東京交響楽団を「イタリアオペラハウスの管弦楽団」に化けさせた 指揮者=コンスタンティン・トリンクスの魔術
2年1ヶ月前に同じ新国立劇場「ドン・ジョヴァンニ」を振った コンスタンティン・トリンクス が 「ラ・ボエーム」で戻って来たが、『全くの別人』になっていた。
「ラ・ボエーム」の全貌を骨格から、毛穴まで見据えて
オーケストラと合唱団を、どうすれば「プッチーニの望む響き」が醸成できるか知り尽くし
持ち前の「リズム感の良さ」を生かし
デュナーミクとテンポを「スビト(突然に)」で動かし
オケだけでなく、「ソリスト」「合唱団(大人と子供)」の信頼を得たのが、コンスタンティン・トリンクス
である。ここまで「徹底できる」んだ!! 私高本は猫頭なので、帰宅して即「オーケストラスコア」を見た。あ~ぁ、ここまで「プッチーニは徹底しているのか!」って言うスコア。弦楽器の「上げ弓、下げ弓」まで細かにごちゃごちゃ書いている。これじゃ、マーラーじゃん(爆
指揮者=コンスタンティン・トリンクス は、十全に「プッチーニの細かいスコア」を実現させてくれた。標題に掲げたように「東京交響楽団がイタリアのオペラハウスの管弦楽団に変身」したようだ! ツボは(おそらく)
弦楽器をコントラバスから「和声で積み上げた」
アーティキュレーションを「プッチーニの通り」にした
響きを「スタカートの長さ」なども含め、厳密にした
だけだったと聴こえた > 猫頭の私高本には
この指揮者=コンスタンティン・トリンクス は、「カルロス・クライバー」並みに実る可能性が極めて大。来年も再来年も「新国立劇場オペラ」で振って欲しい。
少々細かいことを言えば、テノール(=ロドルフォ)が第1幕の2重唱で「走りかけた」時に、
コンスタンティン・トリンクス は「棒だけ」で「走りを止めた」!
は印象深い。直後の弦楽器で「テンポはこれだよ~ん」を明示したからなあ。ミミ、ロドルフォ、ムゼッタの3役は「これが初舞台」な感触。ういういしいのだが、「指揮者=コンスタンティン・トリンクス が導いて下さい」モード。見事に導いていた > コンスタンティン・トリンクス
影の立役者にも言及しないと、「Piano Music Japan」読者の皆様は納得しないかも(爆
新国立劇場オペラ部門芸術監督=尾高忠明夫妻は、2階RB6列1~2番で観劇!
していたことを報告しておこう。あの席が最高なんだ、、、
知らなかった(泣
この「粟国淳演出:プッチーニ:ラ・ボエーム」は2003年の初演以来、今回で4回目の上演のような気がする。全部聴いて来たが、今回が最高!
その「推進力」は コンスタンティン・トリンクス の指揮 だったと感じる。ソリストに対しても、「不可能なことは要求しない」。だが「守るべきプッチーニの線」は守る、だった。3年前とは別人。こんなこともあるんだねえ。
09/10シーズンよりダルムシュタット州立劇場の音楽総監督を務めている コンスタンティン・トリンクス
オペラハウスにポジションを得て、経験を積み、実力を急速に伸ばした指揮者である。
過去に1回だけあった > 数年で別人
プライ「冬の旅」から、ヘンシェル「冬の旅」の岡原慎也!
である。確か猫頭=私高本の記憶では、3年。岡原慎也はその期間に「世界規格で真人間」になったワケだ。コンスタンティン・トリンクス は、「カルロス・クライバー」並みの指揮者になる可能性を秘めている。(管楽器ソロとかを気にしないで)この公演は1人でも多くの人に聴いて欲しい。「大野和士指揮:トリスタンとイゾルデ」よりも響きが良い公演なんて、そんなに無いぞ(爆
チケットは全日じゃぶじゃぶ余っている(藁