう。

伏姫の腹の中から八つの水晶玉が飛び散って八犬士が生まれるという発端の春猿が美しい。その犬士のひとり犬塚信乃と浜路という若く健気な恋人どうしを歌昇・壱太郎が好演。その仲をひきさくのが蟇六であり、左母二郎。蟇六夫婦の亀治郎と竹三郎が登場した時から一転してコメディの世界へ。蟇六の家の下男実は犬川荘助の薪車の頼もしい兄貴ぶりがよい。12月の演舞場で藤山直美の相手役として舞台の芯を堂々と勤めた存在感がある。横恋慕の敵役左母二郎の亀鶴の陰のある着流し姿が魅力的だ。

代官の簸上宮六に騙されたと恨まれて客席の通路でないところをわざわざ観客の膝の前を通って逃げ回る亀治郎に客席は沸きに沸く(第二部の天下茶屋と混同しているかもしれないので、違っていたらご指摘ください)。最後には祝言の小物の角樽や嫁入り道具にかかった幕を使い、金龍山浅草寺に因んだ金龍の舞も騒動のどさくさに紛れて見せるというのも嬉しい。

円塚山の場。信乃のために村雨丸をとりもどそうとした浜路は左母二郎に斬られるが、火遁の術を使って村雨丸をとりもどした犬山道節が実は兄ということで腕の中で看取られても死ぬのは救い。そして澤瀉屋、松嶋屋、播磨屋、萬屋、成駒屋、大和屋、音羽屋、滝野屋、八幡屋と9つの屋号の若手が並ぶだんまりは賑々しい。最後に亀治郎の犬山道節が馬連をつけた四天姿で再登場し、花道で立ち回り後、飛び六法で引っ込み。浅草歌舞伎卒業の堂々たる幕切れだった。

【夕霧 伊左衛門 「廓文章」吉田屋】
上方和事の代表的な作品の一つ『廓文章』。放蕩により勘当された伊左衛門が紙衣姿に身をやつしながらも、恋人である傾城夕霧に会いに吉田屋にやってきます。上方芸を継承する愛之助が伊左衛門を初役で勤める話題の一幕です。
主な配役は以下の通り。
藤屋伊左衛門=愛之助 扇屋夕霧=壱太郎
吉田屋女房おきさ=春猿 吉田屋喜左衛門=竹三郎
愛之助の伊左衛門は初役とは思えないほどの好演。仁左衛門の芸をしっかりと継承している様子が好ましい。竹三郎の喜左衛門とのやりとりが上方歌舞伎の風情を味あわせてくれる。春猿のおきさも予想外の落ち着いた花車方の女房ぶりがよかった。
さて、壱太郎の夕霧は綺麗だったがまだまだ硬く、傾城の風情が出ていない。浜路の方がよかったが、これは仕方がないだろう。
それにしても上方和事のじゃらじゃらした芝居も好きな私だが、「廓文章」は仁左衛門で観ても藤十郎で観ても、今回の愛之助で観ても眠気に襲われてしまう。

まぁ、最後は伊左衛門の勘当もゆるされて、夕霧の身請けの千両箱が山積みされて、めでたしめでたしの華やかな幕切れとなり、正月芝居らしく打ち出された。

第二部は「着物で観劇の日」ということで、入場を待つお客さんたちが正月らしい雰囲気を醸し出しているのを横目で観ながら退出。
その後、浅草の町を散策し、浅草寺で先の記事に書いた大吉を引き当てたのだった。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しかったですね (スキップ)
2012-01-30 00:40:02
ぴかちゅうさま
若さあふれる浅草歌舞伎は、大歌舞伎とはまた違った楽しさがありますね。客席もお若いですし(笑)。
隼人くんのお年玉ご挨拶なんて聞いてみたいです。
亀治郎さんが今年でご卒業なのは残念ですが、これからも若手の鍛錬の場、活躍の場として盛り上げていただきたいと思います。

「里見八犬伝」私は歌舞伎で観るのは初めてだったのですが、楽しい演目でした。一度通しで観てみたいです。
「吉田屋」は意識なくしてしまったりしたのですが、ぴかちゅうさんでさえ眠くなると知ってちょっと安心しました(笑)。
第二部のご感想も楽しみにしています。
返信する
★スキップさま (ぴかちゅう)
2012-02-06 01:41:58
22日にご覧になった時の記事のリンクも有難うございます。返事が遅くなり恐縮ですm(_ _)m
亀治郎・愛之助の両丈が今回で卒業なんですよね。花形役者から大歌舞伎の役者へとステップアップされるのは嬉しいですが、やっぱり少し寂しい気もします。
卒業していくお二人とこれから花形の舞台を引き継いでいく若い方々みなさんの見せ場があるような演目をうまくチョイスしたものです。「南総里見八犬伝」などは、若手で8人の犬士を登場させられますからね。話が長すぎてどこからも芝居がつくれるのがいいのだろうとも思いました。
上方和事のじゃらじゃらした芝居も好きな私ですが、「廓文章」はどうも毎回眠気に襲われてしまいます。話が他愛無さすぎるせいじゃないかと(笑)
第二部の感想も途中まで書いているのですが、完成させる気力体力がなく、放置状態になってます。なんとかアップできるよう、頑張ります。
返信する

コメントを投稿